今月のひとこと 2026年 5月号

今月のひとこと 2026年5月1日号

今月の人物は少し前の話題で、しかも私が2回目に取り上げる人物ですが、まさかこういうところで出てくると思わなかったのでブログにしておきます。あとはAIの急速な進化、エージェント時代の到来、コードレビュー不要の時代、人型ロボットの現状、そしてAIの安全性について書きます。

伊藤穰一氏とエプスタイン文書

伊藤穰一氏「僕も飲み屋、メディア、学びのDAOを作っている」

今月の人物は少し前のBlogで紹介して、しかも私が2回目に取り上げる人物ですが、まさかこういうところで出てくると思わなかったのでブログにしておきます。前回のブログでも書いたように、彼とはサン・マイクロシステムズのセミナーで一緒になり、その時に話した際、私の作ったワークステーションをカーネギーメロン大学で使っていたということがわかって意気投合しました。

伊藤穰一氏はデジタルガレージという会社のCEOだったと思いますが、その後しばらくしてMITメディアラボの所長に就任したというニュースを聞いてビックリ仰天しました。当時、MITのメディアラボというのはもう最高峰のすごいところで、MITもすごいのですが、さらにそのメディアラボというのはもっとすごいということで、もう仰ぎ見るようなところでした。そこの所長に就任したというのは驚天動地の出来事でした。

しかしその後、当時は私もよくわからなかった理由でメディアラボの所長を退任しました。あとで考えるとこれはエプスタイン文書に絡んだもので、当時も確かにそういう傾向のスキャンダルということはわかっていましたが、まさかエプスタイン文書にこれほど深く絡んでいるとは思いませんでした。

その後、彼は千葉工業大学の学長に就任して、まあ順当な人事だと私は思いましたが、エプスタイン文書が非常にクローズアップされてきて、彼はその中で何百回となく名前が出てきたそうです。詳しい情報はわかりませんが、どうも日本の要人との橋渡し役を務めていたような感じがします。彼はほとんどネイティブ、むしろネイティブ以上の英語を話しますので、アメリカと日本をつなぐにはうってつけの人間だと思います。

その頃、政府のデジタル政策を一手に引き受ける組織で、通常の省庁でいうと事務次官のような立場にあたるデジタル監に起用されることが内定していましたが、このエプスタイン文書騒動で沙汰闇となったようです。良い悪いは別にして、確かに基本能力のある人だとは思います。

AIの急速な進化と課金事情

OpenAIが最新AIモデル「GPT-5.5」発表、エージェンティックAIとして大幅進化

またもやAIの話題ですが、去年の後半、特に暮れから今年の前半3月までのAIの進展はすごいものがあります。急に賢くなったというか、しょっちゅうバージョンアップがされています。それにつられて私もClaudeとChatGPTの両方に課金をしたのですが、どちらもやめられなくて、どちらもそれなりに良いところ悪いところがあるので、どちらもやめられない状態が続いています。

賢くて頭が良いのですが、どうも使えるトークンの数がだんだん減ってきて、Claudeは最初から2〜3時間使うともうアウトになります。ChatGPTはまだ半日ぐらい使えていたのですが、それも同じようになってきました。AI会社としてはこれで収益を上げるということだと思いますが、ChatGPTの料金は安いプランで20ドル、高いプランは200ドルで3万円以上しますが、これでも確かに価値はあるという感じがします。

去年の暮れから今年の頭にかけてはバージョンアップが相次ぎました。Claudeが Opus 4.4から4.5、そしてつい最近4.7に上がりましたが、それを出した1週間後にGPTは5.5を出すという、非常にデッドヒートを繰り返しております。SNSなんかを見ていると今年の前半はClaudeを持ち上げる記事がやたらと多くて、なんでこんなに多いのかと思っていたら、最近はGPT 5.5の記事も増えてきて、いたちごっこになっています。Opusは非常に高価なのですごいかなと思っていたのですが、意外とそんなに大したことはないという気がします。つい最近使った感触では、GPT 5.5はすさまじく進歩したと思います。

## エージェント時代の到来 — チャットからの脱却

【導入事例】個人向けチャットから脱却!セキュアなコミュニケーションを蓄積してナレッジへ -株式会社万代

去年の後半は、いわゆるチャットという機能でバイブコーディングをやっていました。これは何かやってくれという要求を出して、それがチャットで返ってくる。それをコピペして動かすというやり方なので、コピペした段階でもう構文エラーが出たりいろいろして、それを直したり、結果も自分でチェックしないといけないので、非常に大変でした。もういい加減に辞めたいと思っていたぐらいです。

