2017年元旦 明けましてお目出度うございます。
申酉騒ぐの相場格言通り、大波乱の1年で年明けからの暴落で始まり、トランプ相場の余韻を残しながら大納会となり、格言通り今年も混乱が実感として予想されます。 せっかく2万円超を期待したのですが、アッサリと19000円を割り込みそうな勢いです。
株式は単なる投資対象と言うことだけではなくて、リアルタイムに経済と心理状況を表す現実的な唯一の指標と言っても良いと思います。 昨年はいくつもの国民投票や選挙で番狂わせがありましたが、株式相場は市場参加者による投票が毎日行われていて、その結果がリアルタイムで分かり、それに対する反応も即時に行われると言う極めて厳格かつ即時的な指標だと思います。
もちろんそれには心理的な影響も完全に組み込まれていて、総合的な判断となります。 おまけに金銭の裏付けもあり、単なるアンケートでは得られない真剣さとそれに関わる心理状態も影響し、読み間違いもたくさんあります。
初期のころからインターネットに、それと意識せずに付き合ってきたのですが、最初にインターネットとして意識したのは初期のブラウザであるMosaicが一般的になった1993年、その後一般の人がインターネットを知ったのが、1996年だと思います。 典型的な文系人間だった父親がインターネットと口にしたのにビックリしました。
それから20年が経過して、どうもこれからはインターネット2.0とも言うべき新時代に入ったと言う思いが強くなりました。 日本を含む各地での選挙や投票の意外性は、従来型のマスコミが実態を正確に報道できなくなり、実際の情報はインターネットとスマホを介して行われる事がメジャーになって来たことを示していると思います。 政治そのものに大きな本質的な影響を与えるようになったと言う事でしょう。
ケータイのiモードのプロジェクトに最初に関係したころには、元々PCでのインターネットが当たり前と思っていたので、こんな小さな画面で何が出来るのか? との疑問が多く、ビジネスとしては本気になれませんでした。 しかし、それがドンドン浸透し、スマホの登場によって画面の問題は解消されてPCと同様になり、OSが変わったことで、GUIも革命的に変化し、今やインターネットはスマホと一体となったと言って良いでしょう。 かたやiモード対応の機種の出荷が終了したのも象徴的だと思います。
インターネットの規模の点では、IoTが進展して接続台数は今の10倍から100倍にまで膨らむと思います。 折しも従来型IPV4によるIPアドレスが昨年に枯渇したと言うニュースがありました。 以前から枯渇すると言うことでV6が浸透してきているのですが、それがとうとう現実のものとなり、非常に象徴的だと思います。
従来はM2M (Machine to Machine)として考えられていたのですが、これが昨年からIoTとして、急速に発展しました。 これも2000年ころからプロジェクトに参加していたのですが、当時とまったく同じ議論がIoTでもなされています。 もちろんそれ以上に概念に幅が出てきていますが、ビジネスモデル的にも基本的には同じ議論です。 M2Mのころは、ケータイの市場が飽和しつつあり、ケータイキャリアとしては、この市場を爆破的に増やすには、と言う少し後ろ向きの姿勢がありましたが、IoTはもっと前向きだと思います。
当時も計画したM2MとAIとの連携も、当時は飛躍的に伸びるAI技術も無く、コンセプトだけでしたが、IoT時代ではディープラーニングと言う強力なツールが出現し、想定以上の成果を上げています。
ただいくら強力でもディープラーニングは大きな意味の統計処理を行う技術なので、これに適した分野では大きな成果があります。 将棋や囲碁の世界では、過去の棋譜などを勉強して強くなっていくのですが、これはディープラーニングの得意中の得意で、トッププロが敗北するのは当然だと思います。 これからは、過去の棋譜などに囚われるのではなくて、全く新しい戦法を考えないといけない時代になったと思います。
一方のAI分野は当面はディープラーニングの統計処理が力を発揮しますが、やはり本来の意味理解の技術を進めないといけないと思います。 ディープラーニングは、いわば高度なオウム返しであって、何か入力があるとそれに対する過去の事例を素早く引き出して返すと言う方法です。 中身の意味は分からなくても良いのです。
30年ほど前に、「人工無能」と言うお遊びのプログラムがありましたが、何か質問すると、適当に答える。 しかしその気になっていると不思議に会話が成立している「感じがする」と言うしろもので、これと今の人工知能会話とどれくらい違うのか。 本物のひととの会話でも、日常挨拶は、ほとんど人工無能でなされていると感じるときがあるくらいです。
意味理解が出来ると人間本来の能力である「自意識」が形成されるかも知れません。 こうなるとやっと本物の「人工知能」になってくると思います。 ひょっとすると、意味理解とさらに別の技術ブレークスルー、流行の言葉で言うと技術シンギュラリティがあると、自意識が芽生えると思っています。 生きている内に本物のAIを体験できるのか?
インターネット上の更に大きな技術シンギュラリティは、ブロックチェーン技術です。 従来あったP2Pと言うサーバーレスシステムに暗号化技術を組み合わせたものですが、これはインターネット創造以来の大発明でしょう。 30日の日経本紙の1ページ広告と各ページの1/4広告は、何とビットコインの広告で埋め尽くされ、非常に象徴的だと感じました。
ブロックチェーンは、まずビットコインなどの仮想通貨でスタートしましたが、これからは、電子契約文書や登記文書などの大規模な原簿が必要な分野に革命を起こすと思います。 いずれは契約は全てインターネット上のブロックチェーンでなされ、暗号による個人認証が実印に替わるでしょう。 印鑑証明は過去の遺物になりそうです。
しかし現在のブロックチェーン技術は欠陥も多く、まだまだ発展の余地は大きいと思います。 また全てのトランザクションをブロックチェーン上に置くのは非合理的なので、契約文書の本体などは、従来型のデーターセンターに置かれるようになると思います。
1960年代にインターネットが発明されて以来、Webの発明を経て、50年を経過して、とうとう全地球規模で隅々まで地理的にも、経済的にも、政治的にも浸透してきて、いわばインターネット2.0とも言うべき時代に入ってきたのは間違いないでしょう。 しかも、一国はおろか全世界の仕組みや民主主義そのものにも影響を与える存在になり、それがさらに進展する時代になりました。 後生に残るターニングポイントだとひしひし感じます。 インターネット1.0を体験し、2.0のとば口を垣間見れたことにわくわく感が絶えません。