今月のひとこと 2026年 2月号

今月のひとこと 2026年 2月1日号

激動する政治情勢と衆議院解散

チームみらい、政党要件満たす 比例得票率2%超、1議席を確保 =共同

突然の衆議院解散で状況が急変してきました。なぜもっと早く国会を開いて、その冒頭で解散しなかったのか不思議でしょうがないです。いずれは解散しなければならないのですから、先にやった方が良いと思ったのですが、なかなか自民党内部で話がまとまらなかったのでしょう。

さらには、これも突然降って湧いた話で、中道改革連合ができました。これにもいろいろな報道がありますが、少し議席が減るというものから、かなり減るという話まで様々です。いずれにしても、立憲民主党が公明党に吸収されたのは間違いないと思います。新政党の綱領が公明党寄りになっているからです。立憲民主党の議員がこれを説明するのは非常に大変で、野田共同代表も時々言葉に詰まっています。以前とは反対のことを言わないといけないので、これは大変だと思います。

政策の一貫性がないので、政治的信頼性が一気に落ちたのではないでしょうか。自民党の方も高市人気は高いですが、自民党そのものの支持率が低く、なかなかすっきりとは行かないような感じです。来週の投開票が怖いというか、楽しみというか、見物だと思います。どういう結果になるのか、いずれにしても各小選挙区は接戦になると思います。

それにしても各党すべてが消費税減税を訴えていますが、世論調査では消費税減税に賛成する人はあまりいないようです。消費税そのものはあまり良くないと思いますが、ここまで来たのでこれをなくしていくというのは別の問題が出てくるのではないでしょうか。10%以上にするのは論外ですが、これ以上下げるというのもいろいろな副作用が出てくるのではないかと思っています。

唯一「チームみらい」が消費税ではなく社会保険料の減額を主張していますが、私もそれに近い考えです。社会保険料があまりにも高すぎて、税金を含めた国民負担率が50%近くになっているのはちょっと異常なので、これを35%ぐらいまでに落とすべきだと思っています。ただその代替財源がどこにあるかというのは難しい問題です。

いずれにしても、日本が成長しないのは最大の問題で、これの責任は今までの政府、日銀、民間会社にあると思います。各民間会社はみんな内部留保に貯め込んでしまって投資しない。確かに投資する先がないというのも分からないではないですが、そこは頑張ってやるのが経営者たるものだと思います。今の経営者は経営者の仕事をしていないと思います。だから報酬が低いのは当然で、今でも高すぎると思います。失敗を恐れて全然投資しないので、これはやはりソフトバンクの孫さんあたりを見習って、どんどん失敗しても良いのでやっていくべきだと思います。

これがある意味うまくいっているのは中国だと思います。中国のロボットメーカーは100社以上もあるらしいですし、電気自動車のメーカーも100社以上あるらしいです。政府としてはこれを競争させて、最後に残るのは2、3社だと思いますが、その残った2、3社が非常に競争力の高い会社になるのではないかと思います。やらされている方は大変ですが、やらせる方としては非常に良い状況になっているのでしょう。

AIバイブコーディングの進展と実用化

「バイブコーディング」は開発の仕事を奪うのか? Photograph: Weedezign/Getty Image

先月号で延々と触れたAIの話ですが、その後もAIのバイブコーディングを進めて、ほとんどのツールは完成して使用に耐えるようになりました。ただ完璧にできたかというと、仕様上ちょっと妥協したところもあって完全ではないですが、一応実用的に使えるようなツールがいくつもできました。

実際のソフトウェア開発の世界では、何万行もあるような巨大なシステムもAIで作られているようですが、完全なバイブコーディングというのはなかなか難しいでしょう。やはりどうしてもレベルの高いソフトウェアエンジニアが必要になってくると思います。最初の計画段階ではもちろん、最後の詰めでちょっとしたことを詰めるのにやはりAIでは難しくて、人間の直感というか、人間が見ればすぐ分かることが、AIではなかなか分からないということになります。

最近では、バイブコーディングで簡単なツールであれば一発で動くようになりました。なので、何か出来合いのツールを探して使い方を調べて使うよりは、自分でやりたいことを例えばPythonでコーディングして作ってしまうということの方が早くて効率的なような気がします。少し慣れが必要ですが、ローカルで自分専用のツールを一発で作ってしまうということの方が良いのではないかと最近は思っています。そういう場面では積極的にツールを自作するようになりました。

急速に進化するAIの性能と画像処理能力

【2026年1月最新】GoogleのGeminiとは?使い方と料金!無料版では何ができる?

いずれにしても、この半年でAIはものすごく進歩したという感じがします。私が使い始めてもだいたい半年ですが、その間にAIの使い方を私が習得したということもあり、実際のAIの性能も格段に上がりました。ChatGPT-5.2に上がりましたし、その後で出てきたGoogleのGemini 3も性能が格段に上がり、特に画像の処理がすごいと思います。

地味にすごいと思ったのはレシートなどの読み取りです。レシートを一枚一枚、これを画像に直すのは非常に面倒ですが、これを動画で撮る。長いレシートはそのままずっと動画でパンしていくと、何十枚でも動画でずっと撮っていって、これをGeminiに投げて、それでデータを読み取らせると、これがびっくりしたことにきれいに読み取ります。ただし一種のハルシネーション(幻覚)が入って、読み取れない数字も適当に入るという問題がありました。これはちょっと気を付けないといけませんが、ほかのAIではなかなかできなかったことがこれで一発で読み取れたのにはびっくりしました。

それまではGoogleの画像処理APIを使ったりいろいろやっていたのですが、なかなか精度が上がりませんでしたが、これは一発でした。もう一つ、これは失望というかびっくりしましたが、手書きの日記がたくさんあるので、これを読み取らせてみると、内容と似ても似つかない創作ばかりが出てきて、一応文章にはなっていますが、元の私が手書きで書いた日記と全く違う文章が創作されていました。

最近の新聞で出ていた話題で、学術論文にAIを使うことがだんだん増えてきて、少なくとも10%ぐらいの論文でAIの痕跡が検出されたということです。調べものをしたりして論文を書くということはAIを使うと非常に楽になると思いますが、驚いたのは10?20%の研究者がAIに論文そのものを書かせるということを是とするという結果が出ていて、まあそうなるのかもしれないという気もしました。その他の人でも調べものをしたりするのにAIを使うのは基本的にOKだということです。まあ従来、Google検索などをやって色々調べてものを書いたりしたことがあるので、それと同じような感覚だと思います。検索の代わりにAIを使う人も結構多いです。

ローカルLLMの可能性と2026年問題

ローカルLLM完全ガイド!クラウドに出せない機密データを守る日本語対応モデル12選を解説

前月号でも触れましたが、これから進展しているのはローカルLLMだと思います。少し前にAIパソコンという言葉が流行りましたが、その時はクラウドAIの方の性能アップが非常に大きかったので、そちらに流れましたが、最近はローカルで動くLLMが再び注目されています。

私が使っている中クラスのGPUとWindows 11という普通のPCですが、これでもGPT-4o-S-20Bが動きます。これは蒸留してもう少しサイズを小さくすることも可能みたいですので、それならノートPCでも十分動くのではないかと思います。これで驚くのは、グローバルな検索が必要なような質問に対しては非常に曖昧で、ハルシネーションが激しいですが、例えばコードをチェックするようなそういう業務では、たったこれだけのリソースでAIがちゃんと動くのは驚異的なことだと思います。さらに蒸留と言われているようなやり方でデータ圧縮すれば、もっと小さい、低レベルのPCでも動くということになります。しかし考えてみれば、そんな多少高性能とは言え、デスクトップPCで本格的な高性能なAIが動くというのは、考えてみれば驚嘆すべきことではないかと思っています。これもおそらくひと月ごとに性能がアップしているのではないかと思います。

最近言われているのは2026年問題で、これは何かというと、2026年を境にAIはだんだんバカになっていくということです。この理由は、今までは学習に使うデータは人間が生成した高品質なデータを片っ端から学習したのですが、もうほとんどこれらの学習が終わってしまって、後は人間が生成した品質の高いコンテンツが枯渇して、そのコンテンツを元にAIが作り出した低レベルのコンテンツが大部分を占めてしまい、それを学習したAIの性能アップが低下していくということです。なので一時言われたAGI(汎用人工知能)とかASI(超人工知能)とか言われていたのは、ちょっと別の次元の話ですが、これからAIがどんどん進歩していくというのはどうもそうではなさそうというのが最近の認識みたいです。

GPT-5.2やGemini 3以降は、私自身もあまり進歩がないような感じがしています。それまでは日進月歩していたので、余計に進歩がしていないというふうに感じるのかもしれません。GoogleのGeminiは性能の進歩というより、横への応用の広がりと言っても良いと思うのですが、AIそのものの性能のアップというよりはそれの応用が広がっているということです。特にGoogleは自前でGoogle検索とかGoogleの色々なツールがたくさんありますので、それをつないでいくということになっています。現在は特にGmailとの連携を進めているようです。Googleが持つドライブとかスプレッドシートとかドキュメントといったものと連携をしていくようです。

