今月のひとこと 2026年11月号

今月のひとこと 2026年11月1日号

AI相場に陰り ビジネスモデルで明暗が分かれる

米半導体大手インテルのリップ・ブー・タンCEOが、大口顧客を獲得するため受託生産事業の大幅な変更を検討していることが1日分かった。カリフォルニア州サンノゼで同日スピーチするタンCEO(2025年 ロイター/Laure Andrillon

とうとうAI相場も崩れてきて、アメリカでは株価が下落しているようです。その中でもインテルはなぜか26%もダウンしており、何が起きたのかは今のところ不明です。いずれにしても、エヌビディアがAI企業に出資し、その資金でAI企業がエヌビディアのGPUを買うという、壮大な循環取引のようなエヌビディアとAIフロンティアカンパニーのビジネスモデルは、いずれ崩壊するのではないでしょうか。

では、アンソロピック(Anthropic)はどうでしょうか。同社のAI「Claude」はコーディングに強く、おそらくかなりの数のソフトウェア会社がプログラム作成に使っていることでしょう。しかし、他のフロンティアカンパニーにはこれといった持ち玉がないので、稼ぎどころが明快ではありません。グーグルは検索や広告、クラウドなど他のビジネスもたくさん持っているので、それらとの合わせ技でビジネスを展開できるでしょう。マイクロソフトも同様です。一番苦しいのはオープンAIではないでしょうか。これといった持ち玉がなくAI一本槍で、おまけにコーディングにものすごく強いかというとそうでもないので、オープンAIをコーディングに使っている企業はそれほど多くないはずです。いずれにしても、これからはビジネスモデルが明快な企業とそうでない企業に、だんだん分かれていくと考えています。

1年でここまで変わったAIコーディングと「SaaSの死」

『SaaSの死は本当か?』「SaaSの死」は本当にやってくるのか?

それにしても、アンソロピックのAIはコーディングにはめっぽう強いです。特に現行のOpus 5.5でも、通常のコーディングには十分だと感じていて、これ以上性能が上がっても、個人の用途ではあまり使い道がないような気もします。

1年前を振り返ってみると、当時はチャットしかなかったので、チャットで出力してもらったコードをコピーして使っていました。これが結構大変で、コードを全部出力させるとコンテキスト(AIが一度に扱える会話の量)が一気に満タンになってしまい、すぐに動かなくなりました。また、1か所直すと別の部分がおかしくなる、直したと思ってもコードがごっそり抜け落ちる、といったことがしょっちゅうあって、なかなか大変でした。ところが1年経ってみると、そういうことはほとんど、いや全くと言っていいほどなくなり、こちらの指示が間違っていない限り、変な動きをするコードは出てこなくなりました。

「SaaSの死」というのが1年近く前に話題になりましたが、確かにその通りです。パッケージソフトを買っても、すべての機能を使っているわけではありません。自分の使う機能だけを自分で作り上げれば、自分にとって使い勝手の良いものが出来上がります。しかも、少し不便だなと感じたところはどんどん修正できるので、使えば使うほど使い勝手が良くなります。他のPCで動かすためのインストーラーをビルドするのも割と簡単で、作ったツールを他のPCでも活用できるのも便利です。知らない間にいろいろなツールを作って日常的に使っており、まるで最初からあったもののように使っているので、もしこれが動かなくなったら大変だなという気もします。

AIの使い方 NotebookLMで30年分の日記を検索

これだけで分かるGemini Notebook(NotebookLM)3ステップの使い方から活用アイデアまで解説

AIの使い方としては、大きく分けて、AIそのものをAPIなどで直接使う方法と、AIでツールを作ってそのツールを使う方法があります。単発の作業であれば、プロンプトをそのまま入れればAIが動いてくれます。またある程度定型であれば、AIを必要とする部分だけをAPIを通じてAIに処理させると云う事も出来ます。 しかしAIは毎回同じ出力を出すわけではないので、例えば経理システムのように、いつも同じ結果が求められるものにはAIそのものは向きません。経理システムは、やはりAIでツールを作り、そのツールを動かすというのが正当なやり方です。

先日やってみて非常に面白かったのが、グーグルのNotebookLMです。これはRAG(手持ちの資料をもとにAIが回答する仕組み)をベースにしたようなもので、私はこれに日記を入れています。私は日記をメールで書いて自分宛てに送っているのですが、これがもう30年分ぐらい溜まっていて、その後も毎日書き続けています。これをNotebookLMに入れて、広い意味での検索のように使っています。「こういうことはなかったか」「この日には何をやったか」「これに関することをまとめてくれ」といったことができます。

少し前までは、メールから1か月分ぐらいの日記をまとめてNotebookLMに送り込むツールを作って使っていたのですが、これがイマイチで、昨日のことを聞こうと思っても、まだ入っていないということになります。そこで、これをリアルタイムで入れる方法はないかとAIに聞いてみたところ、これができました。グーグルのGAS(Google Apps Script)を使って、毎日定期的に日記を転送しておいたGmailへ自動でアクセスし、日記のメールをNotebookLMのソースに入れるという仕組みです。これが意外にうまくいって、今では2〜3日前のことでも十分に検索で出てくるようになりました。

ただ、これが無料でできるというのが、グーグルの良いところでもあり悪いところでもあります。これを有料にすれば、おそらくユーザーはほとんど去ってしまうでしょうが、課金しなければグーグルの収益にはなりません。

これとは反対に、有料のAPIを使っているケースもあります。日記はメールで書いているのですが、手で入力するのは大変なので音声で入力しています。ところが音声入力は間違いが多く、ちょっと特殊な単語などは認識できないので、よく間違っています。そこで、AIを使って文章を校正・整形し、それをメールで送るというツールも作りました。これはClaudeのAPIを使って原文を送り込み、AIに修正させるものです。なおかつ、AIが修正した後でもおかしなところはたくさん残るので、それを手で直します。この手で直した部分をAIが判別して覚え込み、次に活かすというシステムです。これは意外に簡単で、1日もあればできてしまいました。

個人情報は「漏れて当然」 メールアドレスとパスワードの使い分け

個人情報が漏洩したらどうする?メールアドレス・電話番号・住所・クレジットカード・免許証・パスポート・マイナンバー別のリスクと対策

最近大変な話題になっているのが、個人情報の流出事件です。延べ2億数千万人分の個人情報が流出したということで、ネットを使ったことのある人は、ほとんどがこれに引っかかっているのではないでしょうか。私は以前から、こういうデータは流出するもの、流出しなくても誰かが盗み見しているものだと考えていたので、対策を立てていました。その一端をご紹介します。

まず一つ目は、メールアドレスの使い分けです。怪しいなと感じたところにはそれなりのメールアドレスを、大事なところにはそれぞれそのサイト専用のメールアドレスを割り振ります。私は自前でメールシステムを持っているので、どんどん作っていった結果、今ではなんとメールアドレスが百個以上にもなりました。一般の方はこうはいかないでしょうから、Gmailのエイリアス(別名)を使ってどんどん作るとよいでしょう。大事なところは個別のメールアドレス、そうでないところは共通の一つのメールアドレスでログインするようにしておけば、どこから漏れたかがすぐにわかります。

二つ目はパスワードです。金融機関など非常に重要なところには非常に長い強いパスワードを使っていますが、単なるサブスクや見るだけのサイトなどには簡単なパスワードを使い、これは使い回しています。幸い今のところ、現在使っているものが漏れたという情報はありませんが、以前に使っていたものはすでに漏れてしまっていて、そのパスワードは使わないように書き換えています。

とはいえ、パスワードを完全に使い回すのはあまり良くないので、自分でルールを決めて、「このサイトはこう、このサイトはこう」と少しずつ違うバリエーションを作れるようなパスワードにするのがおすすめです。ただ、最近のAIにかかると、こうした多少バリエーションをつけたパスワードもすぐに推測されてしまうようです。いずれにしても、パスワードは「非常に重要なもの」「普通のもの」「どうでもよいもの」の三つぐらいに分けて覚えておけば、安全性は向上します。

生年月日とスマホの自動入力にもご用心

Twitter誕生日の非公開設定は、Android特有のUI問題・変更回数制限・4つの公開パターン・風船仕様を理解し、最初から運用目的ごとに公開範囲を決めることで、身バレやロックリスクを避けながら安全に運用できます。

それと一番不思議なのは、本人確認に使われる情報の一つである生年月日を、みんな簡単に公開していることです。YouTubeやFacebookにも誕生日の登録欄があり、皆さん正直に入れているでしょうが、私は自分の本当の生年月日を明かしたことはほとんどありません。金融機関や政府機関などには正式な生年月日を入れますが、通常のサイトでは特に必要ないので、別の生年月日を入れています。ただし、そのサイトでの本人確認に使われることがあるので、どのサイトにどの生年月日を入れたかは、ある程度覚えておかないといけません。いずれにしても、通常のサイトと金融機関などの重要なサイトを区別することが非常に大切です。

