今月のひとこと2016年3月号





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2016年3月1日
日銀のマイナス金利は2日、G20は半日、人によっては2時間しか持たなかったと言う話もあります。 世界経済はそんなに悪いわけではないが、株価が冴えないですね。 しかしこれから株安が世界の実態経済に影響してくると見る人は多いでしょう。 米国を始めほとんどの国が、あれだけの金融緩和を10年近くやったわけで、これの副作用が出ないはずがないし、今までは何故があまり副作用がめだちませんでした。 金融緩和を始めた頃は、伝統的な手法ではないので、副作用が心配と誰もが言っていましたが、その内にほとんど忘れてきて、副作用はないものと感じてしまっていたのではないでしょうか。

国債のマイナス金利は、見かけ上の話で、要するに国債の値段が額面を超えて高くなっていると言うことですが、最後は日銀がさらに高値で買い取るので、プラスと言ってもマイナスと言ってもあまり意味が無く、連続した国債の値段の上昇と言うだけでしょう。 日銀の当座預金のマイナス金利は、本当のマイナスですが、当面はごく一部の預金に対応するもので、ほとんど影響は無いはずですが、各銀行は一斉に預金金利や住宅ローン金利を下げ始めました。 もともと下げたいと思っていたところに切っ掛けとしてマイナス金利が作用したのではないかと思います。

確かに目的の長期金利は確実にさがったのですが、黒田総裁の言い方を聞いていると「患者は死んでしまったが、病気そのものは治っているので、治療としては成功」と言っているような医者を連想します。 国際社会に対して円安誘導ではないと言いたいのか、株価が下落したいいわけなのか、本当に医者の言い分にならないようにして欲しいものです。

何でこの時点でのマイナス金利なのかと思うと、どうも3月期末の各社の決算対策と消費税アップの後押し、G20での主導権発揮を狙ったと思うのですが、結果的にはこのうちのどれも目的は達成できなかったです。 結局残ったのは長期金利の下落だけ。 これだけのために、これだけの政策はまさに牛刀を以て鶏を割くの例えそのものです。

消費増税は以前からこの経済状況では無いと思っていました。 これを争点にした衆参同日選挙も現実味を帯びてきましたが、前回の増税延期とは違って、財務省に手の内を知られてしまっているので、すんなりとは行かないと思います。 いずれにしても消費増税はあり得ないし、構造改革や規制緩和をどんどんやらないといけないと思います。 先日のTVで、世界を鳥瞰すると言う意見と各国が自前の成長をしないといけないと言う意見がありましたが、両方とも重要ですが、どっちがより重要かと言うと、中国もあてには出来なくなり、各国が自分の足下を良く見て、足下の景気を少しでも良くしていくと言う地道な努力が必要な時代になったのではないでしょうか。

Windows10のアップグレードは依然として問題が多いですね。 念のためと思って、まずノートブック、次にデスクトップを合計5台をアップグレードしましたが、問題もなくこれでいけるだろうとメインのPCのアップグレードを始めると、のっけからインストール不可の表示。 いろいろ聞いて、やっとシステム予約のパーティションが少ないことが原因と分かって、パーティションを増やしました。 よく考えるとSSDに換装したときに、システム予約は不必要だと思って、実際の大きさより少し大きいサイズにして縮小したことを思い出しました。 本当に必要なのは、縮小する前のサイズでも足りないはずですが、ここを弄っていないPCではエラーは出なかったので、元々のWindows7のサイズの100メガで良いようですが、念のために400メガぐらいに大きく取りました。 途中で、おそらく圧縮ファイルの圧縮のやり直しかと思われる3時間ほどの処理があって、これは不安でしたが、何とか終わりました。

何回かの再起動の後は順調にアップグレードは終わりましたが、シャットダウンに時間がかかると言うか、終わらないし、それを強制的に電源を落として再起動するのですが、これがサインイン後の動きが遅くて、10分以上かかるようにりました。 セーフモードで立ち上げたり、高速ブートを切ったりしましたが、5分程度になるだけで、一時は諦めてクリーンインストールをしようと準備もしていました。 一時は画面がフリーズして、強制リセットも効かずに電源を落としました。 これでほとんどアキラメかけたのですが、念のためにセーフモードで立ち上げて、フリーズの原因と思われるプロセスやサービスを停めてみると動きだし、さらに高速ブートを再度入れてみたら、症状は無くなりました。 この間に、キーボードやマウスのドライバも疑って、入れ直してみましたが、標準ドライバなので、原因では無さそうです。 ATOKもシステムツールでは動かなかったので、これも削除して再インストール。 これでもおかしければ、最後に怪しいのはディスプレイドライバなので、これも入れ直そうかと思っていたところに治りました。

いずれにしても多くの周辺装置やアプリケーションをそのままにしてOSをアップグレードするのはちょっと無理があるようです。 少なくとも周辺装置は外すべきでしょうが、再度繋いだときの互換性に問題が出るかも知れません。 古いアプリケーションの認証が、OSが変更になったことで切れてしまうのは残念ですね。 認証方法も当初の方法は廃止になっており、最近はどこでも電話のサポートは無くなっていますので、連絡方法がみつかりません。 これも要注意です。

