今月のひとこと2015年5月号

2015年5月4日
株価は連休を前に想定通り落ちましたね。 それまでも下落場面があったのですが、ズルズルと行かないのは、従来の相場とは異なります。 日経平均が2万円を超えたとか、切ったとか言っても、日経平均に使われている銘柄、その中でも値がさ株のユニクロとかソフトバンクとかの株価の上下で決まってきますので、個別に見ていくと少し下がったとか、大幅に上がったとか、日経平均では分からない上下があります。 サスガに日経平均が大幅に下がったときは、下落傾向はありますが。

早々に日経平均の2万円超を迎えてしまったので、さあこれからどうなるか? と言うのが最大の関心事でしょう。 原油価格の下落のせいになっている物価の下落傾向で今年度の2%物価上昇は夢のまた夢と化し、昨年に早々にやってしまった金融緩和で、早期の再度の金融緩和はもう出来ず、日銀総裁の古巣のADB(アジア開発銀行)には、中国がAIIBと言う強烈なカウンターパンチを食らわせ、無責任で身勝手なヨーロッパがイギリスを筆頭になだれ込み、文字通り四面楚歌の状況になって来ました。

期待された企業決算も来期の見通しは、保守的と言われてきたのですが、結構そのままの姿ではないか、と言う見方もあり、春先に言われたような一本調子の上昇は難しいのではないかと思います。 企業の業績見通しでも、下期にグンと業績が良くなるような計画が多く見られます。 日銀の物価上昇見込みでも、今年度後半と言っていますし、この夏は余り良い夏ではなくて、そのまま良い年末を迎えられるかが最大関心事となります。

中国はAIIBに余程困っているんですね。 中国中心で、東南アジアを中心に細々としかし自分勝手にやりたいのに、急に参加国が増えてしまって、本当はもの凄く困っているのではないでしょうか。 日本やアメリカの参加で、国際金融のノウハウも得たいし、何より中国が勝手にやることに対してのお墨付きが欲しかったのでしょう。 そのせいか、安倍首相のバンドン会議での演説、米国議会で演説には大きなクレームは付けていません。 バンドン会議後の中国報道官の発言はほとんど何もなかったですからね。 その後これではメンツに関わると思ったのか、少しはクレームを付けていますが、本気では無い。 これで梯子を外された形の韓国は、国内問題もあり火だるまです。 AIIBに関しては、当初は外交失策と言われていましたが、結果オーライの参加見送りとなりました。 たまにはこう言うことも無いとね。

安倍首相の議会演説は、単語を並べただけとボロクソに言う人も居ますが、中身はともかく、もう少し流ちょうに話して欲しい。 相手が演説の名手のオバマだから、ますますそう思います。 発音の練習に気を取られて、肝心の英語の流れを忘れていたのではないかと思います。 演説はどちらかと言うと、日本語でやるより、英語の方がサマになります。 しかし結局、言語というのは単なるインタフェースなので、何語で喋ってもその人の考え方は勿論、話し方まで地が出てきます。 安倍首相の日本語の話し方そのままで英語になったような気がします。 例えば「反省」とか言う重要なキーワードは正確な発音で、区切って話すと良いですが、その他のエピソードなどは、英語の流れで話さないと、いくら発音に注意していても、話の流れはわかりくいものです。

英語でやりさえすれば、名演説になるかと言うと、安倍首相の演説でも分かるように、自動的にはそうはならないようです。 企業のトップのスピーチを聞く機会が多かったので、良い調子で聞こえていたのですが、肩書きが下のあまり慣れていないというか、練習をしていないクラスのスピーチは、良く分からないものが多かったです。 やはり練習とか訓練だと思いました。 流石にオバマはうまいです。 ブッシュも英語が単純な分だけ分かりやすいというか、うまかったです。 日本語は、どうしても情緒が勝つので、いわゆる演説とかプレゼンテーションには不向きだと思います。

最近の話題の中で、一人気を吐いているのがアップルウオッチを出荷したアップルです。 ジョブズ亡きあと、その経営が心配されていましたが、現在の経営の方が業績は遙かに良いようです。 良きにつけ悪しきにつけ、ジョブズはカリスマであり、経営者と言うよりはプロダクトの革命者なんでしょう。

アップルウオッチを分解して、その部品原価をはじいた記事がありましたが、その部品原価率は24%ぐらいとのことで、その記事の結論は、原価率が低いと言うものでしたが、一般のものつくりで言うと特に低いものではなくて、アップルブランドを考えるとむしろ高いのではないかと思われるくらいです。

ジョブズの初期アップル時代を除いて、始めて作ったNextコンピューターは主要な部品の原価のみで、売価になると言うとんでもない値付けがされていました。 当時としては革命的な光学ドライブが格納されていましたが、これとディスクドライブ、お金のかかった筐体、ディスプレイだけで、軽く売価を超えていたと思います。 最初に衝撃的な値付けをして、その後は数の力に任せて驚異的な部品コストの低下をすると言うのが基本的なやり方です。 Nextコンピュータはそれほど数が出なかったので成功とは言いがたいですが、Appleに戻ったあとの、iTune、iPad、iPhoneなどは、この戦略にバッチリはまりました。

今回のアップルウオッチで分かったことは、アップルが普通の製造で、普通の事業計画を持った普通のものつくり企業になったと言うことでしょう。 これだけ巨大な企業に成長したのですから、ある意味ではもの凄く良いタイミングでジョブズが去ったということでしょう。

今月の読み物は、昨月に読んだ本が良くなかったので、余程休みにしようかと思ったのですが、思い直して、その中で一番マシな「暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり」ブルーバックス 吉本 佳生 著 Kindle版 ¥680 新書 ¥972

オススメ度 ★☆☆ 興味があれば読むべし

もっと技術的な解説を期待したのですが、それは少ししかなくて、ほとんどが通貨とは何か、通貨として通用するのか、に力点があります。 そもそもどうしてビットコインを「発掘」するのかと言うような点にも触れられていて、ざっと読むには便利なものです。

【内容紹介】
「通貨の未来」を徹底的に考える――。
「国家の後ろ盾がある法定通貨」は、じつは完全無欠ではない。
為替リスクを抑え、送金手数料も安い暗号通貨は、
「欠点だらけの現行通貨」を革新する可能性を秘めている。

シンプルな暗号が、なぜおカネになるのか?
電子マネーやクレジットカードとどうちがうのか?
偽造される心配はないのか?
私たちの生活に、どんな影響をおよぼすか?

投資家たちを震撼させても、なお進化を続けるビットコイン。
その背後に潜む数学や暗号技術と、経済へのインパクトをくわしく語る。

内容(「BOOK」データベースより)
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