今月のひとこと 2023年11月号

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今月のひとこと 2023年11月1日


先月号に続いて LLMと自動運転の話です。 先月号でLLMが自動運転で使えるんじゃないかとか書いておりましたが そういう検討も当然なされているみたいです。 運転中の画像をLLMで画像解析させて何が映っているかを、文章で出させてそれに従って運転するというやり方です。

例えば「横断歩道を人を歩いている」とか 「信号が赤である」とか言うのをずっとログとして残して、後で何がどうなってどう 運転したかがわかるというメリットがあるということです。 しかし今の LLM の画像解析は少しまだ頼りないところがあるので、まだ実現には時間はかかると思いますが、従来のやり方でカメラの画像解析とか センサのデータを使うとかいうやり方では、やはり限界があって、この一体何が起こるかわからないというLLM の仕組みをうまく使ってやればLLM は未知の事象にも対応できそうなので、本当の自動運転が実現するかもしれません。

最高性能の PC + グラフィックボードが必要になって、それを全部 車に積むのは無理があるので、あと数年待てば その性能の車載用機器が可能になるのではないかと思います。 そうなると カメラ映像だけで自動運転ができるという テスラのイーロンマスクの夢が叶うのではないかと思います。

いずれにしてもLLMはCPUパワーが必要です。 Microsoftは2019年以降、世界中で話題となっているチャットAI「ChatGPT」を開発したOpenAIに対して多額の投資を行っており、ChatGPTをリリースした直後の2023年1月には数十億ドル(数千億円)規模の出資を行い、長期的なパートナーシップを結んだことが発表されました。MicrosoftはOpenAIを支援するため、数億ドル(数百億円)以上を費やしてAI開発用のスーパーコンピューターを構築していたことも明らかになっています。今後はもっと桁違いの資金が必要になるでしょう。

自動運転で最近話題になったのはアメリカの GM の傘下のクルーズの無人タクシーが事故を起こして、これが DMV の逆鱗に触れて無期限の営業停止になったということでしょう。 尤も事故だけでは無くて、虚偽のデータを出していたと言うのも営業停止の背景にあるようです。

知らない間にアメリカの特にサンフランシスコではもう各社入り乱れて 自動運転の無人タクシーが走ってるようです。 このクルーズの事故は他の車と衝突して倒れた人を踏んでしまって、さらにそれを 60m 引きずったというのが DMV の逆鱗に触れた点だと言う事です。 こういう事象 というのは通常の自動運転の想定には無いと思いますので、そう言うプログラムされてなかったということでしょう。 やはり想定外のことに対応できるということが非常に大切なんではないかと思います。

自動運転がものすごく出遅れの日本ですが、レベル4の自動運転車が自転車と事故を起こして、それでこれも無期限の営業停止になったと言う、まさに日本らしい対応の仕方です。

自動運転レベル4というのは レベル3の上と言う感じではなくて要するにセンターで監視しながら決められた範囲で走るという、何かやり方が違うだけと思います。特に日本では、決められた範囲では出来なくて、決められたルートで、しかも徐行運転でと言うのが、同じレベル4でも大違いです。

アメリカのレベル4は、範囲があるとは言え、サンフランシスコの市内ですし、速度も他の人間が運転する自動車と同じ流れで走っています。 今回発表された、GMとホンダが共同して行う無人タクシーは東京都内です。

低速で誰も怪我もしていないのに単に自転車とちょっと当たったというだけで営業停止にしてしまうという、ゼロデフェクト的な潔癖さがある日本では規制以前に、なかなか前に進まないと思います。アメリカでは、今年だけで122件あるそうです。 少なくとも今まででも事故が起きてたが、今回の場合を除いては 営業停止になっていません。

連携して日本で東京で自動運転タクシーを始めようとしたホンダにとっては、発表直後にこういう事故があったので非常に間の悪いというか、ついていない日本としては、 それもある意味で日本らしい状況になっています。

レベル4というのは監視ドライバーがつかないレベルでレベル3より難しいという感じがするのですが、基本的には自動運転という観点では レベル3とあまり変わらないんじゃないかと思います。 ただ センターでの監視と地域を限定するという条件がついてるのが違うだけです。意外に、これは思ったり早く実現しています。

今はレベル3というよりは レベル2.5の自動車に乗っていますが、 これは自動車専用道路でもさらに限定された場所において渋滞という時速60キロ以下で ハンドルに手を添えていなくても良いというのがレベル3かレベル2.5。 しかし何かあるとちょっとしたことですぐその自動運転が外れ手動操作に戻ってしまいます。 レベル2としても レーンキーピングの場合でも、ややこしい所に来ると、すぐに自動が切れてしまいます。

本当に使えるのは オートクルーズだけだと思っています。 いずれにしても本当のみんなが想像するような自動運転 が実現するのは、まだまだ先で、今年末に出来ると毎年同じこと言っている テスラのイーロンマスクも、また来年また同じことを言うのではないかと思っています。テスラの今のやり方では、出来ないと思います。

現在のテスラの自動車がどうなってるか分かりませんが、少なくとも レベル2であっても、レーンキーピングでも ステアリングにトルクをかけ続けて自動が効かないのであれは、ずっとトルコを与え続けるというのは非常なストレスだと思います。 これも静電センサーを省くと言うコストダウンの一環です。