最近は大容量のディスクが安価に入手出来るようになりました。 先日入手したのは、8テラバイトの3.5インチディスク。 もっとも書き込み速度が遅いようなので、バックアップにしか使えないようですが、だんだん溜まってきたデータのバックアップには最適です。 コピーの途中で止まってしまったので、まずディスクが壊れたと思って交換の準備をしたのですが、よく考えるとエラーの出方がディスクらしくないし、音を聞いているとディスクはキチンと動いているようなので、念のためにコントローラを発注してテストしてみると、何とコントローラの故障でした。 こんなものが故障するとは夢にも思わなかったので、ビックリです。 8テラのディスクも丈夫だったと言うことです。

しかしこれに懲りて、もう一台8テラのディスクを注文して、これでミラー構成にして、1台壊れても大丈夫な様にするつもりです。 RAID5も良いのですが、本当に壊れたときの復旧が極めて難しいようなので、単純なミラーが良いと思います。 今までは2台のディスクをそれぞれシングルで使って、2重にコピーをしていました。 これが一番確実で、復旧も容易だと思います。 バックアップを取るのは良いのですが、いざ壊れたときの復旧がほとんど出来ないケースが多いです。 バックアップと言っても単純な、いつもファイルアクセスが出来る、単純上書きコピーがベストだと思っています。

今月の読み物は久しぶりに面白い、一気に読めるノンフィクションです。 「ルワンダ中央銀行総裁日記」 中公新書 服部 正也 Kindle版 ¥885 新書 ¥1,037

オススメ度 ☆☆☆ 是非読むべし

ルワンダ動乱前でベルギーからの独立時の、中央銀行総裁を任された時の日記と言うべきものです。 オフィスは勿論、デスクすらまともなものが無いところからスタートして、小なりと言えども一つの独立国家の財政をほとんどゼロから作り上げた話です。

元々新聞で、国作りのゲーマーに読まれていると言う紹介があったものですが、面白そうなので読んでみたら、これが面白い。 ほとんど一気に読みました。

しかし一番感心するのは、一緒について行った奥さんと子供たち。 まあベルギー人の学校はあるのでしょうが、当時は暗黒大陸みたいに言われていましたから、良くそんなところに行けたと思います。

本人にとって、一国の財政、経済を基礎から作り上げ、過去の2重為替問題も解決し、やりがいはあったと思います。 日付をみていると、ほとんど1-2年の内にいろいろなことが起き、また進展していきます。 財政均衡を重視するなど、今の財務省の考え方が良く伝わってきます。

内容(「BOOK」データベースより)
一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった―。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
服部/正也
1918(大正7)年、三重県生まれ。東京帝国大学法学部卒業後海軍予備学生となる。終戦を海軍大尉としてラバウルで迎え、引き続きラバウル戦犯裁判弁護人となる。47年に復員し、日本銀行入行。65年、ルワンダ中央銀行総裁としてIMF技術援助計画に出向し、71年帰国。翌年世界銀行に転出、80年に副総裁となり、83年退任。ケーヨーリゾート開発社長、同会長を歴任するほか、アフリカ開発銀行、国際農業開発基金などの委員を務めた。99年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



今月のひとこと2016年2月号





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2016年2月1日
年明けから大騒ぎの2016年になりました。 申酉騒ぐの格言が年明けから実現しました。 さらには甘利大臣の辞任、マイナス金利の導入とか、年明けの本欄ののんびりムードとは大違いの大波乱になってしまいました。

甘利大臣の辞任は、政権の支持率にはほとんど影響せず、辞任発表時にも株価や為替はほとんど動きませんでした。 TTPにしろアベノミックスにしろそれなりに方向性が見えているので、大臣の辞任には影響を受けないと言うことでしょう。 本人としては、もっと反応して欲しいと思うところでしょうが、ひょっとしたら、無反応が一番の心のダメージではなかったのでしょうか。

いずれにしても政権のダメージコントロールという点では非常に高いレベルであったと思います。 辞任を引き留めて、予算を何とか仕上げて、消費税増税も延期して、3月に解散と言うのが最もアグレッシブなシナリオだったのではないでしょうか。 安倍政権ならやりかねないですね。

日銀のマイナス金利も、甘利辞任の影響を中和する大きな手でした。 国債購入の増額はこれ以上難しいので、残るはこれしか無いとは思っていましたが、一気に0.1%でしたが、良く見たら新規の預金に対してで、すぐには実際の影響は出ない日銀としては負担のない、しかし影響が見えない打ち手でした。 これで手詰まり感が出ていた黒田日銀の「何でもやる」と言うことを実証したカタチです。

しかし業績が悪化する銀行の株価は下がりに下がり、逆に業績悪化で貸し出しが減るのではないかとの観測もあります。 海外の例では長期金利の下落にも関わらず、住宅ローンなどの金利は上昇しているとのことで、今後は日本でも上がっていくのでは無いでしょうか。 普通預金などの金利は下がるところまで下がっているので、これ以上の下落やマイナス金利は考えられず、事業向けの融資は金利を上げるわけにも行かないので、残るは個人向けの住宅ローン金利の引き上げではないでしょうか。 現在でも0.5%とか極端に低い金利になっているのが気になります。

