今月のひとこと 2026年7月号

今月のひとこと 2026年7月1日号

揺れる高市政権——通らぬ理屈と「自業自得」の答弁

旧暦の毎月15日の夜、特に旧暦8月15日の夜に見える満月(十五夜)を指す古語です。平安時代の歌人・藤原道長が「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」と詠んだ和歌でも有名です

最近の政治は混沌としてきた。あれだけの人気と議席数を誇った高市政権が揺れ動いている。もともとギフト券問題では「そんなしょうもないことを聞くな」という野党批判もあったが、今回の誹謗中傷動画や斉藤氏の件はそうもいかず、国会で追及されている。

ほとんどが予備費だという補正予算も成立したが、これは最初から前の予算に入れておけばよかったのではないか。こういうことをするから予算委員会を開かざるを得なくなり、受けなくても良いスキャンダルを追及される羽目になる。自業自得ではないかと思う。

しかもそれに対する答弁が人を食ったようなもので、「夜寝られない」「しんどい」「国のために頑張っている」というのは、あまり言い訳にならない。小泉総理なら苦笑を誘う答弁で切り抜けたと思うが、高市さんは真面目なのか頑固なのか、通りそうもない理屈を並べ立てるので、ますます落としどころがなくなっている。野党も早く落としたいのに、落とせないような答弁ばかりなので、みんな困っているというのが正直なところではないか。

令和の藤原道長?——皇室典範と麻生太郎

藤原 道長(ふじわら の みちなが、康保3年〈966年〉- 万寿4年12月4日〈1028年1月3日〉)は、平安時代中期の公卿。藤原北家、摂政関白太政大臣・藤原兼家の五男。後一条天皇・後朱雀天皇・後冷泉天皇の三帝の外祖父。

次に皇室典範の改正問題。NHKで御厨氏が講演か解説をしたらしい(直接見ていないので正確ではないが)。そこで麻生氏と藤原道長を連想する話が出たようだ。道長は自分の娘を次々に皇室へ送り込み、実質的に皇室を支配した。なぜ自分が天皇にならなかったのかは不思議で、1300年の日本史でそういう例は一つもない。麻生氏はすでに妹を三笠宮家に送り込んでおり、さらに皇室典範の改正で養子を送り込み、その子が皇位継承権を得ることを御厨氏は心配しているらしい。

「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」——これは1018年、道長の三女・威子が後一条天皇の中宮になった祝宴で詠まれた歌で、藤原氏の権力が最高潮に達したことを満月に例え、絶対的な自信と満足を表したものと解釈されている。

伝聞なので正確ではないかもしれないが、麻生氏も次第にこの道長の心境に近づいているのではないか。平安時代の天皇家と道長の関係、今の天皇家と麻生太郎の関係は、基本的に同じだと思う。

1300年、誰も天皇にならなかった国——そして外交下手なニッポン

源氏物語絵巻』竹河 玉鬘の姫君の侍女たちが坐って桜を見ている(徳川美術館)

不思議なことに、この1300年で天皇に取って代わろうとした有力者は一人もいない。道鏡が唯一の例外かもしれないが、あれは自ら望んだというより称徳天皇の意向で、結局は追放された。やはりこの国では天皇と執行部門の分離が非常に合っており、当時の実力者もそれを直感的に分かっていて天皇にはならなかったのだと思う。

道長も天皇になればもっと権勢を振るえたはずだが、娘を送り込んで権勢を誇っただけで終わった。

こういう大きな流れの中で見ると、高市さんは悲劇的だ。大きな構図の中で、得意分野だという政策に入り込みすぎて大局が見えていない、あるいは大局を動かせない。女性初の総理だが、性別に関係なく能力的に厳しいのかもしれない。

一方イタリアのメローニ首相は、言うことがはっきりしていてアメリカにもズバズバ物を言う。この点は見習ってほしい。日本はアメリカに守られているという意見も多いが、自衛隊という実力部隊があるのだから、言うべきことは言わなければならない。怖がってばかりではだめだ。アメリカも日本に離反されると困るので、そこは駆け引きだ。トランプは無茶苦茶を言うが、ディールは上手で駆け引きがうまい。この点は少し見習うべきだと思う。

ドローンが変えた戦争——最後に笑うのは中国か

ヴォロディミル・コチェトコフ=スカチ氏を称える映画「スカイ・コーディネーター」の上映会で展示されたR18ドローン。エアロロズヴィドカ主催。

ただトランプもイランにはかなり翻弄されている。イランの方が一枚上手ではないか。ロシアのウクライナ侵攻と同じで、最初の一撃で終わると思ったのが、なかなか終わらず泥沼化している。

イランはアメリカの中間選挙をにらみつつ、内部で分裂しているのか分裂しているふりをしているのか分からないが、結果的に非常にうまく交渉している。あれだけ戦力差のある国がこれだけの駆け引きをできるのは大したもので、日本はまだまだだ。

左派は昔から「戦争より外交を」と言っていたが具体策は見えなかった。しかしイランとアメリカのやり取りを見ると、まさにこれが外交だと思う。ウクライナも国力差があるのにロシアをかなり押し返し、占領地の多くを取り戻したようだ。

戦争が科学を発展させるとよく言われるが、今回まさに戦争の形態が一変した。ドローンが武器化し、毎日のように技術革新が起きている。特にウクライナは現場での改善が進み、新しいドローンを次々に作っているようだ。

太平洋戦争でゼロ戦が登場したとき「トンボに何ができる」と言われたが、最後は航空機が主力になった。山本五十六は航空機の時代だと言ったが、なかなか舵を切れず、戦艦武蔵と航空機を同時に作るという国力に余ることをせざるを得なかった。

いずれにせよ本格的な戦争は、結局は生産力の問題だ。太平洋戦争でアメリカが日本に勝ったように。こう考えると最後に笑うのは中国だろう。中国の生産力は凄まじく、戦争が何年続いても武器を供給し続けられるのは中国くらいだ。今のアメリカでも長期戦になれば武器は枯渇しつつあり、日本に至っては数ヶ月しか持たないという。もし米中が台湾をめぐって衝突しても、最後まで持ちこたえるのは中国ではないか。中国の有り余る生産力が一旦武器調達に転化したら、アメリカに勝ち目はないと思う。

AI遍歴——Fableは三日天下、そしてCodexへ

エンジニアード・アーツ社の研究所で撮影されたアメカ第1世代ロボット。これは、2022年1月のロボット発売に合わせて公開された一連のプロモーション画像のうちの1枚です

政治の話が長くなったが、ITの分野では相変わらずAIの話題が尽きない。6月頭にAnthropicの新モデルが公開され、課金して使っていると突然Fableが選択肢に出てきたので「すごい」と思って使ってみた。

だが自分の使う範囲ではそれほどの能力は感じず、本格的に使おうとしたら三日目に「もう使えません」となった。その前にネット絡みの複雑な作業をしていたせいでbanされ、二日目には解除されたが、何がまずかったのかよく分からない。ステートメントを読むと、アメリカ政府の輸出規制で止められたと書いてあった。もう少し使いたかった。

その分がOpus 4.8に回ったのではと噂されているが、Opus 4.8の劣化が激しい。コードを書くのは素早いが、それ以前のやり取りではこちらの意図を理解できておらず、さっき指示したことをもう忘れている。

そこでMaxプランからProに落とすことにした。Maxはいくら使っても5時間や1週間の制限に引っかからないが、2万円近く払うのは厳しい。Proだとすぐ制限に引っかかるので、その時はCodexに切り替えようと思っている。

最近はCodexの評判が上がってきた。あまり宣伝はされないが、GPTを触るうちにメニューを見つけてクリックしてみると、なかなか良かった。当時は世の中クロード一辺倒だったのでクロードがいいのかと思っていたが、今はみんなCodexがいいと言い始めている。

Codexは速く、すぐ答えが返るので「軽い」と言われる。時々間違うが、何度も回して使うのも一つのやり方で、私はむしろそちらが好きだ。クロードは回答まで時間がかかるが、まともな回答を返すのが評価されていた。しかし最近は回答がおかしく、少し失望しているところだ。

猛暑を自動化する——液肥ロボと自作ツールの日々

点滴灌漑用のチューブは、これらのミニトマトのすぐ横に埋設されています。ご覧のとおり、むき出しの土に湿った跡があり、そこから約30センチ間隔で水が出てきます。

昨日、延々とやっていた農業用の灌水システムの第一ステップがようやく完成した。露地の畝に灌水チューブが設置されているので、そこに時々液肥を流して追肥の代わりにする仕組みだ。元肥を入れるのはそんなに苦にならないが、追肥の時期はひどい猛暑日になり、熱中症になりそうなので、自動で液肥を注入したかったのがきっかけだ。

作物が20種以上あり、それぞれタイミングと時間を切り替えねばならず大変なシステムになった。

液肥の濃度や種類はAIに決めてもらったが、時々桁が一つ違うような値を出すので、直感的におかしいものはチェックし、それ以外は別のAIに妥当性を確認させた。 数字だけ見ても適切かどうか分からないので、こういう配慮が要る。

混ぜてはいけない肥料を使うのでAタンク・Bタンクに分け、交互に注入する。ついでにサブでC液も作り、A・B・Cの三タンク体制で運用しようとしている。

スマートスイッチの設定は最大30個までという制約が最後の最後に分かって対応に追われ、最終的にはクラウドで制御することにしたが、うまくタイミング制御できるかは確認が必要だ。

