今月のひとこと2016年9月号





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2016年9月1日
先物で、やっと17000円を付けた東京市場の今週ですが、9月20、21日の日銀金融政策決定会合まで、いろいろな動きがあると思います。 金融政策もやり尽くして、やはり3本の矢の本命の成長戦略・構造改革の実行が不可避になって来ました。 ヘリマネの声が高いですが、すでにヘリマネ的な金融緩和が行われていて、日銀保有の国債をずっとそのまま持っておけば、極めてヘリマネに近いことになります。 黒田総裁が否定しているヘリマネは、日銀の国債直接引き受けだけで、ヘリマネ的な政策を否定しているわけでは無いと思います。

日銀が市場の国債を買い続け、来年には市場の国債を買い尽くすと言われています。 ETFを通じて上場している株式会社の多くが日銀が筆頭株主になると言われていますし、GPIFが本格的に株式投資を行うと、これも大株主になって、日本の企業のほとんどが実質的に国有企業になってしまうと言う、資本主義なのか社会主義なのかなんなのか、新しい世界に突入するのでしょう。

日銀が国債をそれも非常な高値、マイナス金利の高値で買い続けて、日銀が買うから値段が付いているのですが、これが買わなくなったとか、買い方が減ったとなると、いわゆる国債の暴落につながり、ひいては日銀の損失が大きくなり、自己資本を超えて、債務超過になってしまいます。 しかし国の中央銀行である日銀の資本と言うのはどれくらいの意味があるのか。 もし債務超過になったとして、どのような悪作用が出てくるのかは、経済学者をはじめ誰にも分からないそうです。

来年度予算の概算要求レベルで、3年連続で100兆円を超えたそうですが、この調子で財政赤字が膨らんでいくとどうなるのか。 現在のような低金利しかも場合によってはマイナス金利の場合はほとんど問題が顕在化しないでしょう。 上に書いたように日銀が国債の購入を減らして、国債の金利が上昇つまり国債の値段が大幅に下がったら、インフレになりますが、ちょうど良いインフレになったら理想的ですが、コントロールを外れるとハイパーインフレになります。

もしこうなったら政府の債務は減って、国債を直接間接に保有している個人の財産は目減りして、要するに個人から政府への財産移転が起きるのです。 幸い国債は日本国内でほぼ賄われていますので、日本国内で、ハイパーインフレにより、政府の債務と個人の財産、主に銀行預金ですが、これが入れ替わると言うこと「だけ」だと思います。 要するに自分の預金を諦めたら、政府債務は帳消しになると言うことです。

ITの世界では先月も紹介しました、ブロックチェーン技術が話題となっています。 ビットコインで有名になって、フィンテックの一種だと誤解されている場合もありますが、実際は分散台帳システムだと思います。 従って台帳を使って処理している全てのシステムが対象になります。 AIのディープラーニングとブロックチェーンは21世紀の2大発明だと思いますが、ブロックチェーンの方が社会に与える影響は遙かに大きいと思います。 AIはいずれにしても人間の代替えですので、便利にはなっても新しいことはあまりないと思います。 自動運転技術も、現在の人間のドライバーを置き換えるだけですから、便利にはなりますが、革新的なことはあまりないと思います。

ブロックチェーンはインターネットの発明と同じレベルだと言う話もあり、まだまだ未完成な技術ですが、インターネットと同じく、もの凄い大きな可能性を秘めていると思います。 音楽配信やファイル共有で著作権との兼ね合いで、悪いイメージしか無かったP2P技術が、ブロックチェーンでその方向性が見えてきたと言う事だと思います。

ブロックチェーンのキモは、台帳データを分散して持つ、しかも暗号技術で裏付けされているために安全性が極めて高い。 人間のおのおのの細胞が全ての遺伝情報を持っているのと同じだと思います。 問題はデータ量がどんどん大きくなって、各ノードが巨大化するのをどう防ぐか。

さらに取引の正当性を確認するのを別の処理でやるのですが、これを如何に効率的にやるのか。 例えば現在の銀行取引では、取引のほとんど全てが正当なのですが、万が一のために常に不正としてチェックを行っているので,システムコストが高くなるのですが、ブロックチェーンでは、時間が少しかかりますが、正当性を担保して、ブロックに埋め込むので、改ざんが出来ないようになります。