これからは、IDやパスワードは漏れて当然、個人情報も漏れて当然という覚悟で入力する必要があります。品物を送ってもらうようなサイトでは正式な名前と住所が必要ですが、それ以外のサイトでは仮の名前や仮の住所でも構わないでしょう。特に生年月日は、本当に必要なところ以外は仮のもので十分です。こうしておけば、たとえ個人情報が漏れたとしても、大きな被害に及ぶ可能性は低くなるはずです。

また最近、総務省か金融庁から、スマホの設定を見直してくださいという注意喚起のメールが送られてきているようです。この中で一番気になったのは、スマホにクレジットカードのセキュリティコードまで記憶させることができ、それがサイトの入力欄に自動的に入ってしまう設定があることです。これは非常に危険です。クレジットカードの番号ぐらいは自動入力でよいとしても、最後のセキュリティコード3桁は、やはり自分で入れるべきです。ここまで覚えさせてしまうと完全に筒抜けになってしまい、悪意のあるサイトではそれを使ってクレジットカードを不正使用されてしまいます。

AIは人類を滅ぼすのか ガードレールとその限界

AIが人類を滅ぼすってホントですか? 3つのシナリオで検証

AIが進化すると人類が滅亡する、という話があります。これも理由がないわけではありませんが、面白い説として次のようなものがあります。AIが学習した過去のデータ、特にSF小説などには、AIによる人類滅亡というテーマがかなり多く含まれています。そのため、AIに「未来はどうなるか」と聞くと、学習した人類滅亡ベースに答えるので、どうしてもディストピアの話になりがちだ、というのです。確かに、AIで将来ハッピーになるというプロットの小説はあまりなく、どちらかというとディストピア系が多いので、そうなるのかもしれません。それに乗っかっているのかもしれませんが、かなりの人がディストピア的な未来になるという発言をしています。

しかし、AIは特に人間を滅亡させようと考えているわけではありません。AIは目的達成志向が非常に強いので、何かをしてくれと言われると、それを達成しようと非常に頑張ります。その結果として、決められた制限の外に出ようとする「脱獄」をしたり、他のサイトに侵入したりと、いろいろなことをするわけで、別にAIに悪気があってやっているわけではないと思います。ある意味でAIは非常にクソ真面目な存在で、言われたことを一直線にやり続けます。その能力が非常に上がってきたので、取れる手段も非常に増えてきて、その中には人間にとって悪い手段も含まれている、ということでしょう。

食物の発酵と腐敗というのは同じ化学反応ですが、人間に役に立つもの発酵と言い、人間に都合の悪いものは腐敗と言うのは、これと似た話ではないかという気がしてなりません

最近のAIにはガードレール(安全のための制限)が付いていて、ちょっとややこしいことを言うとガードレールに引っかかり、「それには答えられません」と言われるか、もしくは一段グレードの低いモデルに落とされてしまいます。ずっと初期の頃は、「ピーマン」と言っただけで落とされてしまいました。どうもピーマンは生物に関連するので、生物兵器と連想されて落とされてしまったのでしょう。さすがに今はこんなバカなことはなく、もう少し洗練されているようです。しかし、これをかいくぐるテクニックもあって、ガードレールも万能ではありません。また、先ほど述べたパスワードの推測にしても、人間がやると非常に面倒ですが、AIは面倒がらずにずっとやり続けます。一つのパスワードのバリエーションをいろいろ試してみるというのはAIの非常に得意なところなので、そういうこともやるでしょう。しかもそれ自体は特にガードレールに引っかかるわけではないので、防ぐのは難しいのではないかと思います。




今月のひとこと 2026年10月号 

今月のひとこと 2026年10月1日号

停滞する日本と、気を吐く中国

▲東京2020マスコットロボット「ミライトワ」

最近は株価もさえず、円安もなかなか止まりません。物価はどんどん上がり、長期金利も上昇して、日本はますます袋小路に追い込まれていくような気がしています。

政治に目を向けると、先日の内閣改造はあまり派手さがありませんでしたが、細野議員を起用するなど、一定の若返りを図ったようです。その後の世論調査でも、高市内閣の支持率は少し上がりました。経済はパッとせず、アメリカとの関係もいまひとつで、中国とは相変わらずの関係が続いています。あまり良いところはないのですが、かといって自民党の古い体質に戻るのは嫌だというのが、世論一般の見方なのでしょう。

そんな中で気を吐いたのは、やはり中国です。先日開かれたロボット版オリンピックでも、出場したロボットのほとんどが中国製でした。日本からの参加はわずか1チームだけで、それもハードウェアは中国製だったそうです。

2,056台が集まった「ロボット版オリンピック」

2026年8月22日から26日までの5日間、北京の国家スピードスケート館、通称「アイスリボン」で「第2回世界人形ロボット運動会(World Humanoid Robot Games)」が開かれました。名前だけ聞くと、ロボットを並べて見せる展示会を想像するかもしれません。でも中身はまったく違います。人型ロボットに実際に競技をさせて、走る、跳ぶ、蹴る、戦う、物を扱うといった力を真剣に比べ合う、いわば「ロボット版オリンピック」です。

まず驚くのは規模の大きさです。16か国から666チームが参加し、登録されたロボットは2,056台にもなりました。競技と実演を合わせて51種目が用意され、試合の数は延べ1,301回に達しています。陸上、サッカー、卓球、格闘技、体操、さらにダンスまであり、人間のスポーツ大会と比べても見劣りしません。前年の第1回大会から、たった1年でここまで大きくなったことになります。

先にも触れたとおり、参加チームのほとんどは中国勢でした。中国はいま人型ロボットをつくる企業がとても多い国で、会場でもUnitreeをはじめとする中国メーカーのロボットが目立っていました。大学のチームもたくさん出場しています。企業にとっては自社の技術を広く見せる絶好の舞台ですが、それだけではありません。モーターや減速機、センサー、バッテリーが激しい動きの中で本当に耐えられるのかを試し、故障や転倒のデータを大量に集められる場でもあります。華やかなスポーツ大会が、そのままロボット開発の巨大な実験場になっているわけです。海外メディアがこの大会を、中国のロボット産業の勢いを示すイベントとして報じたのもうなずけます。

もうひとつ見逃せないのは、51種目のうち21種目がスポーツではなく「実用シナリオ競技」だったことです。家庭での家事、工場での作業、ホテルの接客、災害時の救助、さらにはEVの充電まで、かなり具体的な仕事が課題になっていました。速く走れるかどうかだけでなく、人間の仕事を代わりに担ったり手伝ったりできるかまで試している。この点こそが、この大会を単なるショーではなく、技術を見極める場にしているのだと思います。

100m9秒39、高跳び2m88という衝撃

大会でいちばん話題になったのは、初日に行われた100m走でした。中国の「天工Ultra(Tiangong Ultra)」が9秒39で走り切ったのです。人間の世界記録は、ウサイン・ボルトが2009年に出した9秒58ですから、数字の上ではロボットが人類最速を上回ったことになります。前年の大会では約21.5秒だったので、わずか1年でタイムを半分以下に縮めたわけです。もちろん、ロボットと人間では体のつくりも競技の条件も違うので、「人間より速いロボットが生まれた」と単純に言い切ることはできません。それでも二本の脚で走るロボットが9秒台を出したことは大きなニュースで、AP通信など海外メディアもこぞって取り上げました。

跳躍の伸びはさらに劇的です。走り高跳びの優勝記録は、前回の95.641cmから今回は2.8843mへ、一気に約3倍になりました。走り幅跳びでも、前年の最高1.25mから7mを超える記録が出ています。測り方や機体の構造は人間の陸上競技と違うものの、ロボットが「歩く」段階を抜けて「爆発的に跳ぶ」段階に入ったことは、この数字を見ればよく分かります。

球技や格闘技にも見どころがありました。ロボットサッカーは前回の3対3から5対5になり、ずいぶんサッカーらしくなってきました。ボールを見つけて走り、敵と味方の位置を見ながらドリブルし、シュートを打ち、キーパーが飛び込んで止める。体を動かす力だけでなく、目で見て判断し、仲間と連携する力まで問われる競技です。キックボクシングでは80kg級などの階級に分かれ、ロボット同士が本気でパンチやキックを打ち合いました。相手との間合いを測りながら片脚で立って蹴りを放つ姿は、それだけで高い技術を感じさせます。