このずーっとマイナス金利プランの広告を見たときは、ひっくり返りました。 標準金利より1%引きと言うことだったのですが、 最初見たときはビックリ。

ITの世界の話題は、何と言っても囲碁のプロ棋士にコンピュータが勝ったと言うニュースでしょう。 人によっては予想より10年早かったと言う見方もあります。 技術的には、Deep Learning が極めて有効に作用したのだと思います。 本欄でも何回も取り上げていますが、この Deep Learning と言う技術は、開発した当人たちも予想していなかった効果を発揮したと言うことで、いわば人知を超えた技術になっていることも画期的であると言う理由の一つです。

初めてiPhoneの音声認識のデモを見たときは、単なるデモで本当では無いと思いました。 それまでもいろいろな機器で試してみましたが、ほとんどまともな認識はせず、当時の音声認識のレベルでありました。 あるときに試しにスマホでGoogleの音声認識の検索を使ってみましたが、固有名詞を突然発音してもちゃんと認識するのには驚愕しました。 その後いろいろ試して、単語辞書との比較をしているのか、辞書に無いだろうと思われる単語は、何回やっても間違えて、認識しませんでした。

音声認識の第一世代は、Hiden Markovモデルに寄るもので、これで初歩的な認識は可能になりましたが、話者は同一でしかも事前の学習が必要、話す環境も周囲雑音の無い理想的なところで無いと認識しませんでした。 これが現在の第2世代では議会の議事録の作成にも使えるほどレベルが上がったのです。

第一世代の技術をいくら改良しても改良は遅々としていたので、その延長上にまともな音声認識があるとは思えませんでした。 改善の方向は、人間でも知らない言語は聞き取れないのと同じで、音声認識にも意味理解が必要と感じていましたが、意味理解はもっと難しく、その実現は先だろうと思っていたところに、現在の第2世代が現れました。

この第2世代の基幹技術の Deep Learning が本当に画期的なのは、その名前でも感じられるように、学習過程があらかじめ決められたアルゴリズムによるものでは無くて、コンピュータがそれを決めると言う人知がそこには及ばない仕組みになっていることです。

コンピュータの機械語の時代は、ワンステップずつの実行がプログラマに寄って規定され、その動きは完全に予想できるものでした。 当時の最優秀なプログラマは、コーディング段階でのバグゼロを実現出来ていました。 その後、文字通りの機械語はほとんど使われず、アセンブラによるラベル自動アロケーションで、少しは物理的なメモリ配列より抽象的になりました。

当時のマイコンの発達により、メインフレームの技術である仮想メモリ技術が取り入れられ、少なくともメモリ配列に関しては、完全に抽象化され、人知のおよぶところで亡くなりました。 同時にコンパイラが進歩し、プログラマが書くコードと機械語の一体感はなくなり、コードそのものが抽象化されました。 さらには、プログラム構造もオブジェクト指向で抽象化され、物理的なコンピュータとの切り分けは進んで、現時点では、プログラムの実行が実際はどうなっているのか、誰にも分からなくなりました。

人工知能AIの第2世代に入って、アルゴリズム自体が抽象化され、自動で動くようになり、実際の動きが誰にも分からなくなったのです。 ソフトウエア技術の進歩がまだまだ続くと言うことを示した点が画期的だと思われます。 発展が第1世代だけでは無く、第2世代があったと言うことは第3世代が有ると言うことを暗示し、それはまた予想もしなかった発展をして、人間の精神構造に迫っていくことが可能であると言うことです。

あと1回か2回のこの様な技術ジャンプがあれば、機械が自我を持つかも知れません。 あるいは、自我を持つことがそんなにたやすくなく、もっと先になるのかも知れませんが、その可能性を示した点で画期的です。 本来はノーベル賞を与えても良いと思いますが、コンピュータ技術の基本は数学であり、ノーベル賞の対象になっていないです。 さらには自然科学者には、自然科学が最高の科学であり、数学やとくにコンピュータサイエンスは、単なる応用技術に過ぎないと言う意見も根本的にあると思います。


このスキージャンプの画像は、技術ジャンプとは何の関係もありません。


本欄は毎月の読み物を載せてきましたが、良い本がだんだんと少なくなり、実用本ばかりになってきたので、今月からは映画を紹介します。 以前にアメリカを往復していたときは、必ず映画を見ていたので、月に2本は必ず見て、現地にシアターがあるので、それも見るので、月に3-4本は必ず見ていましたが、それも少なくなったので、読み物にしていました。 自宅近くにシアターもあり、出来るだけ見に行くようにしています。 封切りものからTVで放映しているような古いものまで、取り混ぜて紹介していきます。

今月の映画は『ウォルター少年と、夏の休日』 原題 Secondhand Lions 2003年制作アメリカ映画 ティム・マッキャンリース監督

Secondhand Lions と言う原題が良くて、要するに「中古のライオンたち」とも訳すんでしょう。 自分に引き当てて引退後の、しかしライオンなんです。 しかも2人居るから複数形。 ウォルター少年は、1999年の シックス・センス The Sixth Sense のコール・シアー 役で脚光を浴びた ハーレイ・ジョエル・オスメント。 ロバート・デュヴァル マイケル・ケイン と言う両大御所との絡みが面白いです。

