今月のひとこと2017年3月号





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2017年3月2日
トランプ騒動も先日の一般教書演説で大分落ち着いてきました。 スピーチライターが歴代大統領の演説を切り貼りして仕上げて、後でトランプが手を加えた所がハッキリして、面白かったですね。 しかし、確かに大統領らしい演説になっていたと思いますが、これなら今流行の性能が大幅に向上したAIでやって、後で手直ししてもあまり変わらなかったのではと思います。

米国憲法を読んだことありますか? しょっちゅう憲法修正何条とか言う表現が出てくるので、不思議でしたが、よく考えると1787年と言う江戸時代中期に成立した世界最古の成文憲法なんですね。 従ってエラく細かいこともかかれていて、如何に法律をつくる議会を最初に作るか? と言う観点で書かれているようです。

お手本にする憲法も無いので、最初に手探りで作って、後から修正を加えているんです。 明治帝国憲法は今見てもなかなか良く出来ていると思っていましたが、米国の憲法に遅れることほぼ100年後の1889年に公布されていて、良く出来ているのは当たり前かと思います。

経済面では日経平均も確かに長期的には上昇だが、当面はどうするかで迷っている感じがします。 個人の投資家は塩漬けにした損失含みの株式を大量に持っているので、株価の戻り待ちの売りが結構出ているのでは無いかと推測します。 塩漬け株は統計には出てこないので、その影響はなかなか分かりません。 まあ恐る恐ると言う感じです。

金正男暗殺事件にはビックリしました。 VXガスと言うあんなに効く毒と言うのは現存するのですね。 まるで殺虫剤みたいやなと思っていたら、やはり1950年代初期にイギリスで殺虫剤を開発していて発見されて、人間にこれだけ効くのなら兵器に白太良いと言うことになったらしいです。 VXと言うくらいで、Vシリーズの毒ガスがいっぱいあるようです。

VXガスとは猛毒の神経剤(V剤)の一種で、サリンなどと同様、コリンエステラーゼ阻害剤として作用し人類が作った化学物質の中で最も毒性の強い物質といわれています。 揮発性(蒸気圧)が低いため残留性が高く、そのうえサリンなどと異なり化学的安定性も高いので、温帯の気候においては、散布から1週間程度は効果が残留するそうです。 水で洗浄しただけでは取り除けないため、安全な状態にするためには化学洗浄が必要。 木材や皮、布などに付着した場合には長期間毒性を維持したまま留まるため、VXガスに汚染された物に触れただけでも危険。

VXガスの作用機序はアセチルコリンと言う神経伝達物質が無尽蔵に増えてしまって死に至る経過をたどります。 なぜこうなるかというと、VXはアセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを無効にするコリンエステラーゼ阻害作用があるためです。 シナプス間隙においてアセチルコリンが適量あれば、人体は脳が発した命令に対してスムーズに機能します。 しかしVXによってアセチルコリンが大量に存在してしまうと本来の脳が発した命令はうまく伝わらず、肉体的にも精神的にも大混乱に陥ってしまいます。 大混乱の結果、身体には痙攣(けいれん)、麻痺(まひ)、呼吸困難、錯乱といった死に至る症状が現れてしまうのです。

新聞記事で触れているような解毒剤は存在するのかと言うことですが、プラリドキシムヨウ化物PAM(パム)と言われるもので、コリンエステラーゼにくっついて、そのはたらきを邪魔しているVXを引きはがしてくれます。 ただ症状が現れてからでは遅くて、症状が出る前に服用しないと行けない様子です。 今回の暗殺事件では、最初からこの様な薬を服用していたと思われます。 しかし完全には解毒できないので、多少の症状は出たものと思われます。

以前から怪しかった先日のMHK「試してガッテン」はとうとう一線を越えてしまって。トンデモ番組になってしまいました。 テーマは糖尿病で、ある種の睡眠薬を服用すると糖尿病が治るというかマシになると言うことで、突然「デルタフォース」が出てきた辺りからトンデモになって、たまたまTVを見ていたので、これはヤバいなと感じました。