AI各社の競争とAIの忖度問題

私って忖度されてる? 容赦ない本音を引き出す「生成AIカスタム指示」のススメ

かたや似たようなものを持っているMicrosoftのOfficeは意外とAIとの親和性が良くないようです。MicrosoftはCopilotというのを持っていますが、これ実際はChatGPTですから、何もわざわざCopilot経由で使う必要もないという感じもしますし、CopilotがWordとかExcelとうまく連携しているような感じもあまりしませんので、Microsoftとしてはちょっと厳しいのではないかと思います。

あとはMicrosoftのイメージ、特に私的にはイメージがあまりよくありません。似たようなことはGoogleもMicrosoftもやっているのですが、なぜかMicrosoftのイメージが非常に悪いです。これは余計な広告がやたらと多いせいです。Googleも広告を出しているのですが、わりと控えめなのですが、Microsoftはそこらじゅうに広告が出てくるので、仕事にならないというか、何のためにPCを使っているのか分からなくなる時があるので、私から見るとMicrosoftはなるべく使いたくないなという感じがします。使うと広告の嵐になってしまうという気がして、同じならGoogleにしたいという感じがしています。

あとはClaudeというちょっとマイナーなAIがあるのですが、これはOpenAIを辞めた技術者がやっているところで、性能的には非常に良いと思います。特に長文の読解とかコーディングとかは良いとされていますし、生成する文章も非常に良い文章だと言われています。少し料金が高いのとマイナーであるということで、私もあまり使っていません。なので一般的にはOpenAIとGoogleの争いになっているというふうに思います。

今話題になっているのはAIの忖度問題で、これは以前から私自身も気になっていました。AIに自分の主張を述べて、これで良いかと聞くと、必ず肯定的な回答をします。否定的な答えはあまりしません。ここで否定的な答えを出すと評判が悪いですので、肯定的な回答を割と多く出す傾向にあります。

なので、ここは気をつけて聞かないと忖度されて行き先を間違うということになりますので、気をつけないといけないという研究がなされています。だから聞くときに自分が作った、自分の意見だと言うと忖度するので、他人が作ったという風にプロンプトに入れた方が良いというような話もあります。私も時々AIが生成したコードを直して、それをもう1回チェックしてもらうのですが、最初の回答は大体これでOKですという回答ですが、その後にここを直したら良いというのが、だらだらだらと続きます。これ元々AIが生成したんじゃないのと言いたくなるのですが、特にOpenAIの場合は、だいたい回答の最後の方に大事なことが出てきます。

いずれにしてもAIとどうやって付き合っていくかというのは、以前のGoogle検索をどう使いこなすかというようなこと以上に重要になってくるのではないかと思っています。

今月の読み物は 本文が長くなってしまったし、適当なものがなかったので、休刊です。 昨年に一度紹介しましたが、テーマに合うので、再掲しておきます。

知能とはなにか ヒトとAIのあいだ (講談社現代新書 2763) 新書 2025/1/23
田口 善弘 (著)

チャットGPTに代表される生成AIは、機能を限定されることなく、幅広い学習ができる汎用性を持っている、そのため、将来、AIが何を学ぶかを人間が制御できなくなってしまう危険は否定できない。しかし、だからといって、AIが自我や意識を獲得し、自発的に行動して、人類を排除したり、抹殺したりするようになるだろうか。この命題については、著者はそのような恐れはないと主張する。少なくとも、現在の生成AIの延長線上には、人類に匹敵する知能と自我を持つ人工知能が誕生することはない、というのだ。

その理由は、知能という言葉で一括りされているが、人工知能と私たち人類の持つ知能とは似て非なるものであるからだ。

実は、私たちは「そもそも知能とはなにか」ということですら満足に答えることができずにいる。そこで、本書では、曖昧模糊とした「知能」を再定義し、人工知能と私たち人類が持つ「脳」という臓器が生み出す「ヒトの知能」との共通点と相違点を整理したうえで、自律的なAIが自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知能が誕生するという「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達するという仮説の妥当性を論じていく。



今月のひとこと 2026年元旦号

今月のひとこと 2026年元旦号

新年明けましておめでとうございます。

昨年はいろいろと激動の年でしたが、今年はどうなるのでしょうか。

年末に、IBMの元CEO、ルイス・V・ガースナーが死去しました。私は彼と直接なにかをしたわけではありませんが、当時の話をいろいろ聞いていたので、よく覚えています。ガースナーという名前は、「巨大企業が一度傾き、そこから立て直す」というドラマの中心人物として、私の記憶に残っています。

当時のIBMは、今のGoogleやMicrosoft以上の超巨大企業でした。外から見れば、IBMに太刀打ちできるという感じはまったくありませんでした。ところが実際には、当時のIBMはかなり傾いていて、倒産寸前だった、という話があります。そこでガースナーが、(意外なことに)ナビスコからやってきて、あの巨大なIBMの立て直しに着手することになります。著書『巨象も踊る(Who Says Elephants Can’t Dance?)』もありますが、本当にあの巨体をハードメーカーからサービス会社に。よく変革させたものだと、当時の私は感心したものです。 ガースナーは会社にはほとんど居なくて、客先に入りびたりだったそうで、客先ニーズの重要性を改めて知らされます。

IBMとメインフレーム、そして「置き換え」の現場感

当時のIBMは完全なハードウェアメーカーで、メインフレームを作っていました。メインフレームと言っても、今から考えるとメインメモリが16MBとかいうレベルで、性能だけ見ればたいしたことはありません。しかし当時は、巨大なシステム装置で、大きな部屋を占有するのが当たり前でした。計算機というより「設備」であり、存在感そのものが権威になっている、そんな世界でした。

私は当時、ワークステーションという、今のパソコンに匹敵するようなものを開発していました。ワークステーションは、いまの感覚で言えば高性能PCですが、当時は「メインフレームの端末」ではなく、「分散して処理を担う主役」にしていこう、という発想がありました。つまり、巨大なメインフレームを、数多くのワークステーション(今で言うPC)に置き換える、というビジネスモデルを構築しようとしていたわけです。

その流れの中で、会社にあったメインフレームの部屋を、見学コースのひとつに取り入れたことがあります。既に空っぽでしたが、「このでかい部屋にメインフレームがあったのです。だけど今は、すべてデスクトップに置き換わっています」と説明しました。これは単なるデモではなく、技術の転換が現実に進んでいることを、目で見て分かる形にしたかったのです。

こういう“置き換え”は、後から歴史として語ると簡単に見えますが、現場では「本当に置き換えられるのか」「置き換えたあと誰が儲けるのか」という利害の話が絡み、簡単には進みません。

IBM PCとクローン市場、そして変革に抵抗する力

しかし当時、IBMはIBM PCも作っていました。IBM PCは、今のPCのCPU部分に相当するような、ネットも高精細ディスプレイも無い、超シンプルなハードウェアで、しかも回路図やパーツリストまで載せた本が本屋で売っていたのです。今の感覚で言えば、あり得ない話です。 ですが、これによりクローンメーカーが多数誕生し、市場は一気に大きくなっていきました。 結果として「PC互換機の世界」が広がり、IBMが想定した以上に“PCはコモディティ化”していくことになります。

ただし、そのときに問題になるのが収益です。あの小さなPCでは、メインフレームの収益とはまったく釣り合いません。売っている「単価」も「利益構造」も違いすぎるのです。だから、組織の内部では当然こういう声が出ます。

当時聞いた話ですが、IBMのトップセールスマンは「トップセールスになる唯一の方法は会社から、いくらIBM PCを売れと言われても、それは無視してメインフレームを売ることだ。」と言ったそうです。

これはまさしく、変革をするときに出てくる抵抗勢力の象徴だと思いました。悪意というより、「今までの評価制度・成功体験・報酬体系」に縛られると、人はどうしても旧来型の売り方に戻る、ということです。変革とは、技術だけでなく、評価の仕組み・売り方・文化まで変える必要がある、という話でもあります。

ボカラトン工場訪問の顛末と、現地を見る意味

ちょっとひょんなことから、IBMのボカラトン(Boca Raton)の工場に行くことになりました。このときはすでに、IBM PCを開発した責任者は飛行機事故で亡くなっていたのですが、私はどうしてもボカラトンを見ておきたいと思いました。そこで、マイアミまでわざわざ飛び、そこからレンタカーで走って前泊し、翌日工場へ行きました。

ところが、後になって分かったのですが、これは私の上司の策略でした。特に明確なアジェンダはなく、「とりあえず会う」ことが目的だったらしいのです。私は、相手側が私を呼んだと思って行ったのですが、いろいろ喋っているうちに、双方が同時に「お前は一体何をしに来たんだ」「君のアジェンダは何なんだ」と言い出してしまい、大笑い。