他にも単機能の小さなツールをたくさん作った。この規模なら最近はプロンプト一発でだいたい動くものができる。仕様が少し違ったり、後で改善したほうがいいと分かったりして手直しはするが、そのものは一発で動く。

面白い例では、直売所に野菜を出荷していると異なる店ごとに売上データがメールで送られてくる。総数で把握したいので合計する必要があり、昔は電卓、その後はAIに投げていたが、今はメールを直接読んで合計するツールを作り、スマホでも動くようにしたので楽になった。

ただスマホやネットで動かすにはある程度のインフラが要り、一般にはハードルが高い。私は何年も前から自前のウェブサイトを持っているので、その上で動かせば簡単だ。

驚いたのは、サイトのWordPressをAIがそのまま操作して投稿までやってくれることだ。ただAIはあまりやりたくないようで、質問の選択肢の第一が「HTMLをAIが生成し人間が貼り付ける」、第二が「すべてAIがやる」となっていた。実際やると試行錯誤で結構時間がかかるが、最後は成功した。

今のサイトへのアップロード手順はほぼ固まったので、手順書を残せば後は割と簡単になる。全体に少し危険な感じもするが、自分の代わりにいろんな操作ができるのは素晴らしい。ただ少し間違えると大変なことになるので、慎重にやらないといけないと思っている。

今月の読み物——池井戸潤『空飛ぶタイヤ』

今月の読み物は『空飛ぶタイヤ(上・下)』講談社文庫、池井戸潤 著。前回に続いてまた池井戸潤の作品で、テレビドラマ化もされた同名のベストセラー小説だ。

ある日、トラックの事故により一人の主婦が亡くなった。事故を起こした運送会社社長・赤松徳郎が警察から聞かされたのは、走行中のトラックからタイヤが突然外れたという、耳を疑う事実だった。整備不良を疑われ、世間からもバッシングを受ける中、赤松はトラックの構造自体の欠陥に気づき、製造元であるホープ自動車に再調査を要求する。しかし、なかなか調査が進展を見せないことに苛立った赤松は、自ら調査を開始。そこで彼は、大企業によるリコール隠しの現実を知ることとなる。

リコール隠しはさすがに少なくなったが、検査データの捏造はまだまだ収まらない。その原点となる話だと思う。映画化もされたようだ。

今月のひとこと 2026年6月号

今月のひとこと 2026年6月1日号

今月もまたまたAIの話題ばかりになってしまいました。

Claude 4.8リリースと「余計なお世話」問題

Anthropic CEO、Dario Amodei が語る AI と LLM の将来に関する 5 つの重要な洞察

先月の29日に、寝ながらClaudeのチャット画面を開いていたらOpus 4.8というのが見えたので、びっくりしてそのままClaudeチャットで聞いてみたら「そういうものは存在しません」という答えだったが、ちょっとしてから「すいません、間違ってました。昨日Opus4.8が出ました」という答えだった。

Opus 4.7を出して、OpenAIが5.5を出してやっと追いついたかと思ったら、4.8で少し突き放した感じです。大した変更ではないみたいですが、一番私が気になっていたのは、AIがコードを書く時に余計なことをしてしまうこと、こちらが言っていない仕様的なものを入れ込んでしまうというのがあって、調べるとこういうのはよくある話らしいです。この機能の副作用が今回の4.8で少し減ったということらしいです。あまりに頭が良すぎて余計なところへ気が回ってしまうという感じで、なかなか面白いです。

AIコーディングの現在地――ClaudeとOpenAIの使い比べ

ChatGPT・Gemini・Claudeの3つ生成AIモデルを徹底比較!自社に最適な生成AIモデルは?

ここ一ヶ月、OpenAIに100ドルの課金をして、Claude Codeに20ドルの課金をして使ってきましたが、コーディングに限って言うと、もうすでに十分な性能に達していて、小さなツールならほぼ完全に一発で動くところまで来ています。当然テスト条件を与えて「こういうテストをしてくれ」と言えば勝手にテストして、時々失敗したところを自分で直して、最終的に動くものを出してくれます。この失敗がOpenAIは結構多いという感じですが、Claudeはちょっと時間はかかりますが一発で出してくる感じがします。

例のMythosの騒動が一段落しましたが、Anthropicはこれと同等の性能のものを次に出してくるそうです。要するにMythosの最大の問題は、システムのセキュリティホールを発見してさらにそれを攻撃するツールまで作れてしまうというところにあったのですが、この攻撃に対して、セキュリティホールを発見する方法を見つけてそれを塞ぐ方策がある程度出来上がったものだというふうに理解しています。いずれにしても、Mythosがあろうがなかろうが、セキュリティホールが攻撃をされるのは確率の問題ですから、まず攻撃をされないように穴を塞ぐこと、あとは侵入された時にそれをいち早く発見して対策をとるということは、Mythosが存在しようがしまいが必要なことだと思います。

AIと戦争――ドローン・ロボット・予算が決める新しい戦争の形

ホーキング博士ら「ロボット戦争」を警告 人工知能兵器に懸念

いずれにしてもこのMythosレベルのAIがベネズエラ紛争とかイランとの戦争に使われたことは間違いなく、イラン指導者の斬首作戦もこのMythosレベルのAIで可能になったということです。いろんな情報を分析して人間がやらないといけないのですが、これは300人が200日ぐらいかかるという話ですが、AIだとほぼ数時間でできてしまったという噂です。

今回のイランとの戦争で分かったことは、大規模な戦争の形態が変化したこと、ドローンとAIによる戦争になるのではないかということです。これは第二次世界大戦の時の日本のゼロ戦の話を想起させます。あの時は大鑑巨砲主義で戦艦大和を作ったりしていたのですが、一方でゼロ零戦が大活躍して敵の戦艦を沈めています。当時の評価としては「カトンボみたいなもので何ができるか」ということだったらしいですが、今も非常に安い、おもちゃみたいなドローンが活躍しています。

第二次世界大戦のゼロ戦に匹敵する戦術変化が起きているのだと思います。さらにこれにAIが加わって戦術判断が一瞬にしてできるというところが非常に大きいと思います。これにロボットが加わってくるとどうなるのかまだよくわかりませんが、地上戦はロボットがするということになって、ここから導き出されるのは大戦争が非常にやりやすくなったということです。

人間が戦闘を行う従来型のウクライナ戦争で行われているような戦闘に関しては、やはり人的な損失というのは特に民主主義国家では大問題になりますが、ロボットやAIやドローンなどでは基本的にはお金の問題に帰着するので、人命の損失というのは、戦争を止める制約にはならないと云う事です。 すべてがお金・予算に還元されてしまいます。

今は人命の損失が上限だったのですが、今後は予算・お金の上限が戦争を決めるのではないかと思います。ベトナムでは何万人もの犠牲が出てやっと終わりましたが、ソマリアでのアメリカ軍の作戦中、ヘリコプターが撃墜され、米兵18名(のちに1名死亡)が命を落とし、その際、戦死した米兵の遺体が群衆によって市街地を引きずり回され、ニュース映像が全米で放映されたことで、アメリカ国内で軍事介入への反対世論が急激に高まりました。結果: この世論を受けてクリントン政権はソマリアからの米軍撤退を決定しました。

今回のイランとの戦争ではそれより多いですが、これ以上の犠牲者を出すとトランプ政権も非常に苦しいです。これからの戦争で非常に怖いのは、こういう戦争が非常に手軽にできるようになったこと、そしていつなんどきこれが世界大戦に発展するかわからないということです。第一次世界大戦もそうだったですが、日本で言えば応仁の乱だと思いますが、特にこれといった原因もなく大規模な戦争に発展してしまう。応仁の乱では京都を焦土化し20年も続く戦争になってしまいました。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線では悲惨なことになっていました。

AI各社の戦略と私の開発スタイル

アジャイル開発とは?開発手法やメリット・デメリット

それにしてもAnthropicの戦略というかマーケティングは素晴らしいです。まず技術的には確かに一歩前進、他社より必ず一歩前進するということでアドバンテージを維持しています。更新が何しろ多い。Claude Codeを使っていても毎日立ち上げるたびに更新が入っていました。今回も4.7が出てから一ヶ月ぐらいで4.8になってしまいました。次はいよいよ4.9なのか5.0なのかというのが問題になると思いますが、5.0はおそらくMythos級だと私は勝手に予想しています。

いずれにしても私みたいに、ちょっとしたツールのコードを書くぐらいであれば、今のOpusでなくてもその下のSonnet 4.6、CodexやGPT-5.5ぐらいでもう充分に行けます。特にエージェント化されているので、どういう結果を得るかをきちんと定義しておけば、出力もそれのテストも充分やってくれる。 あとは待つだけということになります。待っている間に他のエージェントを動かそうかという話になって、マルチエージェントの話が出てきますが、私はそこまでなかなか頭が働かないので、エージェントは1つか2つぐらいしか動かせません。

私が過去にトライしたのはアジャイル型の開発で、とりあえずプロトタイプを作る、もっと言えば最初のGUI(グラフィックユーザーインターフェース)を、ボタンや表示部分を当時はPowerPointで作っていました。そのPowerPointをベースにまずGUIを作り、その裏付けとしてロジックを組み込んでいくというやり方でやっていて、使って行きながら欲しい機能、不足な機能、矛盾しているところを後で直していくというやり方をやっていましたが、これはプログラマーにとっては非常に負担であったらしく、あまり評判は良くなかったです。