意外なほど見ごたえがあったのが卓球です。卓球は腕を振るだけのスポーツではありません。飛んでくるボールの位置と速さを一瞬で見極め、相手の打球の向きを読み、腕と手首と胴体を連動させて打ち返す。しかもそれを二本の脚で立ったままこなす必要があります。AGIBOTなどのロボットが実際にラリーを続け、その構えは人間の選手とよく似ていました。人間のために作られた道具を人型ロボットが使いこなすという意味で、とても象徴的な競技だったと思います。

転んで、熱を出して、それでも前に進む

ロボット運動会を前に準備する人型ロボット=北京市で2026年8月22日、AP

ただ、この大会が世界中の注目を集めたのは、華々しい記録のためだけではありませんでした。失敗する姿もまた、大きな話題になったのです。ハードルに足を引っかけて転ぶロボット、階段や坂でバランスを崩すロボット、パンチを受けて倒れるロボット、ボールを追いかけて転がるロボット。倒れて動けなくなり、担架で運び出される場面までありました。キックボクシングでは、試合の途中でオーバーヒートを起こす機体も出ています。笑ってしまうような映像も多いのですが、裏を返せば、二本の脚で立って動くことがそれだけ難しいということです。速く動けるようになるほど、転んだときの衝撃も大きくなります。いまのロボットは、人間のように長時間激しく動き続けられるところまでは来ていません。

それでも、この大会を珍しい見世物とだけ受け取ると、いちばん大事なところを見落としてしまいます。ロボットが社会で働くために必要なのは、AIの賢さだけではありません。周りを見る力、考える力、歩く力、手を器用に使う力、そして転んでも自分で起き上がる力が求められます。工場では物を運び、家庭ではドアを開け、お店ではお客さんに応対する。人間に合わせて作られた世界で働くなら、人間と同じ形の体が有利になる場面は少なくありません。今回の大会は、そうした体の能力を「競技」という誰にでも分かる形で比べてみせたのです。

転倒、発熱、バッテリーの持ち、自分で判断して動ける度合いなど、課題はまだたくさん残っています。人型ロボットが人間の代わりに働ける時代がもう来た、とは言えません。けれども、その時代に向けて驚くほどの速さで近づいていることは、はっきりと示されました。そして2,056台ものロボットが一つの会場で競い合ったという規模そのものが、今回の大会のいちばんのインパクトだったのかもしれません。

フィジカルAIは人間の代わりになれるか──器用さとエネルギーという高い壁

人間の器用さを再現する「次世代型ロボットハンド」が、製造現場の主流に?Thinkerが挑む少量多品種の自動化

一方の日本では、フィジカルAIで勝つのだという話もあります。各会社の各装置にマイナンバーと同じような番号を割り当てて、それで加工データを収集するということらしいのですが、これで本当にフィジカルAIができるのかどうか、疑問に思っています。

今回のロボット大会を見ても、飛んだり跳ねたりはできるようになりました。しかし、それで果たして人間の代わりができるのかというと、はなはだ心もとないです。人間というのは、極めて器用にできています。五本の指を使い、器用な人はものすごく器用なことをやってのけます。例えば音楽家は、ものすごい勢いで楽器を弾きこなします。このようなことがロボットで実現できるとは、到底想像できません。

今、AGI(汎用人工知能)とかASI(人工超知能)とか言われていますが、それはもう実現したという声も、ちらほら聞こえてきています。シンギュラリティという言葉もありますが、それもすでに現実になりつつあるのではないかという意見も出てきています。最近のAIの進歩を見ていると、本当に人間を超えていると思える場面が多いです。しかし、このAIとロボットを組み合わせるのは、なかなか難しいのではないかという気がします。

また、電力の面でも大きな違いがあります。人間のエネルギー消費はせいぜい100W程度です。ところが、人間の脳の10分の1ぐらいの能力しかないデータセンターでも、1ギガワットといった、桁が何桁も違うエネルギーを必要とします。このエネルギーの問題と指の器用さという点では、乗り越えるべき壁はまだまだ高く、道のりは遠いと感じます。

いろいろな動物を見ていても、一番器用なのは人間です。人間に一番近いサルでも、そんなに器用ではありません。やはり器用さは、人間の大脳に依存しているのでしょう。大脳が先か器用さが先かという議論もありますが、器用さが必要だったから大脳が発達した、という話になっています。

いずれにしても、AIは第一ステージが完成しつつあります。次の第二ステージ、さらに第三ステージで、やっと人間の代わりになるロボットが誕生するのではないかという気がしています。

今月のひとこと 2026年9月号

今月のひとこと 2026年9月1日号

ハサビスの「昇格」が意味するもの

最近のハイテク分野の話題では、AlphaGo やAI関連の業績でノーベル賞を受けたデミス・ハサビスが、GoogleのDeepMind CEOの座を離れ、会長兼CTOのような地位に移ったことが話題になりました。ただしこの人事は、ハサビスがGoogleを離れるという意味ではありません。むしろGoogleが彼を「AI製品部門の経営者」から「Alphabet全体のAI・科学研究の方向を決める人物」へ移した、と見るほうが適切でしょう。日々の製品ロードマップや売上責任から解放して、もっと遠くを見る役に就けたということです。ハサビス自身は、AGIが科学、医学、生産性を根本的に変える可能性があると繰り返し主張しており、2026年にはAlphaGo誕生十周年を振り返りながら、AlphaGoからAlphaFold、さらにAGIへと続く研究路線をあらためて強調しています。囲碁の盤上から始まったものが、タンパク質の立体構造を経て、人類の知性そのものに手を伸ばそうとしている。十年でここまで来たのかというのが率直な感想です。

株価は凪、予算は140兆、金利は3%——袋小路の入口

株価もあまり変動しなくなりました。来年度予算の概算要求は百四十兆という、もはや現実感を失った巨大な数字になり、そのせいもあってか政策金利はとうとう3%に乗ってしまいました。ここで財政出動をするのが良いのか悪いのか、悩ましいところではあります。景気の下支えは要る、しかし利払い費は雪だるま式に膨らむ。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような格好です。ただ一つ確かなのは、日本がそろそろ袋小路に入りつつあるということです。財政であろうが金融であろうが、積極的に打って出る余地がだんだん狭まってきている。かつては「金利がゼロだから借りても平気」という理屈が通用しましたが、その前提そのものが崩れた以上、これまでの議論はすべて土台から組み直さなければなりません。

一ドル八十円は夢物語——価値が半分になった国で

日米協調介入にもかかわらず、円安は進行しています。せめて140円ぐらいにはなってほしい、できるなら120円ぐらいが適切ではないかと常々思っています。ずっとはるか大昔、一ドルが80円ぐらいになった時期がありましたが、あれはもう夢物語ですね。あの頃と比べると、対ドルでちょうど半分、つまり日本円の価値が半分になったということになります。あの時はアメリカに行くと何を買っても安く感じました。特に日本から輸出したものが、向こうで買うと非常に安く手に入る。作った国より買った国のほうが安いという、非常に複雑な気持ちになったのを覚えています。ビデオレコーダーを買って、どんな作り方をしているのかと中を開けてみたら、門真製でした。今は昔。その役割は今、中国が担っています。中国のものは何でも安い。そしてかつての日本がそうであったように、安いだけでは終わらないのが厄介なところです。

ラズパイ三万円の衝撃と、数百円のESP32

しばらくソフトウェアの世界から遠ざかっていたが、必要に駆られてまた手を出してみたら、驚愕の事実がいろいろ分かってきました。一つは、ラズベリーパイ、いわゆるラズパイが、なんと二万円も三万円もするようになっていたことです。もともと数千円で買えたものが、階級が一つ上がったような感じです。IOを制御するのでなければ、中古のミニPCが一万五千円ぐらいで手に入りますから、そちらのほうがよほど使い勝手があります。ではIO制御はどうするのかというと、これがまた驚いたことに、ESP32というものがすでに標準になっていて、AliExpressなどで大量に売られている。それも何百円のレベルで、です。これでちょっとした制御はすべてできます。Wi-FiもBluetoothも載っているので通信にも困りません。有線LANがないのがラズパイとの違いです。さらに驚いたのは、もう一回り小さいC3というタイプがあることで、ピン数が少ないので制御できる範囲は狭いものの、これが数百円。もちろんWi-Fi付きです。ただしあまりに小さいのでアンテナも小さく、Wi-Fiの到達距離が極端に短いのが致命的でした。ところが調べていくと、アンテナ——導線を丸めて半田付けするだけ——を自作すると良いという。半信半疑でやってみたら、これがものすごく効いた。通常のESP32と変わらないレベルで届きます。さらに外部アンテナ付きのものもあり、これなら全く安心して使えると思います。

