今月のひとこと 2020年6月号

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今月のひとこと 2020年6月1日


 
新コロナウイルス騒ぎで、世の中で一番変わったというのは、やはり在宅勤務じゃないでしょうか。 30年ほど前に ISDN のサービス始まった頃、在宅勤務をしようとして、労働制約の少ない管理職だけを対象に ISDN を各自宅まで引いて、自宅で勤務できるようにしました。これで少なくとも1週間に1日か2日は会社に出て来ずに、自宅でしてゆっくり戦略を練ってゆっくりものを考えるということを目指したのですが、最近の新聞記事であるように子供がうるさいとか集中できないとかいろんな問題があってあまり浸透しませんでした。

当時では主流だった例のピーポーというモデムの接続音の代わりに ISDN は音もなく、おまけに2本束ねてたので128キロビット でつながったので、当時は感動したものです。 しかし今は1 ギガビット が主流になっていますので、そういうネット環境は全く問題ないと思います。

問題はやはり自宅の作業環境だと思います。 少なくとも管理職もしくは管理職になろうという人は、少なくとも自宅で自分が籠れるような場所を一つは持つことであるが必須条件だというふうに思っておりましたが、最近では似たような話が新聞などで報道されてきています。

もともと通勤・通学の時間は無駄だと思っていましたので、今まで最大でも30分以上通勤通学をしたことはありません。 もし職場が変わったら、その近くに引っ越してます。 一番困ったのは東京都内から離れたところに勤務して、そこに社宅あったのですが、突然職場が都内に変わってしまって、これに片道で1時間半近くかかってしまって、これは非常に困りました。 結局いろいろ交渉して都内の非常に狭いですが地下鉄で数駅のところにやっと引っ越しました。

やはり気持ちの切り替えが大切で、事務作業する場所は2階にあって 朝起きるて朝食を食べた後は、よっこらしょと2階へ通勤するわけです。 これでもかなり気持ちが切り替わります。 通勤で2時間かけるって言うのは、ちょっと信じられないです。 往復で4時間かかって、これもゆっくり座れたらいいんですけど、満員電車ですと時間と体力が無駄になります。

週刊誌を見てみると、さる有名作家が時間は有限だということを、連載していますが私も同感です。 お金持ちでも貧乏人でも、どんな人でも1日24時間しかなく、場合によってはお金で買うことも可能でしょうが、貯めることもどうすることも出来ません。最近ではこういう時間が大切という在宅勤務の話がどんどん出てきたので、我が意を得たりという感じがしています。

コロナ騒ぎで明快になったことは、日本の政府はもちろん民間会社でも IT 化が非常に遅れてるということです。いつも不思議に思うのは個人的には非常に便利なスマホや PC やタブレットを使っていろんな情報アクセスしてるのですが、いざ会社の仕事となると何も見れないし、使えない。 一つの言い訳としてはセキュリティが問題ということですが、一体全体どれだけ重要なデータを扱っているのでしょうか。 何故セキュリティが必要なのか全く検討せずに、アリバイ的にセキュリティを導入するので、いわゆる IT 会社に大枚のお金を払わないとできない事になります。 個人レベルの仕事なので、本来は役員がやるべきで、CIOと言うのは単なる肩書ではなくて、自分でセキュリティを構築出来る人のことのはずです。

新しい職場を自分で作ることが多いのですが、その時は必ずクラウド式にします。 クラウド式にして自分でも家から自宅からアクセスできるようにしています。 最悪リモートデスクトップにして、遠隔でオフィスのPCを操作できるようにしておくと良いでしょう。 ワンクリックするだけのために、片道2時間の移動をしたことがあって、それがトラウマになっています。

必要なのは文書のデータ化です。 未だに紙の文書が氾濫してますので、それは片端からスキャナーで PDF 化します。 最近の複合プリンタには安価にスキャナが付いていますし、ネットでも使えるようです。 それを共有ディスクに入れておいておけばどこからでも見れることになります。 ちょっと手間をかければ VPN を使って非常に安全に使えることができます。 大企業では管理上も難しい面があるんですが、中小企業ですと割と簡単にできると思うんですが、なぜか中小企業が非常に遅れていて、すぐに人海戦術になってしまいます。 また、通勤時間の問題も少ないようですので、さらに動機が薄れます。

さらに驚いたのは、10万円の特別定額給付金の申し込みの件です。 新聞やテレビでも話題になっていますが、まずマイナポータルから申請データを入れるのですが、マイナポータルは国の管轄ですので、そこに入力されたデータは、ほぼ何のチェックもされずに、そのまま実施主体である地方自治体に送られるようです。 受け取った自治体では同居人とか銀行口座の妥当性とかのチェックをしないといけないのですが、元になるのは住民基本台帳のデータベースなんですが、チェックツールがないので、全て人力でやっているということらしいです。 こういう人海戦術となると、みんな得意なのですが、流石に何万人何十万人の地方自治体になると、なかなかそれも出来ずに滞るということになってるようです。