今月の読み物は8月は暑かったせいもあるのですが、いろいろ読みました。 その中でも異色は「無私の日本人」 文春文庫 磯田道史著 ¥637

オススメ度 ★★★ 日本人なら読むべし

3話からなるのですが、もちろん一番面白いのは、最初の話。 いつもは絶対に薦めないのですが、今回のオススメは「あとがき」を先に読むと良いと思います。 本文を読んでいて、疑問に思うことが、ここに全て書かれてあります。

読んでいて思わず涙か出ました。 古文書に依っているので、そのままの話だと思い、古文書に多少の誇張はあると思いますが、それにしてもこんな事が日本の江戸時代にで行われていたとは感動ものです。 映画化されているようですが、これを読んだときの感動は得られないでしょう。 武士の家計簿の続編でしか無いと思います。

日本人の底力を見たような気がします。 隣の大国の国民は、日本に旅行に来てショックを受けて買えるそうですが、この話などはショックどころでは無いのではないでしょうか。 現在の日本人ですらショックを受けます。 後の2話もこれに負けず劣らずの感動編です。 どれも実在の人物で古文書による裏付けがあるというのが感動をより強くします。

あとがきより
「この国にはそれとはもっとちがった深い哲学がある。しかも、無名のふつうの江戸人に、その哲学が宿っていた。それがこの国に数々の奇跡をおこした。わたしはこのことを誇りに思っている。この国にとってこわいのは、隣より貧しくなることではない。ほんとうにこわいのは、本来、日本人がもっているこのきちんとした確信が失われることである。ここは自分の心に正直に書きたいものを書こうと思い、わたしは筆を走らせた。」

今月のひとこと2016年8月号





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2016年8月2日
今年は偶然に7月の最終日に本宮となった、毎年恒例の夏祭りもやっと終わり、お盆の行事、地蔵盆と夏の行事が続きます。 バタバタして暑さを忘れろと言うことでしょうか。 更に今年は、懸案だった温室の建て替えで、取り壊しをやっと終わり、今度は整地をしないといけないのですが、少しでも涼しくなるタイミングを見計らっているところです。

候補者が2転3転の東京都知事選挙も夏祭りと同時に終わり、大方の予想に反しての大差での決着となりました。 何と言っても退路を断った背水の陣の候補と、如何にも頼まれ候補と言う感じの地味な候補、まったくKYな自称ジャーナリストの年寄り候補では話になりませんでした。

面白かったのは自民党支持者の半分、民進党でも半分の人が小池さんに入れてることです。 サスガに公明党は組織がしっかりしているためか、ほとんどが自民党公認候補に入れていました。 自民党や都連会長の責任問題になるのではないでしょうか。 また「応援したら除名」通知も、どのように処理していくのか、見物です。

さらに面白いのは、小池さんへの女性の支持が男性よりわずか少なかったことです。 ヒラリークリントンと似た感じで、好感度はあまり良くなくて、同性には更に好感度が低い。 しかし他が悪すぎましたね。 米国の大統領選挙も似た感じですので、意外な最終結果になるのかも知れません。

健闘したのは同じジャーナリストでも上杉隆候補。 最初は泡沫候補と思っていましたが、他の候補者に比べて政策をキチンと並べたので評価されたようです。 政策そのものは取り立てて素晴らしいモノではなく、特に後に変更したようですが、知事給与ゼロは一般受け狙いがミエミエです。 ちゃんとした仕事をしたなら、それんに見合う報酬を取るのは当然で、まともな感覚の持ち主には通じないと思います。

次は桜井誠候補。 悪名高き?在日特会の前会長で、政策は在日特会そのものですので、その得票数が注目されましたが、11万4000票で、まあ想定範囲内と言われています。 ネトウヨに狂信的に支持された、あの田母神氏の得票が61万票だったので、それには遠く及ばないようです。

田母神氏の政治資金問題も一応は幕引きが行われて、うやむやになったようですが、基本的には私的流用と政治資金規正法に反していると思います。 最初に論文と称するモノが出てきたときには愕然としました。 趣旨はともかく論述が雑。 如何に懸賞論文で、短いとは言え、キチンと論述すべきだと思いました。 さる有名なTVに良く出てくる教授は、ウチの学生でももっとマシなものを書くと言っていました。

こんな人が航空幕僚長で、ひょっとすると統合幕僚長にもなろうかと言うことですので、こんな人に任せて置いて良いのかとおもいました。 自衛隊幹部は、もっと国会に出して、論戦をする訓練をした方が良いと思います。 アメリカの報道番組などで、軍の幹部が話す場面がありますが、サスガに堂々とキチンとした事を喋ります。 下士官になると少し怪しくなりますが、TVインタビューを受けて、まともに喋れる自衛隊員がどれくらいいるのでしょうか。

