今月の一言 2006年新年号


1月1日
2006年 あけましておめでとうございます。

昨年は特にIT分野での話題が多く、株式資本主義の問題とか、テレビとインターネットの融合とか、はたまたシステムの問題とか、構造設計の偽造とか、ITの本格的な幕開けにふさわしく、いろんな事が起きました。

特に話題の大きかった株式の世界では、何と1年で40%も株価がアップすると言う、バブル時代を髣髴とさせるような状況になってきました。 アナリストの昨年の予測では、昨年の株価は12000円から12500円の予測、最もアグレッシブな人でも13500円だったそうです。 プロと言えども、こう言う状況では予測が出来ないということでしょう。 来年の予測では、2万円から3.5万円と言う人が居ましたので、さて来年の正月はどのようなコメントになっているんでしょう。

この中でもIT関連の最大の話題は、みずほ証券の誤発注問題でしょう。 誤発注と言うのは良くあることだと思います。 ちょっとしたキーの打ち間違いで起きます。 我々が使うインターネットのシステムでは、チェックがかかっていますので、上下値幅制限外ではエラーになります。 またあんまり大きな取引もエラーになります。 以前に1株と1000株を間違えて入れてしまったことがありますが、これはエラーになりました。 これがノーチェックでしかも成行だと取り消しができませんね。 時々どえらく高い買いがありますが、あれもなんかの間違いないしは勘違いでしょう。

個人で20億 儲けたとか、100億以上の利益を上げた証券会社が自発的に儲けを出して基金に入れると言うような事が報道されています。 中には61万円の株を本当に1円で買ったと思っている人がいるようですが、取引は10万円の制限幅の下限で取引されますので、このようなことはありません。 従って、20億儲けた人は50億を突っ込んでるんですから、それだけでも儲ける価値はあるでしょう。 逆にその後の値上がりで、本来はもっと儲かったはずが、90万で手放さないといけなくなってしまいました。

ちなみに問題のジェイコム株はその後220万を付け、現状でも160万ですので、あの時90万で買って220万で売り抜けた人の方が、率では上です。 むしろあのような状況の中で、瞬間的に50億円もリスクにさらしたのは賞賛に値します。 もっとも、あれはみずほの社員と結託したものであったと言う噂もあるくらいです。 まあ1日では無理でしょうが、数日のうちに利益が50%でるのは珍しくないはずですので、一概に汚い儲けでは無いと思います。 少なくとも、利害関係の無い人の利益が遺失した訳ではなく、極めて日本的な解決であったわけです。 当のジェイコムは突然有名になってホクホクでは?

技術者の片割れとして、気になったのはビルの構造設計偽造問題。 偽造できないソフトを作るとかいう話がありますが、ナンセンスな話で、これも日本的なノー天気な話です。北朝鮮の偽札作りでも分かるように、存在するものは動機さえあれば必ず偽造はされます。 偽造を前提にシステムを作るべきでしょう。

例えばクレジットカードやバンクカード。初期のバンクカードの磁気ストライプには、何と暗証番号が入っていたのです。 これには唖然としますが、技術的には分かっていたことで、原因は特許が外国の会社に取られていて、おそらく特許料の支払いをケチったのでしょう。 この特許が切れてやっと、暗証番号はセンターで管理されて、磁気ストライプからはなくなりました。

しかし、後日談があって、実は古いカードがまだ残っていて、そのカードを入れるとそのカードの暗証番号が優先されると言うとんでもない事に最近までなっていたそうです。 テレビの番組でやってました。 実際この問題で被害にあった人がいるそうです。 日本人の平和ボケが露呈された一件でした。 本来、特許料を払っても何をしても、暗証番号をカードに入れない、また新しいカードが出来た段階で、古いカードは回収してシステム的にも使えないようにすべきでしたが、変な顧客志向のおかげで問題となりました。

構造設計偽造問題でも、応力係数が簡単に変更出来るのが問題で、通常は1.0のところを0.5とかやったわけで、TVで画面を見ていてもごく簡単な係数の入力でした。 少なくともこれが1.0以下にはできないようになっている、もしくは1.0以下にした場合はかなり特殊な場合なので、全ページのフッタにその旨を表示するくらいの対策が必要でしょう。 最終的にはこのようなソフトを認定した省庁の責任でしょう 『Super Build/SS2』。

また、設計問題ばかりに焦点が当っていますが、構造設計、施工設計、施工のいずれの段階でも偽造と言うか手抜きはあり得るので、監視が必要です。 少しでも安く上げて利益を得るというのは、人類の根源的な欲望だと思います。 この欲望に反するものは全て監視の対象です。 コストがいくらかかろうとも基本的には関係ない話だと思うべきです。

建築確認の手数料は15万円だそうです。 これではほとんどチェックは出来ないでしょう。 検査会社の社長が言っていたように、監督官庁に指導された手順に従って、適切に淡々と検査したと言うことです。 この手順の中にこのような大規模な偽造が想定されていなかっただけでしょう。

恒例の2006年予測ですが、まず経済分野の代表の株価は、何度かヒヤッとすることはあるでしょうが、2万円は超え3万円に近づくのではないでしょうか。 IT分野では、TVとインターネットの融合の論議がさらに深まるでしょう。 良くAOLとワーナーの合併の失敗が話題になりますが、その時と今ではブロードバンドの状況は全く異なります。 少なくとも現時点では、インターネットでの番組配信のインフラとしては十分なものがあります。サーバーの強化が必要でしょうが、最も時間のかかかるファイバーの敷設は完全に定着しました。

地上デジタルも本格化して、ファイバーや衛星放送、CATVとのせめぎあいも盛んになり、これから数年は混沌とした時代を迎えることでしょう。 地上デジタルは、その同報性を利用して、ニュース特に災害報道に威力を発揮するでしょう。 ケータイでの受信も出来るようになりますので、政府やメーカーが期待するような、双方向の特性はあまり生きてこないと思います。 ハイビジョンは、インターネットやCATVとの住み分けになるのでは無いでしょうか? 映画はファイバーを利用したオンデマンドが盛んになるでしょう。 ビデオレンタルとの価格競争になるでしょう。

デジタル放送の売り込みは最近激しいですね。 先につばを付けておこうかと言うことでしょうが、特に新しい番組をやっているわけでもないので、バタバタせずにしばらく様子を見るのが良いと思います。 従来のTVを使うためにはSTBと言うものが必要で、現状では5万円ほどします。 5万円あれば大きなブラウン管式のTVセットを買うことが出来ます。 1万以下のものの販売が期待されていますし、いずれはそうなるでしょう。 ETCの前例に倣って、いずれは国が補助金を出すと言う見方もあります。 いずれにしても、放送や通信は全体的な戦国時代になってきましたので、じっくり様子を見ることが大切です。

今月の読み物は、紹介するような本には出会わなくて、音楽と行きましょう。 ジャンルは好みがあるのでしょうが、ここはジャズです。 TVで聞いて良いなと思ったのでCDを買ってみました。 矢野 沙織、アルトサックス。 録音時には、1986年10月生まれの16歳だったわけで、ぱっと聞くとそういう感じはしません。 しかし良く聴くと少し弱い。 この辺がフュージョン好みのアメリカで受ける原因かも。 コルトレーンは良いのだが少ししんどい。 マイルスになると、しんどくて付いていけない。 かと言ってフュージョンではモノ足らんと言う人にぴったり。 しかし歳とると、だんだん演歌風になっていきますね。 ド演歌は論外としても、ポップス歌謡の中でも良いものがあります。 日本人やなと自覚します。


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