最近チェックツールを遅ればせながら配布はしたようですが、このようなものを最初から作っておけと言いたい。 中枢システムだけで100億円以上かかっているらしいので、汎用的な住民基本台帳との突き合わせツールを作っておくべきです。 最近、大阪府でスマホを利用したコロナ感染確認システムが作られたみたいですが、これは報道によると80万円でできたらそうです。 私ならもう少し安くできるんじゃないかと思いますが、いろんな注意書きとか、が必要みたいなので、1人月かなあという風に思います。

ネットでテストしようとして、このシステムを探したんですが、どこにも見つからないやっと探して大阪府のスーパーなんとかという部門の下の方にやっと見つけました。 これでやっと QR コードが印刷できるのですが、これを入力するスマホ側のアプリは、いくら探しても出てこないかった。 29日から実施とは言ってますが、使えないです。

10万円の特別定額給付金について、日経新聞の風見鶏と言うコラムに、この10万円を受け取るべきか受け取る受け取らざるべきか非常に悩んでいる記事がありました。 要するに自分は高額所得者かどうか、で悩んでいると言うことで、所得制限をしろと言う論調だと思います。 しかし、それは自己判断で、大きな国の予算の中に埋没する10万円を自分の責任で、自分の使い方で、寄付なりすれば済むことではないでしょうか。 日経の記者かどうか分かりませんが、すべて国や自治体の責任にしてしまうのは、日本を代表する経済紙のコラムとしては違和感が大いにありました。

今月の読み物は、マイナンバーカードのシステムの関連で、同じく巨大システムの話です。
みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」 単行本 2020/2/14 日経コンピュータ

書評では、細かいところが描けていないんので、面白くないと言う話もありましたが、結構面白かったです。 これ以上細かく描写されてもよくわからないでしょう。 日経コンピュータの連載記事の書き直しですので、どっかで見たことのある文章が出てきました。

「IT業界のサグラダファミリア」完了までに8年もの年月と、35万人月、4000億円台半ばをつぎ込んだ、と言うことだったので、何にそんなに使ったのかと不思議でしたが、人月と100万/月を掛け算して、多少の経費を加えると確かにその数字になります。 さらに平均で3000人が働いていたことになります。 こう見ると不思議でもなんでもないですね。 基幹システムはともかく、サービスが3000もある。 これとビジネスプロセスの見直しと不具合対応で、3000人が居ても不思議ではないですね。

決定的に問題だったのは、経営トップがほとんどシステムを理解していなかったことが大きいです。 原発事故時の東電と同じ図式が透けて見えます。 銀行にしろ電力会社にしろ、通常業務では、問題は発生しないです。 多少のクレームやロビー活動しかやることは無いでしょうが、このような大規模の開発とか事故があったときは無力になります。 特にインフラ関連の会社にこの傾向が強いように見えます。

アプリをCOBOLで書いているとか、不具合時にスクリプトを使わずに人力でコマンドを入れて、処理を飛ばしていたとか、現場にも問題はあります。 この辺は妙にリアリティがありました。

【内容紹介】
みずほフィナンシャルグループ(FG)が2011年から進めてきた「勘定系システム」の刷新・統合プロジェクトが2019年7月、ついに完了した。
富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータを筆頭に1000社ものシステムインテグレーターが参加したものの、2度にわたって開発完了が延期になったことから、なかなか完成しないスペイン・バルセロナの教会にちなんで「IT業界のサグラダファミリア」とまで呼ばれた史上最大級のITプロジェクトだ。

みずほFGは完了までに8年もの年月と、35万人月、4000億円台半ばをつぎ込んだ。1980年代に稼働した「第3次オンラインシステム」の全面刷新は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合したみずほFGにとって、2000年の発足以来の悲願だった。
しかしシステム刷新は何度も挫折し、2002年と2011年には大規模なシステム障害を引き起こした。

80年代の非効率的な事務フローが残ったままになるなど、勘定系システムの老朽化は経営の足かせになっていた。なぜみずほ銀行のシステム刷新は、これほどまでに長引いたのか。そして今回はどうやって完了に導いたのか。「メガバンクの勘定系システムとして初となるSOA(サービス指向アーキテクチャー)全面導入」「AS IS(現状通り)を禁止した要件定義」「1000社のシステムインテグレーターを巻き込んだプロジェクト管理」など、新勘定系システム「MINORI」開発の全貌と、みずほ銀行がこれから目指す金融デジタル化戦略を、みずほFGにおける19年の苦闘の歴史を追いかけ続けた情報システム専門誌「日経コンピュータ」が解き明かす。

多くの日本企業が直面する情報システムの老朽化問題、「2025年の崖」を乗り越えるヒントがここにある。


 

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