最初に見だしたときは、タイトルもタイトルだし、出だしは結構退屈だったのですが、どんどん引き込まれ、共感が一気に出てきて、最後まで一気に見れました。

【超映画批評より】
『シックスセンス』の天才子役ハーレイ・ジョエル・オスメントが、二人のベテランオスカー男優と競演した人間ドラマ。
舞台は1960年代のテキサス。主人公は、老人二人暮らしの親類宅に母の勝手な都合で一夏預けられることになった少年。父親がいない彼は、気難しい二人の老人の態度に最初は戸惑うが、屋根裏で見つけた古い写真についての思い出話を聞き出しながら、やがて心を通わせていく。
父親を知らない少年は、男らしい生き方と人生哲学を初めて彼らから学び、長いこと二人暮らしを続けてきたジジイたちは、その排他的な生活に少年という全く新しい風を入れることによって、忘れていた大切な価値観を取り戻す。3人の感動的な成長物語である。
この3人の演技合戦が本当にすばらしい。実力派ベテラン俳優であるジイ様二人は当然として、彼らに全くひけをとらないハーレイ・ジョエル・オスメントの実力も本物だ。
ストーリーは、美しい女性が写った一枚の古い写真を少年が見つけるところから動きはじめる。この女性は誰で、老人二人とどういう関係なのか。その壮大な昔話を老人が語るくだりは、ファンタジックな冒険物語として演出される。少年は、老人の話に胸躍らせながらも、最後にはどこまでが真実なのかを本人に確かめようとする。そして、その先に感動的な展開が待っている。老人が少年に“大切なこと”を伝えるスピーチのシーンは、男性ならば思わずうなづいてしまうであろう名場面だ。
このジイ様二人は、退屈なセールスマンにはショットガンをぶっ放して追い返すという不良老人ぶり。おまけに、町で横柄な態度をとるチーマー若者(?)を素手でのしてしまうほど腕っ節も強い。その上、連中を説教して更正させてしまうという、実に痛快でカッコいいジジイたちなのだ。
このように、大変アクの強い爺さん二人だが、少年も決して一方的に影響を受けるだけではないというのがミソ。二人に対して、変わるべき点を堂々と諭すような芯の強さがあるところがいい。3人は単なる擬似親子的関係だけではなく、あたかも男同士の友情のような絆をも育んでいくわけである。
ストーリーの途中から、老いぼれたライオンを少年が飼うという展開になるが、これは物語のテーマの象徴となる。見終わった後に、原題の「Secondhand Lions」の意味がわかるようになっている。
『ウォルター少年と、夏の休日』は、主に男性に見てほしい心温まる映画だ。昔ながらの映画の魅力があふれる作品で、年齢を問わずおすすめしたい。



2016年 元旦 あけまして、おめでとうございます





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2016年あけましておめでとうございます。
今年は正月3日間も天気が良く、3月並の暖かさにもなり暖かいのは良いですが異常気象ではないかとも、また冬物が売れずに経済に悪影響がでるとかの話も出ています。

昨年は「ひつじ辛抱」の年で、前半は「どこが辛抱なんや」と言う感じでしたが、夏頃から中国発で怪しくなってきて、後半は本当に辛抱の1年でした。 今年は、「さるとり騒ぐ」とのこと。 中国は底入れしたと言う観測もありますが、アメリカの利上げ、それに伴う発展途上国への影響度合い、原油の更なる下落、最後はアベノミックスの成否は如何に、という風に課題というか、懸念ポイントが多くあります。

この中での最大懸念は原油価格の下落でしょう。 原油が足りなくなると大騒ぎしたのは何だったのか? 原油枯渇は何年経っても30年先です。 30年経っても30年先と言うことになるのでしょう。 原油産出国は大幅な収入源となり、シェールオイルで湧いたアメリカも、痛し痒しというところです。 日本は、原油の輸入費用が減少して、これはこれで良いのでしょうが、貿易黒字が貯まるの円高になる、輸入価格が下がるので、デフレ脱却を目指すアベノミックスには逆風となって、これも痛し痒しの状態です。

アベノミックスは第2段となりましたが、第一弾ほどの迫力はないようです。 経済を発展させて、この成果を社会福祉に役立てると、先日見たニュースで公明党の山口代表が言い切っていましたが、こう言う政策は本来民主党が唱えないといけない政策で、給与アップを政府が求めることを含めて、民主党の出番が全くないです。 最低賃金の値上げも元々民主党の主張だったと言っていますが、民主党時代の経済状況では、最低賃金を上げると、雇用が減ってしまうと言う経済理論があり、これもアベノミックスの成果の上に成り立つものだと思います。

すったもんだの軽減税率は、結局公明党の言うなりになってしまったのですが、官邸としては今夏の参議院選挙で公明党の協力が必要、消費税は本心では上げたくないが、上がる状況になってもしょうが無い。 上がったとしても軽減税率で緩和されるだろう、もし消費税が上がらなかったら軽減税率も意味なくなる、と考えていると思います。 弱者対策としての軽減税率はほとんど意味が無く、消費税の緩和手段としか考えられません。 それにしても財務省の権勢はいまいずこ。 完全に主導権を官邸に持って行かれてしまっています。 しかしこれが本来の姿であって、財務省が政治の実態を動かすような事態は決して良いものではないでしょう。

