米国は、すでに金融緩和を緩めて利上げ段階に入っているのですが、日本経済は景気は良いものの、物価水準が未だに目標の2%に到達しないまま、今年は日銀総裁の任期も来てしまいます。
物価もさることながら、あれだけ現金預金の内部留保があるにも関わらず、賃金が上昇しません。 政府が音頭を取って賃上げを推進するのは、若い頃に賃上げを圧縮しようとしていた時代を知るものにとっては隔世の感があります。 ここしばらくは金利も上がらないでしょう。 金利は政策的な事が大きいので、しょうが無いですが、これだけの人手不足のなかで賃金が上昇しないのは現経済の最大の不思議です。
賃金が上昇しないことは、思い出してみると20年以上前にアメリカで感じました。景気は良いのにレイオフが連日新聞に出ていて、賃金も思ったほどは上がっていませんでした。 アメリカはベンチャーが多いので、ベンチャーの立ち上げ時の給与は極めて低いのが当たり前なので、そうかとは思っていましたが、今になって思うと、賃金問題の要因は当時からあったように感じます。
日本の賃金は支払賃金では増えていないが、雇用者負担の社会保険は増えているので、経営側から見た支払い賃金総額は増えていると言う議論もあるようです。 しかし全体の労働分配率は増えていないし、労働生産性は2000年以降下がってきていると言うことなので、その原因はともかく、経済理論的には不思議では無いようです。
それにしても労組の非力さは目を覆うばかりです。 企業内労組が多いからと言う理屈もついているようですが、バブル前でも企業内労組は多かったですが、スト権を含めて「闘う労組」だったと思います。 最近は非正規労働者の問題とかを連合が言い出していて、以前は組織労働者しか対応しないと批判されていましたので、進歩したと思いますが、本尊の組織労働者の労働条件の最大の要素である賃金を上げると言う任務を遂行できない労組は存在意味がないと思います。 どちらが原因か結果か分かりませんが、連合が支援する野党はガタガタになっています。
この中で本来リベラルの売り物である福祉の充実とか賃金の上昇とかの政策を与党が採用してしまうので、野党としては打ち出す政策が無くなってきてることが、与党がうまいのか、野党がだらしないのか、どっちにしても日本国の政治には余り良くない状況になって来ています。 中途半端な野党連合を言うより、寄り合い所帯の連合も半分に分かれ、既に分裂している野党も2つぐらいにまとまるべきだと思います。
安倍政権は内政では、いろいろ有りますが、外交は大成功ですね。 やはり長期政権で無いと外交は出来ないと言う証明です。 ただ安倍首相は少し内弁慶。 あの国会のやりとりを外国でも発揮して欲しい。 トランプや習近平との写真を見ていると、何か頼りないと言うかおもねている印象があります。 また、国会も何も無い中国に比べて、国会に出ないといけないのも足を取られる一因でしょう。 それにしてもこれだけ行くと政府専用機も使い甲斐があるというものです。 一方で外務大臣は民間機を使ってると初めて知りました。
外務大臣の「おねだり」と言って批判を浴びた右派新聞がありましたが、スケジュールが決まっている民間機では仕事にならないでしょう。 アメリカのちょっとした大手企業のトップはみんなプライベートジェットを使っています。 もっともアメリカではハブ式なので、地方から地方に行こうとすると丸1日がかりの旅程になってしまいます。 トランプなんか自分で飛行機会社を持っているくらいですので、外務大臣にはエアバスとは言わないまでも、ビジネスジェットは必須ではないでしょうか? 国益を考えると安いものだと思います。 政府専用機なみに空自の運行にすると大変なので、日航か全日空へ業務委託したら良いのではないでしょうか? それも一機運行で。
昨年はAIが大いに話題になって、AIによる自動運転が今にも実現して、AIによって仕事の大半がすぐにでも取って代わられると言うような報道がありましたが、なかなかすぐには進展しないと思います。 電気自動車EVも、ヨーロッパと中国がそれぞれの思惑で言い出していて、少し乗り損ねたトヨタが大慌てしていると言う図式でしょう。 トヨタは先の先で水素自動車を推進していましたが、急に電気自動車の機運が上がってきたので、あてが外れた格好です。 まあハイブリッドは、燃費向上のアイデアとして新入社員にやらせておいたのが棚ぼたでマーケットが出来たので、それはラッキーと思って、電気自動車もそれなりにやらないと行けないでしょう。
日産のゴーンさんはサスガにハイブリッドを飛ばして、最初から電気自動車を推進してミーブなどをだしていましたが、日本らしくグズグズしていたら、あっという間に中国勢にやられてしまいそうです。 勝手な想像ですが、中国では例えば電気自動車を半分に分けて、半分ずつ太陽光で充電して走らせれば、太陽光の不安定さも解消されるのでは無いでしょうか。 工場の操業も日中のしかも晴天時にしか許さないことにすれば、太陽光の不安定さも克服できるのではと、先日の中国大規模太陽光発電の番組を見て思った次第です。 APECの時の北京ブルーの空を見ていると、この国は多少の困難は指令一つで克服出来るのでしょう。
