今月の一言2011年12月号

「今月のひとこと」の目次
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2011年12月4日
先週の株価はよく上がりましたね。 しかし良く考えてみると、元々低かったものが元に戻っていく過程と言えば言えなくもありません。 ヨーロッパの経済的な大地震が起きており、その余震がまだまだ大きく揺れています。 本家のドイツまで揺れて、ついでに日本も少し揺れて、ギクッとしましたが、微震で終わったようです。

こう見ると如何に政府の債務残高が大きかろうと、貿易黒字が赤字転落にも関わらず国際収支が黒字の日本は世界で見ると優等生なんで円高になるんですね。 この頃テレビのNHKですら「国の借金」と言う言葉を頻発していますが、二重の間違いで、正しくは「政府の債務残高」です。 日本の国そのものの外国からの借金はほとんどありません。 またよく間違えるのは、債務残高だけを取り上げて、大騒ぎする事が多いのですが、バランスシート的に考えて、右側の債務の反対側の左の資産については誰も何も言いません。 実はこれが国際的にも非常に大きい。 問題は、誰も、財務省の担当者でも、本当にどれだけ資産があるのか分からない点でしょう。

また次の世代への先送りを避けるために、と言うのが枕言葉で、これを言うと、言われると思考停止で全てが肯定されるような雰囲気があります。 特に現総理大臣はこのフレーズを連発します。 ここでも考えないといけないのは、次世代に先送りされるのは、債務と同時に資産も先送りされます。

でも財務省は経済成長をしないようにする事を本気で考えているようです。 このまま国債の利率が上がる(国債の価格が下がる)と利払いで財政が破綻するので、利率が上がるような経済成長政策を取らないようにしていると言うことです。 確かに今の政治状況を見ていると、10年国債では利払いが増えるのは10年後ですが、それまでに債務残高を劇的に減らすことは不可能のなのかもしれません。 今までは冗談だろうと思っていましたが、どうも本気らしいと思うようになりました。 ますます袋小路。

現在の老年層に手厚いのはケシカランと言う議論があるのですが、この問題の是正がすぐに出来るのならやった方が良いとは思いますが、莫大な政治エネルギーをかけてやるべきものではないでしょう。 現在の老年層はいずれは死を迎えます。 世の中に数多ある予言の中で100%正しいのは、人は全て死を迎えると言うことです。 この時に、文字通りお金は墓場まで持って行けませんので、相続税を払うかどうかは別にして、確実に債務と同時に資産も次世代に受け継がれます。 相続税が発生すれば、国に移転するだけで、資産が消えてしまうわけではありません。

あと30年もすれば、我々のような団塊世代はほとんど死に絶えますから、資産とさらには債務が引き継がれます。 それまで日本の国が持つかどうかの問題ですが、政治家がバカで、何もしなくても、主に老年層が保有している資産、特に1400兆円と言われる金融資産で穴埋めすれば、現在の1000兆円の債務は国内で帳消しできます。 もちろんこう言う事を政治的に行うのは、ほぼ不可能ですが、インフレによって、自動的な資産移転が起きて解消されます。 ただインフレによる調整は、物凄い他の痛み、特に生活弱者へのシワ寄せが発生しますので、出来るだけ避けたほうが良いですが、現在の政治状況を見ていると絶望的になります。

大阪でも大きな動きがあり、政権交代で懲りたにも関わらず、まだまだ改革を望む声は大きいことが分かりました。 それにしても2大週刊誌を始めとするバッシングはすごかったですね。 結果が出ればみんな秋波を送って、はやり政治は票だ、数だ、と言うことが良く分かったと思います。 ただこれだけにこだわると、某小沢さんみたいになってしまいます。 ビジネスでも同じで、売上や利益がなければ話にならないのですが、これだけにこだわると、守銭奴みたいなことになってしまいます。 数と理念との整合が、過去の高名な政治家や経営者の根本的な資質ではないかと思います。

先日の本欄でスマートフォンの紹介をしましたが、いろいろ分かったことがあります。 特にPOPメールのアクセスがすぐに出来たのにはビックリ。 メーラーそのものはそんなに使い勝手の良いものでは無いですが、POPから直にアクセス出来るのは面白いです。Androidは、V2がスマホ、V3がタブレット専用でしたが、最近V4が出て、これで統一されたようです。 しかし確認はしていませんが、こういう時は往々にしてスピードが犠牲になりますので、しばらく待ってからの方が良いと思います。

Androidはいろいろなアプリが使えるのがウリですが、いろいろ使った中で、一番はスマホ本体を振ることで着信するアプリ(ShakeCall)です。 特にこれから手袋をしていて、パネルにタッチできないとか、とっさの時になかなか着信操作が出来ない人に最適。 農作業中に掛かってきたときも、簡単なホームセンターで買ってきたスマホポーチに入れておいて、着信時にはそのまま振って通話をします。 ポーチは薄いので、声は入れておいても通ります。 手が汚れているときもOK。

パケホーダイにしていると、あんまり必要では無いですが、通信速度が欲しい時などに、WiFi端末があると便利で、最近は最安価格は2000円ぐらいまで下がってきました。 もちろん端末も無料で、最初の月も無料。 まあ2000円でつなぎ放題なら、手間を厭わなければ、スマホのFOMA接続を禁止しておいて、WiFiを使う手があります。 非常用にダブルパケホーダイのサービスをそのままにしておいて、通常は使わなければ、最低料金の500円で済みます。 通信の度に、WiFi端末をONしないといけないのは不便ですが、よく考えると、リアルタイムでメールを着信する必要もないし、慣れれば問題ないと思います。 その内に試してまた報告します。 ただしGMOのサポートは極めて悪いのでご注意を。 電話もつながりません。

今月の読み物は少し古いですが さらば財務省! 政権交代を嗤う官僚たちとの訣別 (講談社プラスアルファ文庫) 高橋 洋一著 ¥ 860。 少し著者に興味が出てきて、読んでみました。 さすがに 山本七平賞 を受賞しただけあって読み応えがありました。 本稿の最初に書いたような、債務と資産の関連は、確かに彼の言うとおりに推移しています。 東大の数学を卒業して、経済に入り直して、当時の大蔵省からプリンストン大学に留学、その後小泉政権と安倍政権に参加したことはよく知られています。 要するに数理経済学が得意なんですね。 特に郵政民営化のシステムを作る時のメーカーのSEとのやりとりが面白い、と言うか私も経験があるので、単なる聞きかじりではないと感じました。 同じような議論をいつもしていましたから。 これで、最近よくTVに出てくる某元官僚とは一味も二味も違いますね。 今までは少し信用しないところがあったのですが、信頼感が増しました。 是非一読あれ。

ちなみに大阪維新のブレーンである上山信一氏も同じような経歴で面白いと思いました。 京都大学から運輸省、プリンストン留学、マッキンゼー、ジョージタウン大の教授から慶応の教授と言う経歴。 似てるなー。 だから大阪維新もそれなりの理論武装が出来るんですね。 ちなみに、大阪維新の3人組のひとりの松井一郎は私の選挙区で、府議会選挙の時は町会の有力者に連れられて、自宅までやってきましたが、まさか知事になるとは想いませんでした。 大阪維新の幹事長と分かっただけでビックリしたものです。

3人組のもう一人はほどんとTVには出てきませんが、大阪府議会の議長の 浅田均。 この人も面白くて、京都大学からスタンフォードへ。 まともには卒業できなかったみたいですが、その後NHK、OECDと役所もそれなりに経験。 やっぱりこの様な人がブレーンで居て理論武装しないと、突撃できませんよね。

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