ちょっとだらしないのが経済界。 これだけいろいろな政策が出ているのだから、内部留保が史上最大になっているときに、もっと前向きに新しい事業に打って出るべきです。 日経連はこの後に及んで、まだいろいろ要望を出していますが、今度はそっちの番でしょ! と言いたくなる。 やれ成長分野がないとか、人口が減るとかの言い訳はたくさんありますが、何も日本だけではない、海外にどんどん出て行くべきです。 全世界的に投資が減っているのならいざ知らず、OECD平均でも低迷していますので、如何に日本の経営者が引きこもっているのか良く分かります。

家電が苦戦しています。 ソニーは何とか持ちこたえていますが、時間の問題。 むしろ利益で圧倒しつつあるファイナンスビジネスに方向を向けるのではないでしょうか。 パナソニックは、諦めて電機企業に変身中です。 10年経ったら、全く違う企業になっていると思います。 シャープは液晶を売れるときに売ってしまって、家電は東芝と一緒にすると言う案が進んでいるようです。 どちらの会社も少し変わったと言うかアイデア勝負のところがあるので、組み合わせとしては良いと思いますが、ちゃんと売り切れるかどうかがポイントです。 東芝もこのピンチに家電を切り離して、身軽になれるのではないでしょうか。 後は原発ですが、新しいタイプの原発のニーズはたくさんあるので、小型の安全性の高い、後処理のしやすい原発を展開できれば、面白いと思います。

いずれにしてもハードウエア単体としての家電は、トータル需要は増えていくでしょうが、もっと労働力の安いところに移行していくでしょう。 中国沿岸部から内陸部、さらには西域地域から西または南方面。 Giooleの株価総額がトヨタに匹敵するようになって来たことからも分かるように、製品の付加価値がどんどんソフトやプラットフォームの方に移行しています。 ハードウエア単体の付加価値はどんどん下がる。 だからIoTなので、これで付加価値の低いハードウエアと高いアプリを結びつけます。

付加価値の低いハードウエアは不要だと言う意見もあるでしょうが、これはアプリのための土台であって、これを放棄するとアプリまで行き着かないです。 Googleなどのアプリビジネスが一番頭を悩ましているのがここでしょう。 Appleもその一員と言えるわけで、これらの会社はEMSを活用して、ハードウエアを調達しています。 Jobsぐらいの非常にハードウエアを良く分かって、狂信的と言えるほどEMSに要求を伝えるのは、常人では難しいと思います。 一般の企業、特に日本の製造業は、従来の製造技術を生かして、利益は余りで無いかも知れないが、高品質のハードウエアとIoTの組み合わせで付加価値の高い、高品質の製品を作り出していくべきです。

ビッグデータと後述するAIをアプリ側で持つことで、飛躍的に高い付加価値を付けることが出来ます。 勿論この高い技術的な付加価値を経済的な価値に置き換える、平たく言うと「売る」技術も必須になります。 昨年正月の記事を見ているとAIの話ばかりでしたが、今年もAIです。 後年には2015年はAI元年と言われるようになると思います。 ネットがそこそこ一般的になったのは1993年でした。

バブルが崩壊して、これが構造的なものか景気変動に寄るものかの見極めも出来ずに、ひょっと使っていたワークステーションを見たら綺麗なWebブラウザが見えていたのが印象的です。 それまではインターネットと言っても文字ベースのものしかなかったので、革命的だったと思います。 それでもコンテンツを、みんなが我先に作り出すとは夢にも思いませんでした。 今は当たり前になったことも、たった20年前には想像も出来なかったものです。

同じ事がAIについても言えると思います。 AIはこのネットの例よりは先に行っていると思いますが、単語だけを話者不特定で、通常の音環境で発音してもキチンと音声認識する。 確かに難しい単語は無理ですが、確かに、ディープラーニングによって、いつかは起きると思っていた技術的なクオンタムジャンプはアッサリと達成されました。 単なるプログラムでは無理ではないかと思っていたので、意外でしたが、これで新たな局面になったのは確かです。

シンプルな機械語の組み合わせから、まずコンパイラによって、人知が及ばなくなる世界が登場しました。 それが今回ディープラーニングに寄って、さらに人知の及ばない世界が完全に登場しようとしているのは驚異の何物でも無いです。 青色LEDなどの自然科学に立脚する技術は、一種の神のみぞ知る部分があります。 現時点で理論的な説明は出来るでしょうが、完全には無理です。 クォークから原子、分子、タンパク質、アミノ酸やDNA、細胞を経て人間は出来ていて、頭で考える思想は、最後はクォークに還元できる(現時点での最小単位はクォークとして)のですが、クォークをいくら調べてもその人の思想は分析できないです。

今回のディープラーニングも同じで、こっちは、神ではなくて人間が定義した命令セット上の機械語の組み合わせで音声認識が出来るのです。 何の仕掛けもタネもなくて、機械語からの積み上げで出来ると言うのは驚異的で、このまま行って、次の技術的なクオンタムジャンプによって、意識を形成出来るかも知れません。 こうなると完全な人工知能になり、世界はまた大きく変化します。 幸せになるのか不幸になるのか、世界では議論が戦わされています。

今月の読み物は、「ヨーロッパから民主主義が消える」 PHP新書 川口マーン惠美著 ¥864

オススメ度 ★★★ 必読

正月から物騒な話ですが、さるとり騒ぐなので、のっけから直球です。 プロの評論家やレポーターではないですが、なかなかしっかり書けています。 これを読むと、分かっているようで、やはりヨーロッパは遠くて分かっていない事が良く分かります。 彼らから見た極東です。 同じ事がヨーロッパの人たちににも言えるのでしょう。 何となく頭では分かっても、何となく実感の無いヨーロッパ特にドイツの状況が良く分かります。

内容紹介(Webより転載)
押し寄せる難民、繰り返されるテロ、そして甦る国境……。日本人がいま絶対に知らなければならないことは何か? ドイツ在住30年のベストセラー作家による現地レポート!

