今月のひとこと2015年12月号





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2015年12月3日
急に寒くなったと思ったら、早速風邪を引いてしまいました。 歳のせいか一度引くとなかなか直らないです。 11月は気温が高く、野菜の生育が良くて、それまでの高値から一転安値に落ち込みました。 あまりの安値に、一面の大根畑で大根を廃棄している報道がありました。 収穫して出荷するまでの経費で赤字になるのでしょう。 近くの人は自分で採りに行けば良いのですが、1本数十円の大根やキャベツのために何百円もも交通費をかけて行くのは経済理論に合わないですね。

大騒ぎしていたアメリカの利上げがやっと12月の本日の決定会合で決定されるようです。 市場は構えが出来ているので、大きな混乱は無いと思いますが、少し円高に振れるかも知れません。 為替がどっちに振れるかは、全く予想が付かないです。 日本の株式も先日の2万円台復活のあとでは下落し、今日も静かな市場となっています。

2回目のアメリカの利上げは3月と言う観測がありますが、これは余りに急すぎるので、おそらくまたやるやると言いながら、秋頃まで引っ張るのではないでしょうか。 日本の軽減税率の議論は5000億から6000億ぐらいの減税で落ち着くのではないでしょうか。 いずれにしても財務省主導の議論なので、最後はどうなるかは分かりませんが、財務省としては、消費税の10%へのアップは前提で、8%の時のショックが余りに大きかったので、それを緩和しようと軽減税率の議論になっているのだと思います。 財務省としては、ショックを和らげるための軽減税率は実現したいが、税収が落ちるのはイヤだと言うジレンマに陥っていると思います。

首相官邸としては消費税アップをやるのなら、軽減税率は不可避。 本音では上げたくないので、消費税の増税とトントンでもやむを得ないとおもっているのではないでしょうか。 もし消費税アップを延期するのなら、軽減税率の議論はやってもやらなくても良い事になります。

パリの同時テロを切っ掛けにシリアの中心とした中東は更に混沌としてきました。 アメリカが一歩引いて、フランスとイギリスが前に出てきました。 そもそもオスマントルコを滅亡させて、この地域をバラバラにしたのはフランスであり、イギリスですから、そのツケが回ってきたのだと思います。 アメリカは原油問題があったので、しがらみがないのにイラク戦争では出て行きましたが、本来の紛争のネタを作ったのはヨーロッパ勢ですから、とんだ迷惑と思っている部分はあったのでしょう。

第1次世界大戦のころの中東やアフリカに対するヨーロッパの侵略は凄まじいものがあります。 謀略につぐ謀略。 これを極東からじっくり見ていた日本は、出遅れ感と、中国大陸に対する対応法を勉強したものと思います。 その結果の満州事変であり、中国戦争だと思います。 今の価値観で侵略だとか、何とか言いますが、当時はむしろ、それが世界標準で、もしこれをやらなかったら、国民からもの凄い反発があったと思います。 ヨーロッパ勢が中東やアフリカでやってきたことを考えると、日本の朝鮮併合や満州国設立などは、非常に優しいやり方で、むしろ手緩い感じがするものです。

ヨーロッパつながりで最近はドイツが力を得てきて、EUの盟主になりつつあります。 そのドイツのマックス・プランク研究所が保有する世界最大のステラレータ(ヘリカル)型核融合炉「ウェンデルシュタイン7-X (W7-X)」が、ついにスイッチオン秒読み体制に入ったとのこと。 核融合はいつまで経っても「50年後」だったのですが、それが少しは縮まったのかもしれません。 トカマク型もそれなりに複雑だったのですのが、このヘリカル型は全体像が想像できないほど複雑です。 組み立てに19年もかかっているそうで、プラズマ生成時間も長時間とのこと。 動画があるので、ゆっくりと眺めてください。 ドイツ語ではなくて英語です。

今月の読み物は、新装版 落日の宴 勘定奉行川路聖謨(上下) 講談社文庫 吉村 昭

オススメ度 ★★★ 官僚じゃない人も必読

あまり期待せずに読み出しましたが、読み出したら停まらない。 武士と言うよりは典型的な官僚の生き様を描いています。 開国を迫るロシア使節プチャーチンとの交渉は、現在の国際交渉を見ているのと全く同じ。 老中の指示のままに交渉を進め、何度も老中と直接交渉すると言う脅しにも屈せず、指示を満足させる交渉結果に持ち込む。 言葉尻を捕まえてそれで交渉の落としどころとする。 交渉そのものです。

交渉の最中に大地震が起き、ロシアの軍艦も大破し、その修理を国内の制約の中で成し遂げるなど、苦労に苦労を重ねる姿に現実感があります。 人間関係なのか、ロシア使節プチャーチンは交渉でも少し優しく、アメリカのペリーは非常に厳しい態度です。 その結果が条約の条件に現れていると思います。 北方領土もこの時に決められ、樺太は決着を付けずにそのままグレーで置いていたようです。

末期の江戸幕府は、明治政府の刷り込みがあるのか、余り有能な人が伝えられていませんが、少なくともあの時代に攘夷を狂信的に唱える朝廷と薩長に対して、あくまで現実的な対応を正しくした人間が幕府側に多く居たはずで、この著書がその実態の一部を明らかにすることが出来ると思います。 最期は半身不随になり、それでも幕府に殉ずるカタチで切腹、更にしきれないので拳銃自決という形で終ります。忠誠心の強い清廉かつ優秀な官僚だったとつくづく思います。 現職の官僚必読。

内容紹介
幕末期、軽輩の身ながら明晰さと人柄で勘定奉行まで登りつめ、開国を迫るロシア使節プチャーチンと堂々と渡り合った川路聖謨の生涯。

内容(「BOOK」データベースより)
江戸幕府に交易と北辺の国境画定を迫るロシア使節のプチャーチンに一歩も譲らず、領土問題にあたっても誠実な粘り強さで主張を貫いて欧米列強の植民地支配から日本を守り抜いた川路聖謨。軽輩の身ながら勘定奉行に登りつめて国の行く末を占う折衝を任された川路に、幕吏の高い見識と豊かな人間味が光る。



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