2012年 元旦 あけまして、おめでとうございます

2012年 元旦 あけまして、おめでとうございます。
昨年の卯年は跳ねるとの相場格言だったのですが、何と大震災とさらに大きな災害の特大級の原発事故が発生して、大変な「跳ねる卯年」でした。 経済的にも株価は跳ねるどころか、ヨーロッパが跳ねてしまって、リーマンショックの再来が心配されています。

大阪の政治も跳ねて、大阪都に向けた動きが始まりました。 一方、国政の方は最後の土壇場で消費税の素案が決まったのですが、これからの国会審議などのハードルが高く市場はほとんど反応しなかかったようです。 総理大臣の意気込みに関わらず、誰も信用していないと言うことでしょう。 1年を終わってみると、良い悪いは別にして、大変に跳ねた年でありました。

さて今年はどのような年になるのでしょうか? やはりヨーロッパが大きな影響を持つでしょう。 ヨーロッパの動き如何では、リーマンショックの再来と言うことになり、消費税に代表される増税にも影響を与えるでしょう。 株価はヨーロッパ如何ですが、年末には持ち直すと言う見方もありますが、これは昨年正月に聞いた話ではないかいな。 いつでも1年後なんですね。

相場格言で見ると、12年の辰年は十二支中、最も良いパフォーマンスを残しています。東京証券取引所が再開された1949年以降の日経平均の平均騰落率で、辰年はプラス29%と上昇率1位。他方、「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり」の相場格言もあるそうです。 また、過去の辰年には明治維新(1868年)、日露戦争(1904年)、サンフランシスコ平和条約(52年)、東京オリンピック(64年)などがありました。

大阪都を目指す大阪は取り敢えずは元気が出てくると思います。 それにしてもタイミングが絶妙。 2年後に総選挙があると言うことを最大限に使って、これをテコに国政を動かそうとしているんですな。 確かに日本は大きな国で中央政府を動かすのは大変ですが、その気になればできないことではないと思います。 大阪のスピードを見習って欲しいもんです。

少しでもサラリーマンとして組織改革にタッチしたことのある方は、わかると思いますが、これくらいのスピードと意欲を示さないと組織は動きません。 それにしても大阪市の役人さんは、勝負の前から全面降伏。 あれだけ揉めた水道事業の統合も一発でしたね。 はやり地方自治とくに政令指定都市のある府県はどこも同じような問題を抱えているので、しばらくすると全国に波及するでしょうし、そうなって欲しい。

同様の行政改革も必須で、大阪市でもやった補助金の根本的見直しをして、歳出の穴を塞がないと、いくら増税して収入を増やしても、下に抜けていくだけです。 穴が空いて税金が漏れている現場を、ここ10年ぐらいで実際にいくつも見てきました。 基本的には増税や社会保障負担の増額は必須ですが、歳入の改革だけでなく歳出の大幅改革をしないと増税した挙句に、さらに政府債務が減らないことが起きて、今度は増税と言う手段も使えず、本当の袋小路に入ってしまいます。 TPPや消費税の反対論の中に、現在の政府ではダメ、と言うのがあって、その通りだと思います。

それにしても「借金大国」と言うのはやめて欲しい。 日本は貿易収支こそ赤字に転落しましたが、全体の国債収支は相変わらず黒字です。 日本国の借金はトータルでは無いです。 単に政府が債務を膨らませているだけです。 従って、大増税しようが、銀行預金の制限をしようが、インフレで所得移転が起きようが、所詮日本の国の中での話なので、日本で自己解決できる範囲です。 もし出来なければ、ギリシャみたいな小さな国ではなくて、落ちたと言え世界第3位の経済大国ですから、IMFであろうと、どんな大きな国でも救えません。 世界を道連れにすることになります。

