絵や写真をクリックすると、その関連ページが参照できます 2014年4月4日 消費税増税がスタートして、先が見えたのか、株価は上昇しているようです。 しかし良く見てみると、日経平均やTOPIX銘柄などの一部の株価だけが上がっているようで、全体的には、まだまだのようです。 アベノミックスも減速気味で、追加の金融緩和期待以外に積極的に買いが入る理由も無く、消費増税リスクや中国不動産リスクなどがあり、これからの3ヶ月は不透明な状況が続くでしょう。 追加の金融緩和も、だんだんとその効果は減ってきて、あとは成長戦略ですが、これには時間がかかるし、それよりも現在の成長メニューが中途半端で大物の法人税減税が焦点になるでしょう。 3月中の話題は何と言ってもSTAP細胞騒ぎです。 主要な登場人物は、発表者の小保方晴子ユニットリーダー、その上司で世界で最初にES細胞から網膜を立体的に作った笹井芳樹 理研副センター長、世界初の体細胞クローンマウスの誕生に成功した若山 照彦 山梨大学生命環境学部附属ライフサイエンス実験施設長の3人であることは間違いないでしょう。 そうそうたる実績を持つ2人に比べて、如何にも駆け出しと言う印象の発表者です。 リンクはYoutubeです。 実験ノートが3年間で2冊しか無いと言うことで、しかもその内の1冊はネイチャーの投稿関連なので、実質的には1冊しか無く、その内容も極めてずさんなものだったらしいです。 当初から、報道で写された実験室が異様に綺麗で何も置いていない。 IPSの実験室と比べるサイトもありました。 改めて見てみると確かに本当に実験していたのかと思います。 当人はマスコミが来るためかお化粧バチバチで、ブランド物の洋服が如何にも不釣り合いでした。 実験ノートは、我々では発明ノートに当たるもので、アメリカで開発をしていたときに、アメリカの特許は先願主義ではなく、先発明主義だったので、それを証明するために書くようにしました。 いずれにしても、この様な「非常に職人的なテクニックを要する」実験は、少なくとも 3年間は、不眠不休、お化粧どころか寝る間も無い生活を強いられるはずです。 良い悪いは別にして、ムーミンどころでは無いと思います。 まず声を上げたのは、若山照彦教授。 STAP幹細胞だと言われて、もらった細胞で8匹のクローンマウスを作ったが、このマウスは、最初の論文では8匹中2匹が、STAP細胞由来であると確認されたとのことだったが、その後発表された手順書では、アッサリと8匹とも認められなかったと変更されていた。 これで若山教授も世の中の研究者も唖然として、論文撤回発表につながったものと思います。 写真の誤用より衝撃は大きかった。 同時に理研内部の研究者による(理研から出ていた)データを解析したところ、STAP細胞と称するものは、ES細胞に極めて近いことが判明しました。 ES細胞は、笹井芳樹 理研副センター長の専門分野ですので、入手は極めて容易だと思います。 笹井芳樹 理研副センター長はエリート中のエリートですが、IPSの山中伸弥 京都大学iPS細胞研究所所長とライバル関係にあり、結果的にIPSに敗れたと言う関係です。 STAPのメリットは大半がIPSの欠点に対応するもので、STAPの万能性に対して、IPSを強く意識してたことは間違いないようです。 いずれにしても、笹井副センター長は理研の組織としての責任もありますから、極めて重いと思います。 若山照彦教授が同じ責任を問われるのは、理研の組織責任回避としか思えません。 Natureへの論文投稿ですが、若山教授が手伝ったときには却下され(若山教授談)、その後笹井副センター長が手伝ってやっと投稿に成功したと言うことです。 現時点での結論は、STAP細胞は存在するかもしれないが、小保方論文では作れない。 ES細胞を取り違えたのか、(わざと)混入したと思われます。 最初にこのニュースを聞いたときに、理屈なしに(間違えて混入したと)そう思いましたし、ツイッターなどを見ていると、世の中の研究者も大半は、そう思ったらしいです。 本件で初めて知ったのですが、ネットにはDNAのゲノム解析データを視覚化して共有するツールがいろいろあると言うことです。 インターネットが開発された当初は、主に情報関連の技術者の情報交換が主目的でしたが、今やどのような分野の研究であろうと、必ずコンピュータを使ってデータ解析を行いますので、このような情報共有は極めてインターネット的であると言えます。 図らずも今回は、ネット上のデータ分析・共有が行われましたが、それ以外でも多数の専門の研究者らしい(匿名で分からないが)人々が意見を活発に交わしていました。 報道や理研の検証委員会では、写真の取り違えとか、文章のコピペが問題の中心になっていますが、これは論文の信憑性に疑問符が付くだけで、本質的な問題では無いと思います。 本人の反論や検証委員会の報告では、間違う以前の真性の画像があるとのことですが、それは誰も見たことがない。 どっちにしても写真だけでSTAPであるとか、万能性があるとかの判断は出来ないと思います。 STAP細胞のDNAゲノム解析データを分析すれば一発で分かると思いますが、みんな慎重に避けている感じがします。 理研の対応も「特定国立研究開発法人」の閣議決定があるためか煮え切らず、分析に1年かかるとかで、引き延ばしを計っているとしか思えないですね。 下村博文文部科学相は引き延ばしを否定しましたが、どんどん尻を叩いて欲しいものです。 高温ガス炉の研究開発推進が、新たな「エネルギー基本計画」に明記されることになったとの報道がありました。 安全な世代型原子炉の候補の一つである高温ガス炉は検討の必要はあると思いますが、何か政治的な臭いがします。 ガス炉は既に研究開発がすすんでいて、一時水素が持てはやされた頃に計画されたのか、水素の発生もポイントの一つです。 確かに炉心溶融はしにくいでしょうが、冷却剤であるヘリウムの漏れが心配になります。 放射化はしないと言いながら、漏れやすいし放射物質が混じる可能性があります。 実現するのではあれば、ナトリウム漏れが止まらなかった「もんじゅ」の二の舞にならない事を祈ります。 本欄で以前に紹介した溶融塩炉も有力な選択肢と思います。 冷却剤が溶融塩であるので、漏れても固まるだけと言うのが最大のメリットです。 欠点は、日本での実績が無いことです。 技術的には溶融塩の腐食性の問題がありますが、片や高温ガス炉と違って常圧で使えることが良い点です。 また副生物して出来るウラン233が強烈なガンマ線を放射するので、保守はロボットがやらないと行けないが、核拡散には有効に働くと言う側面もあるようです。 地球規模では、いずれにしても原発は無くならずに、ますます増えていく。 欠陥だらけの急造品である軽水炉はもちろん、加圧型の原子炉も見直していく必要があります。 今月の読み物は、下天を謀る(上下) (新潮文庫) 安部 龍太郎 価格 各¥724。
★★★(歴史に興味のある人は、是非読むべし) |