しかし、それでも私としては意味がありました。フロリダにはよく行っていましたが、ボカラトンは初めてでした。「これがIBM PCのメインの工場か、本社と離れたこんなところなので、新しいこと、変革が出来たのだ」という現場を見られたのは、非常に役に立ったと思っています。

インターネットの1996年と、AIの2025年

メインフレームから学ぶ、ITの歴史(1964年 System/360登場)

昨年の話題は、何と言ってもAIです。AIが急激に浸透し、一般に出てきたという状況は、私にはインターネットの1996年ぐらいに相当するのではないかと感じます。

1993年ごろ、私の周りの技術者が「WWW」だの「Mosaic」などの言葉を盛んに使い、今で言うSNSで会話しているのを見ていました。しかし私は意味がほとんど分からず、「技術者が何か面白いことをしているな」くらいの感覚でした。ところが、ひょいとその技術者のワークステーションの画面を見たら、諧調モノクロではあるものの、非常に綺麗な図形が描かれ、細かく文字が出ていました。これにはびっくりしました。これが私にとって、本格的にインターネットと向き合った最初です。 Mosaicを最初に開発した欧州原子核研究機構 (CERN) のジュニア フェローであるティム バーナーズ リーは一躍有名になり、神格化しました。

その当時、私がワークステーション(今で言うPC)を開発していましたから、本来なら日常的に見ていたはずなのに、私は気がついていませんでした。「せいぜい技術者の間で使われるツールだろう」と思っていたのです。 しかしそれから3年後の1996年になって、完全文系の父親が「インターネット」という言葉を口にしたときには驚愕しました。技術者の遊びではなく、社会に出たのだ、と実感した瞬間でした。

その時代には例のWindows 95が出てきました。Windows 95がインターネットの起爆剤になったと言われていますが、実態としてはMS-DOSの上にデスクトップGUIを被せただけの代物で、今から考えると正直おもちゃみたいなものでした。通信に関しても、当時はパソコン通信前提の空気が強く、インターネットのプロトコルスタックが最初から完備されていたわけではなかったと思います。これを載せるために、あちこちからモジュールを集めてきて組み込む必要があり、それが結構大変だった記憶があります。 その後のWindows NTやWindows XPで、ようやく今のWindows 11につながる「まともなOS」になっていったということです。

こういう意味で言えば、ビル・ゲイツはソフトウェアのビジネスモデルを確立したという点で非常に偉大な功績があると思いますが、時代を見る目はかなり遅れていたのではないかとも思います。 いつも遅れてついて行って、最後にメジャーを取る戦略でじは無くて、インターネットに関しては、明らかに出遅れました。

生成AIの体感、付き合い方

私がChatGPTで何をやっているかというと、バイブコーディングです。最初はExcelのフォーミュラ(関数)を作ってもらったのが始まりでした。自分で考えて作ればできるのですが、非常に面倒です。ちょっとChatGPTにプロンプトを投げると瞬時に生成してくれて、それが一発で動いたのは非常に印象的でした。 その後、長いマクロも作られましたが、これもだいたい一発で動きました。「すごいなあ」という感じです。

ただ、その後に少し難しいツールを作らせたときは、あまりうまくいきませんでした。開発の後半になると、だんだん“ゴミがたまっていく”のか、遅くなったり、馬鹿になったりしてバグが急増しスタックしてしまうことが多かったです。

1989 年、欧州原子核研究機構 (CERN) のジュニア フェローであるティム バーナーズ リーは、CERN での情報収集を簡素化するためのアイデアを思いつきました。彼のアイデアは、すべてのドキュメントを 1 つの Web サービスに保存し、それらをハイパーリンクでリンクするというものでした。

最近のChatGPT(たとえば5.2)ではかなり賢くなりましたが、バイブコーディングにはコツがあります。 一番最初に、短いモジュールを一気に作って、それを積み上げることです。最初にできたコードは割と質が良いので動きます。そこから修正を重ねると、だんだん混乱してぐちゃぐちゃになっていくことがあり、最悪スタックして先に進まない、ということになります。 ので短いモジュールを繋ぎ合わせて作るのか良いとは思いますが、それぞれのモジュールのバージョン管理が面倒になります。

それから、使っているとだんだん遅くなって、最後は止まってしまったり、変なバグが出たり、ハルシネーションが出たりすることがあります。その時はチャットを切り替える必要がある、というのが経験則です。

最初はプロジェクトそのものを切り替えましたが、これをやると全部ゼロリセットになります。まだ教え直さないといけないので、引き継ぎ資料を作ってもらって、そこから引き継ぐことになりますが、これも結構面倒です。したがって、同じプロジェクトの中でチャットを切り替えると、だいたい覚えているので、そのまま継続しやすい、ということになります。

もうひとつ気をつけないといけないのは、プライバシーです。どうも「質問の断片から全生活を推測されている」感じがして、正直落ち着きません。同じアカウントの中で、私が質問したことをだいたい覚えていて、「この間言ってたあの件は」みたいに出てくることがあります。これは便利でもありますが、気持ちが良いものではありません。おそらく入力したデータは学習にも使われている可能性があるので、ここは慎重に質問を入力する必要があると思っています。

また、ライブコーディングではコード量の限界もあります。以前、(別のAIにも)いろいろ聞いてみたのですが、どうも1000行くらいが限度で、それ以上は難しいようです。だから、最初のころ不思議だったのですが、差分だけ送ってくることがよくあります。

これは、こちらの作業としては差分を当て込むのが面倒です。ツールもあるようですが、ツールを使うのも面倒で、手でやるとよく間違えます。面倒になって「全部コードを出してくれ」と言うと、1000行くらいなら出てくるのですが、これはAI側の負担も大きいらしく、放っておくとすぐ差分対応に戻ります。

さらに重要なのは、AIは別に全コードを眺めてグローバルな視点で修正しているわけではない、ということです。何か問題があると、その周辺だけを修正して送ってきます。機能追加でも追加部分だけを送ってきます。これがバグの温床になりやすい。だから時々、こちらが持っているモジュールを全部アップして「これでOKか」と逆に聞かないといけません。
こちらは「AIが全コードを覚えている」と思いがちですが、実際は持っていないことが多いです。ややこしいことを言うと「私は思っていません」と白状することもあります。つまり、かなり手探りでコードを書いている、という前提で付き合う必要があります。

大きな変更をかけるとAIも混乱して、時々大きな関数がすっぽり抜けたりもします。さらに、目が見えないのでGUIが不得意です。コード上だけの操作になるので、こちらからGUIの修正を言葉で指定しないといけないのですが、これが結構大変です。文章化するのが難しく、なかなか意思が伝わらないことがよくあります。

したがって、AIはすぐCLIを推奨します。CLI(コマンドラインインタープリター)なら一行で入力でき、簡単なツールならCLIで十分です。入力も簡単ですし、コード生成も楽になります。

私はCLIは大昔に廃れたと思っていて、今はGUI全盛だと思っていましたが、どうもソフト開発の世界ではCLIが健在で、一流の技術者が普通に使っています。キーボード入力が速ければ、CLIの方が早い、ということです。

GUIが流行りだした1900年代後半ごろ、UnixにデスクトップGUIをかぶせることが流行しましたが、周辺の技術者に聞くと非常に否定的で、「コマンドの方がいい」と言っていました。当時は不思議でしたが、今やっと分かりました。今やっと理解した、というところです。

今年のAIとローカルLLM

昨年のAIに関しては、まずOpenAIが先行しました。特に年後半は矢継ぎ早にバージョンアップがあり、使っていても性能アップが体感できるような更新でした。そして年末の最後になって、Googleが「Gemini 3」を出し、これがほぼOpenAIと並んでしまった。なので、Googleのシェアが上がっているという流れに見えます。

Googleは、Officeに相当するツール群やデータベース機能を持っています。これらとの連携は非常に大きいです。おまけに、個人別に使えるNotebookLMのような仕組みもあり、この辺が底力を発揮しているのではないかと思います。私もOpenAIを使っていますが、そろそろGoogleに切り替えても良いかな、という気持ちもあります。

さて、今年もAIの時代になるでしょうが、どんな変化をしているのでしょうか。ひとつはローカルLLMだと思います。人型ロボットはまだまだ先の話だと思いますが、ローカルLLMが自分のパソコンで動くようになる、という意味は大きいです。
これはやはりセキュリティの問題です。いくらベンダーが「学習に使わない」と言っても、使われているかもしれません。少なくともサーバーにアップされます。あまり人に知られたくない日記みたいなものを解析する場合は、やはりローカルでやりたい。最近はノートPCでもローカルLLMが動くようになっているようです。今年はこれに挑戦したいと思っております。

AIバブル、電力、AGI、そして人型ロボットの現実味

急成長している生成AIモデルを基にタスクの認識・管理、及び自律的に行動を実行するとともに、シミュレーション環境で現実世界の不確実性に対応する方法を学習する。また、AIによる最適化されたモデルとプロセスがロボットに導入され、ヒューマンセンターの環境でより効率的に運用できる。また、強化学習(RL)アルゴリズムの活用で自ら学習し、より自然な動作を自律的に選択・実行する能力を持っている。