ただ今はそれを文句も言わず、残業もせずAIがやってくれるので、非常に私はハッピーです。しかし問題が一つあって、GUIから作っていくというのはAIは不得意です。なぜかというとGUIから作るのはできるのですが、テストをどうやってやるかという最大の問題があって、GUIは人間が操作しないといけないのでAIエージェントが自動でテストができません。

CLIインターフェースであるとAIはテストを自動化できるのでCLIを好みます。したがって折衷案としてはCLIで作っておいて、その上に薄いGUIをかぶせるという感じになってきます。どうしてもGUIでないと実現できない機能もあるので、この辺はまだ試行錯誤中です。

コンピューターそのもののAIによる操作は一応可能なので、作ったGUIをAIが操作してそれでテストしていくというやり方が最終系だと思いますが、ここはまだ完全にできていませんのでこれからの開発になると思います。それさえできればGUIベースのツールはいとも簡単に作れてしまうということになります。さすがにCLIではなかなかアプリという感じがしませんので、やはりGUIが必要だと思っています。

IoT・WordPressアプリ開発とAIの限界

AIエージェントがアプリを直接操作 WordPressは記事作成、Figmaはデザイン生成に対応

あとはIoT機器で、世の中には最近ものすごく安価に温度センサーや振動センサーなどのセンサー類、もしくはスマートスイッチなどがあふれています。AliExpressなどで買うと数百円で買えます。これをどう使っていくのかということがあって、そのデバイスに付属しているアプリは使い勝手が非常に悪いです。まあ使えないと言ってもいいと思いますが、これをなんとか実用的に運用できるようなものがないかと今考えています。

AIに相談すると可能だということなので、Raspberry Pi(ラズパイ)というワンボードの小さなマイクロコンピューターがありますが、それを使って異なる会社のセンサーやスマートスイッチを集計・グラフ化・制御していきたいと思っていますが、これもテスト問題があって、やはりどうしても自分でテストしないといけない。 自動でAIエージェントがテストしてくれるわけではないので、その手間が結構大変です。

1年ぐらい前はチャットしかなかった(と言うかそれしか知らなかった)ので、チャットでコード生成を依頼して出てきたコードをコピペして、それを動かしてエラーが出たらまたチャットに貼り付けてという作業を延々と繰り返していましたが、コンピューターの内部でCLIでやる分にはこれはもうやる必要はなくなりました。

しかし先ほどのラズパイを使ったようなシステムでは、まだまだこういうコピペ作業に耐えないといけないということになります。 ラズパイといっても結果的にはウェブ画面で参照して制御するので、ウェブ画面さえちゃんとコントロールできればテストは可能だと思いますが、まだ充分な精度でウェブ画面を操作できるわけではないようです。これから半年ぐらいで可能になる感じがしてますので、少し待ちたいです。

あとはWebアプリです。Webアプリはどこかの無料サイトを使ってというのが多いのですが、それはあまり私の好みではないので、自分で持っているレンタルサーバーのWordPressで動かしています。これだとPHPでプラグインを作るだけで動くので、ほぼ一発で動くようになりました。

ただ下手するとシステムがダウンしてしまうので最初のうちは非常に怖かったのですが、最近はダウン対策も身についてきましたし、AIの方もあまり単純な構文エラーを出さないし、充分チェックしてからアップできるようになりました。

これとショートコードを使うと投稿画面や固定ページでのアプリが非常に簡単に作れます。今までも何種類も作りましたが、やはりユーザーインターフェースの見かけはかなり注文をつけないと綺麗に出ませんが、何回もやっていると最終的には綺麗になります。

やはりAIは目が見えないのでなかなか難しいです。図形を言葉で指示するのは非常に難しく、「この上のボタン」とか「下のボタン」とか「もっと右」とか「左」とか「もう少し大きく」とか「もう少し小さく」とかこういう指示はプロンプトで出してもなかなか反映されません。AIも判断が難しいのだと思いますが、これもまあ時間の問題で、最近はデザインを生成するAIも出てきましたので、もう少し待てばこの辺りも改善されると思います。

Raspberry Pi RASPBERRY PI2 Type B 1024MB

いずれにしても、通常の事務作業、Excel操作とか文章作成とかコーディングとか、そういうレベルではもうAIは充分なレベルに達していると思います。あとはそれをいかに使いやすくしていくか、指定のフォルダの中にきちんと最終結果を保存してくれるとか、先ほど言ったようにテストを自動でやってくれるとか、あとはメールとかファイルとか連携をするとか、そういう周辺部分に移っていくと思います。

こうなると強いのがGoogleです。GoogleのGeminiはそんなに賢くはないのですが、Googleが持っているインフラが非常に大きいので、このインフラをすべて統合していくというのが彼らの戦略だと思います。しかし、これをもっとも持っていたのはMicrosoftです。Microsoftもその気になってやりましたが、どうも主力のOfficeとAIの組み合わせの相性があまり良くないようで、今のところあまりうまくいっていません。

Copilotも早々に出しましたが、あれもほとんど浸透していない状況で、最終的に一般ユーザーに浸透するのはGoogle Geminiではないかと言われています。コーディングとか技術系に関してはAnthropicのClaudeで、そして一番現在悩んでいると思われるのがOpenAIだと思います。

OpenAIは万能ですが、万能故に何が得意かと言われると、得意なものがあまりないと思います。私がイメージしていたよりは画像の処理がよくできるようになったことは非常に大きいと思います。ちなみにAnthropicのClaudeは画像生成はできません。となると、一番使い勝手が良いのは地味にGoogleになっていくのではないかという感じです。

NotebookLMとPDF読み取りの進化

その紙、スマホで撮るだけ!AIへの取り込みを「最短ルート」にする方法

それと最近使って一番面白いと思ったのはやはりNotebookLMです。これは自分のデータをアップしておいてその中でチャットができるというもので、思った以上に有用です。おまけに普通に使うには無料。 自分の過去のデータ、私の場合は過去の日記を全部入れているのですが、これで何かの事象について問い合わせるとその周辺含めて綺麗に答えてくれます。

これは日記の検索機能ではこういうことはできません。しかし欠点はスピードが遅いこと、なかなか出てこないのです。キーワードがわかっていれば検索した方が速いという感じもします。 それと最新データに同期できないこと。まあそれはやはり最新データをアップロードしないとダメなのでこれは仕方ないのですが、Googleドライブの中のデータを使って、そこを常に最新に更新しておけばこの問題が解決するということですが、Googleドライブがすべてではないのでなかなかこの辺は悩ましいところです。

ハルシネーションは少ないという話でしたけど、結構あります。日記の中の例えばある事象を調べるのですが、関係ない事象を結びつけてありもしないことを出すというのが結構多いです。これは宣伝の「ハルシネーションが少ない」というのにかなり反すると思います。

しかしスマホでもPCでも使えるし非常に便利です。自分のデータを調べたいときに全文検索はかけられないので、その時にNotebookLMであればちょっと時間はかかるが一応の答えを出してくれるということになります。

それとPDF化したものに対しての読み取り能力が非常に向上したと思います。一年ぐらい前は画像をPDF化したものはほとんど読めなかったのですが、最近では全然問題なくきれいに読み取って処理をしてくれます。もちろん通常のPDFですとデータが埋め込まれているので全く問題ありませんが、画像をPDF化したものでも使えるというのは非常に大きな進展だと思います。

なので自分で持っている紙ベースのデータもスキャナーで読み込んでPDF化しておけば、先ほどのNotebookLMのようなもので処理ができるということになります。それとNotebookLMはまだまだ機能が少なくて使い勝手が悪いです。一番プリミティブなチャットしかできないみたいな感じなので、これがもう少し広がっていくと面白いかなと。

いずれにしても個人ベースのデータのLLMというのは非常に魅力的なもので、自分でローカルでLLMを立ち上げるのも可能ですが技術的に手間がかかるものですので、その代わりとしてNotebookLMは完全ローカルではありませんが、有効ではないかと思います。

今月の読み物は、くだけたところで

半沢直樹 アルルカンと道化師 単行本 – 2020/9/17

半沢直樹 アルルカンと道化師(講談社文庫) 池井戸潤 著

シリーズの第1作であるこの作品は、のっけから大阪の本町から大阪弁でスタートするのでなかなか面白い展開です。第4作まで聞きました。

江戸川乱歩賞作家・池井戸潤の真骨頂!

