2019年6月1日
トランプ国賓来訪は大騒ぎでした。 全体としてはうまく順調に行ったのではないでしょうか。 この訪問や今月のG20を契機に、日本の外交地位が大いに高まっていることは間違いないでしょう。 、中国は図体は大きいが、その思考はまだ途上国だし、EUはそれ自身の存立が怪しくなってきていて、イギリスは民主主義の根幹が揺るぎ、フランスでもポピュリズムが吹き荒れ、盟主でユーロの恩恵を最大限に受けたドイツにもポピュリズムが台頭してきています。 最大の力を誇るアメリカも何をしだすかわからないトランプ大統領のポピュリズムと言って良いでしょう。
最近はトランプ氏の評価も例のハノイ会談を蹴った時から、明白に変わってきているようです。 対中国政策は、オバマ前大統領時代の反対を行く強硬路線で、これには敵である民主党も支持をしています。 日本は米国の51番目の州になるとか言われたこともありましたが、このまま中国のやりたいようにやらせると、尖閣はもちろん沖縄もさらには本土も中国のものになって、私の生きているうちにはならないとは思いますが、中華人民共和国日本自治区になるのは51番目の州よりイヤです。
中国では国民全員に個人番号ならぬ個人点数がつけられて、この点数で日常生活の出来ることが制限されていくようです。 まあクレジットカードの与信ランクみたいなものでしょうが、もっと精密で全員に適用されるのは、英国のジョージ=オーウェルの小説「一九八四年」に登場する「ビックブラザー」が現実のものになると言うことです。 現在の状況は、単なる関税を掛け合う貿易戦争では無くて、将来の世界がジョージ=オーウェルの小説「一九八四年」になるかどうかと言う分水嶺に居ると思います。
今朝の新聞でスパコンの「京」の後継マシンの名前が「富岳」となったと報道されました。 名前は公募したようで、その他の候補は「穹」(きゅう)、「叡」(えい)、「Yukawa」(ゆかわ)、「凌駕」(りょうが)、「光明」(こうみょう)、「解」(かい)などがあり、応募数の1位は「垓」(がい)、2位は「雅」(みやび)、3位は「極」(ごく)だったそうですが、公募時に提示していた「世界トップレベルの性能をアピールする」「親しみやすい名称」などの条件を加味して採用しなかったとのこと。
「ふがく」と聞いて、旧日本軍の超大型爆撃機を思い出しました。 こっちは「富嶽」ですが、アメリカ軍による初の日本本土空襲が行われた1942年(昭和17年)に、中島飛行機の創始者である中島知久平が立案した「必勝防空計画」に書かれていた、アメリカ本土空襲を可能とする大型長距離戦略爆撃機です。
アメリカ本土爆撃を視野に入れ日本を飛び立ち太平洋を横断してアメリカ本土を爆撃、そのまま大西洋を横断してドイツで補給を受け、再び逆のコースでアメリカを再攻撃しながら戻ってくるか、またはソ連を爆撃しつつ世界を一周すると言う壮大な計画であった。全長45m(ボーイングB-29の1.5倍)、全幅65m(B-29の1.5倍)、爆弾搭載量20トン(B-29の2.2倍)、航続距離は19,400km(B-29の3倍)、6発エンジンを目指したとのこと。
スパコンの富岳は、この爆撃機と同じく世界一を目指して超ド級のスペックになっていて、1000億円を超える開発費で富士通によって開発された64ビットCPU「A64FX」を搭載します。 このCPUは、英Armの命令セットアーキテクチャ「Armv8-A」をスーパーコンピュータ向けに拡張した「SVE」(Scalable Vector Extension)を実装し、「幅広いソフトウェアに対応する汎用性、超並列、超低消費電力、メインフレームクラスの高い信頼性を実現するとのことで「京」の120倍の性能が出るそうです。
クロックは良く分かりませんが、メモリは32Gバイト、バンド幅は512ビットで1Tバイト/秒、ノード当たりつまりチップのコアは何と48コア+2アシスタントコア(何か良く分かりませんが)、1ラックに384ノード収容で、何ラック並べるのかは、実際の運用との兼ね合いだと思います。 もし100ラック並べると、「京」の性能が1ラックで出ることになります。 これで、スパコン世界一を目指して欲しいと思いますが、すぐに追いつかれるでしょう。 この分野は体力勝負になってきました。
今月の読み物は、「消された「徳川近代」明治日本の欺瞞」 単行本 原田 伊織 著
Kindle版 ¥1,263 単行本 ¥1,404
江戸時代の再評価が盛んですが、本書は特に幕末の明治維新に関しての新たな視点を示します。 我々が学校で学習したなかで、太平洋戦争敗戦と明治維新は、近代の出来事として、一定の評価がなされています。 太平洋戦争敗戦時に関しては、アメリカ占領と言うハッキリした事象があり、憲法がマッカーサーにより作られたと言う話などが明白になってきていて、如何に占領軍の刷り込みがあったのかハッキリしてきています。
一方の明治維新に関しては、本来は徳川全否定、新政府万歳が、新政府の刷り込みのはずですが、これに関する評価があまりなされていなかったように思います。 江戸時代を再評価する段階で、幕末の徳川政権の活動があまりにも悪く言われすぎでは無いかと常々感じていましたので、本書はその点にズバリと切り込んだ、痛快な一書です。
幕末の徳川政権には、たくさんの有能な官吏が多くいたはずですが、それは新政府によって、本書に言う「土中深く埋め去られている」と思います。
商品の説明 内容紹介
明治政府に消された幻の「徳川近代」
『明治維新の過ち』を嚆矢とする「維新三部作」の著者待望の新章第一弾。
明治ニッポン近代化の礎を築いたのは薩摩でも長州でもなく、西郷・大久保でもない–。『明治維新の過ち』で、教科書的な明治維新観に一石を投じた著者が、明治政府によって埋没させられた歴史を丹念にひもとき、歴史の真相に迫ります。
明治に改元される5か月前、幕臣小栗上野介忠順が新政府軍に取り調べを受けることなく斬首。後に大隈重信によって「明治政府の近代化政策は、小栗忠順の模倣にすぎない」とまで称された逸材である。本書は、横須賀に製鉄所、築地に日本で最初の本格的なホテルを建造した小栗の歩みを照射することで、徳川幕臣らによって進められていた「近代化」の全貌をひもときます。
さらに、咸臨丸でアメリカに渡った遣米使節の一員だった秀才・小野友五郎など、ニッポン近代化の礎として活躍した幕府のテクノクラートの足跡を辿り、なぜ彼らの功績が埋没したかを検証。抹消された歴史の真実を解き明かします。
【編集担当からのおすすめ情報】
大隈重信によって「明治政府の近代化政策は、小栗忠順の模倣にすぎない」とまで称された逸材・小栗上野介。横須賀に製鉄所、築地に日本で最初の本格的なホテルを建造した小栗の歩みを照射する。