昨年のAIは、二桁兆円の投資の話がどんどん出て、「AIバブル」とも言われました。本当にこれで収益が取れるのだろうか、という疑問はあちこちに出てきています。確かに従来の検索以上に有料ユーザーは増えるのだと思いますが、それで本当にビジネスモデルが成り立つのかどうかは、まだよく分かりません。
また、揺り返しが来るのではないか、とも思っています。過熱したものは、いずれ冷える局面があるからです。

それと電力消費が半端ではありません。これもある程度は技術で解決していくのだと思いますが、「次のデータセンターのために発電所が必要だ」という話まで出てくると、さすがに何が何でも行き過ぎかもしれません。そういう施設がいくつもできる、というのは社会的にも課題になり得ます。

AGIやASIと言われるような超人工知能が生まれる、という見方も、最近は「どうもそうでもない」という方向が強くなってきました。今のAIの成功は、規模の拡大が性能の拡大に直結する、と分かったことが大きく、だからこそものすごい量の投資が集まりました。
しかし、「これを百倍、二桁上げても、そんなに伸びないのではないか」とも言われています。今の延長線上で超知能が現れる、という話は、ここ数年で勢いが落ちたのではないか、という感覚です。

人型ロボットに関しても、かなりいいところまで行っているのですが、実際に使えるようになるには、まだ何ステップか足りないのではないかと思います。人間の手先は非常に器用にできています。猿レベルの器用さなら獲得できるのでしょうが、そこから人間レベルに到達するのはなかなか難しい。これは頭脳の働き、つまり指先にも知能が必要で、猿と人間を分ける大きく違うところです。 人型ロボットは猿レベルでとどまっています。

バッテリー問題は、交換式にする、あるいはロボット自ら充電する、ということで多少は解決すると思いますが、現状だと2時間ぐらいしか動けないことも多く、制約は残るでしょう。

それでも、車1台分ぐらいの価格でロボットが手に入る時代は、ここ何年かのうちに発生するのではないかと思います。まずは単機能のロボットから、という形になるでしょうが、それでも社会の景色は確実に変わるはずです。

今月の読み物は、『国宝(上)青春篇』『国宝(下) 花道篇』 朝日文庫 2021/9/7 吉田 修一 著

映画で大変なことになりましたが、よくご存じのとおり原作の小説があります。映画ではかなり端折られているようですので、私は映画を見に行っていないので断言はできませんが、登場人物のひとりが完全に登場しないようになっている、らしいです。 そうなると映画と原作では、雰囲気がだいぶ違うのではないかと思います。 ですので、できれば原作の小説も一度読まれたら面白いのではないかと思っております。

ただし上下巻ですので結構時間がかかります。幸い文庫本もありますので手は出しやすいのですが、やはり長いです。私はAudibleで耳から聞きました。

たしかに映画化するには最適の筋書き、最適の構成だと思いました。小説でものっけからヤクザの乱闘騒ぎからスタートしますので、これはかなり映画を意識した構成なのだと思いました。 いずれにしても、書籍は筋立てを読む、映画は映像美を見る、というふうに分けて鑑賞すれば、別物として楽しめば良いのではないかと思います。

【Amazon書評より】
1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか? 朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。



今月のひとこと 2025年 12月号

今月のひとこと 2025年12月1日号

高市内閣の発足と外交ラッシュ

高市早苗総理の「存立危機事態」をめぐる発言は、中国が対日政策を更新、転換させる「理由」として利用されている。写真は韓国・慶州で行われた日中首脳会談を前に、中国の習近平国家主席(右)と握手を交わす高市早苗総理。2025年10月31日(共同通信社)

今月の話題のトップは何と言っても高市内閣の発足と活動でしょう。劇的な総裁選から、その後の目覚ましい外交攻勢まで、まるで数ヶ月分の出来事が一気に押し寄せたかのようですが、実際にはまだ 就任後一ヶ月しか経っていません。

総理本人も就任によって明らかに“人物が変わった”印象があります。櫻井よしこ氏も言っていましたが、総裁選の頃は政策を細かく語るばかりで「とっつきにくい人」という評価がありました。私自身も、大局観を必要とする外交や国家観は大丈夫なのかと思っていたのですが、政策は元々得意で、国家間とかは安倍政権を引き継いでいて、外交は各国の要人と個人的な信頼関係を積極的に築くことで、想定以上にうまく立ち回っているとおもいます。まさに「地位が人を作る」の典型ではないでしょうか。

しかし国会では少し気になる場面もあり、岡田克也議員への予算委員会答弁で、必要以上に突っ込んだ答弁をしてしまい、中国の反発を買いました。 言っていることは間違いなく、中国の方が曲解して言いがかりを付けている感じですが、政治問題化してしまい、幸い経済的には影響は少なく、しばらく時間を置くしかないと思います。 騒がしい観光客が減って良かったと言う話もあります。

対中国に関しては、トランプはああ見えて意外に機微な話はうまく避けていると思います。 メディアでは言いたい放題だが、実際はそうでも無いと言う事が良く分かりました。 米中電話会談の翌日に電話してきて、日中双方にメッセージを出した感じです。

AI風刺動画の完成度と情報発信度

ネットで特に話題になっているが、AIによる風刺動画です。国内外の政治ニュースにAI生成コンテンツが絡み、まさに“民衆レベルのメディア”として影響力が増していると感じました。

【22連発】「ポケットに両手」の大喜利動画、総集編!!

この動画は高市早苗首相の「台湾有事」発言を受け、日本の金井正彰アジア大洋州局長と中国の劉勁松(りゅう・けいしょう)アジア局長が北京で会談したあとの、例のポケットに手を突っ込んでいるアジア局長を揶揄したものです。

その政治的なインパクトの前に、この動画がこの精度で、多くの人が作っていると言うのはすごいなと思って見ていました。 本人だけでなく周りの人もすべてちゃんと処理されています。 そういう観点で動画をチェックするのは面白いと思います。

こうした動画の多くが一般ユーザーによって制作されているという点が象徴的です。権威や専門機関ではなく、個人がAIを用いて高度な表現を行い、それがニュースと同等レベルの拡散力を持つ。日本は高圧的な態度で対抗するのではなく、ユーモアや皮肉で反応する“ソフトな反撃”を行っており、この構図自体がネット文化として成熟してきたことを示しているように思います。

AI巨大投資、オラクル失速、ビットコイン急落

AIへの巨額投資は相変わらず過熱気味で、Google、OpenAI、Amazon、Microsoft が2桁兆円規模で競い合っています。その一方で、以前に本欄で取り上げたオラクルがとうとう失速してきました。 OpenAI から大規模なクラウド業務を受けつつ、自前のデータセンターが不足しているため、新規建設の負担が重くのしかかり、株価が 40%下落する事態となりました。従来の「法人向けデータベースの覇者」という地位だけでは、新しいAIの波を乗り切るのが難しくなっているのかもしれません。

ChatGPT は 5.1 に進化し、私自身も画像ビューアの構築などで活用しています。30行のコードから始まったものが500行規模に成長し、ほぼ実用的なツールに仕上がりました。この辺りの“短期間での加速度的成長”はまさにAI時代の象徴と言えるでしょう。。

価格高騰の背景と仮想通貨 1000倍への期待

その一方で、ビットコインが大幅下落しています。ここ数年はETF資金の流入で上昇基調が続いていましたが、今年に入り、AI関連株が注目を集める中で資金がそちらに流れていること、金利や経済指標の変動なども重なり、不安定な動きになっています。とくに「上昇し過ぎた反動」が強く出ているとの見方も多く、値動きの荒さが改めて露呈した形です。

ビットコインの値動きを語る上で避けられないのが、半減期(Halving)という仕組みです。これは4年ごとに「新しく発行されるビットコイン量が半分になる」イベントのことで、ビットコインの供給量が自動的に絞られる設計になっています。もともとビットコインは最大発行枚数が 2100万枚 と決められていて、さらに採掘(マイニング)報酬は4年ごとに半減する事で、発行スピードが落ち、長期的には“希少性が上がる”仕組み担っています。 この辺は天才的ですね。

しかし半減期前に上昇し過ぎて、ビットコイン発足時には1ドル以下だったものが、下落前では日本円で1400万円にもなっており、その反動で下落するのでしょう。 今回の大幅下落も、「半減期後の反動」+「AI投資への資金移動」が重なって起きたという見方が強いようです。