さてITの話題は何と言ってもクラウドが進展したことでしょう。 とくに昨年にスマートフォンが急激に浸透したことでクラウドが現実のモノになりました。 やはり数ですね。 インターネットも数が少なく、大学や技術者の間で使われているうちは、大したものでは無かったですが、PCやとくにケータイで使われだしたことが大きなインパクトを持ちました。 クラウドが進展したことにより、従来から私も言っていた「統合されたハード(機器)とソフト、サービスが顧客満足を高め、収益拡大をもたらす。」と言うことがますます現実味を帯びてきました。 アップルのジョブズがそれをイチハヤク実証して見せました。

日本の得意なモノ作りのハード(機器)はどうしても収益が低いのです。 とくに発展途上国が参集してきたために、日本国内の収益も下がり、従って賃金も下がっていくと言う悪循環に陥っています。 ソフトやサービスは本来収益率が高いのですが、あまりパテントが効かない、また開発周期が短いために、新規参入が容易で、結果的には低収益になります。 常に収益を出すためには、大きな開発が必要となり従来の安定を目指す日本の経営者には嫌われていました。 しかしこれからは、ハード(機器)の単なる高信頼性では顧客満足は得られず、アップルで見られるような、トータルのサービスまで統合した製品が必要となっているのです。

日米欧の自動車・電機産業に詳しいカリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールのロバート・コール名誉教授は日本経済新聞のインタビューで、「先進企業はIT(情報技術)をコスト削減のための補助的手段ではなく、イノベーション(技術革新)の中核技術と位置付けている」と指摘しています。

クラウドの進展によって見込めるのは、最近IOTと言う見慣れない用語で紹介されている Interenet of Things です。 これは人でなくて物をネットで結ぼうと言うものです。 これは何だと思って見てみると、何と10年前に我々が提唱したM2M(Mahine to Machine)と同じものでした。 引き合いに出されている例も10年前のものが多かったです。 どうも国産OSの Tron と 同じ 坂村さん提唱のユビキタスのリバイバルみたいです。 しかし10年ひと昔。 通信手段も大きく変化し、当時はケータイ用のDopa通信しかなく、その後Wimaxなどが導入され、サーバー側のクラウドと相まって全体のシステムが復活したのだと思います。 ちなみにDopaもアナログTV放送停波に伴う変更で、現在でもほとんどFomaに切り替わっていますが、今年の3月にとうとう停波するようです。

今月の読み物は、こう言う飲み物が講談社から発売されていた、と言う少し元気が出るかもしれない 伝説の「どりこの」 一本の飲み物が日本人を熱狂させた 宮島 英紀 (単行本 – 2011/11/11) ¥1,575。

こう言う飲み物が戦前から戦後に掛けて昭和に存在したことを全く知らなかったので読んでみました。 ルポとしてはなかなか面白い。 文章もまあまあです。 講談社と言う出版社にも関わらず、何でも取り組む組織風土と言うか社長の個性。 「どりこの」と言うネーミング。 いかにも高価な容器とパッケージ。 いずれも商品論、組織論としても面白い。 この飲み物の競合はみなさんもご存知のカルピス。 同じように水で薄めて飲むのですが、こちらは僧侶出身者らしいです。
内容紹介
それは、かつてこの国を席捲し、誰もが知っていた飲み物である。誰がどう作ったのか? なぜ昭和を代表する飲み物になったのか? そして、なぜ消えたのか? 謎の飲み物から新しい昭和を描き出す、発掘ルポの傑作!!
内容(「BOOK」データベースより)
「どりこの」―かつて、この国を席捲した飲み物。旧陸海軍でも用いられた滋養飲料を大々的に売り出したのは…なんと講談社だった。「聖水」と呼ばれるほどの人気を博したが、太平洋戦争の激化にともない製造中止に。戦後、一時は復刻されるも、開発者の死と共に消えていった…。誰がどうつくったのか?なぜ昭和を代表する飲み物になったのか?どうして現代では製造できないのか?「どりこの」ミステリーから、昭和の新たな姿が見える。


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