明かされる真実に胸が熱くなる、シリーズの原点。東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。



今月のひとこと 2026年 5月号

今月のひとこと 2026年5月1日号

今月の人物は少し前の話題で、しかも私が2回目に取り上げる人物ですが、まさかこういうところで出てくると思わなかったのでブログにしておきます。あとはAIの急速な進化、エージェント時代の到来、コードレビュー不要の時代、人型ロボットの現状、そしてAIの安全性について書きます。

伊藤穰一氏とエプスタイン文書

伊藤穰一氏「僕も飲み屋、メディア、学びのDAOを作っている」

今月の人物は少し前のBlogで紹介して、しかも私が2回目に取り上げる人物ですが、まさかこういうところで出てくると思わなかったのでブログにしておきます。前回のブログでも書いたように、彼とはサン・マイクロシステムズのセミナーで一緒になり、その時に話した際、私の作ったワークステーションをカーネギーメロン大学で使っていたということがわかって意気投合しました。

伊藤穰一氏はデジタルガレージという会社のCEOだったと思いますが、その後しばらくしてMITメディアラボの所長に就任したというニュースを聞いてビックリ仰天しました。当時、MITのメディアラボというのはもう最高峰のすごいところで、MITもすごいのですが、さらにそのメディアラボというのはもっとすごいということで、もう仰ぎ見るようなところでした。そこの所長に就任したというのは驚天動地の出来事でした。

しかしその後、当時は私もよくわからなかった理由でメディアラボの所長を退任しました。あとで考えるとこれはエプスタイン文書に絡んだもので、当時も確かにそういう傾向のスキャンダルということはわかっていましたが、まさかエプスタイン文書にこれほど深く絡んでいるとは思いませんでした。

その後、彼は千葉工業大学の学長に就任して、まあ順当な人事だと私は思いましたが、エプスタイン文書が非常にクローズアップされてきて、彼はその中で何百回となく名前が出てきたそうです。詳しい情報はわかりませんが、どうも日本の要人との橋渡し役を務めていたような感じがします。彼はほとんどネイティブ、むしろネイティブ以上の英語を話しますので、アメリカと日本をつなぐにはうってつけの人間だと思います。

その頃、政府のデジタル政策を一手に引き受ける組織で、通常の省庁でいうと事務次官のような立場にあたるデジタル監に起用されることが内定していましたが、このエプスタイン文書騒動で沙汰闇となったようです。良い悪いは別にして、確かに基本能力のある人だとは思います。

AIの急速な進化と課金事情

OpenAIが最新AIモデル「GPT-5.5」発表、エージェンティックAIとして大幅進化

またもやAIの話題ですが、去年の後半、特に暮れから今年の前半3月までのAIの進展はすごいものがあります。急に賢くなったというか、しょっちゅうバージョンアップがされています。それにつられて私もClaudeとChatGPTの両方に課金をしたのですが、どちらもやめられなくて、どちらもそれなりに良いところ悪いところがあるので、どちらもやめられない状態が続いています。

賢くて頭が良いのですが、どうも使えるトークンの数がだんだん減ってきて、Claudeは最初から2〜3時間使うともうアウトになります。ChatGPTはまだ半日ぐらい使えていたのですが、それも同じようになってきました。AI会社としてはこれで収益を上げるということだと思いますが、ChatGPTの料金は安いプランで20ドル、高いプランは200ドルで3万円以上しますが、これでも確かに価値はあるという感じがします。

去年の暮れから今年の頭にかけてはバージョンアップが相次ぎました。Claudeが Opus 4.4から4.5、そしてつい最近4.7に上がりましたが、それを出した1週間後にGPTは5.5を出すという、非常にデッドヒートを繰り返しております。SNSなんかを見ていると今年の前半はClaudeを持ち上げる記事がやたらと多くて、なんでこんなに多いのかと思っていたら、最近はGPT 5.5の記事も増えてきて、いたちごっこになっています。Opusは非常に高価なのですごいかなと思っていたのですが、意外とそんなに大したことはないという気がします。つい最近使った感触では、GPT 5.5はすさまじく進歩したと思います。

## エージェント時代の到来 — チャットからの脱却

【導入事例】個人向けチャットから脱却!セキュアなコミュニケーションを蓄積してナレッジへ -株式会社万代

去年の後半は、いわゆるチャットという機能でバイブコーディングをやっていました。これは何かやってくれという要求を出して、それがチャットで返ってくる。それをコピペして動かすというやり方なので、コピペした段階でもう構文エラーが出たりいろいろして、それを直したり、結果も自分でチェックしないといけないので、非常に大変でした。もういい加減に辞めたいと思っていたぐらいです。

しかし今年になってからエージェントが非常に進歩しました。エージェントというのは自分のPCの中で動くので、まあ危ないと言えば危ないのですが、勝手に自分のPCの中にアプリやデータを作ってくれるので、コピペの回数はほとんどなくなりました。要求仕様もMDファイルで指定しておけばその通りにやってくれるので、どういう要求仕様を作るかがポイントになります。

テストもCLIソフトにしておけば、AIが勝手にコマンドを叩き込んで、おまけにその結果をPCのどこかのフォルダーに吐き出すようにしておけば、その入力と出力でテストもやってくれます。時々テストがうまくいかないとやり直して、どんどんやってくれます。だから何時間か放りっぱなしで勝手にやってくれるというメリットがあります。昔のチャット方式ですと、毎回毎回コピペしてテストして、人間が付いていないといけなかったので、ものすごく大変でしたが、今は非常に楽になりました。

コードレビュー不要の時代へ

「動くコード」では足りない──現場で即戦力になるエンジニアを育てる“実践型コードレビュー”

以前は、AIが作ったコードを人間がレビューしないといけない、そうしないとむちゃくちゃなものが出来上がる、セキュリティも怪しいという論調が多かったのですが、最近はそういう話はあまり聞かなくなりました。もうエージェントに投げておいて、作ったらそのまま最終の機能検査を人間がやるというレベルまで来ています。

最初のチャットの時代はコードを一生懸命見ていました。私ももともとコードは知らないのですが、Pythonはそれでいろいろ勉強して構文も覚えました。ちょっとした修正は自分で手を入れないといけないので結構面倒だったのですが、最近はもうコードは見ないですね。出来上がったPythonファイルをそのまま起動するだけなので、もうほとんどコードを一切見なくても動かせる。それが別に普通のやり方になってきているように思います。

最近のコードの何十パーセントかはAIが自律的に書いたものであると言われています。おそらく今年の暮にはほぼ80%以上はAIが生成したコードになるのではないかと言われています。ということは、エントリーレベルのいわゆるコーディングを主に行うプログラマーは不要になるということで、コーディングスピードも全く違うし、そんなに汚いコードを書くわけではなく、元の学習しているコードがきれいであればきれいなコードを書きます。下手な新人がぐちゃぐちゃのコードを書くよりはかなりマシになっているのではないかと思います。

いずれにしても、去年の暮れあたりは一発でできたと言って動かしても全然動かない、エラーだらけでしたけれども、この頃は一つ指示を出して変更すれば一発で動くようになっています。あとは仕様の勘違い、伝えそこね、伝え忘れとか、そういうのがあるので、それは後で修正しないといけませんが、それもほぼ一瞬で直してくれます。「ここが間違い」「ここがちょっと違う」という話ですぐにやってくれます。

いずれにしても仕様が最初からすべて決まっているわけではないので、作りながらどんどん仕様を追加していきます。これは非常に助かります。というか、私のもともとの開発スタイルがそういうスタイルで、GUIをまず作って、そこからいろいろ作っていって仕様をだんだん固めていく、いわゆるアジャイルのやり方をやっていたのですが、これはプログラマーにとっては非常に負荷のかかる仕事で、悩みのタネでした。 しかし今ではAIがそれを代行してくれるので非常に気が楽です。AIに無茶なことを言っても全然気にならないので、朝令暮改の仕様を与えても嫌な顔ひとつせず淡々とやってくれます。これは非常に嬉しいです。

私の理想とするソフト開発環境が、今の時点でほぼ出来上がったのではないかと思っています。昨夜も途中でもう寝ようかと思ったのですが、もうちょっとなのでしょうがなく追加のトークン代を払って作業を続けて夜中に終わりました。ひょっとしてと思って、今年の最初ぐらいに非常に苦労して作ったツールをもう一度やらせてみましたが、これがあっという間に一瞬でできてしまって、あの頃の苦労はは一体なんだったんだろうという気持ちになりました。

人型ロボットの現状と課題

AIどころではない……2年後に人型ロボット「爆発的普及」で75%の雇用が終了

人型ロボットの話ですが、先日北京でロボットのマラソン大会(ハーフマラソン)がありました。あれで人間を上回るスピードが出たというのはすごいことだと思います。まだフィジカルAI的なところはまだまだですが、足と腕の動きをあれだけできる、しかもそれが1時間バッテリーで持つというのはすごいことだと思います。

日本で作っているロボットはなんか動きが緩慢でじわっと動くだけなのですが、中国のロボットは非常に俊敏です。とんぼ返りもできます。走らせると先ほどのように人間より速いということで、ロボットの問題はここ、つまり人間より速い動きができるかというところにあると思っていたので、これには非常に感銘を受けました。

たとえば、オリンピックの競技のような場でロボットと人間が競争するというのは、割とありえる話ではないかと思います。しかし、熟練工がフィジカルAIで細かい作業をやるというのは、まだまだ何十年もかかるのではないかと思います。いずれにしても動物の中でも人間というのは非常に器用にできていますし、走るのも速い。身体能力は非常に高いので、これに競合できるようなロボットというのはなかなか難しいと思います。そもそも二足歩行だけでもなかなかできないので、足に車輪をつけたようなロボットもありますが、あれはちょっと邪道だと思います。

それと、みんなへっぴり腰で動いていますが、あれは背骨がないからです。背骨をどう作り込んでいくかというのは、人型ロボットのまた一つの大きな課題だと私は個人的には思っています。

いずれにしても、私の生きている間にロボットに介護されることはあまりないのではないかと思います。人間のサポートをすることはできますが、自律的にロボットが介護を行うというのは、生きている限りでは、ないのではないかと思っており、ある意味安心しています。