イギリスのEU離脱問題は、当面の混乱は収まったようですが、実際の離脱に至るまでは、まだまだ予断を許さないようです。 政権党の代表は、急転直下これも女性で決まりましたが、ここから実際の離脱まで、年を越すことは共通認識になりました。 折しもソフトバンクがARM社を買収する話が飛び出し、イギリスは、これと言った製造業がなく、金融産業で持っている国ですので、EUとの関連が薄くなるとどうなってくるのか、はたまた中国との接近も観測されていて、まったく予断を許しません。

2016年7月28日に「インターネット誕生から1万日」を迎えたということです。 ここで言うインターネットは、HTMLで記述するWord Wide Webが、1989年3月12日ティム・バーナーズ=リーによって提案された誕生日だそうです。 それ以前からインフラとしてのインターネットはありましたが、基本的に文字ベースだったので、あまり注目は浴びませんでした。

提案されてから4年後の1993年だったと思いますが、技術者がwwwがどうした、こうしたと言うメールが増えてきました。 現在のPCに相当するワークステーション(WS)を開発していましたので、それに当時のブラウザのMosicをインストールして、今でいうネットを見ることができるようになりました。

最初に画面を見たときは衝撃の一言。 モノクロの画面でしたが画面いっぱいにグラフィックスで表示され、表示は文字でしたが、それが細かく表示されており、それまではキャラクタ文字しか見たことがなかったので、本当に衝撃を受けました。 当時は、html以外のGopherとかFtpとかのプロトコルが沢山あったのですが、それらは今でも残っていますが、その中でHTMLだけが大きく生き残ったことになります。

以下は、今日までの流れをネットから拾ってみました。
インターネット1208日目、「ピーガガガ……」というダイヤルアップ音が生まれました。
インターネット2263日目、JavaScriptが誕生。
インターネット3947日目、「Y2K( 2000年問題)」が起きました。
インターネット9999日目、Firefoxのヴァイスプレジデントが「 Pokemon Go DB」を作りました。ちなみに「初代」と呼ばれるポケットモンスター赤・黒が発売されたのは1996年2月27日で、インターネット3639日目のことでした。

今月の読み物は、「ブロックチェーンの衝撃」 単行本 2016/6/8 ビットバンク株式会社&『ブロックチェーンの衝撃』編集委員会 (著) 馬渕邦美 (監修) Kindle版 ¥ 2,800

オススメ度 ★★★ 理系で無くても是非一読を

結構分厚い本で、しかも内容が深いので、最初は怖気づきましたが、内容が多岐にわたる分だけ興味も沸いてきて、結構速く読了できました。 少し前に問題になったビットコインの技術的なベースになっているブロックチェーン技術の解説です。 技術というより。その応用分野も同時に解説していますので、興味深く読めます。
新聞記事などでも、時々ブロックチェーンに関する記事があり、例えば Ethereumと言う単語が突然出てきたりしますが。これも予備知識が無いと全体がわかりません。

切っ掛けになったのは、某最大大手銀行が、ブロックチェーンの会社を買収したとの記事があったので、銀行ですら本気でブロックチェーンを考えているのだと、ショックを受けて、この本を読む気になりました。

技術的にどうなっているのか、知りたいところですが、実際のインプリメントはなかなかわかりません。 全体としては、P2Pによって全体のトランザクションを共有して、追加は暗号技術で不可逆的に追加する。 最新のブロックは一番長いもの選ぶと言うものです。

最初から不思議だったのは、全トランザクションは何処にあるのか?と言うことに対しても、各ノードがすべてのコピーを持っているとのことで、いずれはノードの物理的な記憶域の制約が出てくるものと思いますが、ビットコインでは7年間の無トラブルが実績としてあるようです。

また、このような特性を利用して、契約書などを置いておくことも可能で、このような場合は、インデックスをブロックチェーン化しておいて、契約書自体は通常のDBに置いておくことも可能なようです。 いずれにしても、まだまだ発展途中ですので、さらなる進展があるものと思います。

全体としては、AI分野のディープラーニングと並ぶ大発明だと思います。 ソフトウエアと言っても所詮は数学ですので、従ってノーベル賞の対象ではないですが、あの単純な自然数1,2,3,4・・・・ から始まって、100年かかっても解けないようなフェルマー予想(すでに証明されたので予想ではなくなった)のような複雑なものができてくるので、プログラミングの塊であるソフトウエアも、もっともっと度なものが出現して行くものと思っています。