2018年は、インターネット2.0の始まりでは無いでしょうか。 インターネット2.0の最大の代表はブロックチェーンでしょう。 ビットコインなどで代表される仮想通貨で脚光を浴びましたが、これはこれで通貨とは何か?と言う問いを発する事と、新しい通貨の社会実験であると思いますが、これはブロックチェーンの応用の一つであって、本来の革命はブロックチェーンです。 基本的には、10年ほど前に大問題になり、制作者が裁判にかけられたWinnyに代表されるP2P技術がそのベースになっています。 P2Pはそれ以前から合ったのですが、使い道が分からず、最初の大きな応用が音楽の違法配信であったのが不幸の始まりで、その後は日陰者になっていましたが、ブロックチェーンで大きく花を咲かせた感じがします。
ビットコインで全てのトランザクションを各PCが持っているのも、いずれは限界に来ると思いますが、ちょっとしたデータベースであれば、極めて容易にサーバー不要でシステムを構築でききます。 その内にパッケージ化されたフリーソフトが出てくると思いますが、ビジネスにするには少し時間がかかるかも知れません。 元々フリーであったLinuxもサポートを付けて優良でビジネスになっていますので、うまく付加価値を付ければ良いと思います。
20年程まえに現在の使い方に似たような事を想定して、5年間ほど音声認識の開発をマネージしましたが、結局使い物にならずで終わりました。 話者の癖学習やマイクロフォンの選択や照合する辞書の効率化などをやりましたが徒労に終わってしまいました。 今回のディープラーニングで、性能は飛躍的に、それこそシンギュラリティ的に向上しました。 最初にスマホで音声認識したときは、あっけにとられました。 それまではまともに認識したシステムは見たことが無く、ジョブズが実演していた映像を見ても、半分ヤラセだと思っていたくらいです。
この音声認識は半分はディープラーニングですが、残りの半分はインターネットでしょう。 高性能のサーバーで認識してリアルタイムで応答するネット技術も非常に重要です。 ディープラーニングでテンプレート照合ではクオンタムジャンプしたのですが、次のジャンプはどうなるのでしょうか? 恐らく量子コンピューターがその鍵を握っているのではないでしょうか?
量子コンピューターも実用にはあと10年ほどかかると思いますが、その間に量子コンピューターに向いたAIアルゴリズムを考えないといけないでしょう。 ディープラーニングを開発した人も、ここまで行くとは思っていなかったようなので、ひょっとして次のステップでは、人間の思考能力に近いものが出てくるかも知れません。 ネットのお陰で、高価な量子コンピューターでも、携帯端末でその恩恵を受けることが出来るようになると思います。
技術的には余り高くないと思いますが、インターネット2.0の第3の要素はIoTです。20年くらい前にM2Mとして取り組んだ事があるので、大体のビジネスアイデアは当時考えたことと同じですが、これからは少しそれから発展したものが出てくるのでは無いかと期待しています。 NTTかドコモかのTVコマーシャルで、IoTの宣伝をしていましたが、ここで取り上げられている実例は、20年前にやったことそのもので、新しいアイデアはあまり出てこないのだと感じます。
一方で最近入手したのはエアコンのリモコンをIoT化したもので、AmazonのAWSで動作し、スマホから遠隔でエアコンなどの自宅の機器を操作したり、自動タイマー動作させることが出来ます。 これの優れた点は、いわゆるルーター越えを何の設定も無くやってしまうことです。 パナソニックのディスクレコーダーのDigaでも同じように、何の設定もなく、自宅のルーターの外でレコーダーの番組を視聴できます。 例えば、ネットと繋がっていれば、ワンセグ機能の無いスマホでも、TV番組緒をスマホで視聴できます。 しかもBSも視聴できるというおまけ付きです。
このIoTリモコンとスマートスピーカーをつなぐと、いろいろな設定は必要ですが音声で操作できるようになり、昔のSF映画のように、「電気を点けて」というだけで、照明を点灯させることが出来ます。 しかもこれが総額でスマートスピーカーを除いて1万円もせずに実現できると言うのが革命的です。
この様にインターネットそのものが大発明で、これだけ社会に大きなインパクトを与えているのにノーベル賞もしくはそれに匹敵する賞をを授与しないのは、単に受賞者がいないからでしょうか。 さらに日本人が発明者をされているビットコインやブロックチェーンには受賞の資格は十分あると思います。 受賞者が分からないと言うのも原因だと思いますが、この様な一種の数学であるコンピュータ科学は、素粒子や医学などの自然科学より一段落ちる応用科学だと言う認識があるようなので、ノーベル賞には数学部門がありません。
単に自然の法則を「発見」しているだけの自然科学と、基礎の前提から人間の頭脳が論理的に考える数学を比べると、数学の方がよりレベルが高いと思うのですが、こう言う論調は余り見たことがありません。 コンピューター科学の領域の末端に居たものとしては、もう少しコンピュータサイエンスの地位が上がってくれると、うれしいと思う初夢でした。
今月の読み物は正月休みです。