2019年7月1日
大騒ぎのG20がやっと終わりました。 大阪市内と離れてるし外出もしないので、関係ないかと思っていたら、なんと宅急便に影響が出て、荷物を送れませんでした。 G20と言うか安倍政権委対する評価は経済紙が結構厳しいですね。 日経も厳しかったし、先のイラン訪問に対してもウオールストリート紙もぼろくそだったようです。 結果的にはアメリカの対中国関税第4弾も中止になるし、大騒ぎした割には、代替え案もないし、まあこんなものかと思います。 G20首脳宣言を何とかまとめることが出来たのは良かったと思います。
国会も予定通り閉会しましたが、その直前の年金2000万円不足騒ぎは、麻生さんの対応のまずさもあって大騒ぎになりましたが、年金を考えるには良い機会になったのではないでしょうか? コトの発端となった金融庁の報告書ですが、大騒ぎする人はほどんどこれを読んではいないのでは無いかと思われます。
報告書自体は金融庁のサイトからpdfでダウンロード出来て、すぐに読めます。 内容は金融庁らしい、非常にまじめな力作です。 下手な市販本より遥かに良く、これを無料で読めるのは素晴らしいことです。 淡々と執筆していて、淡々と2000万足りないと書いてしまったのを切り取られて報道されたのです。
これを書いた人は、非常に事務的と言うか、淡々と分析評価をしているので、あの騒ぎには唖然としたと思います。 さらにこの件で引責辞任を迫られた局長は気の毒としか言いようがないですね。
この騒ぎの中で、ちょうどねんきんネットのサイト開設のIDが来たので、早速アクセスしてみました。 すでに年金受給中なので、みてもあまり意味がないのですが、従来の郵送のものとどう違うのか見てみました。
一言で言うと、役所が作ったものとしては、出来がものすごくよいです。 もちろん年金機構が作ったのではなくて、どうもNTTデータが関与している様子ですが、さらに下請けにだすので、そこの力量がポイントになると思います。
良くできているシステムの第一はE-TAXの国税庁のシステムですが、これは間違えると大変なので、慎重に作ってあると思いますが、最近の更新で、だんだんスパゲッティになってきたようで、わかりにくいメニューなどが増えてきました。
ねんきんネットのシステムは、そんなに複雑でもなく作ったばかりだと思うので、なかなか快適です。 自分が払った保険掛け金の額が50年前からずっと残っていて、おまけに激変した部分はちゃんと色がついていました。
最初から、こう言うシステムを作っておけば、余計な議論と時間と費用が節約できたのにと思います。 マイナンバーもシステムは出来ているのですが、ほとんど利用されないままになっています。
日銀の金融政策が行き詰ってきていて、次の手がなくなってきています。 金利を下げたりマイナスにするのは、金融理論からすると正しいのも知れませんが、日銀がさんざん言ったインフレ期待を高めるという点では、まったく正反対だと思います。 この中で、出てきたのがMMT (Modern Monetary Theory)。 自国通貨も発行権のある国が自国内で消化できる範囲なら、いくら通貨を発行しても問題ないと言うものです。 これが使える条件を満たすのは、日本とか2-3か国しかないのですが、日本の政府債務残高を正当化することはできます。
いずれにしても、少し前の国の借金が大きくて大変。 日本は沈没すると大騒ぎしたことは何だったのか。 このMMTを推進しているのが、保守右派の西田昌司参議院議員だと聞いてびっくり。
ここに日本政治の左右のねじれと言うか、左派リベラルの存在意義がなくっていると感じました。 そもそもリベラルは、大きな政府で、増税して福祉を充実すると言う立ち位置があったはずで、反対の右派は減税して、小さな政府を目指し、低負担低福祉、残りは自助努力と言うのが本来の立ち位置です。
アメリカの2大政党がうまく機能しているのは、右派の共和党が特に富裕層の減税と福祉切り捨て、つまりオバマケアを縮小しようとしてます。 反対に左派の民主党は増税で、オバマケアを推進すると言う方向で、政策の対抗軸がはっきりするわけです。
野田元首相の消費税増税で福祉を充実と言うのは、まさにリベラルの政策そのものだったのですが、ここに3党合意で保守の自民党を引きずり込んだまでは良かったのですが、これ以来保守であるはずの自民党が消費税増税を言い、リベラルの野党は増税反対を言うという、ねじれが生じてしまって、自民党は保守本来の政策を推進すると共に、本来野党の政策である増税で福祉充実も取り込んでしまって、結局リベラル野党の出番がなくなってしまったのです。 それで単なる反アベしか言えなくなってしまって、衰退がはじまっているのです。
前述の西田議員のMMTも、本来はリベラル野党の政策であるはずで、現にアメリカの民主党大統領候補の政策案でも、MMTまでは行かないまでも、財政出動の政策はどんどん出てきています。 西田議員はTV番組では、それなりに論陣を張っていましたが、あまり迫力もなくて、居心地が悪そうでした。 そりゃリベラルの政策を言うのは落ち着かないでしょうね。
今月の読み物は先月に少し紹介したジョージ・オーウェルの『一九八四年』 新訳版 ハヤカワepi文庫 \929
先月号で紹介したときは、ずっと前には読んだことがあったのですが、細かいところは忘れていたので、改めて読んでみました。 電子書籍で読んだのですが、あとで良く調べると、すでに著作権は消滅していて、日本語で無料で読めるものが、ネットにアップされていました。 少し読みにくいですので、有料の方が良いかもしれません。
町のいたるところにテレスクリーンがあって、それによって監視されているのですが、少し前ならだれがそれを監視するか、膨大な人手が必要と思っていたのですが、最近のAIの発展で、人手に関わらず監視できるようになりました。 現在の中国の監視カメラでの監視を想起します。 顔認証だけではなくて、歩き方とからも人物特定できて、いつだれが何処にいるのか瞬時にわかるそうで、1984の世界が実現しているのです。
過去や事実の改ざんとかも、現在の中国政府のやり方をみていると同じようなことになってきています。 1984の改ざんは徹底していて、新しい事実が出てくると、それに反する過去の記述はすべて改変されてしまいます。 AIとデジタル媒体による記録であれば、完全に実行できそうです。
2+2=4と2+2=5を同時に正しいと言う二重思考やニュースピークと言う新しい言語によって、思考の幅を狭めて、支配者に都合の悪い考え方そのものを単語を制限することで、出来なくなるようにするとか、徹底していますね。 ニュースピークは、中国の漢字を簡単にした簡体字を想起させます。
韓国の表記も気になりますね。 漢字を排して全部ハングルで表記するので、元々日本で明治のころに作られた新しい概念の漢字を、そのまま韓国語読みしてハングルで表記するので、非常に分かりにくいそうです。 漢字のままだと見ただけで意味は大体わかりますが、それをハングルにすると元の意味は失われてしまって、何故こう発音するのかが分からなくなっているそうです。
最近の韓国の言動が過激化しているのは、この辺にも遠因があるのではないかと思って検証中です。
元々漢字は、言葉の違う民族をまとめるのに有効だったわけで、現に日本では、中国語を漢文と称して、返り点などを振って、要するにほぼ同時通訳をやっているわけですね。 さらに音読みと訓読みと言うまったく関係のない二か国を同時に扱っているわけです。 さらに読みだけが残った平仮名とカタカナがあり、非常に複雑な表記になっていますが、漢字かな交じり文は読むには便利で読みやすいです。