決済の分野では、IoTのそれぞれのノードが、自らブロックチェーンを利用して、自動的に決済をする事も可能です。 決済手数料が安いので、各ノードが、自らの通信費用を、自ら支払うと言う場面も可能となります。

IoT、ブロックチェーン、AIがこれからの10年を主導していくのではないでしょうか。

今月のひとこと2016年7月号





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2016年7月4日
全世界が意表を突かれたイギリスのEU離脱問題。 ヨーロッパ流の交渉術において、ボールを持っているイギリスが有利で、キャメロンは批判の矢面に立たされましたが、正式のEU離脱通告は、9月になり、総選挙後になり、最後は年明けになってしまいました。 以前よりイギリスの離脱はリスクだと言われていましたので、結局、そのリスクは高まっただけで、似たような不安定な状態が続くようです。

アメリカの共和党トランプ候補との共通性も謂われており、ポストグローバル化時代の象徴と思われる節もあります。 ロシアや中国の膨張主義、中東の混乱、スコットランドやイタリア、オランダなどのEU内の反乱、沖縄の復古主義などなど、個別問題と世界の潮流がない交ぜになって、判断に苦しむわけですが、戦後70年、東西冷戦終結後の四半世紀が経過した現在新しい潮流が出来ているのだと思います。

この一件で一番割を食ったのが日本。 経済状況は安定して、ほぼ元に戻った感じですが、唯一日本の円高だけが残りました。 わーっと砂埃が立って何も見えなくなったのですが、だんだんと晴れてきたら、円高と言う山だけが突っ立っていたと言う感じです。

あまり報道されていませんが、ヨーロッパ最大の銀行であるドイツ銀行の調子がどうも悪そうです。 ドイツは経済政策に関してはストイックですから、支援をしないことも考えられ、もしドイツ銀行が破綻するようなことがあれば、また一波乱、それこそリーマン級の経済津波がやってくるかも知れません。

このままでは東京オリンピック前の好景気と言うシナリオも怪しくなり、それに合わせた消費税アップもどうなることかと思います。 経済が更に下落して、しかも政治的な圧力で、消費税アップとなれば、考えるだけでぞっとする状況になります。

金融緩和はこれ以上の策無しで、財政出動もそんなに懐は裕福ではないので、オリンピックまでは何とかなるでしょうが、その後は弾切れとなり手詰まりです。 おそらくその時に出てくるのがヘリマネ。 これが本当の最後の手段だと思います。 パーナンキが提案した方法で、ヘリコプターから札を撒く感じなので、ヘリコプターマネー、ヘリマネと言われている政策です。

本当にヘリコプターで札を撒くわけではないのですが、政府が政府紙幣を発行する、もしくは国債を日銀が引き受けて、そのまま償還せずに持ち続けて、ようするに批判の多いばらまき政策を堂々とやるのです。 最近の3万円の「高齢者給付金」がヘリマネに近いと思います。 この財源を政府紙幣か日銀引き受けの国債で賄えば、立派なヘリマネになります。

中央銀行の信認とか円の信認の低下とか言われますが、円の価値は基本的には世界の通貨との比較の問題で、今日のように各国が競って通貨安を目指すのであれば、それらとレベルのあう政策にしないと、円だけが独歩高になってしまいます。 ユーロも元も怪しくなり、アメリカだけが何とか踏みとどまって、利上げに向かおうとしていますが、これも一進一退で、どっちに転ぶのか不透明なままです。

日本の参議院選挙を狙ったかのように、バングラデシュやイラクでテロが発生しました。政府は選挙運動どころでは無くなり、これらの事件の影響がどのように選挙に出るのか、見守りたいと思います。

自動運転で先端を走っていたテスラの Model S でとうとう自動運転中の死亡事故が発生しました。 いままでで 約2億キロの走行実績があるそうで、実績データで統計データではないので、単純な比較は出来ませんが、イーロンマスクは、通常の自動車の事故確率と同じくらいと言っています。

少し調べてみたところ、日本における従来型の自動車の事故率はだいたい 1億キロ当たり100件程度で、死亡事故は、1億キロ当たり0.5人、つまり2億キロに1人で、同じ程度と言えば同じですが、テスラが全て自動運転をして居たわけでもないし、電気自動車のそのものの事故率は従来型と変化無いはずなので、やはり自動運転時の事故率としては、高い印象です。