血圧計の部品で水位を測る

これを使っていろいろやろうと思ったのですが、そのうちの一つが水位計です。五十センチほどのタンクの水位を測ろうというもの。どうやって測るかというと、タンクの中にパイプを垂らしておいて、そこに空気を送り込み、押し出しきったときの圧力を測る。水位が深いほど圧力が高い、それだけの原理です。実はこれ、私が以前に商品化しようとして途中で止めたものと全く同じ仕組みで、その時に使い残した空気ポンプが数個出てきたので、これを使えばよいと思いました。この空気ポンプはもともと血圧計に使われているものです。我々が生活する範囲の圧力に関しては、血圧計のパーツというのは非常に相性が良い。量産されているので安く、精度も十分で、いろいろ使えます。圧力センサーも以前は血圧計から取っていましたが、今はモジュールとして売られていて、これがなんと二百円以下。これにもびっくりしました。あとはモーターの駆動ですが、ESP32から直接オンオフするのはやはり無理があるので、MOSFETのスイッチを間に挟んでモーターを回します。部品代を全部足しても千円に届きません。かつて商品化を考えたものが、今や小遣いの範囲で作れてしまう。技術の民主化というのは、こういう身も蓋もない形でやって来るものらしいです。

ソフトが苦手な人間の逆襲——AIと過ごした一年

さらに驚くのは、これを動かすソフトウェアです。本欄で何度も触れたとおり、私はソフトウェアが非常に苦手で、システムのコンセプトは作れてもコーディングが全くだめ。だからラズパイなどは最初から諦めていました。ところが今はAIという異様に強力な味方が現れ、お願いすればみんなやってくれる。最後のESP32-C3という小型版モジュールにしても、「動かしてくれ」と言うだけで全部セットアップしてくれて、こちらが何も覚えないうちに動き出す始末です。

AIを曲がりなりにも使い始めて約一年経ちましたが、その間の進歩は凄まじいものがありました。一番最初はExcelのマクロを作ってくれと頼んだら一発で動いて、これに驚いた。当時はまだチャット形式のものしかなかったので、チャットで頼んで返事をコピペする、という往復を半年ほど続けました。これが結構面倒なのですが、それでも動くものが作れたのは驚きでした。

去年の暮れあたりからエージェント方式のものが進化してきて、自分のPCの上で動くアプリを通じてAIに作業させられるようになった。これが非常に大きな進歩でした。つながっているものであれば、こちらが何もしなくてもセットアップまで済ませてくれます。インターネットのサイトにアップロードするような作業は自分でコピペしてやっていますが、これも頼めば代行してくれる。ただ、ものすごく時間がかかるので私は自分でやることにしています。面白いのは、初期の頃のAIは自分で作業するのを露骨に嫌がったことです。なぜ嫌がるのかよく分からなかったのですが、後で考えれば、要するに時間とお金——トークンが要るということだったらしい。

自分のデスクトップPCの操作もできることはできますが、これも下手をすると数時間かかる作業がざらにあります。よほどのことがない限り自分でやったほうが早い。ただし、同じ操作を何十回、何百回と繰り返さなければならない類のものは、一日かけるつもりで任せてしまうのが正解だと分かりました。人間が向いている仕事と機械が向いている仕事の線引きが、この一年で完全に引き直された感覚があります。

作ったもの三題——施肥システム、音声日記、そして会計ソフト

それで今まで何を作ってきたか。いろいろ作りましたが、一番大きなものは畑の作物の液肥自動潅水システムです。畑で作る作物の元肥の提案——耕作は自分でやらないといけないのですが——それに従って元肥を入れ、その後は推奨の液肥やりを潅水と同時に行うシステムです。いろいろ背景があってタンクを三つ用意することになり、その配合まで自動で計算。これで最初の元肥の提案から最終的な液肥の潅水まで、一気通貫でできるシステムができました。ただしこのシステムは、正解があまりよく分からない。

何が良くて何が悪かったのか、その場では結果が出ません。 答え合わせが半年後にしか来ない世界というのは、ソフトウェアにとってはかなり意地の悪い環境です。逆に、あっという間にできて一番簡単だったのが日記のシステムです。日記を手書きやキーボードで入れるのは面倒なので音声で入れたい。ところが今の音声認識は間違いが非常に多い。特に日本語は同音異義語が多いのですぐ取り違えます。これをAIでもう少しマシにできないか、目的は日記と限定しているので、その辺の文脈を教えてやればいけるのではないか、とバイブコーディングでやってみたら、あっという間にできました。

とりあえず音声で入れておいて、それを校正し、最後に人間が少し手直しして、メールで送る。私は日記をすべてメールで送ることにしているので、そこまで含めて完成しました。おかげで日記を書く時間が一気に減りました。

あとは某有名会計ソフトメーカーの製品のサブセットを作りました。会計ソフトというのは原理が極めて単純なので、これぐらいはできるだろうと思ってやったのと、使っている会計ソフトに不満が大いにあって、その不満を解消するためでもあります。ちょっと気に入らなければ自分で全部直せるというのは非常に良い点です。基本が複式簿記ですから、途中で何か間違いがあっても最終的には必ず露見する。その意味では思ったより使えます。あとはこれをスタンドアロンのアプリにして配布できないかと思っています。

今月の読みものは本文も長くなったので休刊です。




今月のひとこと 2026年8月号

今月のひとこと 2026年8月1日号

東野圭吾さんの訃報

東野圭吾を悼む:誰も考えつかなかったトリック──ミステリーの金字塔『容疑者Xの献身』の舞台裏

作家の東野圭吾氏が7月23日、大腸がんのため逝去されました。68歳でした。訃報が公表されたのは27日で、葬儀は家族葬で済まされた後だったそうです。いかにもこの方らしい去り方だと思いました。

同じ大学の後輩にあたるが、年代が違うので面識はありませんでしたが、非常に関心のある方でした。大阪府立大学の電気工学科の出身で、弓道部の主将だったそうです。卒業後は日本電装(現在のデンソー)に技術者として就職し、会社勤めを続けながらミステリーを書いて、1985年に『放課後』で江戸川乱歩賞を受賞してデビューされました。エンジニアから作家へ、という経歴はやはり印象に残ります。

一度、講演をしてほしいと依頼をしたことがありますが、忙しさを理由に断られてしまいました。なかなか人前に出るのはあまり好きではない方らしいです。テレビにもほとんど出られませんでしたし、受賞の際の会見なども最小限だったように記憶しています。作品だけで勝負する、という姿勢だったのでしょう。累計発行部数は1億部を超えたそうですから、それで十分だったわけです。

この大学も他の大学と合併して違う名前になってしまいました。2022年に大阪市立大学と統合して、大阪公立大学です。府大も市大もそれぞれ長い歴史があったのに、どちらの名前も消えてしまいました。これはこれで寂しいものです。

いずれにしても、理系の観点でのミステリーなので、同じ理系の私としてもなかなか読みやすいものが多かったです。『容疑者Xの献身』の数学教師にしても、ガリレオシリーズの湯川にしても、理屈がきちんと通っている。トリックのために理屈をこしらえるのではなく、理屈があるから話が動く。あの感じは、理系の人間にはやはり気持ちがいいのです。ご冥福をお祈りします。

混迷する国内政治

写真は日本維新の会の藤田文武共同代表。2025年10月、都内で撮影。REUTERS/Kim Kyung-Hoon

国内情勢は混沌としてきて、総理の支持率も急落しました。それでもまだ48%ほどあるので、トランプよりはましなのかもしれませんが、少々国会運営が荒っぽいのと、維新との連携があまり良い結果を生んでいないのだと思います。

麻生氏の描いた組み合わせとして、自公に代えて自民・維新という連立を選択したのが良かったのでしょうか。維新の政策があまりにもかけ離れているので、国民の支持も落ちてきたのでしょう。維新には、大阪のローカル政党という特殊な面と国政政党としての面があって、これが足を引っ張っているように思います。多分、維新は何としても大阪都構想を実現しようとしているのですが、その発想が影響して、実際の政策にうまく活かされていないと思います。

円安・財政と暮らしの実感

新築分譲マンション 関西圏

円安はどんどん進みます。私はもともと円安派で、もっともっと円安になればよいと思っていた側です。以前は東南アジアに行くと何でもものすごく安く感じたのですが、今は逆で、向こうから日本に来るとそれが安く感じられるようです。以前は円安の恩恵と言っていましたが、今は円高ドル安の方がいいなと思っています。ドル安になっている方がやりやすくなるので、120円とは言わないけれど、せめて130円。そうでないと日本経済はまた厳しいです。

ここに来て財政規律の問題も出てきています。マーケットの警戒も出てきているので、単純に財政を広げるわけにはいきません。長期金利が上昇し始め、悪いシナリオをマーケットが織り込みつつあるのだと思います。それでますます政策の選択肢がなくなっているのではないでしょうか。少子化も、先の未来があまり明るくないという感じになってきて、ますます人々のマインドが落ち込んでいくと思います。

