今月のひとこと 2026年7月1日号
揺れる高市政権——通らぬ理屈と「自業自得」の答弁
最近の政治は混沌としてきた。あれだけの人気と議席数を誇った高市政権が揺れ動いている。もともとギフト券問題では「そんなしょうもないことを聞くな」という野党批判もあったが、今回の誹謗中傷動画や斉藤氏の件はそうもいかず、国会で追及されている。
ほとんどが予備費だという補正予算も成立したが、これは最初から前の予算に入れておけばよかったのではないか。こういうことをするから予算委員会を開かざるを得なくなり、受けなくても良いスキャンダルを追及される羽目になる。自業自得ではないかと思う。
しかもそれに対する答弁が人を食ったようなもので、「夜寝られない」「しんどい」「国のために頑張っている」というのは、あまり言い訳にならない。小泉総理なら苦笑を誘う答弁で切り抜けたと思うが、高市さんは真面目なのか頑固なのか、通りそうもない理屈を並べ立てるので、ますます落としどころがなくなっている。野党も早く落としたいのに、落とせないような答弁ばかりなので、みんな困っているというのが正直なところではないか。
令和の藤原道長?——皇室典範と麻生太郎

次に皇室典範の改正問題。NHKで御厨氏が講演か解説をしたらしい(直接見ていないので正確ではないが)。そこで麻生氏と藤原道長を連想する話が出たようだ。道長は自分の娘を次々に皇室へ送り込み、実質的に皇室を支配した。なぜ自分が天皇にならなかったのかは不思議で、1300年の日本史でそういう例は一つもない。麻生氏はすでに妹を三笠宮家に送り込んでおり、さらに皇室典範の改正で養子を送り込み、その子が皇位継承権を得ることを御厨氏は心配しているらしい。
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」——これは1018年、道長の三女・威子が後一条天皇の中宮になった祝宴で詠まれた歌で、藤原氏の権力が最高潮に達したことを満月に例え、絶対的な自信と満足を表したものと解釈されている。
伝聞なので正確ではないかもしれないが、麻生氏も次第にこの道長の心境に近づいているのではないか。平安時代の天皇家と道長の関係、今の天皇家と麻生太郎の関係は、基本的に同じだと思う。
1300年、誰も天皇にならなかった国——そして外交下手なニッポン
不思議なことに、この1300年で天皇に取って代わろうとした有力者は一人もいない。道鏡が唯一の例外かもしれないが、あれは自ら望んだというより称徳天皇の意向で、結局は追放された。やはりこの国では天皇と執行部門の分離が非常に合っており、当時の実力者もそれを直感的に分かっていて天皇にはならなかったのだと思う。
道長も天皇になればもっと権勢を振るえたはずだが、娘を送り込んで権勢を誇っただけで終わった。
こういう大きな流れの中で見ると、高市さんは悲劇的だ。大きな構図の中で、得意分野だという政策に入り込みすぎて大局が見えていない、あるいは大局を動かせない。女性初の総理だが、性別に関係なく能力的に厳しいのかもしれない。
一方イタリアのメローニ首相は、言うことがはっきりしていてアメリカにもズバズバ物を言う。この点は見習ってほしい。日本はアメリカに守られているという意見も多いが、自衛隊という実力部隊があるのだから、言うべきことは言わなければならない。怖がってばかりではだめだ。アメリカも日本に離反されると困るので、そこは駆け引きだ。トランプは無茶苦茶を言うが、ディールは上手で駆け引きがうまい。この点は少し見習うべきだと思う。
ドローンが変えた戦争——最後に笑うのは中国か
ただトランプもイランにはかなり翻弄されている。イランの方が一枚上手ではないか。ロシアのウクライナ侵攻と同じで、最初の一撃で終わると思ったのが、なかなか終わらず泥沼化している。
イランはアメリカの中間選挙をにらみつつ、内部で分裂しているのか分裂しているふりをしているのか分からないが、結果的に非常にうまく交渉している。あれだけ戦力差のある国がこれだけの駆け引きをできるのは大したもので、日本はまだまだだ。
左派は昔から「戦争より外交を」と言っていたが具体策は見えなかった。しかしイランとアメリカのやり取りを見ると、まさにこれが外交だと思う。ウクライナも国力差があるのにロシアをかなり押し返し、占領地の多くを取り戻したようだ。
戦争が科学を発展させるとよく言われるが、今回まさに戦争の形態が一変した。ドローンが武器化し、毎日のように技術革新が起きている。特にウクライナは現場での改善が進み、新しいドローンを次々に作っているようだ。
太平洋戦争でゼロ戦が登場したとき「トンボに何ができる」と言われたが、最後は航空機が主力になった。山本五十六は航空機の時代だと言ったが、なかなか舵を切れず、戦艦武蔵と航空機を同時に作るという国力に余ることをせざるを得なかった。
いずれにせよ本格的な戦争は、結局は生産力の問題だ。太平洋戦争でアメリカが日本に勝ったように。こう考えると最後に笑うのは中国だろう。中国の生産力は凄まじく、戦争が何年続いても武器を供給し続けられるのは中国くらいだ。今のアメリカでも長期戦になれば武器は枯渇しつつあり、日本に至っては数ヶ月しか持たないという。もし米中が台湾をめぐって衝突しても、最後まで持ちこたえるのは中国ではないか。中国の有り余る生産力が一旦武器調達に転化したら、アメリカに勝ち目はないと思う。