元々自動化により事故率の低下が期待されているので、自動運転の結果としては残念な結果だと思います。 おまけに高速道路における自動運転で、技術的には問題ないと思われていた状況です。 高速道路でもこうですから、特に一般道路ではまだまだ自動運転は開発の余地が多そうです。

ディープラーニングを過信してはいけないと思います。 ディープラーニングは過去の状況で判断しますから、それこそ想定外の状況ではどう判断するか分かりません。 囲碁の対戦では、奇妙な打ち手を打って負けたら終わりですが、自動車では死亡事故や大規模事故につながります。

今月の読み物は、新聞に大きな広告が出ている「総理」 単行本 山口 敬之 (著)
Kindle版 ¥1,382 単行本 ¥1,728

オススメ度 ★★★ 是非一読を

電子版で読みましたが、まあ面白かった。 どこまでが真実で、何処までがフィクションか分からないが、面白いです。 政治家と記者の関わりの裏側が見えて興味深いです。 また、安倍総理と麻生副総理の距離が面白い。 単なる友達でも同僚でもない、不思議な関係。 これが現政権の寿命を長くしている要因ではないかと思います。 消費税アップ延期の局面でも新聞報道から伝わってくる印象とほぼ同じなのも印象的です。

【内容紹介】
そのとき安倍は、
麻生は、菅は――
綿密な取材で生々しく再現されるそれぞれの決断。
迫真のリアリティで描く、政権中枢の人間ドラマ。

「本当の敵は身内にいる」
――第一次安倍内閣から安倍を支え続ける麻生太郎。
「絶対に安倍を復活させる」
――重要局面で目の前で票読みをし安倍の背中を押した菅義偉。
「世にいうところの緊急事態かもしらん」
――誰よりも早く安倍の異変を察知した与謝野馨。
「麻生さんが決めたなら、私も」
――谷垣支持から安倍支持に転じた高村正彦。
「そういう事実は一切ありません」
――宏池会会長として野田聖子支持を完全に否定した岸田文雄。

著者について
1966年東京生まれ。フリージャーナリスト・アメリカシンクタンク客員研究員。90年慶應義塾大学経済学部卒、TBS入社。以来25年間報道局に所属する。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、ロンドン支局、社会部を経て2000年から政治部。13年からワシントン支局長を務める。16年5月TBSを退職。

今月のひとこと2016年6月号





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2016年6月5日
想定通りの消費税アップ先送りとなり、同日選は取りやめになり、アメリカではヒラリーが政治資金問題が再燃して、トランプがますます有利になっているようです。 先週末には、アメリカの雇用統計が発表され、予想より大幅に少ない数字に、ドルは急騰。 円は一気に106円台に上昇しました。

伊勢志摩サミットでの安倍首相の世界経済危機説は、あまり評価されなかったようですが、雇用統計の悪化で、足下のアメリカで利上げが行われようとしていると言う批判も、これで早くも崩れてた格好です。 これにイギリスのEU離脱が現実化すると、まさにリーマンショック並の経済後退が起きるのではないでしょうか。

東京都知事の経費と政治資金の問題が連日TVニュースを賑わせていますが、如何にもセコい細かい話で、むしろヒラリーの100億円単位の政治資金問題の方が、事の善し悪しは別にして、迫力が違いますね。 都知事の政治資金の使い方は、個人企業経営者の公私混同的な、節税目的の使い方とよく似ています。 しかし方や税金で賄われている政治資金と、少なくとも原資は自ら稼いだ売上げの中から使うと言う大きな違いがあると思います。

元々個人事業、特に法人でない事業は公私混同が経理上もルール化されていて、しかしその区分は明確にするようになっています。 同じ財布の中の現金に印は付いていないので、公私を区分することは難しいと言う前提に立っていると思います。 その上で、経理上は公私を明確に区分することになっていますが、都知事はこの辺を曖昧にしたまま、いわば公的資金を私的にも使ってしまったと言うことでしょう。

いずれにしても辞任は避けられず、後任の選択が議論になっていますが、元宮崎知事とか、前都知事とか、イマイチな面子ばかりです。 どうせなら候補に挙がっている元防衛大臣の女性知事候補が良いと思います。 オリンピックでも見栄えがするでしょう。