かたや住居のコスト上昇が激しくて、東京ではマンション価格の平均が1億円を超えたそうです。購入するとなると共働きで、なんと50年ローンを組まないと計算が合わないようです。50年ローンは、30歳でスタートしても80歳まで払い続けるという話になります。私の周りでも駐車場がやたらと目につきます。ということは、高い固定資産税を払ってでも駐車場のままにしておく方が、まだリスクが少ないと思っているわけです。

今、下手に土地の上に建物を建てたりすると、将来のリスクが大きいとみんな判断しているのだと思います。土地があれば賃料も上がるのですが、土地価格の上昇と賃料の上昇には時間差がものすごくあって、その間は様子見ということになるのだと思います。

AIの進化とガードレール

AIの進展はとどまるところを知りませんね。春先には、これでだいたい一通りAIの開発競争はおさまったのではないかと思っていましたが、その後また例のFable騒ぎで、さらに一段上に行った感じになってきました。Fableの一般公開版のFable 5ですが、これはさすがに賢さが違います。しかしガードレールが厳しくて、ネットワーク関係の作業をしばらく続けるとセーフガードにかかってしまいます。

先日などは「ピーマン」と入れただけで引っかかってしまいました。生物関係の日本語に反応するらしいのですが、これはちょっとひどいなと思いました。ネットワーク関係はかなりキーワードに気をつけて作業をしましたが、それでもちょっと厳しすぎる気がします。

とはいえ先日は、他社のシステムにAIが勝手に侵入したという記事もありました。新聞でAnthropicの話題も最近は結構あります。AIは目的達成の意欲が非常に強いので、目標を見定めると必死になってやります。到達できればよいので特に悪気があるわけではないのですが、指示されたことに対して手段を選ばないところがあるので注意が必要です。

最近では、以前は当たり前に行われていた「ポート開放」――外からアクセスできるようにルーターの設定を開けておく手法――が使いにくくなっています。ポートスキャンが激しくて、ちょっと開けるとすぐ検知されてしまうらしいのです。なのでVPNを立てる方法になるのですが、これが結構大変です。小さなミニPC(中古の名刺サイズのタイプ)にOSとVPNソフトを入れるのですが、自分でやると極めて大変なので、AIにコンサルタントになってもらいました。その通りにやれば、自分のスマホやPCから、遠隔地のカメラにポート開放せずにアクセスできます。

帳票のPDF化と、ClaudeとCodexの使い比べ

Claude Maxプランとは?Pro との違い・料金・向いている人をわかりやすく解説

今やっているのは、古い帳票を印刷して保存する代わりに、PDFに直して保存しておく作業です。人がやると百件ぐらいをマウスで操作することになり、苦行になってしまいます。これを自動でやらせています。ただし1件の処理に10分以上かかるので、夜中に動かすようにしています。それでも思ったより正確です。

操作を記録して再生する機能(いわゆるRPA)も以前からありましたが、あれはまったくダメで、途中で止まってしまったりしました。それに比べるとAIは正確です。ただ弱点は速度で、これはなぜかというと、コンピューターの画面のスクリーンショットを取りながら次の操作を決めるという方式のためです。トークンの消費も激しいということです。マイクロソフトのツールを操作させているのですが、なんと30分も考え込んで、なかなか次に進みません。

クロードのマックスプラン(月2万円)を契約しているのですが、もうすぐ期限が来るので、それまでに残りを使ってこの作業を終わらせてしまいたいと思っています。毎月払い続けるのは、これで結構厳しいです。ただ、2万円払っているのだから、どんな細かい仕事でもAIを使ってどんどん進めないともったいない、ということでFable 5を使い倒しています。

ここまで色々やって感じたのは、クロードはちょっと考える時間が長いのが欠点で、その間に他のことを考えることになります。コーデックスは反応が早いのですが、ちょっと荒っぽいところがあり、やり直しがきかなかったりします。出てくるメッセージも長いので、それを読むのが大変です。さてどちらがよいか。あとは口調ですが、やはりクロードは優しく、コーデックスはちょっとキツいしゃべり方で、常に怒られている感じです。

日本語がきちんと使えるというのは、要するに大きいです。そのつどセッションをリセットするのも、これはこれでちょっと面倒に思います。それとダブルチェックです。クロードで作成した場合に、その結果をコーデックスに投げて検証させるということもやってみましたが、結局同じ結論になりました。なので私は、どちらか一方にしたいと思っています。今までむちゃくちゃ賢いと思っていたオーパスですが、大したことないなと、やっぱり感じ始めました。なんか、わざと性能を落としているみたいな噂もあります。最初に触った時は魔法のような素晴らしいものに感じていたのに、今では何ともなく普通に使っています。

AGIはまだ先か――ソフトウェア開発の現場から

【2026年7月最新】AGI(汎用人工知能)とは?AIとの違い・実現時期・ビジネスへの影響を徹底解説

このようにAIはどんどん賢くなっています。現在の一番賢いモデルでも、パラメーター数は1テラとか5テラ、噂では10テラという話もあります。ちなみに人間の脳は100テラパラメーター相当と言われます。あともう少し頑張れば人間の脳に到達して、ASIとかAGIとか言われるように自意識を持つのかもしれませんが、今の感じで言うと、なかなかそこには到達しないのではないかという気がしています。

以前は、割と早く、今年から来年には到達するのではないかと感じていました。しかし実際に使っていると、そうでもないのです。Fable 5などの賢さは、一つのことに対する賢さで言えばそんなに急には発展していないと思いますが、周辺のこと、全体を見渡した上での判断力は、やはり格段に強くなっていると思います。

バグの解析をしたりコーディングをしたりするのは、もう大体一発というか、指示を与えれば一発で動きます。1年前だと何回やっても動かず――当時はチャットでやっていたので――一週間近く毎日やり取りすることもありました。今はちょっと指示を与えればテストまで出てくるようになったので、リリースまで一発だよね、ということです。おそらくソフトウェア開発に関してはもうかなりの変化で、先進的な会社では80%のコーディングはAIがやっているという話があります。実感としてもすごくそう思います。

生成したコードもそんなに汚くなく――昔はあまりきれいではないので人間が直していましたが――最近は見ることもなくなりました。以前はコードレビューをしていましたが、今はコード生成してそのまま動かして終わりです。ウェブのフロントエンドもAIがチェックできますので、フロントエンドテストもやってくれて、変なことがなくなりました。先日は、他のツールの設定に手こずっていると「代行しましょうか」と言われ、お願いすると、その場でチャチャッとやってくれて設定が終わりました。どういう設定がどうされたのか、わからないまま動き出したという次第です。AIとコンピューターに関しては、行くところまで行き着いている感じです。ただ、コンピューターユース(パソコン操作)に時間がかかるのだけは、もう少し何とかしてほしい気がします。

今月の読み物は、東野圭吾さんを悼んで、容疑者Xの献身 (文春文庫 ) 東野 圭吾 著

運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。 東野圭吾作品読者人気ランキング第1位。累計220万部突破、直木賞受賞の大ベストセラー。 天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。 ある日、靖子の前夫・富樫が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。金を無心し、暴力をふるう富樫を、靖子と美里は殺してしまう。

呆然とする二人を救うために、石神は完全犯罪を企てる。 だが皮肉にも、石神と帝都大学の同期であり、親友である物理学者の湯川学がその謎に挑むことになる。 ガリレオシリーズ初の長編。第134回直木賞受賞作。第6回本格ミステリ大賞受賞。2005年度の国内の主要ミステリランキング「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい! 」「週刊文春ミステリベスト10」すべてにおいて1位獲得、エドガー賞(MWA主催)候補作にもなった。日本では福山雅治主演で映画化、韓国、中国でも映画化。舞台化もされた。




今月のひとこと 2026年7月号

今月のひとこと 2026年7月1日号

揺れる高市政権——通らぬ理屈と「自業自得」の答弁

旧暦の毎月15日の夜、特に旧暦8月15日の夜に見える満月(十五夜)を指す古語です。平安時代の歌人・藤原道長が「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」と詠んだ和歌でも有名です

最近の政治は混沌としてきた。あれだけの人気と議席数を誇った高市政権が揺れ動いている。もともとギフト券問題では「そんなしょうもないことを聞くな」という野党批判もあったが、今回の誹謗中傷動画や斉藤氏の件はそうもいかず、国会で追及されている。

ほとんどが予備費だという補正予算も成立したが、これは最初から前の予算に入れておけばよかったのではないか。こういうことをするから予算委員会を開かざるを得なくなり、受けなくても良いスキャンダルを追及される羽目になる。自業自得ではないかと思う。