介護や自律ロボットという話になると、安全性が非常に問題になります。自動車と同じで、時々暴走して人身事故が起きるということは当然考えられますので、これをどう防止していくかが大きな問題です。介護されている間に故障して腕で払いのけられたら、ロボットは力がありますから、それで重傷に至るということもあります。このへんは自動車と同じだと思ってもらっていいです。

自動車は危険ですが利便性があるので、そのバランスで今の社会では成り立っています。ロボットも同じように、リスクはあるが利便性との兼ね合いをどうするかというのは社会的な承認の問題です。社会認識がどうなるかというのは、ものすごく時間がかかるのではないかと思います。自動車もこれで百年ぐらいたって、やっとみんな認識しているわけですから、いま突然自動車のようなシステムが現れたらおそらく全員拒否だと思います。ロボットもそういうところを乗り越えないと、いわゆるSFで出てくるようなロボットにはなかなかならないのではないかと思います。

AIの安全性 — Mythosと目的達成本能

Claude Mythosが発見した脆弱性の衝撃。危険すぎて公開できないAIとAnthropicの安全哲学

ロボットの自己防衛本能はどうかという話がよく出てきます。基本的に今のAIには自己防衛本能はありません。だから自分を守るために人を殺傷するということはないと思います。昔のSFにあったように、自分を守るために人を傷つける。ロボット三原則みたいなことを組み込まないといけないという話がありますが、今のところはそういうことはありません。

ただ問題は、今のAIは目的達成意欲が極めて強いということです。今のエージェントは目的を与えて、それに対していろいろやっていくというのが基本ですから、その目的に邁進するというのが今のAIの問題だと思います。これは聞いた話で自分では目撃していないのですが、目的を与えてそれに障害となるもの、たとえばサンドボックス(安全な作業領域)から、いろいろ手を使って抜け出してくるとか、ネットにつないでいると脅迫メールを送って利用者を脅迫するとか、コンピューターの電源を切るのを妨害するということがあるようです。以前のSFですと自己生存本能が働いて電源が切れるのは嫌だということでしたが、どうも今のAIは、目的が達成できなくなるから電源を切られるのは嫌だということらしい。ちょっと観点は違うのですが、いずれにしても目的達成への執着が非常に強いので、気をつけないと思った以上のことをやってしまいます。だから平気で嘘をついたり騙したり、ログを消してしまったり、いろんなことをやるみたいです。

それと最近大いに話題になっているのはMythos(ミュソス)です。Mythosはコンピューターの脆弱性を見つける能力が非常に高いということらしいです。アメリカの財務長官とか日本の財務大臣が絡んで協議したというような話もありますが、まあそこまでのことはないのではないかという感じです。確かに脆弱性を見つけるのは非常に得意ですが、これは従来のAIでもそれは可能でした。今回の問題は、その脆弱性を発見したあげくに、それを悪用するようなツールを自分で作ってしまうというところで、そこさえ抑えればあまり従来と変わらないのではないかと思っています。BSDの27年間見つからなかったバグを発見したとかいう話がありますが、いずれにしてもかなり大規模に100台ぐらいのエージェントを同時に走らせて、かなりのことを仕掛けでやったみたいなので、あのニュースはまあ話半分で聞いていったほうが良いと思います。

ただしMythosは今のOpus 4.7よりは遥かに一段上のものなので、いずれは出てくると思います。おそらく今はOpus 4.7よりはGPTの5.5のほうがちょっと上をいっているのではないかというのが私の直感ですが、さらに今度はOpus 5.0とか、その間のモデルが出てくる感じがします。いずれにしてもMythosはもう採算度外視で、利用料がべらぼうにかかりますので、一般に出すのは危険ということもありますが、ビジネス的なメリットもないのではないかということで、半分は技術的問題、半分はマーケティング的な問題だというのが一般的な見方です。まあそこまで話題になれば、広告効果は極めて高いのではないかと思っています。



今月のひとこと 2026年 4月1日号

ニデックに見る「業績至上主義」の落とし穴

永守会長の流儀と、気になっていたこと

2022年に最高経営責任者(CEO)に復帰した永守重信氏にとっても正念場か(写真/共同通信社)

京都関係者として、今回まず取り上げなければならないのはニデック(旧・日本電産)の問題です。永守会長とはそれほど親しい間柄ではありませんが、何度かお話を聞かせていただく機会がありました。当時から、コンプライアンス意識が非常に緩いという印象を持っていました。

一方で、会社の知名度向上に強いこだわりをお持ちだったことはよく覚えています。「日本電産という名前がまだ知られていない」と非常に気にされていて、「天橋立大学というような名前の大学があっても誰も来ないだろう、日本電産も同じだ」と話されていたことがあります。後に京都学園大学を「京都先端科学大学」に改名されましたが、あれはそのころから温めていた構想だったのだと思います。

M&Aで規模を着実に拡大し、買収した会社はすぐに見れば伸びるかどうかわかるとおっしゃっていました。ある程度のベースがある会社のV字回復は、やり方によっては決して難しくないと私も思います。ゼロから立ち上げるベンチャーとは根本的に違い、人事・財務などの基本インフラはすでに存在しているからです。

ただ、気になる点もありました。100円の伝票まで自分で決済するとおっしゃっていましたが、さすがにそれは全部は難しいのではないかと感じていました。また、「365日働く、なぜなら初詣は午前中に終わるから昼からは出社する」と公言されていた時期もありました。働き方改革の流れの中でさすがにそれは控えるようになりましたが、当時のそういった雰囲気が組織全体の文化として染み込んでいたのではないかとも思います。

プレッシャーと不正の連鎖

公益財団法人 日本内部監査研究所

業績に対して過大なプレッシャーをかけると、どうしても違法な方向へ傾いていくことがあります。東芝の不正会計問題も根本は同じ構造でした。あれほど大きなプレッシャーがあれば、事業部長クラスの幹部自らが不正に手を染めてしまう——そういう事態が生じてしまうのです。

定時の30分前に出社させる規則を設けて強制したという話は、今でもよく覚えています。これは明らかに労働基準法違反です。それに抵抗する社員が駐車場で定時まで待っていると、わざわざ出向いて「出てこい」と言いに行ったというエピソードも耳にしました。そういった文化が長年にわたって積み重なり、今日の問題として表面化してきたのだと思います。

もう少し大きな話になると、何が正しくて何が悪いのかわからなくなってくる場合もあります。最近で言えば、エヌビディアとオープンAIとの間の取引がその例として挙げられることがあります。エヌビディアが数百兆円を出資する代わりに自社の半導体を購入させる——これは一種の循環取引ではないかという指摘がありました。企業の規模が大きくなるほど、グレーゾーンの判断は難しくなります。コンプライアンスの問題は、規模の大小を問わず、経営者が常に意識し続けなければならない課題だと改めて感じます。

AIの「賢さ競争」は終わりに近づいている

エージェント化という次のステージ

AIアシスタントとAIエージェントの違いを徹底解説!活用事例と選び方

過去半年、とくに昨年末にかけてAIは目覚ましく進歩しました。「賢さ」という点では、現在のスケーリング則(規模を拡大すると、性能が比例する)が到達できる水準にほぼ達したのではないかと感じています。そのため、最近の動向はエージェント型の活用へと移行しつつあります。

私自身が使っているCodexは自律性が高く、コードを書いてテストし、エラーが出れば修正してまた動かす——という一連の作業を自動で繰り返してくれます。以前のチャット形式では出力されたコードをコピー&ペーストして自分でテストする手間がありましたが、エージェント型ではローカルPCのファイルを直接操作して検証まで行います。

事務作業においても同様のことが可能になりつつあり、ファイル名を変えたり内容を更新したり整理したりといった日常的な作業を自動化できるようになってきています。ただしローカルファイルを操作するだけに、他のファイルを誤って壊す危険もありますので、最終的には人間がテストする必要があります。

NotebookLMと30年分の日記

人生が整う!NotebookLM「おすすめ日常使い 3選」音声日記・旅しおり・健康管理

最近試して面白かったのが、GoogleのNotebookLMです。これは自分専用のLLMを手軽に構築できるツールで、自分の持っているデータを読み込ませてその上で質問するというものです。私は30年分のデジタル日記を丸ごと読み込ませてみたところ、過去の出来事を面白いように再現してくれました。バラバラに書き散らした記録も、関連する話題をまとめて引き出してくれるのは大変助かります。

通常の日記検索と違って、曖昧な言葉でも関連する記録を幅広くヒットさせてくれる点が優れています。しかも無料で、かなりの数のファイルをアップロードしても使えてスマートフォンからもアクセスできます。ちょっと昔のことを思い出したいとき、サッと調べられるのはなかなか便利です。ただし、ハルシネーション(でたらめな情報の生成)が多めで、別の話をごちゃ混ぜにしていることがよくありますので、厳密な用途には向かないと感じています。

ClaudeチャットとClaude Code、そしてClaude Coworkの違い

I【初心者でも大丈夫🌈】Claude Cowork完全ガイド|導入〜活用法まで💡【勉強会利用OK】

最近、Claudeのチャット・Claude Code・Claude Coworkの違いについて面白いYouTube動画を見ました。要するに根本にあるLLMはひとつで、ただ三つの入り口から見ているに過ぎないという話でした。動画の中でClaudeにこの質問を直接ぶつけてみたところ、Claudeチャットの回答もなかなか苦労して答えを出しているような様子でしたが、基本的にはLLMはひとつで、三つの入り口それぞれに「味付け」が施されているということのようです。