かつてEUが誕生したとき、ギリシャに「国境なき医師団」が入り、「ドイツ帝国」の復活が危ぶまれ、テロの嵐が吹き荒れることを誰が想像しただろうか。第二次世界大戦の反省を経て、「ヨーロッパは一つ」という理想を掲げたはずのEUは、どこかで道を踏み外した。それも取り返しがつかないほどに。

それどころか著者が現地で目にしたのは、ますます右傾化し、国境線を高くして内部に閉じこもる、理念と乖離した加盟国の姿だった……。難民とテロによってギリシャで生まれ、フランス革命を経てヨーロッパの自負となった民主主義は終焉を迎えるのか? その先にあるのはナショナリズムの膨張? それとも戦争?

そしてこの惨状は、日本にとって決して「対岸の火事」ではない。そこで学ぶべきはグローバル化の止まらない世界で、TPPなど「国境を超える枠組み」とどう向き合えばいいのか、ということだ。テロ、難民、ギリシャ問題、EUと世界情勢の行方、日本の選択までが一挙にわかる著者渾身の一冊が緊急発刊。

内容例:ワイマール共和国の制度を逆手にとったヒトラー/離脱をほのめかしてEUをつくり変えたいイギリス/選挙を経ない人たちが政治を司る不思議/40パーセントも削減されたギリシャの医療費/「チプラスは無能」と書き立てたドイツメディア/ドイツ経済圏に自主的隷属するフランス/フォルクスワーゲン不正ソフト事件が与える衝撃/難民にとっていちばんの魅力は医療/日本海が現在の地中海のようになる日/突貫工事で鉄条網の柵をつくったハンガリー/EUにはいま、国境が復活しようとしている/分離独立を叫んで政府と対立するカタルーニャ/フランスで吹き荒れたテロリズムの嵐/テロ防止のためなら「自由の制限」もやむなし?/日本の国益と安全は、日本人が守り抜くしかない……ほか



今月のひとこと2015年12月号





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2015年12月3日
急に寒くなったと思ったら、早速風邪を引いてしまいました。 歳のせいか一度引くとなかなか直らないです。 11月は気温が高く、野菜の生育が良くて、それまでの高値から一転安値に落ち込みました。 あまりの安値に、一面の大根畑で大根を廃棄している報道がありました。 収穫して出荷するまでの経費で赤字になるのでしょう。 近くの人は自分で採りに行けば良いのですが、1本数十円の大根やキャベツのために何百円もも交通費をかけて行くのは経済理論に合わないですね。

大騒ぎしていたアメリカの利上げがやっと12月の本日の決定会合で決定されるようです。 市場は構えが出来ているので、大きな混乱は無いと思いますが、少し円高に振れるかも知れません。 為替がどっちに振れるかは、全く予想が付かないです。 日本の株式も先日の2万円台復活のあとでは下落し、今日も静かな市場となっています。

2回目のアメリカの利上げは3月と言う観測がありますが、これは余りに急すぎるので、おそらくまたやるやると言いながら、秋頃まで引っ張るのではないでしょうか。 日本の軽減税率の議論は5000億から6000億ぐらいの減税で落ち着くのではないでしょうか。 いずれにしても財務省主導の議論なので、最後はどうなるかは分かりませんが、財務省としては、消費税の10%へのアップは前提で、8%の時のショックが余りに大きかったので、それを緩和しようと軽減税率の議論になっているのだと思います。 財務省としては、ショックを和らげるための軽減税率は実現したいが、税収が落ちるのはイヤだと言うジレンマに陥っていると思います。

首相官邸としては消費税アップをやるのなら、軽減税率は不可避。 本音では上げたくないので、消費税の増税とトントンでもやむを得ないとおもっているのではないでしょうか。 もし消費税アップを延期するのなら、軽減税率の議論はやってもやらなくても良い事になります。

パリの同時テロを切っ掛けにシリアの中心とした中東は更に混沌としてきました。 アメリカが一歩引いて、フランスとイギリスが前に出てきました。 そもそもオスマントルコを滅亡させて、この地域をバラバラにしたのはフランスであり、イギリスですから、そのツケが回ってきたのだと思います。 アメリカは原油問題があったので、しがらみがないのにイラク戦争では出て行きましたが、本来の紛争のネタを作ったのはヨーロッパ勢ですから、とんだ迷惑と思っている部分はあったのでしょう。

第1次世界大戦のころの中東やアフリカに対するヨーロッパの侵略は凄まじいものがあります。 謀略につぐ謀略。 これを極東からじっくり見ていた日本は、出遅れ感と、中国大陸に対する対応法を勉強したものと思います。 その結果の満州事変であり、中国戦争だと思います。 今の価値観で侵略だとか、何とか言いますが、当時はむしろ、それが世界標準で、もしこれをやらなかったら、国民からもの凄い反発があったと思います。 ヨーロッパ勢が中東やアフリカでやってきたことを考えると、日本の朝鮮併合や満州国設立などは、非常に優しいやり方で、むしろ手緩い感じがするものです。