しかもそれに対する答弁が人を食ったようなもので、「夜寝られない」「しんどい」「国のために頑張っている」というのは、あまり言い訳にならない。小泉総理なら苦笑を誘う答弁で切り抜けたと思うが、高市さんは真面目なのか頑固なのか、通りそうもない理屈を並べ立てるので、ますます落としどころがなくなっている。野党も早く落としたいのに、落とせないような答弁ばかりなので、みんな困っているというのが正直なところではないか。

令和の藤原道長?——皇室典範と麻生太郎

藤原 道長(ふじわら の みちなが、康保3年〈966年〉- 万寿4年12月4日〈1028年1月3日〉)は、平安時代中期の公卿。藤原北家、摂政関白太政大臣・藤原兼家の五男。後一条天皇・後朱雀天皇・後冷泉天皇の三帝の外祖父。

次に皇室典範の改正問題。NHKで御厨氏が講演か解説をしたらしい(直接見ていないので正確ではないが)。そこで麻生氏と藤原道長を連想する話が出たようだ。道長は自分の娘を次々に皇室へ送り込み、実質的に皇室を支配した。なぜ自分が天皇にならなかったのかは不思議で、1300年の日本史でそういう例は一つもない。麻生氏はすでに妹を三笠宮家に送り込んでおり、さらに皇室典範の改正で養子を送り込み、その子が皇位継承権を得ることを御厨氏は心配しているらしい。

「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」——これは1018年、道長の三女・威子が後一条天皇の中宮になった祝宴で詠まれた歌で、藤原氏の権力が最高潮に達したことを満月に例え、絶対的な自信と満足を表したものと解釈されている。

伝聞なので正確ではないかもしれないが、麻生氏も次第にこの道長の心境に近づいているのではないか。平安時代の天皇家と道長の関係、今の天皇家と麻生太郎の関係は、基本的に同じだと思う。

1300年、誰も天皇にならなかった国——そして外交下手なニッポン

源氏物語絵巻』竹河 玉鬘の姫君の侍女たちが坐って桜を見ている(徳川美術館)

不思議なことに、この1300年で天皇に取って代わろうとした有力者は一人もいない。道鏡が唯一の例外かもしれないが、あれは自ら望んだというより称徳天皇の意向で、結局は追放された。やはりこの国では天皇と執行部門の分離が非常に合っており、当時の実力者もそれを直感的に分かっていて天皇にはならなかったのだと思う。

道長も天皇になればもっと権勢を振るえたはずだが、娘を送り込んで権勢を誇っただけで終わった。

こういう大きな流れの中で見ると、高市さんは悲劇的だ。大きな構図の中で、得意分野だという政策に入り込みすぎて大局が見えていない、あるいは大局を動かせない。女性初の総理だが、性別に関係なく能力的に厳しいのかもしれない。

一方イタリアのメローニ首相は、言うことがはっきりしていてアメリカにもズバズバ物を言う。この点は見習ってほしい。日本はアメリカに守られているという意見も多いが、自衛隊という実力部隊があるのだから、言うべきことは言わなければならない。怖がってばかりではだめだ。アメリカも日本に離反されると困るので、そこは駆け引きだ。トランプは無茶苦茶を言うが、ディールは上手で駆け引きがうまい。この点は少し見習うべきだと思う。

ドローンが変えた戦争——最後に笑うのは中国か

ヴォロディミル・コチェトコフ=スカチ氏を称える映画「スカイ・コーディネーター」の上映会で展示されたR18ドローン。エアロロズヴィドカ主催。

ただトランプもイランにはかなり翻弄されている。イランの方が一枚上手ではないか。ロシアのウクライナ侵攻と同じで、最初の一撃で終わると思ったのが、なかなか終わらず泥沼化している。

イランはアメリカの中間選挙をにらみつつ、内部で分裂しているのか分裂しているふりをしているのか分からないが、結果的に非常にうまく交渉している。あれだけ戦力差のある国がこれだけの駆け引きをできるのは大したもので、日本はまだまだだ。

左派は昔から「戦争より外交を」と言っていたが具体策は見えなかった。しかしイランとアメリカのやり取りを見ると、まさにこれが外交だと思う。ウクライナも国力差があるのにロシアをかなり押し返し、占領地の多くを取り戻したようだ。

戦争が科学を発展させるとよく言われるが、今回まさに戦争の形態が一変した。ドローンが武器化し、毎日のように技術革新が起きている。特にウクライナは現場での改善が進み、新しいドローンを次々に作っているようだ。

太平洋戦争でゼロ戦が登場したとき「トンボに何ができる」と言われたが、最後は航空機が主力になった。山本五十六は航空機の時代だと言ったが、なかなか舵を切れず、戦艦武蔵と航空機を同時に作るという国力に余ることをせざるを得なかった。

いずれにせよ本格的な戦争は、結局は生産力の問題だ。太平洋戦争でアメリカが日本に勝ったように。こう考えると最後に笑うのは中国だろう。中国の生産力は凄まじく、戦争が何年続いても武器を供給し続けられるのは中国くらいだ。今のアメリカでも長期戦になれば武器は枯渇しつつあり、日本に至っては数ヶ月しか持たないという。もし米中が台湾をめぐって衝突しても、最後まで持ちこたえるのは中国ではないか。中国の有り余る生産力が一旦武器調達に転化したら、アメリカに勝ち目はないと思う。

AI遍歴——Fableは三日天下、そしてCodexへ

エンジニアード・アーツ社の研究所で撮影されたアメカ第1世代ロボット。これは、2022年1月のロボット発売に合わせて公開された一連のプロモーション画像のうちの1枚です

政治の話が長くなったが、ITの分野では相変わらずAIの話題が尽きない。6月頭にAnthropicの新モデルが公開され、課金して使っていると突然Fableが選択肢に出てきたので「すごい」と思って使ってみた。

だが自分の使う範囲ではそれほどの能力は感じず、本格的に使おうとしたら三日目に「もう使えません」となった。その前にネット絡みの複雑な作業をしていたせいでbanされ、二日目には解除されたが、何がまずかったのかよく分からない。ステートメントを読むと、アメリカ政府の輸出規制で止められたと書いてあった。もう少し使いたかった。

その分がOpus 4.8に回ったのではと噂されているが、Opus 4.8の劣化が激しい。コードを書くのは素早いが、それ以前のやり取りではこちらの意図を理解できておらず、さっき指示したことをもう忘れている。

そこでMaxプランからProに落とすことにした。Maxはいくら使っても5時間や1週間の制限に引っかからないが、2万円近く払うのは厳しい。Proだとすぐ制限に引っかかるので、その時はCodexに切り替えようと思っている。

最近はCodexの評判が上がってきた。あまり宣伝はされないが、GPTを触るうちにメニューを見つけてクリックしてみると、なかなか良かった。当時は世の中クロード一辺倒だったのでクロードがいいのかと思っていたが、今はみんなCodexがいいと言い始めている。

Codexは速く、すぐ答えが返るので「軽い」と言われる。時々間違うが、何度も回して使うのも一つのやり方で、私はむしろそちらが好きだ。クロードは回答まで時間がかかるが、まともな回答を返すのが評価されていた。しかし最近は回答がおかしく、少し失望しているところだ。

猛暑を自動化する——液肥ロボと自作ツールの日々

点滴灌漑用のチューブは、これらのミニトマトのすぐ横に埋設されています。ご覧のとおり、むき出しの土に湿った跡があり、そこから約30センチ間隔で水が出てきます。

昨日、延々とやっていた農業用の灌水システムの第一ステップがようやく完成した。露地の畝に灌水チューブが設置されているので、そこに時々液肥を流して追肥の代わりにする仕組みだ。元肥を入れるのはそんなに苦にならないが、追肥の時期はひどい猛暑日になり、熱中症になりそうなので、自動で液肥を注入したかったのがきっかけだ。

作物が20種以上あり、それぞれタイミングと時間を切り替えねばならず大変なシステムになった。

液肥の濃度や種類はAIに決めてもらったが、時々桁が一つ違うような値を出すので、直感的におかしいものはチェックし、それ以外は別のAIに妥当性を確認させた。 数字だけ見ても適切かどうか分からないので、こういう配慮が要る。

混ぜてはいけない肥料を使うのでAタンク・Bタンクに分け、交互に注入する。ついでにサブでC液も作り、A・B・Cの三タンク体制で運用しようとしている。

スマートスイッチの設定は最大30個までという制約が最後の最後に分かって対応に追われ、最終的にはクラウドで制御することにしたが、うまくタイミング制御できるかは確認が必要だ。

他にも単機能の小さなツールをたくさん作った。この規模なら最近はプロンプト一発でだいたい動くものができる。仕様が少し違ったり、後で改善したほうがいいと分かったりして手直しはするが、そのものは一発で動く。