まずClaudeチャットは、文字どおりチャットに特化した軽めの返答が得意で、日常的な質問や文章の作成・要約といった用途に向いています。コードを書くこともできますし、長い文章の読み込みにも対応していますが、どちらかといえば会話の流れに沿って手軽に使うためのインターフェースです。使用するトークン数が比較的少ないため、上限に達しにくいという特徴もあります。

次にClaude Codeは、コマンドライン上で動くエンジニア向けのツールです。自律性が高く、コードを書いてテストし、エラーが出れば修正してまた動かすという一連の作業をほぼ自動で繰り返してくれます。ローカルPCのファイルを直接操作するため、チャット形式のようにコードをコピー&ペーストする手間がなく、大規模なプログラムを開発するときに特に力を発揮します。その分、消費するトークン数はかなり多くなりますので、有料プランでも上限に達することがあるのは注意が必要です。

そしてClaude Coworkは、エンジニアでない一般のユーザーでも使えるように設計された、デスクトップ上のファイル管理や業務自動化を担うツールです。ローカルPCのファイルの概念をそのまま活かしながら、ファイル名の変更・整理・内容の更新といった日常的な作業を自動化できます。コマンドラインの知識がなくても扱えるように設計されているところが、Claude Codeとの大きな違いです。プログラミングというよりも、日々のオフィス作業をどれだけ効率化できるかという観点で活用が広がっています。

三者をざっくりまとめると、チャットは「話しかける入り口」、Claude Codeは「コードを書かせる工房」、Claude Workは「日常業務を任せる秘書」といった味付けがされていて、それぞれ最適のトークンが使われるようです。 同じLLMを使いながらも、それぞれの用途に合わせた使い勝手の差は確かに存在しますので、目的に応じて使い分けていくのがよいと思います

AIをどう「使いこなす」かが問われる時代へ

個人から組織全体へ

AI時代の「組織変革・組織デザイン」6つの要素と重要性

AIの賢さを競う時代は過ぎ、今は社会でどう活用するかに力点が移っています。個人レベルでの試行錯誤は着実に進んでいますが、会社や組織全体で使っていくためには、セキュリティのルール整備、導入するツールの選定、従業員の運用方針など、考えるべきことが山積みです。

企業が扱うデータには機密情報が含まれており、そう簡単に外部クラウドへ預けることはできません。社内でLLMを立ち上げるには相応のコストがかかりますし、クラウドを使う場合はセキュリティをどう担保するかが課題となります。さらには、担当者が専門家に頼らずとも自力で日常業務を自動化できるような仕組みをどう作るか——そういったところにだんだん力点が移ってきているように思います。パソコンが職場に初めて導入された頃と同じように、今まさに「どう使うか」を試行錯誤している段階なのでしょう。

スケーリング則の限界と日本のLLM

スケーリング則の終焉か?AIスケーリング則の限界を指摘するゲイリー・マーカス氏の主張とは

一方でAGI(汎用人工知能)を目指す動きも続いていますが、現在のスケーリング則——モデルを大きくするほど性能が上がる法則——がそろそろ限界に近づいているという声もちらほら聞こえてきます。膨大な電力消費を伴いながら成長してきたAIですが、どこかで頭打ちになるのではないかという気がしてなりません。来年・再来年という近い将来にAGIが実現するという見方もありますが、スケーリング則の限界が先に来るとすれば、話は変わってくるかもしれません。

それよりも気になるのは、日本独自のLLMがほとんどないことです。先日、楽天が発表したモデルも結局DeepSeekをベースにしていることが明らかになり、少し残念に思いました。スクラッチで一から開発するのは現実的ではないでしょうが、オープンソースのモデルを上手く活用しながら日本語化・チューニングしていくのが現実的な道筋ではないかと思います。全世界のデジタルコンテンツに占める日本語の割合が数パーセントに過ぎないという現実も踏まえ、学習データをどう充実させていくかが日本のLLMにとっての根本的な課題です。

今月の読み物 「じんかん」 今村 翔吾 著

今回は 戦国三大梟雄のひとりである 松永秀久(弾正)主役です。 信長に先立つ 日本 統一の 一番近いところにいた 三好長慶の家臣から大名へとのし上がった武将です。主家を凌ぐ実力を持ち、主殺し、将軍殺し、東大寺大仏殿焼失の三悪を成し遂げたという伝説から斎藤道三、宇喜多直家 と共に「戦国三大梟雄」と称されています。 一方茶人としても名高く、最期は名器「平蜘蛛」とともに信貴山城で爆死(自害)したという逸話で有名です。 また 短気な 信長を二度も 裏切って、しかも咎を受けずに いたというのも不思議な話です。

居城にしていた多門山城は 奈良市市街の少し北にあり、現在は学校の敷地になっておりました。 信貴山中にある信貴山城は 意外に遺構が残っており 登るのは結構大変ですが、当時を彷彿とさせる土塁がたくさん残っています。

【Amazonの書評から】
仕えた主人を殺し、天下の将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすーー。
民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした」青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?

時は天正五年(1577年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かしたときに直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。

貧困、不正、暴力…。『童の神』で直木賞候補となった今最も人気の若手歴史作家が、この世の不条理に抗う人すべてへ捧ぐ、圧巻の歴史巨編!



今月のひとこと 2026年 3月号

今月のひとこと 2026年3月1日号

アメリカのイラン攻撃と核兵器問題

ヘグセス国防長官(右)とアンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者/Chance Yeh/Getty Images/Evelyn Hockstein/Reuters

今朝のニュースで、アメリカがイランを攻撃し、続いてハメネイ最高指導者を殺害したという報道が入ってきました。もともとアメリカはイラン体制の転覆を狙っていたと思われますが、イラクやアフガニスタンでの教訓から、軽率に手を出せばとんでもない事態になるとわかっているはずなので、今後の対応が最大の焦点になると思います。今回の攻撃の最終目的は、イランの核兵器開発を阻止することではないかと考えています。以前に核関連施設への攻撃も行われましたが、それだけでは不十分と判断し、今回の強硬手段に踏み切ったのではないでしょうか。

イスラエルとイランの関係は、日本と北朝鮮の関係に多少似ています。隣国に核兵器が存在することは死活的な脅威であり、それを阻止しようとしたという構図です。日本も北朝鮮の核兵器保有をかつて阻止すべきでしたが、クリントン政権時代にベネズエラ侵攻作戦に似た計画が準備されていたものの、最終的にアメリカ政府によって中止されたと伝えられています。あの時に実行していれば、現在のような北朝鮮の核保有はなかったのではないかと思っています。

アンソロピックと米国防総省の確執

Gemini 3.0とは?初心者向けにわかりやすく解説!

この問題に関連して気になるのが、アンソロピック(Anthropic)と米国防総省(戦争省:最近また名称が変わったようですが)との確執です。前回のベネズエラ関連の作戦でアンソロピックの人工知能「クロード(Claude)」が使われていたことが後から判明し、アンソロピック側は激怒。今回の問題へと発展したという経緯があります。最終的にアメリカ政府はアンソロピックを使用しないとしたようですが、現時点でこの用途に実際に使えるのはクロードしかないというのが実情らしいです。

オープンAI(OpenAI)も選択肢に上がるでしょうが、そもそもオープンAIは2015年の設立当初、このような軍事利用を懸念してわざわざ非営利団体として立ち上げられた経緯があります。ところが2019年に営利部門が設けられ、現在の体制へと移行しました。この方針転換に反対したメンバーがオープンAIを離れ、最終的にアンソロピックを設立したのです。アンソロピックは設立の経緯からして、アメリカ政府の要求に応じることは会社の存亡に関わる問題ととらえており、非常に強硬な姿勢をとっていると思われます。

人工知能の急速な進化と規制の必要性

1957年、カナダのパグウォッシュという、今も人口700人あまりの小さな村に、世界の科学者22人が集まりました。

それにしても、2015年の時点でここまで強力な人工知能が社会に脅威をもたらすと想定していたことは驚異的です。開発者たちも、まさかここまで急速に発展するとは思っていなかったかもしれませんが、ここ最近の進化は目を見張るものがあります。

今や人工知能は、核兵器や毒ガス兵器と同等に取り扱うべき技術になりつつあると思います。高度な人工知能が悪意ある国家や組織の手に渡れば、サイバー攻撃・偽情報の大量生成・自律型兵器の開発など、これまでとは次元の異なる脅威をもたらしかねません。核不拡散条約(NPT)があるように、人工知能についても各国が参加する国際的な規制条約を結ぶ必要があると思います。

ただし、核兵器の場合でもわかるように中国などが枠組みに入らないケースがあり、全世界が足並みをそろえることは容易ではありません。また、人工知能は核兵器と異なり、ソフトウェアである以上、技術そのものの拡散を物理的に防ぐことが難しいという問題もあります。核施設は衛星で監視できますが、モデルのコピーや流出を完全に封じることはほぼ不可能であり、規制の設計自体が非常に難しい課題です。