ヨーロッパつながりで最近はドイツが力を得てきて、EUの盟主になりつつあります。 そのドイツのマックス・プランク研究所が保有する世界最大のステラレータ(ヘリカル)型核融合炉「ウェンデルシュタイン7-X (W7-X)」が、ついにスイッチオン秒読み体制に入ったとのこと。 核融合はいつまで経っても「50年後」だったのですが、それが少しは縮まったのかもしれません。 トカマク型もそれなりに複雑だったのですのが、このヘリカル型は全体像が想像できないほど複雑です。 組み立てに19年もかかっているそうで、プラズマ生成時間も長時間とのこと。 動画があるので、ゆっくりと眺めてください。 ドイツ語ではなくて英語です。

今月の読み物は、新装版 落日の宴 勘定奉行川路聖謨(上下) 講談社文庫 吉村 昭

オススメ度 ★★★ 官僚じゃない人も必読

あまり期待せずに読み出しましたが、読み出したら停まらない。 武士と言うよりは典型的な官僚の生き様を描いています。 開国を迫るロシア使節プチャーチンとの交渉は、現在の国際交渉を見ているのと全く同じ。 老中の指示のままに交渉を進め、何度も老中と直接交渉すると言う脅しにも屈せず、指示を満足させる交渉結果に持ち込む。 言葉尻を捕まえてそれで交渉の落としどころとする。 交渉そのものです。

交渉の最中に大地震が起き、ロシアの軍艦も大破し、その修理を国内の制約の中で成し遂げるなど、苦労に苦労を重ねる姿に現実感があります。 人間関係なのか、ロシア使節プチャーチンは交渉でも少し優しく、アメリカのペリーは非常に厳しい態度です。 その結果が条約の条件に現れていると思います。 北方領土もこの時に決められ、樺太は決着を付けずにそのままグレーで置いていたようです。

末期の江戸幕府は、明治政府の刷り込みがあるのか、余り有能な人が伝えられていませんが、少なくともあの時代に攘夷を狂信的に唱える朝廷と薩長に対して、あくまで現実的な対応を正しくした人間が幕府側に多く居たはずで、この著書がその実態の一部を明らかにすることが出来ると思います。 最期は半身不随になり、それでも幕府に殉ずるカタチで切腹、更にしきれないので拳銃自決という形で終ります。忠誠心の強い清廉かつ優秀な官僚だったとつくづく思います。 現職の官僚必読。

内容紹介
幕末期、軽輩の身ながら明晰さと人柄で勘定奉行まで登りつめ、開国を迫るロシア使節プチャーチンと堂々と渡り合った川路聖謨の生涯。

内容(「BOOK」データベースより)
江戸幕府に交易と北辺の国境画定を迫るロシア使節のプチャーチンに一歩も譲らず、領土問題にあたっても誠実な粘り強さで主張を貫いて欧米列強の植民地支配から日本を守り抜いた川路聖謨。軽輩の身ながら勘定奉行に登りつめて国の行く末を占う折衝を任された川路に、幕吏の高い見識と豊かな人間味が光る。



今月のひとこと2015年11月号





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2015年11月1日
日銀の追加緩和も無しで、後は補正予算の期待だけになってしまいました。 アメリカの利上げは想定通り、思い切ってやらなかったので、結局ズルズルと現時点では12月とアナウンスしていますが、来年3月にずれ込んだと市場は認識しているようです。

南シナ海では、アメリカがやっと重い腰を上げてイージス艦を派遣しました。 元々岩礁の埋め立てが終わる前にやらないといけないのを、ホワイトハウスの特にライス補佐官が反対していたようです。 この人は中国人ではないかと思うほど中国寄りです。 いずれにしても次期大統領がヒラリーになっても、共和党になっても中国には逆風だと思います。 それを見越して、急いで埋め立てをしたと言う見方もあります。

日本は重要なシーレーンの問題なので、もっと積極的な態度を取るべきと思いますが、何故か腰が引けてる。 憲法違反の恐れがあるホルムズ海峡の機雷掃海には、非常に熱心でしたが、南シナ海の方が重要性は高いと思います。 安保法案の審議で、南シナ海で何かが起こっても重要事態とはならないと、首相が国会答弁していたのを違和感を持って聞いていました。 こう言わないと国会が紛糾するとか、中国を刺激するとか思ったのかも知れませんが、他にもっと問題のある発言がたくさんあったので、違和感をぬぐえません。 今回の件でも、アメリカからは、パトロールに日本も参加しろと言われているようですが、何か動きが鈍いです。


日中韓の首脳会談をひかえているとの判断なのでしょうが、その間に中国は慰安婦像を建てたりして圧力を加えています。 波風を立てたくない外務省の体質が出てきているような気がします。 言わなければならないことも言わずに、何とか波風を立てたくないと言う態度では、この厳しい国際環境は乗り切れないと思います。