面白い例では、直売所に野菜を出荷していると異なる店ごとに売上データがメールで送られてくる。総数で把握したいので合計する必要があり、昔は電卓、その後はAIに投げていたが、今はメールを直接読んで合計するツールを作り、スマホでも動くようにしたので楽になった。

ただスマホやネットで動かすにはある程度のインフラが要り、一般にはハードルが高い。私は何年も前から自前のウェブサイトを持っているので、その上で動かせば簡単だ。

驚いたのは、サイトのWordPressをAIがそのまま操作して投稿までやってくれることだ。ただAIはあまりやりたくないようで、質問の選択肢の第一が「HTMLをAIが生成し人間が貼り付ける」、第二が「すべてAIがやる」となっていた。実際やると試行錯誤で結構時間がかかるが、最後は成功した。

今のサイトへのアップロード手順はほぼ固まったので、手順書を残せば後は割と簡単になる。全体に少し危険な感じもするが、自分の代わりにいろんな操作ができるのは素晴らしい。ただ少し間違えると大変なことになるので、慎重にやらないといけないと思っている。

今月の読み物——池井戸潤『空飛ぶタイヤ』

今月の読み物は『空飛ぶタイヤ(上・下)』講談社文庫、池井戸潤 著。前回に続いてまた池井戸潤の作品で、テレビドラマ化もされた同名のベストセラー小説だ。

ある日、トラックの事故により一人の主婦が亡くなった。事故を起こした運送会社社長・赤松徳郎が警察から聞かされたのは、走行中のトラックからタイヤが突然外れたという、耳を疑う事実だった。整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受ける中、赤松はトラックの構造自体の欠陥に気づき、製造元であるホープ自動車に再調査を要求する。しかし、なかなか調査が進展を見せないことに苛立った赤松は、自ら調査を開始。そこで彼は、大企業によるリコール隠しの現実を知ることとなる。

リコール隠しはさすがに少なくなったが、検査データの捏造はまだまだ収まらない。その原点となる話だと思う。映画化もされたようだ。

今月のひとこと 2026年6月号

今月のひとこと 2026年6月1日号

今月もまたまたAIの話題ばかりになってしまいました。

Claude 4.8リリースと「余計なお世話」問題

Anthropic CEO、Dario Amodei が語る AI と LLM の将来に関する 5 つの重要な洞察

先月の29日に、寝ながらClaudeのチャット画面を開いていたらOpus 4.8というのが見えたので、びっくりしてそのままClaudeチャットで聞いてみたら「そういうものは存在しません」という答えだったが、ちょっとしてから「すいません、間違ってました。昨日Opus4.8が出ました」という答えだった。

Opus 4.7を出して、OpenAIが5.5を出してやっと追いついたかと思ったら、4.8で少し突き放した感じです。大した変更ではないみたいですが、一番私が気になっていたのは、AIがコードを書く時に余計なことをしてしまうこと、こちらが言っていない仕様的なものを入れ込んでしまうというのがあって、調べるとこういうのはよくある話らしいです。この機能の副作用が今回の4.8で少し減ったということらしいです。あまりに頭が良すぎて余計なところへ気が回ってしまうという感じで、なかなか面白いです。

AIコーディングの現在地――ClaudeとOpenAIの使い比べ

ChatGPT・Gemini・Claudeの3つ生成AIモデルを徹底比較!自社に最適な生成AIモデルは?

ここ一ヶ月、OpenAIに100ドルの課金をして、Claude Codeに20ドルの課金をして使ってきましたが、コーディングに限って言うと、もうすでに十分な性能に達していて、小さなツールならほぼ完全に一発で動くところまで来ています。当然テスト条件を与えて「こういうテストをしてくれ」と言えば勝手にテストして、時々失敗したところを自分で直して、最終的に動くものを出してくれます。この失敗がOpenAIは結構多いという感じですが、Claudeはちょっと時間はかかりますが一発で出してくる感じがします。

例のMythosの騒動が一段落しましたが、Anthropicはこれと同等の性能のものを次に出してくるそうです。要するにMythosの最大の問題は、システムのセキュリティホールを発見してさらにそれを攻撃するツールまで作れてしまうというところにあったのですが、この攻撃に対して、セキュリティホールを発見する方法を見つけてそれを塞ぐ方策がある程度出来上がったものだというふうに理解しています。いずれにしても、Mythosがあろうがなかろうが、セキュリティホールが攻撃をされるのは確率の問題ですから、まず攻撃をされないように穴を塞ぐこと、あとは侵入された時にそれをいち早く発見して対策をとるということは、Mythosが存在しようがしまいが必要なことだと思います。

AIと戦争――ドローン・ロボット・予算が決める新しい戦争の形

ホーキング博士ら「ロボット戦争」を警告 人工知能兵器に懸念

いずれにしてもこのMythosレベルのAIがベネズエラ紛争とかイランとの戦争に使われたことは間違いなく、イラン指導者の斬首作戦もこのMythosレベルのAIで可能になったということです。いろんな情報を分析して人間がやらないといけないのですが、これは300人が200日ぐらいかかるという話ですが、AIだとほぼ数時間でできてしまったという噂です。

今回のイランとの戦争で分かったことは、大規模な戦争の形態が変化したこと、ドローンとAIによる戦争になるのではないかということです。これは第二次世界大戦の時の日本のゼロ戦の話を想起させます。あの時は大鑑巨砲主義で戦艦大和を作ったりしていたのですが、一方でゼロ零戦が大活躍して敵の戦艦を沈めています。当時の評価としては「カトンボみたいなもので何ができるか」ということだったらしいですが、今も非常に安い、おもちゃみたいなドローンが活躍しています。

第二次世界大戦のゼロ戦に匹敵する戦術変化が起きているのだと思います。さらにこれにAIが加わって戦術判断が一瞬にしてできるというところが非常に大きいと思います。これにロボットが加わってくるとどうなるのかまだよくわかりませんが、地上戦はロボットがするということになって、ここから導き出されるのは大戦争が非常にやりやすくなったということです。

人間が戦闘を行う従来型のウクライナ戦争で行われているような戦闘に関しては、やはり人的な損失というのは特に民主主義国家では大問題になりますが、ロボットやAIやドローンなどでは基本的にはお金の問題に帰着するので、人命の損失というのは、戦争を止める制約にはならないと云う事です。 すべてがお金・予算に還元されてしまいます。

今は人命の損失が上限だったのですが、今後は予算・お金の上限が戦争を決めるのではないかと思います。ベトナムでは何万人もの犠牲が出てやっと終わりましたが、ソマリアでのアメリカ軍の作戦中、ヘリコプターが撃墜され、米兵18名(のちに1名死亡)が命を落とし、その際、戦死した米兵の遺体が群衆によって市街地を引きずり回され、ニュース映像が全米で放映されたことで、アメリカ国内で軍事介入への反対世論が急激に高まりました。結果: この世論を受けてクリントン政権はソマリアからの米軍撤退を決定しました。

今回のイランとの戦争ではそれより多いですが、これ以上の犠牲者を出すとトランプ政権も非常に苦しいです。これからの戦争で非常に怖いのは、こういう戦争が非常に手軽にできるようになったこと、そしていつなんどきこれが世界大戦に発展するかわからないということです。第一次世界大戦もそうだったですが、日本で言えば応仁の乱だと思いますが、特にこれといった原因もなく大規模な戦争に発展してしまう。応仁の乱では京都を焦土化し20年も続く戦争になってしまいました。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線では悲惨なことになっていました。

AI各社の戦略と私の開発スタイル

アジャイル開発とは?開発手法やメリット・デメリット

それにしてもAnthropicの戦略というかマーケティングは素晴らしいです。まず技術的には確かに一歩前進、他社より必ず一歩前進するということでアドバンテージを維持しています。更新が何しろ多い。Claude Codeを使っていても毎日立ち上げるたびに更新が入っていました。今回も4.7が出てから一ヶ月ぐらいで4.8になってしまいました。次はいよいよ4.9なのか5.0なのかというのが問題になると思いますが、5.0はおそらくMythos級だと私は勝手に予想しています。

いずれにしても私みたいに、ちょっとしたツールのコードを書くぐらいであれば、今のOpusでなくてもその下のSonnet 4.6、CodexやGPT-5.5ぐらいでもう充分に行けます。特にエージェント化されているので、どういう結果を得るかをきちんと定義しておけば、出力もそれのテストも充分やってくれる。 あとは待つだけということになります。待っている間に他のエージェントを動かそうかという話になって、マルチエージェントの話が出てきますが、私はそこまでなかなか頭が働かないので、エージェントは1つか2つぐらいしか動かせません。