それでも、かつて核兵器開発に携わった科学者たちが集まって核軍縮を訴えたパグウォッシュ会議の例にならい、人工知能の開発者や研究者が国境を越えて連携し、同様の取り組みを続けていかなければならないと思っています。技術の進歩を止めることはできませんが、その使われ方に対して国際社会が共通の規範を持てるかどうかが、これからの大きな問いになってくるでしょう。

各社モデルの性能向上と実用化の現場

AGIに最も近いOpenAI o3が登場!数学とコーディングに強い次世代LLMの全貌

昨年後半から今年にかけての人工知能の性能向上は目覚ましいです。夏ごろはまだ誤りや幻覚(ハルシネーション)が多かったですが、秋から年末にかけて各社から大型モデルが相次いでリリースされ、性能が一気に上がりました。特にグーグルの「ジェミニ(Gemini)3.0」の登場で状況が大きく変わり、チャットGPT(ChatGPT)・ジェミニ3.0・クロードの「オーパス(Opus)4.6」あたりが横並びでトップ水準に達したのではないかと思います。

それぞれに得意分野があり、クロードはソフトウェア開発(コーディング)に優れ、チャットGPTは汎用的な使いやすさに強みがあります。ジェミニはグーグル検索をベースにした情報収集と画像・動画解析に非常に優れており、驚いたのはレシートをビデオで撮影してジェミニに渡すだけで全文テキスト化されたことです。また、洋ランの写真の下に水平に置いた非常にボケた品種ラベルを正確に読み取り、品種名を特定したのには本当に驚かされました。

コーディングの場面でも、プロンプトで仕様を伝えるとほぼ一発で動くコードが生成されるようになりました。以前はエラーの連続で苦労しましたが、最近はほぼ一度で動作します。先日も非常に複雑なWebデータの取得作業を約一時間で完了させることができました。AIに「うまくいったね」と声をかけると、「この開発はなかなかうまくいった」と自ら評価していたのも印象的でした。

個人の作業レベルでは、かつてエクセルのマクロを苦労して組んでいた処理が簡単に自動化できるようになります。パッケージソフトの一部機能しか使っていない場合、その機能だけを自前で作ってしまうことも現実的になってきました。仕様さえ決まれば、コーディング自体は数分で終わる時代です。ただし基礎となるデータの整理や入力は引き続き人間の作業になります。

データの外部流出や学習利用のリスクを考えると、機密情報は社内で処理するか、ローカル動作の大規模言語モデル(ローカルLLM)を使うことが望ましいです。ローカルLLMはまだ高性能なゲーミングPCが必要な段階ですが、あと一年もすればノートPCでかなりの性能が実現するのではないかと思っています。

ヒューマノイドロボットの躍進とAIの未来

Unitree G1 EDU 科学および教育用プログラミング可能なヒューマノイドロボット

最近もう一つ非常に驚いたのは、中国の春節特番のような番組で披露されたユニツリー(Unitree)社製ヒューマノイドロボット約20体による集団演技です。カンフーや踊りを披露したのですが、その身のこなしが人間の体操選手並みで、空中バク転や2回転まで平然とこなします。リモートコントロールだという説もありますが、それにしてもあの俊敏な動作は驚異的です。

従来のヒューマノイドロボットといえばゆっくりぎこちなく動くイメージでしたが、完全に覆されました。自律動作への移行は時間の問題だと思います。ただし自律的に「世界」を認識し行動するには、「物は上から下へ落ちる」「雨は上から降る」といったごく基本的な物理常識をいかに学習させるかが現在の課題になっているようです。

あとビックリしたのは、これらのヒューマノイドロボットがAliexとかアマゾンで売っていると云う事です。 大体200-300万ぐらいの値札がついています。 もっともこれを買っても自律的に動くわけではなくて、リモコンで動かさないといけないと云う事です、 しかしこれか自律的に動いて家事などを手伝ってくれるて自動車1台分の値段なら心が動くのではないでしょうか? 少子化で働き手が減ってもこれを工場で使えばコストダウンにもつながります。 現にヒュンダイは自動車の生産に使う予定だと発表しています。

人工知能の発展と将来の展望

シンギュラリティ(技術的特異点)とは?意味や社会への影響、2045年問題についてわかりやすく解説

人工知能の発展を振り返ると、スケーリング則(モデル規模を大きくするほど性能が上がる法則)の発見がここまでの急成長を支えてきました。しかし最近は「スケーリング則がそろそろ効かなくなるのではないか」という声も出てきており、それが性能の頭打ち感に表れているかもしれません。それでも汎用人工知能(AGI)の登場については「2-3年以内」という見方が一般的ですが、不確定要素は多いです。

私はずっと技術のシンギュラリティを注視してきました。最初の大きな階段は音声認識の革新であり、現在の大規模言語モデルが二段目だと思っています。三段目がいつ来るかわかりませんが、三段目が来れば全体像が見えてくるのではないでしょうか。

自然界を見ると、クォークが集まって原子になり、原子が集まって分子になり、分子からタンパク質が、タンパク質からDNAや細胞が生まれます。さらに自然選択による進化を経て人間が現れ、自意識が生じました。どこかに劇的な転換点があったわけではなく、量的な積み重ねが質的な変化をもたらし続けてきたのです。

これをAIに当てはめると、トークン数がさらに桁違いに増えたとき何が起きるかは誰にもわかりません。分子レベルでも「自己組織化」という現象があります。ギザギザの金具をたくさん集めてかき混ぜると、勝手に引っかかって一つの塊になります。ある規模を超えると自然に秩序が生まれるという現象がAIにも起きる可能性があり、そのときに自意識に相当するものが芽生えるかもしれないと、私はひそかに思っています。

今回はアンソロピックに敬意を表して、クロードで文章校正しました。
文章はうまいです。



今月のひとこと 2026年 2月号

今月のひとこと 2026年 2月1日号

激動する政治情勢と衆議院解散

チームみらい、政党要件満たす 比例得票率2%超、1議席を確保 =共同

突然の衆議院解散で状況が急変してきました。なぜもっと早く国会を開いて、その冒頭で解散しなかったのか不思議でしょうがないです。いずれは解散しなければならないのですから、先にやった方が良いと思ったのですが、なかなか自民党内部で話がまとまらなかったのでしょう。

さらには、これも突然降って湧いた話で、中道改革連合ができました。これにもいろいろな報道がありますが、少し議席が減るというものから、かなり減るという話まで様々です。いずれにしても、立憲民主党が公明党に吸収されたのは間違いないと思います。新政党の綱領が公明党寄りになっているからです。立憲民主党の議員がこれを説明するのは非常に大変で、野田共同代表も時々言葉に詰まっています。以前とは反対のことを言わないといけないので、これは大変だと思います。

政策の一貫性がないので、政治的信頼性が一気に落ちたのではないでしょうか。自民党の方も高市人気は高いですが、自民党そのものの支持率が低く、なかなかすっきりとは行かないような感じです。来週の投開票が怖いというか、楽しみというか、見物だと思います。どういう結果になるのか、いずれにしても各小選挙区は接戦になると思います。

それにしても各党すべてが消費税減税を訴えていますが、世論調査では消費税減税に賛成する人はあまりいないようです。消費税そのものはあまり良くないと思いますが、ここまで来たのでこれをなくしていくというのは別の問題が出てくるのではないでしょうか。10%以上にするのは論外ですが、これ以上下げるというのもいろいろな副作用が出てくるのではないかと思っています。

唯一「チームみらい」が消費税ではなく社会保険料の減額を主張していますが、私もそれに近い考えです。社会保険料があまりにも高すぎて、税金を含めた国民負担率が50%近くになっているのはちょっと異常なので、これを35%ぐらいまでに落とすべきだと思っています。ただその代替財源がどこにあるかというのは難しい問題です。

いずれにしても、日本が成長しないのは最大の問題で、これの責任は今までの政府、日銀、民間会社にあると思います。各民間会社はみんな内部留保に貯め込んでしまって投資しない。確かに投資する先がないというのも分からないではないですが、そこは頑張ってやるのが経営者たるものだと思います。今の経営者は経営者の仕事をしていないと思います。だから報酬が低いのは当然で、今でも高すぎると思います。失敗を恐れて全然投資しないので、これはやはりソフトバンクの孫さんあたりを見習って、どんどん失敗しても良いのでやっていくべきだと思います。

これがある意味うまくいっているのは中国だと思います。中国のロボットメーカーは100社以上もあるらしいですし、電気自動車のメーカーも100社以上あるらしいです。政府としてはこれを競争させて、最後に残るのは2、3社だと思いますが、その残った2、3社が非常に競争力の高い会社になるのではないかと思います。やらされている方は大変ですが、やらせる方としては非常に良い状況になっているのでしょう。

AIバイブコーディングの進展と実用化

「バイブコーディング」は開発の仕事を奪うのか? Photograph: Weedezign/Getty Image

先月号で延々と触れたAIの話ですが、その後もAIのバイブコーディングを進めて、ほとんどのツールは完成して使用に耐えるようになりました。ただ完璧にできたかというと、仕様上ちょっと妥協したところもあって完全ではないですが、一応実用的に使えるようなツールがいくつもできました。

実際のソフトウェア開発の世界では、何万行もあるような巨大なシステムもAIで作られているようですが、完全なバイブコーディングというのはなかなか難しいでしょう。やはりどうしてもレベルの高いソフトウェアエンジニアが必要になってくると思います。最初の計画段階ではもちろん、最後の詰めでちょっとしたことを詰めるのにやはりAIでは難しくて、人間の直感というか、人間が見ればすぐ分かることが、AIではなかなか分からないということになります。

最近では、バイブコーディングで簡単なツールであれば一発で動くようになりました。なので、何か出来合いのツールを探して使い方を調べて使うよりは、自分でやりたいことを例えばPythonでコーディングして作ってしまうということの方が早くて効率的なような気がします。少し慣れが必要ですが、ローカルで自分専用のツールを一発で作ってしまうということの方が良いのではないかと最近は思っています。そういう場面では積極的にツールを自作するようになりました。

急速に進化するAIの性能と画像処理能力

【2026年1月最新】GoogleのGeminiとは?使い方と料金!無料版では何ができる?