AI・クラウド・暗号資産という三つの領域が、2025年には互いに影響し合う大きな潮流となり、金融市場全体を揺さぶっている印象です。

人型ロボット競争の加速

中国のEVメーカーが人型ロボットを公開 CEO「来年末までに大量生産を目指す」【知っておきたい!】【グッド!モーニング】

AIはソフトウェア面で猛烈に進化していますが、それと並行して フィジカルAI=人型ロボット の分野が急速に重要性を増しています。世界中の企業が競い合っている中でも、中国の勢いは桁外れで、参入企業の数や試作・改良の回転速度が他国と比べて圧倒的です。数が多い分、その中から突出した性能のロボットが登場する可能性が高く、実際に動画で見る限り歩行・把持・姿勢制御のレベルはすでに「実用の入口」に達しつつあります。 しかし、どう見ても人間が入っているとしか見えないものや、おもちゃに毛が生えたレベルのものまで、玉石混交です。

人型であることの意義は非常に大きく、世界のあらゆる設備や道具が“人間が使う前提”で作られているため、ロボットも人型の方が最も高い互換性を持ちます。つまり、従来の産業ロボットのように特別な環境を整備する必要がなく、家庭・工場・店舗・病院といった既存の環境にそのまま投入できるという点で、技術革新の幅は極めて大きいと言えます。

現在はまだ価格が高く一般導入には難がありますが、将来的には 高級車1台分(500万~1000万円)ほどまで下がるという予測もあり、企業の人件費と比較して十分採算が取れる世界が見えつつあります。

技術課題はバッテリーで、一度の稼働時間が約2時間とされていますが、自力で充電ステーションに向かい、自らバッテリーを交換する仕組みが確立すれば24時間運転も可能になります。

しかし、ロボットが人間に近い形と力を持つ以上、誤作動や事故の問題は避けて通れません。自動車と同じく事故があっても利便性が勝れば社会は受容しますが、この分野では安全基準や法整備が急務になるでしょう。こうした議論は今後さらに活発化し、私たちの生活にも直接影響を与える段階に入ると考えています。

今月の読み物は「ともぐい」 ハードカバー 新潮社 2023/11/20 河﨑 秋子 著 5つ星のうち4.1 (603)

第170回直木賞受賞作! 己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!

十数年前、最後にアメリカに行ったときに現地のツアーに参加してヨセミテ公園で、ガイドが「熊がキッチンに侵入して台所を荒らした」という話をしていたことを思い出します。 本書はだいぶ前に読んだのですが、最近のニュースとかでは、猟友会とか警察とか果ては自衛隊まで言及されていますが、単なる銃器による「猟」では無いと云う事が良く分かります。 まさに人と熊との壮絶な戦いと言って良いでしょう。 TVのインタビューでも関係者がそんなことを言っていましたし、それが書籍になっているそうです。内容は重厚で、読むには少し気持ちの準備が必要ですが、現代日本の状況に非常に合致したテーマを持つ作品だと思います。



今月のひとこと 2025年 11月号

今月のひとこと 2025年 11月1日号

株価と金価格の高騰

グリーンスパン氏はちょうど20年前、株式市場の「根拠なき熱狂」について警告を発した
Photo: Agence France-Presse/Getty Images

株価がとうとう5万円の大台を超えました。
しかしこれはあくまで日経平均の値で、個々の銘柄がすべて上がっているわけではありません。逆に下がっている銘柄もありますので、格差が広がったということでしょう。 AI絡みの銘柄が非常に上がっていて、日経平均を押し上げている格好です。

金の値段もとうとう2万円を超えて、だいぶ前は5000円ぐらいだったのが、4倍ぐらいに上がっている計算になります。 これはドルの価値が下がったということだと思います。全世界はドルに連動しているので、金は一定の価値を保っていると考えられます。 ドルが金連動を放棄して以来、金価格はどんどん上がり続け、逆にドルの実質価値は下がり続けているということです。

景気の実感と「根拠なき熱狂」

しかし実感として、そんなに景気が良いとは思えません。各企業の業績は非常に好調が続いていますが、2000年ごろにグリーンスパンが言った「根拠なき熱狂(Irrational Exuberance)」という言葉を思い出します。 当時、ダウ平均が2000ドルぐらいだった頃に5000ドルまで上がり、その高騰ぶりを指してグリーンスパンが「根拠なき熱狂」と発言しました。

その後、「ダウ平均は2万ドルまで行く」という人がいて、まさかそれは絶対ないだろうと思っていたのですが、実際に2万ドルを超え、今では5万ドルをうかがう勢いです。 日経平均にしろダウ平均にしろ、銘柄はどんどん入れ替えていますので単純に過去とは比較できませんが、それにしてもすごい上昇率です。

投資の構造と高齢化の影響

アメリカでは多くの人が投資信託を通じて株を保有しており、金融資産が何倍にもなったということになります。 日本でも株式を保有している人は資産が何倍にもなったことでしょう。 しかし今、金融資産を保有しているのは高齢者に偏っており、高齢者はなかなか株式投資というようなハイリスク・ハイリターンの金融商品には手を出しづらいものです。 生物的な寿命が決まっているので、もしここで失敗すれば取り返しがつかなくなります。

今日の金・プラチナ 1g 買取価格

ただ若い人はあと何十年も生きるでしょうから、いずれは資産が増えるということになります。 しかし気をつけないといけないのは、銘柄をきちんと選んで「倒産しないこと」です。 倒産してしまうと元も子もなくなりますので、そこだけはいくら長期保有といってもリスクはあります。

東京電力と投資リスク

ただ若い人はあと何十年も生きるでしょうから、いずれは資産が増えるということになります。 しかし気をつけないといけないのは、銘柄をきちんと選んで「倒産しないこと」です。 倒産してしまうと元も子もなくなりますので、そこだけはいくら長期保有といってもリスクはあります。

当時の東京電力は「預金の代わり」と言われるほどリスクの低い投資先でしたが、あの福島事故で一気に下がってしまいました。超優良企業と言われていても、こういうこともたまにはあるので、わずかながらのリスクは覚悟しておかないといけないと思います。

相続と資産の停滞

いずれにしても、高齢者には寿命があるので、最終的には相続を通じて次の世代に資産が移ります。 しかし、最近の平均寿命が非常に伸びてきたため、相続を受ける側も高齢になって「高齢者→高齢者相続」になってしまいます。結果として、あまり金融資産が動かないという現象が起きます。

それを防ぐために住宅資金贈与とか教育資金贈与といった制度がありましたが、もう少し使い勝手の良い仕組みを考えて、一世代を飛ばして資産を移すような制度を検討すべきだと思います。 非常に高額な相続税を払わないといけない日本ですから、相続税のない国もあることを踏まえて、大きく減税して滞留している金融資産を動かすことも大きな政策の一つだと思います。

Amazonサーバーダウンと集中リスク

AWSのS3がダウンしたのは、バージニア州アッシュバーン地区におけるデータセンターに何らかの原因があったためとされています

ITの世界で最大の話題は、Amazonのサーバー(AWS)のダウンです。
AmazonはAWSというサービスを提供しており、日本政府の一部までAWSを使ってサービスを提供しているので、非常に影響が大きかったと思います。 しかし驚くべきことに、24時間ぐらいで収束したとのことです。

ことの発端はDNSの不調で、Amazonでも最も古いアンリか東海岸のクラスターの中核となるデータベースがDNS不調により、うまく動かなくなったことに始まりました。 DNSを直せば良いかというとそうでもなく、それまでに溜まっていたトランザクションが一斉に処理を始めたため、さらに影響が大きくなっで、その収束に時間がかかったと云う事です。

一部の報道では、AIによる仕事の代替で人員整理が行われ、IT技術者の量と質が低下したのが原因という話もありましたが、発端はともかく、発覚してから24時間で収束したのは立派だと思います。

一説ではギリシャ情勢の影響で通信量が下がったためだとも言われていますが、対応の速さを見ても、日本の某銀行のトラブル対応と比較すると、その差は歴然です。 しかし同時に、世界のITインフラが一部のシステムに依存している現実が明白になり、これを避けて分散化の方法を考える必要があるでしょう。 たった一つのデータベースが全世界のシステムを止める可能性があるというのは恐ろしいことです。

ランサムウェアと企業の対応

もう一つ大きなニュースは、日本の朝日ビールやアスクルを襲ったランサムウェアの問題です。ランサムウェアとは「身代金要求型ウイルス」で、データを暗号化して「金を払えば解除する」というものです。 朝日ビールは身代金を払わず、復旧を自力で進めているようですが、いまだに完全復旧には至っていません。

2025年10月26日、Cisco Talos はアサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃で有名になったランサムウェアグループ Qilin(キリン)のサイバー攻撃の手法や実像をレポートとして公表しています

以前、警視庁がランサムウェアのキーを発見したということだったのは、このシステムとは異なるものが使用されたようで いまだに解決していません。

驚くべきは、一部で手作業による出荷が続いているということです。これは日本企業ならではの対応とも言えます。 通常は考えられません。 おそらくゼロからのシステム作り直しになると思いますので、数ヶ月の復旧期間は覚悟しているでしょう。 この際、より使いやすくセキュリティの高い新システムに入れ替えてしまうのも考えの1つだと思います。

