今月のひとこと2012年7月号


「今月のひとこと」の目次
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2012年7月2日
株価も少し安定してきて、先週末から日経平均の9000円をキープしています。 これを書いている時点で、9061円となり少しは平穏になって来たようです。 消費税増税も衆議院を通過して、何とか参議院も通過するようですが、実施まであと2年もあるので、何が起きるか分かりませんね。 あれだけガチガチに固めた郵政民営化も、その後の法律改正でだいぶ変質してきています。 法律を作ることの難しさを感じます。

原発も大飯がやっと再稼働を果たして、この夏は何とか乗り切れそうです。 また太陽光発電の買い取りも7月から始まって、エネルギー問題も少しは前に進みそうですが、根本的なエネルギー政策が未定なので、まだまだ紆余曲折がありそうです。

エネルギー問題に関する日本の採るべき政策は、安全な原発の開発とそれに順次更新していくことで全体の20-30%を賄うこと。 また世界に対して、この安全な原発を提供していくことで、これはビジネスにもなる。 増殖炉のもんじゅは実現の可能性が無いので廃炉にする。 ここで開発された技術および研究者は、新しい安全な原発の開発ないしは核廃棄物の新しい処理方法を開発することに向ける。

そもそも増殖炉のもんじゅは、発電と増殖を同時に行うために無理がたくさんある。 発電はプルサーマルでわずかながら消費できるが、増殖は専用の処理装置を作って、増殖と無害化に的を絞るべきでしょう。 最後に残った高レベル廃棄物は、しょうがないので、厳格な管理の元に子々孫々まで引き継いでいく。 地球規模で廃棄する場所が決まれば、そこに捨てる。

それと、省エネ技術。 使用するエネルギーは確実に熱になって地球を温める。 炭酸ガスが地球温暖化の原因かどうかは不明ですが、使うエネルギーは確実に増えて行く。 省エネ技術は現在でも世界最高。 これを全世界に展開していく。 これも大きなビジネスになるはず。

原発の議論を眺めていると、非武装中立の議論と似ている気がします。 日本だけが原発なしで済ませ、地球の他の国がどうなろうと知らない。 日本だけが脱原発したら、それで良い。 他の国もそれを見習うはず。 と言う感じの議論が多いように見受けられます。 地球は狭くなりました。 日本だけの問題では無くなっていると思います、全地球視点で、考えないといけないと思いました。

以前に本欄でトリウム原発の紹介をしましたが、だんだんとその認識が広がっているようです。 安全な小型原発として、日本が主導して開発するのは良いと思います。 もんじゅにあれだけのお金を掛けるのであれば、トリウム原発を容易に開発できると思います。 その特徴を列記してみると。

(1) 液体燃料を使うので、燃料棒を取り出す必要がない。 またこの液体燃料に、もんじゅの技術が応用できる可能性が高い。
(2) 従って、小型化が可能と言う点と併せて、安全性が高い。
(2) トリウム→ウラン233に変換して核エネルギーを取り出すが、トリウムはウランより遥かに埋蔵量が豊富。
(3) これが一番重要だが、トリウム原発では放射性物質を取り出せないし、取り出しても、これで核兵器は作れない。
(4) 放射性物質の散布によるテロは、ウラン233に付随するウラン232が強力な放射線を出すので、運搬が出来ない。 出来ても遠隔からの検出が容易。
(5) これの反面であるが、炉心のメンテナンスがロボットでしか出来ない。 ロボットが故障したら終わり。 また後進国では維持が出来ない。 しかしロボットの維持も出来ない国が原発を持ってはいけないと言う議論も成り立つ。

いずれにしても、あの巨大なプラントである原発を、水漏れ一つなしで運転するのは至難の業でしょう。 もし日本が出来ても、これからどんどん出てくる後進国の原発をどうして安全に運転していくのか。 単に日本だけの問題ではなく、ひとたび大事故が起きれば、全世界的な問題になると思います。 世界のエネルギー問題は大きすぎるとしても、電力エネルギー問題、原発問題には、世界に向かって情報発信し、リーダーシプを発揮していくべき、行かなければならないと思います。

今月の読み物は、「好太王碑の謎―日本古代史を書きかえる」 講談社文庫 李 進煕 著 古本 \133 より。 先日、村落の実態を見るために歩いていたら、大学のキャンパスに出て、そこにこの好太王碑の実物大のレプリカが置いてありました。 なんでも、これは平壌で作って日本まで運んできたとのこと。 コンクリート製です。 碑文が旧日本軍に利用されて、朝鮮併合の理由の一つにされた曰くつきの碑です。 本書は、物凄く古い出版ですが、韓国人によって書かれており多少日本に厳しい点もありますが、総じて客観的に資料を集めて解説しています。

しかし驚くのは、金石文として一番信頼性の高いものであるにも関わらず、文字が何度も変化していることです。 文字の欠落を復元するために塗られた石灰(漆喰)が、何らかの理由で手を加えられたものと思います。 その辺も考慮にいれながらお読みください。 他の新しく出版された書籍もたくさん有ると思います。





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