最近買ったガシェットで思ったより良かったのが、Dylan イヤホン CVC 6.0ノイズキャンセル機能搭載 ランニング仕様 耐水 bluetooth ワイヤレス イヤホンでした。 作業中にケータイを待ち受けにして、その間に主にワンセグTVの音声を聞くのですが、有線式はコードが引っ張られてすぐに外れるし、Bluetooth式でも、左右のイヤホンをコードで繋ぐので同じ事になるし、耳穴に突っ込むタイプは汗ばむし、すぐに抜けてしまいます。

このイヤホンは耳に当てるだけなので、耳穴タイプの問題は無くなりますが、音が悪いのが欠点でした。 しかしこのイヤホンは音が良い、スピーカーを横に持ってきている感じです。 電源ONや接続を音声で知らせてくれる(中国語で無くて英語)のでビープ音だけよりも分かりやすい。 電話がかかってくるとかかってきた電話番号を読み上げてくれるので、どこからの電話かはだいたい分かる。

電源は勝手に切れないので受け待ちにも良いです。 バッテリも12時間持つとのことで、まだ試してはいませんが、結構持つのは間違いないようです。 また、壊れ安いのが欠点らしいのですが、確かに壊れやすい感じですが、丁寧に扱えばそんな感じもしません。

ITの話題ではないですが昨年から今年にかけて、素粒子物理の世界の標準理論を超える試みが精力的に行われています。 その中で、自然界の4つの基本的な力に加えて、第5の力がある可能性が高まっています。 昨年にハンガリーの科学者が発表したのですが半信半疑。 もちろん力は素粒子の大きさぐらいしか働かないようです。 しかし今年になってカリフォルニア大学でその検証を行ったところ、第5の力が働いているとしても矛盾は生じない実験結果が得られたそうです。

この他にも、コンパクト化された第5次元空間を検証するプロジェクトも進行しており、このコンパクト化が 1mm 程度の大きさで、実際に実験できる大きさなので、この距離で万有引力の法則が成立するのかを実証しようというものです。 他の動きもあり、オリンピックまでには、何らかの新しい動きが出てくるのではないかと思います。

今月の読み物は、「私たちはどこから来て、どこへ行くのか: 科学に「いのち」の根源を問う」 単行本 森 達也著 ¥1,400

オススメ度 ★★☆ 時間あったら読むべし

長期間積ん読になっていたのをやっと読みました。 タイトル的にはオカルト的ですが、内容は科学的な話題を平易に対談で説明したものです。 対談も対談の録音をそのまま書き起こしたような書き方で、冗長でもあるし、分かりやすいとも言えます。

内容は、生物の成り立ち、進化の仕組み、宇宙生物などの話題を平易な対談をそのまま書き起こしています。 学会で定説にはまだ成っていない説も紹介され、なかなか面白いと思います。

何故この宇宙は人間にぴったりにできているのか?と言う問いに対しては人間原理を紹介していますが、その理解が少しおかしくて、オカルト的な解釈をしているようです。 進化はどうやって進行したのか? 例えば眼球のような精密な仕組みが、試行錯誤と自然淘汰で出来るとは信じられないですが、明確な答えはまだ見つかっていない様子です。 特に知的宇宙生物は少なくとも通信可能な範囲では、存在しないと思います。 バクテリアのようないわゆる生物は何処にでも居ると思いますが、これが知性を得るまで進化するのには、もの凄い幸運が必要で、その確率は極めて低いと思います。

内容紹介
人とは何か。人はなぜ死ぬか。宇宙に終わりはあるか。福岡伸一、池谷裕二、村山斉などの第一線で活躍する科学者たちに問うことで、人と科学の根源に挑む。
内容(「BOOK」データベースより)
HowではなくWhyと問うことでみえたのは、科学者たちの葛藤や煩悶の声だった。最先端で闘う科学者たちに「いのち」の根源を問いかける、森達也の新境地!

今月のひとこと2016年5月号





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2016年5月5日
何とアメリカ共和党の大統領候補にトランプ氏が確定だし、日本は日銀の金融緩和策も行き詰まり、追加緩和も見送られ、追加緩和を織り込んでいた株式市場は暴落し、世の中が混沌としてきた感があります。 昨年の今頃はアベノミックスが最高潮に達して、先行きはバラ色と言う感じだったのが1年経つと様変わりです。

結局あれだけ大騒ぎしたTPPも風前の灯火で、アメリカの批准は望むべくもありませんし、日本の方も甘利さんの失脚と国会対策でこれまた実現の可能性がなくなりました。 珍しく日本が押しまくった条約なので、その点でも残念ですね。 金融緩和策は出尽くしたので、あとは財政出動ですが、既に日本は巨額の政府債務を抱えていて、さらにドイツは、財政出動に否定的ですので、今月の伊勢志摩サミットでどう言う方向になるのか興味津々ですね。