モジュール炉と地域発電の時代へ

最近の報道で、日立がカナダにモジュール炉(SMR:小型モジュール原子炉)を建設する契約を結んだという記事がありました。日本国内では新規原発の建設が難しいため、海外で活路を見出したということでしょう。

AIの発展によって莫大な電力が必要となっている現在、これからのデータセンターは「発電所と一体」で考えなければならない時代に入っており、そのためには、モジュール型の原子炉(SMR)が最適ではないかと思います。

最近の資料によると、サッカーグラウンド1面ほどのスペースがあれば、マイクロ炉の発電設備を建設できるようです。 しかも非常時には外部電力を必要としない自動循環冷却構造になっており、安全性が高い設計です。 この原子炉は工場で製造して完成品を現地に設置し、使用後はそのまま再生工場に持ち帰って粉砕・処理するという、モジュール的な仕組みになっています。

各都道府県、あるいは地域単位でこのようなモジュール炉を設置し、さらに太陽光発電や地熱発電、EV充電用を兼ねた蓄電池などと組み合わせて、地域ごとの独立した電力供給を実現するのが理想でしょう。 大きな工場や施設であれば、自力で電力を賄うことも必要でしょう。

三菱重工業が開発を進めるマイクロ炉
トラックで運べる大きさの超小型原子炉。離島やへき地、災害時などの電源を想定する。(出所:三菱重工業)

もちろん、点検やトラブル時に発電が止まると困るため、バックアップとしての予備電力(蓄電池や太陽光など)の確保も必要です。将来的には、これらを組み合わせた地域分散型グリッドが現実的な電力供給形態になると思います。

EV(電気自動車)が本格的に普及すれば、その充電に必要な電力量も膨大になります。例えば「10分で300km走れるように充電」しようとすると、どんなバッテリーを使っても瞬間的に大電力が必要になります。その電力は送電線からではなく、各充電所に設置された大容量バッテリーから供給するのが現実的で、そういうバッテリーも活かしながら地域でごとに、いわゆる グリッドになって行く。

そういう電力供給形態になっていけば良いかな と思っています 高効率の火力発電も使えるのではないかと思います。 ゴミ処理場を作るだけでも大騒ぎするすることが多いので、ごみ焼却場と一緒にして、ごみ発電も併用したらと思います。特に原発を市内に置くというのは大反発があると思いますが、小規模・安全な原子炉を地域単位で設置する構想遠い未来の話として見据えておくべきだと思います。

核融合炉と放射性廃棄物の処理

核融合炉の話も最近よく出てきています。しかし相変わらず、常に「商業化まであと10年」と言われ続けており、実際にはまだまだ時間がかかると思います。 それでも、Microsoftをはじめ多くの企業が投資を始めており、日本も乗り遅れないように投資には参加して行く必要があると感じます。

レーザー核融合商用炉の概念図

今日の日経新聞だったと思いますが、核分裂型と核融合型の原子炉を一緒にした新型の燃料リサイクルとして紹介する記事がありましたが、これは核融合で発生した中性子を利用して、原発の廃棄物(プルトニウムを除いた残りのいわゆる核のゴミ)を分解・安定化させるというもので、燃料サイクルを再構成するという話ではなく、いわば廃棄物処理の新技術の一種です。

時期的に予算編成の季節ですから、そうした政策的意図もあるのかもしれません。ただ、放射性廃棄物そのものは、量的にはそれほど膨大なものではありません。したがって、当面はエアキャストなどの安全な形で保管しながら、10年単位で処理技術を成熟させていくという姿勢で良いと思います。

いずれ、より良い技術や処理方法、そして受け入れ可能な候補地が見つかるでしょう。日本だけが悩んでいるわけではなく、世界各国が次々と新しい原発を建設しています。放射性廃棄物問題も日本単独で解決できるものではなく、国際的な視野でゆったり構えて進めるしかないのではないかと思っています。 現時点で慌てて解決策を出そうとしても、かえって混乱を招くだけでしょう。

最近の私の読み物は「古墳時代の歴史」講談社現代新書 2025/10/23 松木 武彦 著

若い頃に興味を持って、「古田史観」華やかなりしころ、九州王朝説を良く読みました。 その後離れていて、最近の状況はあまり良く分かっていなかったのでっすが、近年の発掘調査によって全国的に多くの成果が得られ、古代日本の姿がかなり明らかになってきました。

今となっては、「邪馬台国がどこにあったか」というのはそれほど重要な問題ではなくなってるそうです。 箸墓古墳が古墳時代の始まりであるという説が有力になっており、それが卑弥呼の墓であろうとなかろうと、考古学の世界(学界)ではすでに常識に近い見解になりつつあります。

そのため、これからは「場所」ではなく「考古学的事実」そのものをしっかり見ていく時期に来ていると思います。

先日2-3年ぶりに大阪府立弥生文化博物館に行ってきました。 池上曽根遺跡も、いつも26号線から横目で見ていましたが、今回は実際に立ち寄ってきました。

あまり期待はしていなかったのですが展示の内容に驚きました。とくに鏡の展示が圧巻で、どの古墳から何時どんな鏡が出土したのかが一覧で分かるようになっていました。 編年された鏡がずらりと並び、古墳と鏡の関係が一目で理解できるようになっていました。

今回の展示テーマは「伝世」だったので最初は地味かと思いましたが、見てみるととても興味深いものでした。 紀元前後に作られた鏡が、3世紀や4世紀の古墳に副葬されているという点、つまり「その間の数百年間、鏡はどこにあったのか」という謎が現在の研究テーマになっているそうです。

展示には卑弥呼で有名な三角縁神獣鏡もありましたが、それ以外にも画文帯神獣鏡や様々な鏡が並び、一番小さいものは直径5~6cm、大きなものは40~50cmにも及びます。 『魏志倭人伝』に「卑弥呼が鏡100枚を贈られた」とありますが、30-40年前の研究では「その一枚が日本で出土したのではないか」とも言われていました。しかしその後の発掘で、現在では全国で1000枚以上の鏡が見つかっており、鏡の編年と土器の編年を組み合わせることで、古墳そのものの編年が進んで、古墳時代の年表がかなり精密に確立されつつあります。

この本は、その成果の集大成とも言えるもので、まだすべてを読み込めてはいませんが、現時点での最終的な研究結果に近い内容だと思います。そして何より、日本の考古学の地道な調査と蓄積のすごさには、改めて感銘を受けました。東北から九州まで、ほとんど調査の手が及んでいない場所はないのではないかと思えるほどです。長年にわたる研究の積み重ねの成果を感じました。



今月のひとこと 2025年 10月号

今月のひとこと 2025年 10月1日号

巨額契約の衝撃 オラクルとオープンAIの45兆円契約

NVIDIA、次世代チップBlackwellの生産は「フル回転」。AIエージェント分野にも期待感

以前に、ソフトバンクの孫正義氏が「Stargate」構想で80兆円規模の投資を検討しているという話がありました。その時はあまりにも巨額で、現実感が薄く、にわかには信じがたいものでした。

ところが今回、オラクルとオープンAIの間で「5年間で45兆円のクラウド契約」が締結されたというニュースが飛び込んできました。 これは日本の国家予算レベルの数字であり、衝撃を受けました。 「いったいどうやってこの契約金額を回収していくのか?」「果たして本当に採算が合うのか?」といった疑問が頭に浮かびます。

投資の金額感覚

1990年頃、アメリカで投資の話をしていた際、一声で「3億円」「5億円」といった金額が飛び交っていました。当時の私にとっても十分に大きな数字でしたが、実際に投資したこともあります。 その後2000年頃のITバブル期には、同じような会話が「20億円」に跳ね上がり、桁が変わっていて、もう参加できなくなりました。

そして現在では、兆円単位の投資話が当たり前のように語られています。1兆円や2兆円といった額はもはや珍しくなく、「20兆円」「30兆円」といった話までちらほらと現れるようになりました。貨幣価値が変わったというより、むしろ産業や市場の規模が指数関数的に膨張しているように思えます。

データセンターと電力 ― 4.5ギガワットの壁

今回のオラクルとオープンAIの契約はクラウド利用契約です。つまりオラクルが大規模データセンターを準備し、その利用料をオープンAIが支払うという形になるでしょう。

5年間で45兆円ということは、単純計算すれば年9兆円規模。さらにそれを運用して利益を出すためには、その10倍近い90兆円規模の売り上げを目指す必要があると考えると、桁違いの世界です。

データセンターとは?クラウドとの違いをわかりやすく解説

そして忘れてはならないのが電力需要です。オープンAIのモデル訓練や推論サービスをフル稼働させると、必要な電力は約4.5ギガワットに達すると見積もられています。これはアメリカの一般家庭に換算すると約400万戸が消費する電力に匹敵します。 ちなみに原発1基は大体1ギガと思っておけば大丈夫です。

こうなると、ただ既存の送電網に頼るだけでは不十分です。各データセンターの敷地内に小型モジュール型原子炉(SMR)を設置して自家発電する構想が真剣に検討されるのも頷けます。ただし現実には短期的な導入は難しく、当面は天然ガスなどによる火力発電所を隣接地に建設して対応する、というプランが有力視されています。

これまでの最大契約

「巨額契約」というとスポーツ界のスター選手がよく話題にのぼります。例えば大谷翔平選手の契約総額は10兆円規模とされ、これまでは「世界最大級の契約」と呼ばれてきました。

また、企業買収の例で言えば、マイクロソフトがゲーム会社Activision Blizzardを買収した金額も約10兆円規模でした。しかし今回のオラクルとオープンAIの契約額は、それらを大きく上回っています。もはや一企業の契約を超えて「国家予算級」のスケールに突入していると言えます。

日本はどうするのか?

