今月のひとこと 2021年6月4日号
例年より一足早く梅雨入りしてしまって、雨の日が続きますが梅雨明けは例年と同じと言う梅雨が長く続くということです。 しかし先日来、晴れ間が続き梅雨とは思えないような天気が続いています。 地球温暖化のせいか降る時はどんどん降って降らない時は降らないというような天気になってきてるようですね。
コロナワクチンの接種がやっと本格的に始まりました。 私はワクチンは打たないつもりだったのですが、かかりつけ医といろいろ喋っていると、やはり打ったほうが色々と有利であるということが分かってきたので、打つことにしました。 先日何も言わないのにかかりつけ医から電話かかって来たのですが、打つ気が無かったので、えらく失望した感じになりました。 しかし、その気になって再度予約すると大体一週間後ぐらいに最初のワクチンが打てて6月末には2回目も終わりそうです。
ワクチンを接種した時の副作用もさることながら、ある程度時間が経った後にどうなるかという心配もあるわけで、平均余命の短い年寄りはともかく、若い人はもし何年か経って副作用が出てきた場合は、困ったことになると思います。 以前からこういうことが色々あって、政府厚労省は及び腰だったんではないかと思います。 ワクチンに関しては問題が沢山ありましたので更に及び腰になっていたんではないかと思います。
IT の話題ですが、先月見かけた記事で、何と皿サイズの巨大 AI チップが登場。 2.6兆トランジスタを搭載しているとのこと。 半導体の初期の頃はちょっと面積を大きくするとも歩留まりが落ちて、どうしようもなかったのですが、今回は全くのワンチップではないとは言いながらトータルで、お皿サイズのチップができるということは、すごいことです。 それでずっと20‐30年ぐらい前に、チップに乗るトランジスタの数が増えてきた頃に、これはひょっとして人間の脳細胞の数と同じレベルに達するのではないかというのを本欄で書いておきましたが、その時はまだニューロンの機能とトランジスターの機能とで全く機能が違うので比較はできませんが、それでもやっと1/10ぐらいに届く程度でした。
しかしこの2.6兆個は脅威です。 ヒトの大脳皮質の神経細胞ニューロンの数は140億個であるとされていますが、ニューロンを100個のトランジスタで実現したとすると、1.4兆個になり、そのまだ倍あります。 ニューロンを1000個のトランジスタで実現したとしたら、14兆個のトランジスタとなり、あと一桁にまで迫っています。
市場最大規模のGPUのトランジスタ数は約540億個ですが、この 2.6兆個のトランジスタを搭載するチップは寸法が4万6225mm2という超大型半導体で、40Gバイトのオンチップメモリを搭載、メモリバンド幅が20ペタバイト/秒とどれも超ど級です。
もちろん AI チップのトランジスタは規則的に配置されており、大半はメモリエリアだと思います。 これに反してニューロンは非常に複雑な融通無碍な処理をしますので、その辺がどうなるのか。 しかし「量は質を変える」ということもありますので、これだけの数になると何が起きるか分からない次のステップに行くのではないでしょうか。
ディープラーニングが出現した時は非常に驚きました。 と言うより本当だとは思えなかったです。 それまで音声認識をやっていたこともあってAIというのはいかに難しいかというのよくわかってたので、それがいとも簡単に普通の人がしゃべるレベルで認識するというのはこれはもう吃驚仰天の出来事でした。 こう言うのを技術のクオンタムジャンプとか特異点とか言うんでしょうが、こういう飛躍的な変化が何処かで起きるのでしょう。
ただ現在のディープラーニングはまだまだ人間には及びもつかず、高級テンプレートで、学習したものとの比較ということを効率的にやるだけで、何処かに限界があると思います。 主題が与えると非常に自然な文章を作れるという記事もありましたので、本当に人間らしい所と言うのは、く考えないといけないんじゃないかと思います。
恐らく人間は2割ぐらいは人間っぽい創造性を発揮してると思うんですが、残りの8割はほとんど定型作業で、こういう文章を書いているのではないでしょうか。 アイデアそのものは出しますが、文章にするところに関しては、決まり決まったものであるので、この辺はその他の8割に相当するんではないでしょうか。 現在のディープラーニングのレベルでも、人間とは人間の人間らしさを問われているので、もう一歩先に行ったときには、区別がつかなくなるのではないでしょうか。
半導体つながりでもう一つのビッグニュースは、2ナノ設計ルールの半導体の試験ライン が台湾で稼働を今年中に稼働するということで、これも吃驚仰天の話です。 老舗のインテルは10ナノを切るのに四苦八苦しているようですが、目標の7ナノ、次の5ナノを飛び越えて、一気に2ナノのテストに入るようです。 5ナノ品は来年の後半に量産に入るそうです。
半導体の進歩というのは終わりがないですね。 私が現役のころは、定年を過ぎたら、エレクトロニクスは衰退して、バイオテクノロジーか何か他の分野が主流になると思って、新入社員にはいつもそう言っていたのですが、まったく予想が外れていますね。 20-30年前に、すでに原子の大きさでも集積度が決まるというような限界論が言われてましたが全然制約はないです。 私が新入社員の時は10マイクロぐらい、今の1000倍ぐらいの大きさのデザインルールでも四苦八苦していたのですが、それが知らない間に二桁ナノになりそれが一桁ナノになり、さらに一桁ナノの下の方になるというような事が起きています。
これは動作クロックにも表れていて、私が現役でやってた頃のワークステーションのCPUチップの動作クロックは10メガヘルツだったところを12メガとか16メガにするというのをやっていたたのですが、今はそれを遥かに超える5ギガとかいうレベルのクロックになっています。 Wi-Fi で使う電波ですら2.4 GHz や5GHzですから、それと同じくらいにクロックと言うことです。 これもチップの中で処理するので可能なんでしょうが半導体の性能 UPと言うのはもう止めどがない。 30年前に比べたらもう夢の世界のようで、当時一体何を何を苦労してたのかという感じです。
今月の読み物は、あまり読み物という感じではない「城郭考古学の冒険」 幻冬舎新書。 Kindle版 (電子書籍)¥492
著者はテレビでおなじみ千田 嘉博さんですが、テレビで見てるとちょっと軽薄な感じがするんですが文章は結構しっかり書いてあって、織田豊臣時代に今の城郭形式が完成したと主張、それと城郭はすべての周りのものを見ないと、単に天守閣だけを見ていても駄目だということを繰り返しておられます。
城郭の本ですが、あの戦国の時代の歴史のその裏側を覗き見るような感じで非常に興味深いです。 中身が濃いので読むのに時間がかかりました。 お城に興味のある方はぜひ一読したらいかがでしょうか。
【サイトの説明より】
城跡の発掘調査、絵図・地図、文字史料など分野横断的に「城」を資料として歴史を研究する「城郭考古学」。城を築いた豪族・武士の統治の仕方や当時の社会のあり方等々、近年、城を考古学的に研究することで、文字史料ではわからなかったことが次々に明らかになってきた。信長・秀吉・家康・光秀・久秀らの城づくりからわかる天下統一と戦国大名の実像、石垣・堀・門の見方、アイヌのチャシ・琉球のグスクなど日本の城の多様性、世界の城との意外な共通点等々、城郭考古学の成果とその可能性を第一人者が存分に語りつくす。
整数論への新しいアプローチ!