減税とか増税の取りやめも財政の一部でしょうから、消費税アップは少なくとも延期。 出来たら元の5%に戻すべきでしょう。 アップは、伊勢志摩サミット後に判断と言うことなので、延期するのは間違いないでしょう。 私は基本的には反対ですが、軽減税率をあれだけ議論したので、本則を8%にして、食料品は軽減税率で5%にしたら良いと思います。 2兆円ぐらいと思いますので、下手な公共事業をやるより余程、景気浮揚効果はあると思います。

今やIoTが花盛りです。 15年ほど前にM2Mと言うカタチで同じようなコンセプトを作ったことがあります。 省電力の端末と無線で繋ぐセンター、ビックデータとAIによる情報分析などなど。 端末のCPUの能力もどんどん上がりますが、センターのCPU能力もアップします。 両方の能力のトレードオフがポイントだと思いました。

端末の情報をリアルタイムでWeb画面で見るのも当たり前になりました。 15年前にヒントになったのは、自動車レースの結果をリアルタイムでWebで見ると言うアプリをアメリカ人のエンジニアが作っていて、それを青山かどこか忘れましたが、話を聞きに行ったことを思い出しました。 スタバのコーヒーを用意して待っているよ、と言われたのが何故か覚えています。

端末の最大の技術ポイントはバッテリと無線。 無線で飛ばそうとすると当然に電力が必要なので、大きなバッテリが必要になります。 距離は短くても良いからバッテリレスで出来ないかと当時から思っていたのがこれ。 受けた電波で発電して動作する端末。 ワシントン大学の話ですが、なかなか良い感じです。

今月の読み物は、終わった人 内館 牧子著 Kindle版 ¥ 1,404 単行本(ソフトカバー) ¥ 1,728

オススメ度 ★★☆ 時間あったら読むべし

滅多に買わない分野と著者の本ですが、怖いもの見たさにかってみましたが、一気に読んでしまいました。
まあ典型的な段階の世代の定年後の話ですね。 当然に完全には当てはまらないものの、ところどころ思い当たる節もあります。 おおかれ少なかれ、こう言う経験は誰にでもあるのだと思います。 サラリーマン時代の話と男女間の話を比べると、段違いに後者がすごい。 筆者はサラリーマンでは無かったはずで、この部分は他人から聞いた話を元にしているのは良く分かる。

【内容紹介】
定年って生前葬だな。
衝撃的なこの一文から本書は始まる。
大手銀行の出世コースから子会社に出向させられ、そのまま定年を迎えた主人公・田代壮介。仕事一筋だった彼は途方に暮れる。年下でまだ仕事をしている妻は旅行などにも乗り気ではない。図書館通いやジムで体を鍛えることは、いかにも年寄りじみていて抵抗がある。どんな仕事でもいいから働きたいと職探しをしてみると、高学歴や立派な職歴がかえって邪魔をしてうまくいかない。妻や娘は「恋でもしたら」などとけしかけるが、気になる女性がいたところで、そう思い通りになるものでもない。
これからどうする?
惑い、あがき続ける田代に安息の時は訪れるのか?
ある人物との出会いが、彼の運命の歯車を回す──。
シニア世代の今日的問題であり、現役世代にとっても将来避けられない普遍的テーマを描いた話題沸騰必至の問題作。



今月のひとこと2016年4月号





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2016年4月3日
昨年度と打って変わって何とも沈鬱なムードが漂う新年度明けとなりました。 恒例のエイプリルフールも冴えなくて、Googleではメールの問題も起きたそうです。 乾坤一擲のマイナス金利も不発で、アメリカではトランプやサンダースが優勢で、大本命視されていたヒラリーは想定外の苦戦となりました。 誰が当選するにしても、日本にはあまり良い方向とはなりそうに無いようです。 せっかく久々に日本が主導してまとめたTPPも風前の灯火。 この辺りにつけ込んで中国は頑な態度を崩そうとはしません。 伊勢志摩サミットをどうまとめていくか、悩ましい、しかし日本としては正念場になって来ました。

消費税の行方も混沌としてきました。 実感としても最近は景気が見る見る悪くなっているような感じがしますが、単なる消費税のアップの影響だけでは無くて、またぞろデフレに向かっているような印象です。 せっかくのマイナス金利も経済理論はともかく、心理的にはインフレ心理というよりはデフレ心理に向かう傾向が強いと感じます。