他の車ですと静電 タッチセンサーになってるので手を触れているだけで良いですので、まだストレスは少ないと思います。 ハンドルを引っ張っているのと同じような重さの重りを Amazon が売っていてその重りをつけておくと 手で引っ張ってるのと同じように システムは感じるので手放して運転できるということです。

過去に色々死亡事故があったのはどうも こういうことをしていたのではないかと言われています。 こう言う状態です全米各地で無人自動運転タクシーが走ってるのはちょっと 信じられないのですが、条件としては センター 監視と地域限定ということらしいです。

また細かい事故には気にしないということだと思います。 しかし 日本ではこういう割り切りは出来ずに自動運転だと事故が起きたら大騒ぎになるんだと思います。 それをやってる限り、なかなか自動運転の先進国にはならないと思います。

自動車で思うのは、先日アメリカの自動車総連がストをやって賃金交渉が妥結しました。 これで不思議に思うのは なぜ日本の労組が少なくとも スト権確立ぐらいはやらないのかと不思議でしょうがないです。 先日やっとスト権確立と言う見出しを新聞で見たら、M&Aに絡む待遇改善のストでした。

経団連も言うことが非常に何か細かい。昔の会長はもっとオーラがあって格調が高かったと思うのですが、大したことは言わないし、方や連合も何かおばさんが出てきて、何言ってるかわからない。 もっと賃上げとかをストを構えてもやる、と言えば良いのに、それは言えない言わない。

総評は消費税アップ賛成と言う前に、BPRが1以下の会社はもちろんトヨタもEVすら作れないので、これを立て直してから言って欲しい。

インボイスにしても帳票電子化にしても、税務署が経費を否認する確率が高くなるだけで、結果的に実質増税になってしまう。 財務省の深謀遠慮ですね。 こんな財務省の手に無条件に乗っかって、一時的なバラマキで胡麻化そうとする岸田政権はすっかり見透かされている。

結果的に日本の賃金は非常に低いところに落ち込んで、もう既に1人当たりの GDP は 先進国の中では最低ラインになっている。 さらに 貿易赤字が膨らんでいるので円安にはどんどんなって、さらに人口はどんどん減るし、日大で象徴されるように組織のガバナンスはどこも 確立されていないし、経団連や経済界は 元気がないし、連合も労働会も元気がない。

今月の読み物は「完全シミュレーション 台湾侵攻戦争」 (講談社+α新書) 2023/4/19 山下 裕貴 (著) ¥935

TVでおなじみ山下裕貴元陸将が想定する台湾進攻シミュレーション。

【Amazon 書評より】
「問題は、侵攻のあるなしではない。それがいつになるかだ」中国の台湾侵攻について、各国の軍事・外交専門家はそう話す。中国の指導者・習近平はなにをきっかけに侵攻を決断するのか。その際、まず、どのような準備に着手するのか。
アメリカ・台湾はその徴候を察知できるのか――。

元陸上自衛隊最高幹部が、台湾侵攻を完全にシミュレーションした!陸上自衛隊の第三師団長、陸上幕僚副長、方面総監を務めた元陸将・山下裕貴氏は、沖縄勤務時代には与那国島への部隊配置も担当した。中国人民解放軍、米インド太平洋軍、そしてもちろん自衛隊の戦力を知り尽くす。戦地となる台湾周辺の地形も分析し、政府首脳も参加する机上演習(ウォーゲーム)のコーディネーターも務める、日本最高の専門家で、本書はいわば、「紙上ウォーゲーム」である。

中国と台湾を隔てる台湾海峡は、もっとも短いところで140キロもある。潮の流れが速く、冬場には強風が吹き、濃い霧が発生して、夏場には多くの台風が通過する、自然の要害である。

ロシアによるウクライナ侵略では、地続きの隣国にもかかわらず、弾薬や食料などの輸送(兵站)でロシア軍は非常な困難に直面し、苦戦のもっとも大きな原因となった。

中国は台湾に向け、数十万の大軍を波高い海峡を越えて送り込むことになる。上陸に成功しても、その後の武器・弾薬・燃料・食料・医薬品の輸送は困難をきわめる。

「台湾関係法」に基づき、「有事の場合は介入する」と明言しているアメリカも、中国の障害となる。アメリカ軍が動けば、集団的自衛権が発動され、同盟国の日本・自衛隊も支援に回る。

つまり、自衛隊ははじめて本格的な戦闘を経験することになる。
日米が参戦すれば、中国は台湾、アメリカ、日本の3ヵ国を敵に回し、交戦することを強いられる。

それでも、習近平総書記率いる中国は、「必勝」の戦略を練り上げ、侵攻に踏み切るだろう。

そうなったとき台湾はどこまで抵抗できるのか。
アメリカの来援は間に合うのか。

台湾からわずか110キロの位置にある与那国島は、台湾有事になれば必ず巻き込まれる。与那国島が、戦場になる可能性は高い――。
手に汗握る攻防、迫真の台湾上陸戦分析!

山下 裕貴
1956年、宮崎県生まれ。1979年、陸上自衛隊入隊。自衛隊沖縄地方協力本部長、東部方面総監部幕僚長、第三師団長、陸上幕僚副長、中部方面総監などの要職を歴任。特殊作戦群の創設にも関わる。2015年、陸将で退官。現在、千葉科学大学及び日本文理大学客員教授。
著書に『オペレーション雷撃』(文藝春秋)がある


 

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