その後PCでメールを見ていたら、Twitterの記事が飛んできていて、それを見ていると、この番組を本気にして医者に睡眠薬を処方するように要求してきたと言う記事が出てきて、ウチにも来たと言う医者ばかりで、結構な騒動になっていました。 薬には認可された薬効があって、その薬効に合わない症状に対しては処方はできないのですが、患者はどんどん言ってくる。 睡眠薬には糖尿病と言う適用はないので当たり前ですので、NHKの勇み足です。 さらにNHKが推奨したのが新しく2014年ぐらいに認可になった、新しいタイプの機序をもつ睡眠薬だったのも、混乱を増長する事になりました。

昨夜の「試してガッテン」の番組の冒頭でアナウンサーが謝っていましたが、誤解を与えるような番組内容で申し訳ありません、と言う意味で、誤解した方が悪いと取れるような釈明でした。 もともとこの番組はもっとマシだったのですが、途中から少しトンデモに傾斜してきた傾向がありますし、ごく簡単な話題を延々と引っ張って番組を作るような所が出てきて、最近ではほとんど見なくなりましたし、見ても最初から疑わしいと思うようになりました。

今月の読み物は「世界最強だった日本陸軍 スターリンを震え上がらせた軍隊」 PHP文庫 ¥680 福井 雄三 著

オススメ度 ★★★ 是非読むべし

タイトルからして多少陸軍を買いかぶっているところもありますが、海軍善玉陸軍悪玉説に一石を投じる読み物です。 海軍はあれだけ派手に真珠湾をやって、その後はミッドウェーで大敗北をしてるのですが、確かに陸軍はこれと言った敗戦はしていない。 シンガポール侵攻は真珠湾に匹敵する戦禍だがあまり評価されていない気がしました。 ノモンハン事件は日本側の大敗北だと思っていましたが、これは半藤一利と司馬遼太郎による決めつけで、本当は日本側の大勝利で、スターリンはこれを非常に気にしていたと言うことです。

歴史にIFはないですが、太平洋戦争はしょうが無かった必然だと言うようには思っていましたが、別の選択として、あの時に日本が海軍説の南進をせずに陸軍説の北進していたら歴史は変わった、と言うのは目からウロコでした。 南進したためにスターリンは日本との不可侵条約を締結し極東軍を西部戦線に投入し、負けかかっていた戦争を盛り返し、ドイツが負けてしまい、最後はソ連の不可侵条約破棄で満州侵攻で戦争が終わったのです。

あの時に日本が北進していたら、少なくともソ連は無かったでしょう。 ロシアとして残り、原状と変わらない状態にはなったと思いますが、少なくとも冷戦は無かったと思います。

【内容紹介】
日米戦争における日本の最大の悲劇は、日本が戦争に負けたことではなく、アメリカから一方的にやられっぱなしの、あのようなぶざまな負け方をした、戦闘内容のレベルの低さだった。これがいまだに日本人の潜在意識の底に尾を引いている。──本書「序文」より

旧ソ連の秘密文書公開によって、ノモンハン事件がじつは日本陸軍がソ連軍を圧倒した勝ち戦だった事実が明らかになった今日、昭和史は大幅に書き換えられなければならない。

……スターリンは恐怖に震え上がった。じつはソ連はすでに日本に停戦を申し入れていたのだが、日本から回答がないのを見て、焦慮のあまりついにドイツに泣きついたのである。日本が「恐ソ病」にかかっていたのは事実であるが、ソ連はそれ以上に「恐日病」にかかっていた。──本書「第一章 ノモンハン」より
当時世界最強だった日本陸軍が、なぜ太平洋戦争に敗れたのか。その答えにこそ「昭和史の謎」を解く鍵がある。

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