物価上昇目標2%は経済理論的には良いのでしょうが、ここでインフレ心理でどんどんお金を使うかというと、インフレ恐怖でお金を使わ無い方向に行くのではないでしょうか? さらにマイナス金利となれば、一層防衛的になると言うのが、黒田バズーカの意図とは反していると思います。 上がったのは株価だけで、その効果も振り出しに戻った感じです。

以前から思っているのですが消費税アップは延期する。 それより消費税減税をして5%に戻すのが良いですが、これは政治的には不可能で、それなら本則は8%のままにして置いて、ここに喧々諤々で決めた軽減税率を入れて食料品を5%にしたら、現在の歳入から1兆円のマイナスで済むことになります。 そして東京オリンピックの前の年の2019年辺りに、2%アップして10%にする。 要するに、2-3年の先送りにすることです。 軽減税率には反対ですが、議論のなかで、結局弱者対策の意味は薄れて、全体の痛税感の緩和になったしまったので、その目的には合致していると思います。 軽減背率を採用するしないに関わらず、インボイスの導入は必須だと思います。

Windows10のアップグレードのトラブルはまだ続いていて、立ち上がりに時間がかかり5分もかかるようになりました。 さらにディスプレイドライバを更新したら、立ち上げ時にフリーズするようになり、何とか暫定対策で使っている状況です。 やはりクリーンインストールをする必要があるようで、全てのアプリや周辺装置をそのままにして、アップグレードをすると言うことに無理があるようです。

根本的に見直したいのですが、その前にバックアップデータを整理しようと、前回に報告したように、8テラのディスクを2台とRaidのディスクケースを発注して、ミラーディスクを作って、それに全てのバックアップデータを集約することにしました。 8テラもあるので、コピーだけで1週間以上もかかることになりました。

発注したディスクケースは、人気があるのか、2月末に注文して、入荷が4月との事でしたが、何とか3月下旬には入荷して、コピーを始めることが出来ました。 書き込み速度はそんなに速くないので、コピーだけでもPCを日夜稼働させないといけません。

半導体の世界ではムーアの法則が成立しなくなったと言う状況ですが、しばらくウオッチしていなかったCPUチップもすごいことになっていて、最上位のCPUは22コア/44スレッドにもなるそうで、デュアルソケットのマザーボードに搭載することで44コア/88スレッドになり、昔のスパコン並みになりそうです。 製造プロセスが22nm→14nmとなり、値段も34万円前後になっているとのこと。

今月の読み物は、「沈まぬアメリカ 拡散するソフト・パワーとその真価」 渡辺靖著 Kindle版 ¥1,382 単行本 ¥1,728

オススメ度 ★★☆ 読むべし

読む前に想定したような、アメリカ礼賛めいたものは何も無くて、淡々とそれぞれの切り口からの状況を説明すると言うスタイルです。 最初の第2章までは、あまり面白くなくて眠くなりましたが、3章のウォルマート辺りから、面白くなり一気に読んでしまいました。 いま話題の次期大統領選挙の混乱(と見える)もアメリカの強さの一因だと思います。

アメリカは、本当に「沈みゆく大国」なのか――。
願望まじりの「衰退論」とは裏腹に、いまだ世界はアメリカの魅力と呪縛から逃れられない。たとえば、中国や中東へ積極的に進出するアメリカの有名大学や巨大スーパーのウォルマート、アフリカに勢力を伸ばすキリスト教保守主義を代表する「メガチャーチ(巨大教会)」……。
こうしたアメリカの「文化的遺産(レガシー)」が、政治・教育・宗教などあらゆる分野で世界中に拡散、浸透している。アメリカ研究の第一人者が現場を歩き、その影響を冷静に考察する意欲的論考。

(目次より)
第一章 ハーバード――アメリカ型高等教育の完成
第二章 リベラル・アーツ――アメリカ型高等教育の拡張
第三章 ウォルマート――「道徳的ポピュリズム」の功罪
第四章 メガチャーチ――越境するキリスト教保守主義
第五章 セサミストリート――しなやかなグローバリゼーション
第六章 政治コンサルタント――暗雲のアメリカ型民主主義
第七章 ロータリークラブ――奉仕という名のソフト・パワー
第八章 ヒップホップ――現代アメリカ文化の象徴
終 章 もうひとつの「アメリカ後の世界」