私が過去にトライしたのはアジャイル型の開発で、とりあえずプロトタイプを作る、もっと言えば最初のGUI(グラフィックユーザーインターフェース)を、ボタンや表示部分を当時はPowerPointで作っていました。そのPowerPointをベースにまずGUIを作り、その裏付けとしてロジックを組み込んでいくというやり方でやっていて、使って行きながら欲しい機能、不足な機能、矛盾しているところを後で直していくというやり方をやっていましたが、これはプログラマーにとっては非常に負担であったらしく、あまり評判は良くなかったです。

ただ今はそれを文句も言わず、残業もせずAIがやってくれるので、非常に私はハッピーです。しかし問題が一つあって、GUIから作っていくというのはAIは不得意です。なぜかというとGUIから作るのはできるのですが、テストをどうやってやるかという最大の問題があって、GUIは人間が操作しないといけないのでAIエージェントが自動でテストができません。

CLIインターフェースであるとAIはテストを自動化できるのでCLIを好みます。したがって折衷案としてはCLIで作っておいて、その上に薄いGUIをかぶせるという感じになってきます。どうしてもGUIでないと実現できない機能もあるので、この辺はまだ試行錯誤中です。

コンピューターそのもののAIによる操作は一応可能なので、作ったGUIをAIが操作してそれでテストしていくというやり方が最終系だと思いますが、ここはまだ完全にできていませんのでこれからの開発になると思います。それさえできればGUIベースのツールはいとも簡単に作れてしまうということになります。さすがにCLIではなかなかアプリという感じがしませんので、やはりGUIが必要だと思っています。

IoT・WordPressアプリ開発とAIの限界

AIエージェントがアプリを直接操作 WordPressは記事作成、Figmaはデザイン生成に対応

あとはIoT機器で、世の中には最近ものすごく安価に温度センサーや振動センサーなどのセンサー類、もしくはスマートスイッチなどがあふれています。AliExpressなどで買うと数百円で買えます。これをどう使っていくのかということがあって、そのデバイスに付属しているアプリは使い勝手が非常に悪いです。まあ使えないと言ってもいいと思いますが、これをなんとか実用的に運用できるようなものがないかと今考えています。

AIに相談すると可能だということなので、Raspberry Pi(ラズパイ)というワンボードの小さなマイクロコンピューターがありますが、それを使って異なる会社のセンサーやスマートスイッチを集計・グラフ化・制御していきたいと思っていますが、これもテスト問題があって、やはりどうしても自分でテストしないといけない。 自動でAIエージェントがテストしてくれるわけではないので、その手間が結構大変です。

1年ぐらい前はチャットしかなかった(と言うかそれしか知らなかった)ので、チャットでコード生成を依頼して出てきたコードをコピペして、それを動かしてエラーが出たらまたチャットに貼り付けてという作業を延々と繰り返していましたが、コンピューターの内部でCLIでやる分にはこれはもうやる必要はなくなりました。

しかし先ほどのラズパイを使ったようなシステムでは、まだまだこういうコピペ作業に耐えないといけないということになります。 ラズパイといっても結果的にはウェブ画面で参照して制御するので、ウェブ画面さえちゃんとコントロールできればテストは可能だと思いますが、まだ充分な精度でウェブ画面を操作できるわけではないようです。これから半年ぐらいで可能になる感じがしてますので、少し待ちたいです。

あとはWebアプリです。Webアプリはどこかの無料サイトを使ってというのが多いのですが、それはあまり私の好みではないので、自分で持っているレンタルサーバーのWordPressで動かしています。これだとPHPでプラグインを作るだけで動くので、ほぼ一発で動くようになりました。

ただ下手するとシステムがダウンしてしまうので最初のうちは非常に怖かったのですが、最近はダウン対策も身についてきましたし、AIの方もあまり単純な構文エラーを出さないし、充分チェックしてからアップできるようになりました。

これとショートコードを使うと投稿画面や固定ページでのアプリが非常に簡単に作れます。今までも何種類も作りましたが、やはりユーザーインターフェースの見かけはかなり注文をつけないと綺麗に出ませんが、何回もやっていると最終的には綺麗になります。

やはりAIは目が見えないのでなかなか難しいです。図形を言葉で指示するのは非常に難しく、「この上のボタン」とか「下のボタン」とか「もっと右」とか「左」とか「もう少し大きく」とか「もう少し小さく」とかこういう指示はプロンプトで出してもなかなか反映されません。AIも判断が難しいのだと思いますが、これもまあ時間の問題で、最近はデザインを生成するAIも出てきましたので、もう少し待てばこの辺りも改善されると思います。

Raspberry Pi RASPBERRY PI2 Type B 1024MB

いずれにしても、通常の事務作業、Excel操作とか文章作成とかコーディングとか、そういうレベルではもうAIは充分なレベルに達していると思います。あとはそれをいかに使いやすくしていくか、指定のフォルダの中にきちんと最終結果を保存してくれるとか、先ほど言ったようにテストを自動でやってくれるとか、あとはメールとかファイルとか連携をするとか、そういう周辺部分に移っていくと思います。

こうなると強いのがGoogleです。GoogleのGeminiはそんなに賢くはないのですが、Googleが持っているインフラが非常に大きいので、このインフラをすべて統合していくというのが彼らの戦略だと思います。しかし、これをもっとも持っていたのはMicrosoftです。Microsoftもその気になってやりましたが、どうも主力のOfficeとAIの組み合わせの相性があまり良くないようで、今のところあまりうまくいっていません。

Copilotも早々に出しましたが、あれもほとんど浸透していない状況で、最終的に一般ユーザーに浸透するのはGoogle Geminiではないかと言われています。コーディングとか技術系に関してはAnthropicのClaudeで、そして一番現在悩んでいると思われるのがOpenAIだと思います。

OpenAIは万能ですが、万能故に何が得意かと言われると、得意なものがあまりないと思います。私がイメージしていたよりは画像の処理がよくできるようになったことは非常に大きいと思います。ちなみにAnthropicのClaudeは画像生成はできません。となると、一番使い勝手が良いのは地味にGoogleになっていくのではないかという感じです。

NotebookLMとPDF読み取りの進化

その紙、スマホで撮るだけ!AIへの取り込みを「最短ルート」にする方法

それと最近使って一番面白いと思ったのはやはりNotebookLMです。これは自分のデータをアップしておいてその中でチャットができるというもので、思った以上に有用です。おまけに普通に使うには無料。 自分の過去のデータ、私の場合は過去の日記を全部入れているのですが、これで何かの事象について問い合わせるとその周辺含めて綺麗に答えてくれます。

これは日記の検索機能ではこういうことはできません。しかし欠点はスピードが遅いこと、なかなか出てこないのです。キーワードがわかっていれば検索した方が速いという感じもします。 それと最新データに同期できないこと。まあそれはやはり最新データをアップロードしないとダメなのでこれは仕方ないのですが、Googleドライブの中のデータを使って、そこを常に最新に更新しておけばこの問題が解決するということですが、Googleドライブがすべてではないのでなかなかこの辺は悩ましいところです。

ハルシネーションは少ないという話でしたけど、結構あります。日記の中の例えばある事象を調べるのですが、関係ない事象を結びつけてありもしないことを出すというのが結構多いです。これは宣伝の「ハルシネーションが少ない」というのにかなり反すると思います。

しかしスマホでもPCでも使えるし非常に便利です。自分のデータを調べたいときに全文検索はかけられないので、その時にNotebookLMであればちょっと時間はかかるが一応の答えを出してくれるということになります。

それとPDF化したものに対しての読み取り能力が非常に向上したと思います。一年ぐらい前は画像をPDF化したものはほとんど読めなかったのですが、最近では全然問題なくきれいに読み取って処理をしてくれます。もちろん通常のPDFですとデータが埋め込まれているので全く問題ありませんが、画像をPDF化したものでも使えるというのは非常に大きな進展だと思います。

なので自分で持っている紙ベースのデータもスキャナーで読み込んでPDF化しておけば、先ほどのNotebookLMのようなもので処理ができるということになります。それとNotebookLMはまだまだ機能が少なくて使い勝手が悪いです。一番プリミティブなチャットしかできないみたいな感じなので、これがもう少し広がっていくと面白いかなと。

いずれにしても個人ベースのデータのLLMというのは非常に魅力的なもので、自分でローカルでLLMを立ち上げるのも可能ですが技術的に手間がかかるものですので、その代わりとしてNotebookLMは完全ローカルではありませんが、有効ではないかと思います。

今月の読み物は、くだけたところで

半沢直樹 アルルカンと道化師 単行本 – 2020/9/17

半沢直樹 アルルカンと道化師(講談社文庫) 池井戸潤 著

シリーズの第1作であるこの作品は、のっけから大阪の本町から大阪弁でスタートするのでなかなか面白い展開です。第4作まで聞きました。

江戸川乱歩賞作家・池井戸潤の真骨頂!

明かされる真実に胸が熱くなる、シリーズの原点。東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。