今月のひとこと2015年10月号





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2015年10月5日
気候もやっと秋らしくなり、秋晴れの日が多くなってきました。 最近は気候不順が続き、夏から突然冬になるような事も多く、この様な秋晴れは貴重なものとなりました。 経済も中国の変動で雨空になるかと思いきや、薄曇り程度で済むようです。 物価上昇2%の目標はほど遠く、生鮮食料品とエネルギー関係を除いていた日銀の指標でも、目標にはほど遠いのが実態です。 原油価格の下落は物価上昇には逆行しますが、日本経済全体には良い方向に働くので、時間はかかりますが、最終的には物価上昇に寄与してくるのではないかと思います。 株価も18000円を挟んで、乱高下はするものの、落ち着いてきた感じがします。

日銀金融緩和は期待しているのですが、おそらくアメリカの公定歩合の利上げに絡んで実施されるのではないかと思います。 上げるのも上げないのもどちらも問題があり、いっそのこと9月に上げておけば良かったと言う意見もあります。 年内に上げるのは確定していると思いますが、遅くなるとだんだんあげるのが苦しくなってくるような気がします。

同じような事が日本の消費税の10%へのアップにも言えると思います。 上げることのダメージは実証済みですが、さりとて上げないわけには行かない、上げないと次に挙げるのが難しくなる、と言うジレンマに陥ってしまうと思います。 3%アップ時には5兆円もの万全の対策をしたにも関わらず、あれだけの落ち込みをしましたので、次回の2%アップはもっと大きな対策を打つのかも知れません。 オリンピック前と言う状況もあるので、これで緩和されてしまうのかも知れません。 いずれにしても3%時よりは、上げないと行けない条件が揃ってきていると思います。

最近のITと言うか技術絡みの話題で何と言っても大きいのはフォルクスワーゲンのエンジン不正ソフトでしょう。 あのカチカチのドイツ人がやったと言うのも衝撃は大きいものがあります。 しかし良く調べてみると、過去にはアメリカのメーカーを含めて同じような問題があったと言うことです。 今回は台数も多いし、ドイツの車と言うことで話が大きくなったような気がします。

そもそも排ガス規制は試験方法が指定されて、その結果で判断されるので、今回のケースは、全体としてはおかしいのですが、法律違反にはならないと思います。 そもそも実車では計測が出来ないので、テスト台に置いて決められたテストをして、合格したら良いと言うことではないでしょうか。 何故今まで皆少しおかしいと思いながら、問題にならなかったかと言うと、実車で計測できる車載用の検査機が無かったと言うことです。

この小型の車載出来る計測器を作ったのが、この業界では有名な京都の堀場製作所だそうです。 この小型検査機が昨年に出来て、それを使って実車で試験したら、ピークで規制値の40倍の値が出たそうです。 意外なところで日本の中堅企業が貢献していると言うことです。 ちなみに、堀場製作所の創業者の堀場さんは、先日亡くなったばかりで、生きておられたら、コメントが沢山新聞に載ったのではないかと思っています。

地元のEUやドイツでは分かっていたらしいので、それはそっちの責任として、問題発覚のアメリカでは、ディーゼルはあまりはやらなくて、50万台くらいしか無いそうです。 不正ソフトを元に戻すと燃費が一気に悪くなるので、いっそのこと新車に交換したらどうか、と言う話もあり、下手に制裁金を払うより、この場合でも、新車の原価は200万円ぐらいと言われており、50万台台でも1兆円で済むと言う計算もあります。

最近のネット関連の話題で大きなニュースでは無かったが、面白かったのは、善玉ウイルスの話。 セキュリティ企業のシマンテックが、奇妙なマルウェアを発見したと公式ブログで報告しました。 ウイルスの作成者の意図は不明ですが、Linux.Wifatchと呼ばれるそのマルウェアは、感染しても害はなさず、むしろセキュリティを高めてくれる働きをするのだそうです。 ルーターに感染して、そのルーターを最新のセキュリティアップデートをやってくれるとのこと。

人間が感染しているウイルスも大半は無害で、一部は必須のものも有るようで、一説によると進化の大きなステップもウイルスがDNAの断片を持ち込むことでなされると言う話もあり、ウイルスというとひどい病気になると言う印象が強いのですが、意外に役に立つというか生きる上で必須でも有るようです。

同じようにコンピュータでもウイルスは外を及ぼすだけでなく、この様に役に立つようなものは出来ないのかと思います。 偽装されたらダメですが、特別の標識を持った善玉ウイルスをどんどん作ってネットに放ってはどうかと思うくらいです。

今月の読み物は、「瀬島龍三―参謀の昭和史」 文春文庫 保阪正康著 ¥605

★☆☆ 別の面から戦後史に興味ある人には読み応えあり。
瀬島龍三は、太平洋戦争時には大本営作戦参謀。 ソ連抑留、東京裁判に検事側証人として出廷、高度経済成長期には企業参謀、伊藤忠商事会長、そして中曽根政権下の行政改革では臨調・行革審の政治参謀として活躍した昭和史そのものの参謀ともいえる人物。

どういう人が、あの戦争を実際に作戦を作り指導したのか、またその後がどうなったのか、を知りたくて読みました。 筆者の正確もあるのかも知れないですが、全体的に公平というか、冷徹な記述が多いので、良くあるような持ち上げるような人物描写ではないです。

実際に読んでみると、本当に数奇な運命と言う感じと、サスガに大本営の作戦参謀は、良い悪いは別にして優秀なんだと感心しました。 抑留先のソ連でも、それなりの能力を発揮し、戦後は伊藤忠商事に入社して、単なる繊維商社から、世界的な商社に押し上げた原動力でもあります。

いわゆる上に立つ人で無く、根っからの参謀タイプの人物伝の、現代に生きた人なので、その詳細を読むことが出来ました。

内容(「BOOK」データベースより)
陸大を優等な成績で卒業し、太平洋戦下の大本営作戦参謀を勤め、戦後は高度成長期に商社の企業参謀、さらに中曽根行革で総理の政治参謀として活躍―。激動の昭和を常に背後からリードしてきた瀬島龍三。彼の60年の軌跡を彩る数数の伝説を検証し、日本型エリートの功罪と歴史に対する指導者の責任を問うノンフィクション力作。
著者は、綿密な取材によって瀬島が語らない昭和の裏側をかなりの部分明らかにしている。しかし、瀬島自身に対するインタビューを終えた感想は「知りたかったことになにひとつ正確には話してくれない」ということだった。おそらく、瀬島が語らなかったことは、そのまま昭和史の闇の中へ消えていくのだろう。ただ一つ、瀬島の大本営参謀としての本音がもっとも正直に吐露されていると思われる『北方戦備』という自らが記した大著は、一般の人間は閲覧することのできない、防衛庁戦史室という密室に寄託されているということである。(杉本治人)



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