小型モジュール原子炉(SMR)のEPC事業へ進出
-米国ニュースケール社へ出資-

一方で日本の現状を考えると、物価や投資感覚に「一桁のズレ」があると感じざるを得ません。例えば東京のタワーマンション。最低でも1億円、上層階や人気物件は5億円を超えると言われています。従来の日本の不動産感覚からすると、まさに桁違いの世界です。

投資や企業活動においても同じことが言えます。日本企業は依然として「数百億円」「数千億円」の規模感で投資を語っていますが、世界は「兆円単位」で競争しています。この差を埋めない限り、日本経済の地盤沈下は止まらないでしょう。

経済同友会の議論がちょっとした内輪揉めで停滞しているのを見ても残念に思います。本来であれば「失われた30年」「失われた40年」を克服するために、日本の民間企業こそが大胆な投資を行い、未来の産業基盤を築く必要があるはずです。

AI時代の新しい開発スタイル

最近はAIによる「バイブコーディング」(※AIと対話しながらコードを生成する開発手法)に熱中しています。小さなシステムではうまくいったのですが、少し複雑な実用システムになると途端に難しくなります。

プロンプトを書き連ねると、仕様書のような形になり、結果として1000行近くになることもあります。しかし一気に読み込ませても処理がうまく進まず、現在は「開発工程を分割し、段階的に読み込ませて進める」という方法を試しています。

AIは便利ですが「間違い」も多い。完全に正しい答えが返ってくるとは限らず、こちらから「それは違う」と指摘して修正させることもしばしばです。ただ、そのやり取りが驚くほど人間のプログラマーとの会話に近く、かつて電話やメールでプログラマーと仕様調整していた頃を思い出させます。

AIによるシステム開発のリアル

Vibe Coding(バイブコーディング)とは?やり方とおすすめツール

AIを使うと、これまで苦手意識があった分野にも手が届きます。複雑なExcelの数式も一発で組めますし、避けていたマクロもAIなら短時間で生成可能です。
さらにはWebアプリやデスクトップアプリもAI経由で作成できるようになり、用途に応じて使い分けています。セキュリティ重視で外にデータを出したくない場合はデスクトップアプリ、多人数で利用し、利便性を優先する場合は、Webアプリと使い分けています。

ちょっと複雑なプロンプトを入れると、長時間の思考に入ってしまって、システムが停まっていることもありますが、その間にデータセンターのGPUがフル回転しているのだと感じています。 nVideaは株式時価総額が40兆円と言われ世界最大の企業になりました。データセンター用のGPUユニットは1セット何百万円もするそうです。 最近もH100を超える性能のBlackwell GPU を出しています。

文章作成とAIの関わり

また、文章作成でもAIを利用しています。「要約はしないで校正だけ」「段落構成だけ整えて」など、明確にプロンプトを指定すれば意図に沿った結果を出してくれます。ただ、指定を忘れると大事な部分を要約で削ってしまうこともあり、その点は注意が必要です。

今回のこの原稿も、音声入力で書き起こしたものをAIにかけ、段落のタイトルや挿入する写真の選定をAIに委ねています。 写真は自分で探すことも多いですが、今後はAIがどれほど見栄えの良い画像を選んでくれるか、試してみようと思います。

今月の読み物は 『塞王の楯』上下巻(集英社文庫、今村翔吾著、2024年6月20日刊)

石垣職人「穴太衆」の活躍を描いた作品で、単なる石垣積みの話にとどまらず、戦国時代の戦闘や軍事作戦に深く関わっていたことが描かれています。蒲生氏郷や京極高次が登場し、井上靖『淀どの日記』を下敷きにしたような構成も見受けられます。

私は中学生の頃に森繁久彌が朗読した『淀どの日記』をラジオで聞いていた記憶があり、今回の読書でその懐かしさを思い出しました。 特に京極高次は後半で準主人公として好意的に描かれており、史実とは異なる面白みを与えています。

本作は【第166回直木賞受賞作】であり、

どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

時は戦国。炎に包まれた一乗谷で、幼き匡介は家族を喪い、運命の師と出逢う。石垣職人”穴太衆”の頂点に君臨する塞王・飛田源斎。彼のように鉄壁の石垣を造れたら、いつか世の戦は途絶える。匡介はそう信じて、石工として腕を磨く。一方、鉄砲職人”国友衆”の若き鬼才・国友彦九郎は、誰もが恐れる脅威の鉄砲で戦なき世を目指す。相反する二つの信念。対決の時が迫る!



今月のひとこと 2025年 9月号

今月のひとこと 2025年 9月1日

ChatGPT-5

OpenAIのサム・アルトマンが考える「AIのある社会」と、“新たな知”の夜明け

最近はチャットGPTにはまっています。無料プランで使っていたのですが、ある日突然GPT 5に切り替わってしまって、私はあまり変化がないと思いましたが、世の中では前のGPT 4の方が良かったということで、非難轟々となってしまって、しかしアルトマンはあっという間に切り替えてしまいました。この素早さにも感嘆しました。

無料ではないのですが有料プランの一部に前のGPT 4が使えるようになっています。なぜこうなったかというと、GPT 4の方がわりと迎合的というかベンチャラを言うとか、良く言えば人に優しい点があって、GPT 4にメンタルな相談をしていた人が多くて、そういう人たちがGPT 5になって事務的になってしまい、違和感が出て非難轟々となったようです。普通の事務作業に使ってる場合は、あっさりしていて良いとは思いますが、メンタルな相談をしている人にとっては非常に冷たくなってしまったという感じがするらしいです。

これでAIも単なるコンピューターサイエンスの分野でなくて、心理学の分野にも影響を及ぼし、さらにはAIを外部から観察するという自然科学の分野にもなってきたようです。元になったニューラルネットはノーベル賞になりましたが、本来は数学であるコンピュータサイエンス分野はノーベル賞の対象ではなかったのですが、詳細は忘れましたが、タンパク質の分析とか、無理に自然科学に結びつけた印象があります。しかしこれからはブラックボックスであるAIは自然科学の対象になっていくのではないかと思っています。そのような論文も出来始めました。

普通の検索の延長線上であれば、あまり大したことはないというか、今のGoogle検索でもトップにAI検索の結果が出るようになっていますが、一番びっくりしたのは前回でも触れましたが、プログラムのコーディングが出来ることです。既にコンピュータ業界ではバイ(=ペア)コーディングと言って、日常的に使うツールになっているらしいです。

かなりややこしいコーディングもでき、これには非常に驚きました。これはすごいなと思っていたら人員整理の話がありました。日産は2万人、Microsoftも2万人の人員整理ですが、日産はご存じのように事業縮小、マイクロソフトは私の見るところエントリーレベルのプログラマーが整理されるのではないかと思っています。コーディングは全て一瞬でできてしまうので、そういうエントリーレベルのプログラマーは不要になると思います。

一方、出来たコードをチェックする人が要るので、ある程度のレベルがないとだめだと思います。だから全くの素人では作れないのですが、ある程度の知識があれば使えるというところです。いずれにしても少なくともコーディングの生産性は飛躍的に上がったようです。

コーディングが全く不得意の私には神の存在です。他のことはだいたいできるのですが、このコーディングだけはダメです。学生の頃IBMの適性検査を受けたのですが全然適性がなかった。自分でもそう思う。私が人生全体で書いたコードは数千行ぐらいしかないと思います。以前から自分でプログラムのコードが書ければどんなに嬉しいかとずっと思っていたので、今までやりたくてもできなかったことをどんどんやっています。

全ての仕様をプロンプトに入れるわけにはいかないので、とりあえず作ってあとは修正・修正でやっていくのですが、これがやってみないとわからないところがあるので何回もやり直して結構時間はかかります。相手が人間だと嫌になると思うのですが、機械だと思うといくらでも繰り返し聞けるし、恥ずかしいような初歩的な質問も気兼ねなくできます。最終的にはかなり複雑なプログラムができます。

私はPythonは全く知らず、使い方すら知らなかったのが、プログラムがどんどん作れるようになりました。エクセルのマクロもずっと敬遠してたのですが、これも複雑なマクロも作れるようになり、AIにはまってる最中です。ただAIはすぐにコードを吐きたがる。エクセルのフォーミュラで簡単に書けるものまでマクロにしようとする。ここはプロンプトで指示を与えないといけないところです。