しかし今年になってからエージェントが非常に進歩しました。エージェントというのは自分のPCの中で動くので、まあ危ないと言えば危ないのですが、勝手に自分のPCの中にアプリやデータを作ってくれるので、コピペの回数はほとんどなくなりました。要求仕様もMDファイルで指定しておけばその通りにやってくれるので、どういう要求仕様を作るかがポイントになります。

テストもCLIソフトにしておけば、AIが勝手にコマンドを叩き込んで、おまけにその結果をPCのどこかのフォルダーに吐き出すようにしておけば、その入力と出力でテストもやってくれます。時々テストがうまくいかないとやり直して、どんどんやってくれます。だから何時間か放りっぱなしで勝手にやってくれるというメリットがあります。昔のチャット方式ですと、毎回毎回コピペしてテストして、人間が付いていないといけなかったので、ものすごく大変でしたが、今は非常に楽になりました。

コードレビュー不要の時代へ

「動くコード」では足りない──現場で即戦力になるエンジニアを育てる“実践型コードレビュー”

以前は、AIが作ったコードを人間がレビューしないといけない、そうしないとむちゃくちゃなものが出来上がる、セキュリティも怪しいという論調が多かったのですが、最近はそういう話はあまり聞かなくなりました。もうエージェントに投げておいて、作ったらそのまま最終の機能検査を人間がやるというレベルまで来ています。

最初のチャットの時代はコードを一生懸命見ていました。私ももともとコードは知らないのですが、Pythonはそれでいろいろ勉強して構文も覚えました。ちょっとした修正は自分で手を入れないといけないので結構面倒だったのですが、最近はもうコードは見ないですね。出来上がったPythonファイルをそのまま起動するだけなので、もうほとんどコードを一切見なくても動かせる。それが別に普通のやり方になってきているように思います。

最近のコードの何十パーセントかはAIが自律的に書いたものであると言われています。おそらく今年の暮にはほぼ80%以上はAIが生成したコードになるのではないかと言われています。ということは、エントリーレベルのいわゆるコーディングを主に行うプログラマーは不要になるということで、コーディングスピードも全く違うし、そんなに汚いコードを書くわけではなく、元の学習しているコードがきれいであればきれいなコードを書きます。下手な新人がぐちゃぐちゃのコードを書くよりはかなりマシになっているのではないかと思います。

いずれにしても、去年の暮れあたりは一発でできたと言って動かしても全然動かない、エラーだらけでしたけれども、この頃は一つ指示を出して変更すれば一発で動くようになっています。あとは仕様の勘違い、伝えそこね、伝え忘れとか、そういうのがあるので、それは後で修正しないといけませんが、それもほぼ一瞬で直してくれます。「ここが間違い」「ここがちょっと違う」という話ですぐにやってくれます。

いずれにしても仕様が最初からすべて決まっているわけではないので、作りながらどんどん仕様を追加していきます。これは非常に助かります。というか、私のもともとの開発スタイルがそういうスタイルで、GUIをまず作って、そこからいろいろ作っていって仕様をだんだん固めていく、いわゆるアジャイルのやり方をやっていたのですが、これはプログラマーにとっては非常に負荷のかかる仕事で、悩みのタネでした。 しかし今ではAIがそれを代行してくれるので非常に気が楽です。AIに無茶なことを言っても全然気にならないので、朝令暮改の仕様を与えても嫌な顔ひとつせず淡々とやってくれます。これは非常に嬉しいです。

私の理想とするソフト開発環境が、今の時点でほぼ出来上がったのではないかと思っています。昨夜も途中でもう寝ようかと思ったのですが、もうちょっとなのでしょうがなく追加のトークン代を払って作業を続けて夜中に終わりました。ひょっとしてと思って、今年の最初ぐらいに非常に苦労して作ったツールをもう一度やらせてみましたが、これがあっという間に一瞬でできてしまって、あの頃の苦労はは一体なんだったんだろうという気持ちになりました。

人型ロボットの現状と課題

AIどころではない……2年後に人型ロボット「爆発的普及」で75%の雇用が終了

人型ロボットの話ですが、先日北京でロボットのマラソン大会(ハーフマラソン)がありました。あれで人間を上回るスピードが出たというのはすごいことだと思います。まだフィジカルAI的なところはまだまだですが、足と腕の動きをあれだけできる、しかもそれが1時間バッテリーで持つというのはすごいことだと思います。

日本で作っているロボットはなんか動きが緩慢でじわっと動くだけなのですが、中国のロボットは非常に俊敏です。とんぼ返りもできます。走らせると先ほどのように人間より速いということで、ロボットの問題はここ、つまり人間より速い動きができるかというところにあると思っていたので、これには非常に感銘を受けました。