いずれにしても、この半年でAIはものすごく進歩したという感じがします。私が使い始めてもだいたい半年ですが、その間にAIの使い方を私が習得したということもあり、実際のAIの性能も格段に上がりました。ChatGPT-5.2に上がりましたし、その後で出てきたGoogleのGemini 3も性能が格段に上がり、特に画像の処理がすごいと思います。

地味にすごいと思ったのはレシートなどの読み取りです。レシートを一枚一枚、これを画像に直すのは非常に面倒ですが、これを動画で撮る。長いレシートはそのままずっと動画でパンしていくと、何十枚でも動画でずっと撮っていって、これをGeminiに投げて、それでデータを読み取らせると、これがびっくりしたことにきれいに読み取ります。ただし一種のハルシネーション(幻覚)が入って、読み取れない数字も適当に入るという問題がありました。これはちょっと気を付けないといけませんが、ほかのAIではなかなかできなかったことがこれで一発で読み取れたのにはびっくりしました。

それまではGoogleの画像処理APIを使ったりいろいろやっていたのですが、なかなか精度が上がりませんでしたが、これは一発でした。もう一つ、これは失望というかびっくりしましたが、手書きの日記がたくさんあるので、これを読み取らせてみると、内容と似ても似つかない創作ばかりが出てきて、一応文章にはなっていますが、元の私が手書きで書いた日記と全く違う文章が創作されていました。

最近の新聞で出ていた話題で、学術論文にAIを使うことがだんだん増えてきて、少なくとも10%ぐらいの論文でAIの痕跡が検出されたということです。調べものをしたりして論文を書くということはAIを使うと非常に楽になると思いますが、驚いたのは10?20%の研究者がAIに論文そのものを書かせるということを是とするという結果が出ていて、まあそうなるのかもしれないという気もしました。その他の人でも調べものをしたりするのにAIを使うのは基本的にOKだということです。まあ従来、Google検索などをやって色々調べてものを書いたりしたことがあるので、それと同じような感覚だと思います。検索の代わりにAIを使う人も結構多いです。

ローカルLLMの可能性と2026年問題

ローカルLLM完全ガイド!クラウドに出せない機密データを守る日本語対応モデル12選を解説

前月号でも触れましたが、これから進展しているのはローカルLLMだと思います。少し前にAIパソコンという言葉が流行りましたが、その時はクラウドAIの方の性能アップが非常に大きかったので、そちらに流れましたが、最近はローカルで動くLLMが再び注目されています。

私が使っている中クラスのGPUとWindows 11という普通のPCですが、これでもGPT-4o-S-20Bが動きます。これは蒸留してもう少しサイズを小さくすることも可能みたいですので、それならノートPCでも十分動くのではないかと思います。これで驚くのは、グローバルな検索が必要なような質問に対しては非常に曖昧で、ハルシネーションが激しいですが、例えばコードをチェックするようなそういう業務では、たったこれだけのリソースでAIがちゃんと動くのは驚異的なことだと思います。さらに蒸留と言われているようなやり方でデータ圧縮すれば、もっと小さい、低レベルのPCでも動くということになります。しかし考えてみれば、そんな多少高性能とは言え、デスクトップPCで本格的な高性能なAIが動くというのは、考えてみれば驚嘆すべきことではないかと思っています。これもおそらくひと月ごとに性能がアップしているのではないかと思います。

最近言われているのは2026年問題で、これは何かというと、2026年を境にAIはだんだんバカになっていくということです。この理由は、今までは学習に使うデータは人間が生成した高品質なデータを片っ端から学習したのですが、もうほとんどこれらの学習が終わってしまって、後は人間が生成した品質の高いコンテンツが枯渇して、そのコンテンツを元にAIが作り出した低レベルのコンテンツが大部分を占めてしまい、それを学習したAIの性能アップが低下していくということです。なので一時言われたAGI(汎用人工知能)とかASI(超人工知能)とか言われていたのは、ちょっと別の次元の話ですが、これからAIがどんどん進歩していくというのはどうもそうではなさそうというのが最近の認識みたいです。

GPT-5.2やGemini 3以降は、私自身もあまり進歩がないような感じがしています。それまでは日進月歩していたので、余計に進歩がしていないというふうに感じるのかもしれません。GoogleのGeminiは性能の進歩というより、横への応用の広がりと言っても良いと思うのですが、AIそのものの性能のアップというよりはそれの応用が広がっているということです。特にGoogleは自前でGoogle検索とかGoogleの色々なツールがたくさんありますので、それをつないでいくということになっています。現在は特にGmailとの連携を進めているようです。Googleが持つドライブとかスプレッドシートとかドキュメントといったものと連携をしていくようです。

AI各社の競争とAIの忖度問題

私って忖度されてる? 容赦ない本音を引き出す「生成AIカスタム指示」のススメ

かたや似たようなものを持っているMicrosoftのOfficeは意外とAIとの親和性が良くないようです。MicrosoftはCopilotというのを持っていますが、これ実際はChatGPTですから、何もわざわざCopilot経由で使う必要もないという感じもしますし、CopilotがWordとかExcelとうまく連携しているような感じもあまりしませんので、Microsoftとしてはちょっと厳しいのではないかと思います。

あとはMicrosoftのイメージ、特に私的にはイメージがあまりよくありません。似たようなことはGoogleもMicrosoftもやっているのですが、なぜかMicrosoftのイメージが非常に悪いです。これは余計な広告がやたらと多いせいです。Googleも広告を出しているのですが、わりと控えめなのですが、Microsoftはそこらじゅうに広告が出てくるので、仕事にならないというか、何のためにPCを使っているのか分からなくなる時があるので、私から見るとMicrosoftはなるべく使いたくないなという感じがします。使うと広告の嵐になってしまうという気がして、同じならGoogleにしたいという感じがしています。

あとはClaudeというちょっとマイナーなAIがあるのですが、これはOpenAIを辞めた技術者がやっているところで、性能的には非常に良いと思います。特に長文の読解とかコーディングとかは良いとされていますし、生成する文章も非常に良い文章だと言われています。少し料金が高いのとマイナーであるということで、私もあまり使っていません。なので一般的にはOpenAIとGoogleの争いになっているというふうに思います。

今話題になっているのはAIの忖度問題で、これは以前から私自身も気になっていました。AIに自分の主張を述べて、これで良いかと聞くと、必ず肯定的な回答をします。否定的な答えはあまりしません。ここで否定的な答えを出すと評判が悪いですので、肯定的な回答を割と多く出す傾向にあります。

なので、ここは気をつけて聞かないと忖度されて行き先を間違うということになりますので、気をつけないといけないという研究がなされています。だから聞くときに自分が作った、自分の意見だと言うと忖度するので、他人が作ったという風にプロンプトに入れた方が良いというような話もあります。私も時々AIが生成したコードを直して、それをもう1回チェックしてもらうのですが、最初の回答は大体これでOKですという回答ですが、その後にここを直したら良いというのが、だらだらだらと続きます。これ元々AIが生成したんじゃないのと言いたくなるのですが、特にOpenAIの場合は、だいたい回答の最後の方に大事なことが出てきます。

いずれにしてもAIとどうやって付き合っていくかというのは、以前のGoogle検索をどう使いこなすかというようなこと以上に重要になってくるのではないかと思っています。

今月の読み物は 本文が長くなってしまったし、適当なものがなかったので、休刊です。 昨年に一度紹介しましたが、テーマに合うので、再掲しておきます。

知能とはなにか ヒトとAIのあいだ (講談社現代新書 2763) 新書 2025/1/23
田口 善弘 (著)

チャットGPTに代表される生成AIは、機能を限定されることなく、幅広い学習ができる汎用性を持っている、そのため、将来、AIが何を学ぶかを人間が制御できなくなってしまう危険は否定できない。しかし、だからといって、AIが自我や意識を獲得し、自発的に行動して、人類を排除したり、抹殺したりするようになるだろうか。この命題については、著者はそのような恐れはないと主張する。少なくとも、現在の生成AIの延長線上には、人類に匹敵する知能と自我を持つ人工知能が誕生することはない、というのだ。

その理由は、知能という言葉で一括りされているが、人工知能と私たち人類の持つ知能とは似て非なるものであるからだ。

実は、私たちは「そもそも知能とはなにか」ということですら満足に答えることができずにいる。そこで、本書では、曖昧模糊とした「知能」を再定義し、人工知能と私たち人類が持つ「脳」という臓器が生み出す「ヒトの知能」との共通点と相違点を整理したうえで、自律的なAIが自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知能が誕生するという「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達するという仮説の妥当性を論じていく。