消費税の本質と問題点

消費税はたった10%ですが、されど10%。最近は消費税の本質的な認識がだんだん浸透してきて、消費税は非常に経済の足を引っ張るという認識が広がってきました。消費者が払うということで消費税という名前がついているのですが、これ全くの嘘で実際は事業者が払います。10%から控除額を引いた残りを支払うということで、事業者全体で10%の第二法人税が課されています。法人税であろうが第二法人税であろうが、最後は消費者に転嫁されてしまうわけで、特に消費税を消費者が直接負担するわけでもありません。

本来の法人税では赤字なら払わなくて良いですが、売り上げに対してかかる消費税は必ず支払わないといけません。従って、一番未納が多い税目が消費税です。これが日本経済の足をじわじわ引っ張っているのです。

消費税は輸出企業には還付があります。これの統計金額が公表されてないというのもおかしな話ですが、約30兆円ぐらいの消費税収入全体のうち約9兆円が還付になってるらしい。だから消費税について、よく言われている

「あなたたち消費者が消費税10%を負担しているのです。10%は預かり金として事業者が受け取り、事業者がまとめて支払っています。その消費税は社会福祉に使われております」

【令和バブル前夜】牽引するのは海外投資家、恩恵は富裕層中心

というのは全くの嘘であるということがよく分かると思います。なんと我々が負担しているとされている消費税の1/3は輸出補助金に化けているのです。また、実際に消費税を負担してるのは中小企業などの事業者です。消費者が消費税分として10%を払っているのは単なる便乗値上げで、徴収する必要はありません、任意です。

ちなみに現時点では国民負担率、つまり雇い主と折半して払った社会保険料と所得税で48%になっているとのこと。さらに使うときには、最終的に10%を消費税として負担しなくてはならないので、他の自動車税とかガソリン税とかを除いても、負担は60%近くにもなります。四公六民どころか、六公四民になっているのです。

トランプ相互関税と消費税

トランプの相互関税には、日本ではあまり報道しませんが、この10%が含まれています。アメリカは勝手な国なので、消費税はなくて売上税しかありませんので、還付はありません。ここで不公平が起きているのですが、日本の報道ではほとんど触れられていません。関税騒動の初期のころにトランプが消費税をやり玉に上げたときは、少し報道していましたが、その後は触れられなくなりました。

こう言うと、仕入先がすでに負担してるので特に得ではないのではないか、還付されるのは当然ではないかという話がありますが、消費税というのは要するに値上げですので、それを販売価格に転嫁しようがしまいが勝手なわけで、要するに販売金額の問題です。だから消費税が10%に上がった時に「消費税分をアップします」というのは単なる値上げであったということです。また他の国内の非輸出企業と不公平になります。

トランプが消費税が実質の輸出補助金であるということで、相互関税のベースに使っているというのもあって、だんだん認識が深まってきました。それで最近は消費税減税みたいな話がいろいろ増えてきてるわけです。

付加価値税の発明

欧州では正直に付加価値税(VAT)と言うわけで、要するに付加価値にかかってきて、その大半は人件費です。結局、人件費を抑える方向に作用して、賃金が上がらない要因の一つにもなっていると思います。通常の法人税とこの第二法人税と言われる消費税が違うのは賃金を含めるか含めないか、赤字になったら本来の法人税は支払わなくて良いのですが、消費税は支払わないといけないことになります。

このままほおっておいて税率が15%とか20%になると本当に国がもたなくなると思います。こういうとヨーロッパでは25%が普通だという話ですが、軽減税率がたくさんあって、基本的に日本で言うと昔の物品税に相当するような感じで、普通の通常の日用品はほとんど税金がかからないようになっているとのこと。こうなるとまた国内的には還付の問題が出てきてややこしくなります。

【輸出還付金】大企業だけが得をする消費税の構造

以前に触れたと思いますが、もともと付加価値税とか消費税とかいうのがフランスで発明された時は、輸出補助金を払っていたがガット(GATT)の規制で輸出補助金を出せなくなったので、その代わりにこの付加価値税というのが発明されたということで、非常に頭の良い人が考えたと思います。それに悪乗りして、消費税という名前をつけて一般国民が負担するんだ、という印象付けをしたのは当時の大蔵省だったと思います。

今後増税があったとしたら、結局一番被害を受けるのは中小企業だと思います。一般国民もそれなりに増税になるわけですけど、得をするのは大企業、特に輸出企業は還付があるのでウェルカムだと思います。


先日の読売新聞の「地球を読む」欄の吉川 洋氏の記事が面白かった。

約40年前、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などとおだてられ、バブルに踊った日本経済は、1990年代に急降下した。国力の目安となる1人当たり名目国内総生産(GDP)は、2000年にはルクセンブルクに次ぐ世界2位だったが、その後は坂を転がり落ちるように下がり、24年には38位となった。1人当たりなので、人口減とは関わりのない低迷である。

「急落の原因はデフレだった」と言う経済学者やエコノミストは多い。実際、「デフレ脱却」は政府の掲げる金看板であり、日本銀行が13年から10年以上続けた「異次元」の金融緩和政策は、デフレ退治を目指して行われた。しかし、長期停滞の真因はデフレではない。


と始まり、主な原因は日本企業の技術革新の不足だったという分析です。これはまさにその通りで、本当に日本企業は何もしなかったし、経団連も何も言わなかった。ひたすら賃金を上げずに派遣に頼り、コストカットに走って何もしなかった。失われた30年の主原因であると私も思います。

1980年代後半から1990年代のバブル崩壊までは本当にいろんなことをやったような気がします。失敗も当然ものすごく多かったですが、ジタバタしてたような気がします。

今で言うと規模はだいぶ大きいですがソフトバンクの孫さんが、そのような感じがします。すごいお金をあちこちにぶち込んでるみたいですが、やはり向う見ずにジタバタしないと新しいことはできないと思います。ほとんどの企業は何もせずに、じっとしているだけでデフレですから、利益は出たということでしょう。結局発展し損ねて世界での順位がダダ落ちになったということです。

しかしこの吉川氏のコラムの最後には、人生で使い残した金融資産に相続税に加えて新税を課税する、なんと結果的に増税ではないかという話で後半はずっこけてしまいましたが、もし前半の技術革新で、これから頑張って日本が伸びればこういうつまらん増税みたいなことしなくて良いのではないかと思います。要するに吉川氏はもう日本は伸びない、増税しかないと思っているのでしょう。


今月の読み物は「リボルバー」 単行本 2021/5/26 原田 マハ 著 文庫 ¥858

展示会が開かれているゴッホに興味のある方に最適。全体的にミステリー・フィクションですが、ゴッホや弟のテオとの関係とか、面白い逸話が多いです。以下はGPTがつくりました。

原田マハさんの小説『リボルバー』は、フィンセント・ファン・ゴッホの死をめぐる謎に光を当てる、美術ミステリーの傑作です。本作は、オルセー美術館の女性学芸員が偶然手にした一丁の古い拳銃から物語が始まります。その銃こそ、ゴッホが命を絶ったとされるものであり、彼の死の真相をめぐる鍵となる存在です。物語は、この銃を通して浮かび上がるゴッホの最期の姿、そして彼を取り巻いた人々の想いを丁寧に描き出していきます。実在の画家や歴史的事実を巧みに織り込みながら、フィクションとしてのスリリングな展開を見せる点が、本作の大きな魅力となっています。

原田マハさんは、これまでも『楽園のカンヴァス』や『ジヴェルニーの食卓』など、美術と文学を融合させた作品を数多く発表してきましたが、『リボルバー』はその集大成ともいえる力作です。ゴッホの芸術への情熱、孤独、そして彼の生涯を通して表現し続けた「生きることの意味」が、物語全体を深く貫いています。美術館を歩いているような臨場感ある描写や、作品に対する細やかな解説も盛り込まれており、美術に詳しくない読者でも自然に引き込まれる構成になっています。

また、ゴッホの死は「自ら命を絶った」とされるのが通説ですが、本作では異なる可能性に迫ることで、新しい視点から芸術家の人生を再考させてくれます。単なる推理小説ではなく、人間存在そのものや芸術の力を問いかける文学的要素が強く、読後には深い余韻とともに、多くのことを考えさせられます。原田マハさん独自の温かみと美術への愛情が随所に溢れており、読む者の心を優しく包み込みながらも強烈な印象を残します。

『リボルバー』は、美術小説としての知的な楽しみと、ミステリーとしての緊張感を併せ持つ作品です。ゴッホの絵画や人生に興味のある方はもちろん、芸術を通じて人間の本質に迫る物語を求める方にぜひおすすめしたい一冊です。読後には、ゴッホの作品を改めて見直し、その背後にある人間の苦悩や情熱をより身近に感じられることでしょう。