AI遍歴——Fableは三日天下、そしてCodexへ
政治の話が長くなったが、ITの分野では相変わらずAIの話題が尽きない。6月頭にAnthropicの新モデルが公開され、課金して使っていると突然Fableが選択肢に出てきたので「すごい」と思って使ってみた。
だが自分の使う範囲ではそれほどの能力は感じず、本格的に使おうとしたら三日目に「もう使えません」となった。その前にネット絡みの複雑な作業をしていたせいでbanされ、二日目には解除されたが、何がまずかったのかよく分からない。ステートメントを読むと、アメリカ政府の輸出規制で止められたと書いてあった。もう少し使いたかった。
その分がOpus 4.8に回ったのではと噂されているが、Opus 4.8の劣化が激しい。コードを書くのは素早いが、それ以前のやり取りではこちらの意図を理解できておらず、さっき指示したことをもう忘れている。
そこでMaxプランからProに落とすことにした。Maxはいくら使っても5時間や1週間の制限に引っかからないが、2万円近く払うのは厳しい。Proだとすぐ制限に引っかかるので、その時はCodexに切り替えようと思っている。
最近はCodexの評判が上がってきた。あまり宣伝はされないが、GPTを触るうちにメニューを見つけてクリックしてみると、なかなか良かった。当時は世の中クロード一辺倒だったのでクロードがいいのかと思っていたが、今はみんなCodexがいいと言い始めている。
Codexは速く、すぐ答えが返るので「軽い」と言われる。時々間違うが、何度も回して使うのも一つのやり方で、私はむしろそちらが好きだ。クロードは回答まで時間がかかるが、まともな回答を返すのが評価されていた。しかし最近は回答がおかしく、少し失望しているところだ。
猛暑を自動化する——液肥ロボと自作ツールの日々
昨日、延々とやっていた農業用の灌水システムの第一ステップがようやく完成した。露地の畝に灌水チューブが設置されているので、そこに時々液肥を流して追肥の代わりにする仕組みだ。元肥を入れるのはそんなに苦にならないが、追肥の時期はひどい猛暑日になり、熱中症になりそうなので、自動で液肥を注入したかったのがきっかけだ。
作物が20種以上あり、それぞれタイミングと時間を切り替えねばならず大変なシステムになった。
液肥の濃度や種類はAIに決めてもらったが、時々桁が一つ違うような値を出すので、直感的におかしいものはチェックし、それ以外は別のAIに妥当性を確認させた。 数字だけ見ても適切かどうか分からないので、こういう配慮が要る。
混ぜてはいけない肥料を使うのでAタンク・Bタンクに分け、交互に注入する。ついでにサブでC液も作り、A・B・Cの三タンク体制で運用しようとしている。
スマートスイッチの設定は最大30個までという制約が最後の最後に分かって対応に追われ、最終的にはクラウドで制御することにしたが、うまくタイミング制御できるかは確認が必要だ。
他にも単機能の小さなツールをたくさん作った。この規模なら最近はプロンプト一発でだいたい動くものができる。仕様が少し違ったり、後で改善したほうがいいと分かったりして手直しはするが、そのものは一発で動く。
面白い例では、直売所に野菜を出荷していると異なる店ごとに売上データがメールで送られてくる。総数で把握したいので合計する必要があり、昔は電卓、その後はAIに投げていたが、今はメールを直接読んで合計するツールを作り、スマホでも動くようにしたので楽になった。
ただスマホやネットで動かすにはある程度のインフラが要り、一般にはハードルが高い。私は何年も前から自前のウェブサイトを持っているので、その上で動かせば簡単だ。
驚いたのは、サイトのWordPressをAIがそのまま操作して投稿までやってくれることだ。ただAIはあまりやりたくないようで、質問の選択肢の第一が「HTMLをAIが生成し人間が貼り付ける」、第二が「すべてAIがやる」となっていた。実際やると試行錯誤で結構時間がかかるが、最後は成功した。
今のサイトへのアップロード手順はほぼ固まったので、手順書を残せば後は割と簡単になる。全体に少し危険な感じもするが、自分の代わりにいろんな操作ができるのは素晴らしい。ただ少し間違えると大変なことになるので、慎重にやらないといけないと思っている。
今月の読み物——池井戸潤『空飛ぶタイヤ』
今月の読み物は『空飛ぶタイヤ(上・下)』講談社文庫、池井戸潤 著。前回に続いてまた池井戸潤の作品で、テレビドラマ化もされた同名のベストセラー小説だ。
ある日、トラックの事故により一人の主婦が亡くなった。事故を起こした運送会社社長・赤松徳郎が警察から聞かされたのは、走行中のトラックからタイヤが突然外れたという、耳を疑う事実だった。整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受ける中、赤松はトラックの構造自体の欠陥に気づき、製造元であるホープ自動車に再調査を要求する。しかし、なかなか調査が進展を見せないことに苛立った赤松は、自ら調査を開始。そこで彼は、大企業によるリコール隠しの現実を知ることとなる。
リコール隠しはさすがに少なくなったが、検査データの捏造はまだまだ収まらない。その原点となる話だと思う。映画化もされたようだ。







