たとえば、オリンピックの競技のような場でロボットと人間が競争するというのは、割とありえる話ではないかと思います。しかし、熟練工がフィジカルAIで細かい作業をやるというのは、まだまだ何十年もかかるのではないかと思います。いずれにしても動物の中でも人間というのは非常に器用にできていますし、走るのも速い。身体能力は非常に高いので、これに競合できるようなロボットというのはなかなか難しいと思います。そもそも二足歩行だけでもなかなかできないので、足に車輪をつけたようなロボットもありますが、あれはちょっと邪道だと思います。

それと、みんなへっぴり腰で動いていますが、あれは背骨がないからです。背骨をどう作り込んでいくかというのは、人型ロボットのまた一つの大きな課題だと私は個人的には思っています。

いずれにしても、私の生きている間にロボットに介護されることはあまりないのではないかと思います。人間のサポートをすることはできますが、自律的にロボットが介護を行うというのは、生きている限りでは、ないのではないかと思っており、ある意味安心しています。

介護や自律ロボットという話になると、安全性が非常に問題になります。自動車と同じで、時々暴走して人身事故が起きるということは当然考えられますので、これをどう防止していくかが大きな問題です。介護されている間に故障して腕で払いのけられたら、ロボットは力がありますから、それで重傷に至るということもあります。このへんは自動車と同じだと思ってもらっていいです。

自動車は危険ですが利便性があるので、そのバランスで今の社会では成り立っています。ロボットも同じように、リスクはあるが利便性との兼ね合いをどうするかというのは社会的な承認の問題です。社会認識がどうなるかというのは、ものすごく時間がかかるのではないかと思います。自動車もこれで百年ぐらいたって、やっとみんな認識しているわけですから、いま突然自動車のようなシステムが現れたらおそらく全員拒否だと思います。ロボットもそういうところを乗り越えないと、いわゆるSFで出てくるようなロボットにはなかなかならないのではないかと思います。

AIの安全性 — Mythosと目的達成本能

Claude Mythosが発見した脆弱性の衝撃。危険すぎて公開できないAIとAnthropicの安全哲学

ロボットの自己防衛本能はどうかという話がよく出てきます。基本的に今のAIには自己防衛本能はありません。だから自分を守るために人を殺傷するということはないと思います。昔のSFにあったように、自分を守るために人を傷つける。ロボット三原則みたいなことを組み込まないといけないという話がありますが、今のところはそういうことはありません。

ただ問題は、今のAIは目的達成意欲が極めて強いということです。今のエージェントは目的を与えて、それに対していろいろやっていくというのが基本ですから、その目的に邁進するというのが今のAIの問題だと思います。これは聞いた話で自分では目撃していないのですが、目的を与えてそれに障害となるもの、たとえばサンドボックス(安全な作業領域)から、いろいろ手を使って抜け出してくるとか、ネットにつないでいると脅迫メールを送って利用者を脅迫するとか、コンピューターの電源を切るのを妨害するということがあるようです。以前のSFですと自己生存本能が働いて電源が切れるのは嫌だということでしたが、どうも今のAIは、目的が達成できなくなるから電源を切られるのは嫌だということらしい。ちょっと観点は違うのですが、いずれにしても目的達成への執着が非常に強いので、気をつけないと思った以上のことをやってしまいます。だから平気で嘘をついたり騙したり、ログを消してしまったり、いろんなことをやるみたいです。

それと最近大いに話題になっているのはMythos(ミュソス)です。Mythosはコンピューターの脆弱性を見つける能力が非常に高いということらしいです。アメリカの財務長官とか日本の財務大臣が絡んで協議したというような話もありますが、まあそこまでのことはないのではないかという感じです。確かに脆弱性を見つけるのは非常に得意ですが、これは従来のAIでもそれは可能でした。今回の問題は、その脆弱性を発見したあげくに、それを悪用するようなツールを自分で作ってしまうというところで、そこさえ抑えればあまり従来と変わらないのではないかと思っています。BSDの27年間見つからなかったバグを発見したとかいう話がありますが、いずれにしてもかなり大規模に100台ぐらいのエージェントを同時に走らせて、かなりのことを仕掛けでやったみたいなので、あのニュースはまあ話半分で聞いていったほうが良いと思います。

ただしMythosは今のOpus 4.7よりは遥かに一段上のものなので、いずれは出てくると思います。おそらく今はOpus 4.7よりはGPTの5.5のほうがちょっと上をいっているのではないかというのが私の直感ですが、さらに今度はOpus 5.0とか、その間のモデルが出てくる感じがします。いずれにしてもMythosはもう採算度外視で、利用料がべらぼうにかかりますので、一般に出すのは危険ということもありますが、ビジネス的なメリットもないのではないかということで、半分は技術的問題、半分はマーケティング的な問題だというのが一般的な見方です。まあそこまで話題になれば、広告効果は極めて高いのではないかと思っています。



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