使っているプリンタの印刷が黒くなって、ドラムの寿命が来たみたいなので、下手にドラムを買うより安いプリンタがあるのではないかと探してみたら、税込みで何と 13,670円 のファックス・モノクロレーザー複合プリンタが見つかりました。 FAXとモノクロレーザーの複合機で、大量の書類を一度に印刷するのに使っていましたが、古いためか使い勝手が悪くて、印刷した紙も丸まってしまうので、買い換えのチャンスを覗っていました。

LED方式で、しかもドラムの交換は出来ず、約3万枚印刷で寿命になるとのことで、次回は確実に買い換えないといけないことになります。 年数で言うと5年で、現在のプリンタは10年以上使っていますので、いくら安いと言っても少々気になるところです。

今月の読み物「中国という大難」新潮文庫 富坂 聰 著 ¥680

オススメ度 ★☆☆ 内容は良いが少し古い

少し古いですが、今読んでもその内容はほとんど変わっていません。 むしろ中国の実像を明確に捉える事が出来ているのではないでしょうか。 必要以上に恥部をさらけ出し、反中国を叫ぶ一部のレポートとは異なり、ルポによる冷静な分析が良いです。

最近では、中国は 「中所得国の罠」に陥っているのでは無いかとの指摘も多く行われており、その成否はともかく隣国としての大難と中国内部からの視点の大難との両方を冷静に見ておかないと、判断を誤るのではないかと思います。

内容(「BOOK」データベースより)
「世界の工場」として、アメリカに次ぐ経済大国の地位に登りつめながら、凄まじい貧富の差や大気汚染、水不足など容易に解決できない難題を抱える現代中国。加えて、軍事費を増大させ、外洋進出を図る人民解放軍を党中央がコントロールできているのかどうかも定かでない―。無関心ではいられない「やっかいな隣人」のありのままの姿を、綿密な現地取材で明らかにした必読ルポ。



今月のひとこと2015年10月号





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2015年10月5日
気候もやっと秋らしくなり、秋晴れの日が多くなってきました。 最近は気候不順が続き、夏から突然冬になるような事も多く、この様な秋晴れは貴重なものとなりました。 経済も中国の変動で雨空になるかと思いきや、薄曇り程度で済むようです。 物価上昇2%の目標はほど遠く、生鮮食料品とエネルギー関係を除いていた日銀の指標でも、目標にはほど遠いのが実態です。 原油価格の下落は物価上昇には逆行しますが、日本経済全体には良い方向に働くので、時間はかかりますが、最終的には物価上昇に寄与してくるのではないかと思います。 株価も18000円を挟んで、乱高下はするものの、落ち着いてきた感じがします。

日銀金融緩和は期待しているのですが、おそらくアメリカの公定歩合の利上げに絡んで実施されるのではないかと思います。 上げるのも上げないのもどちらも問題があり、いっそのこと9月に上げておけば良かったと言う意見もあります。 年内に上げるのは確定していると思いますが、遅くなるとだんだんあげるのが苦しくなってくるような気がします。

同じような事が日本の消費税の10%へのアップにも言えると思います。 上げることのダメージは実証済みですが、さりとて上げないわけには行かない、上げないと次に挙げるのが難しくなる、と言うジレンマに陥ってしまうと思います。 3%アップ時には5兆円もの万全の対策をしたにも関わらず、あれだけの落ち込みをしましたので、次回の2%アップはもっと大きな対策を打つのかも知れません。 オリンピック前と言う状況もあるので、これで緩和されてしまうのかも知れません。 いずれにしても3%時よりは、上げないと行けない条件が揃ってきていると思います。

最近のITと言うか技術絡みの話題で何と言っても大きいのはフォルクスワーゲンのエンジン不正ソフトでしょう。 あのカチカチのドイツ人がやったと言うのも衝撃は大きいものがあります。 しかし良く調べてみると、過去にはアメリカのメーカーを含めて同じような問題があったと言うことです。 今回は台数も多いし、ドイツの車と言うことで話が大きくなったような気がします。

そもそも排ガス規制は試験方法が指定されて、その結果で判断されるので、今回のケースは、全体としてはおかしいのですが、法律違反にはならないと思います。 そもそも実車では計測が出来ないので、テスト台に置いて決められたテストをして、合格したら良いと言うことではないでしょうか。 何故今まで皆少しおかしいと思いながら、問題にならなかったかと言うと、実車で計測できる車載用の検査機が無かったと言うことです。

この小型の車載出来る計測器を作ったのが、この業界では有名な京都の堀場製作所だそうです。 この小型検査機が昨年に出来て、それを使って実車で試験したら、ピークで規制値の40倍の値が出たそうです。 意外なところで日本の中堅企業が貢献していると言うことです。 ちなみに、堀場製作所の創業者の堀場さんは、先日亡くなったばかりで、生きておられたら、コメントが沢山新聞に載ったのではないかと思っています。

地元のEUやドイツでは分かっていたらしいので、それはそっちの責任として、問題発覚のアメリカでは、ディーゼルはあまりはやらなくて、50万台くらいしか無いそうです。 不正ソフトを元に戻すと燃費が一気に悪くなるので、いっそのこと新車に交換したらどうか、と言う話もあり、下手に制裁金を払うより、この場合でも、新車の原価は200万円ぐらいと言われており、50万台台でも1兆円で済むと言う計算もあります。

最近のネット関連の話題で大きなニュースでは無かったが、面白かったのは、善玉ウイルスの話。 セキュリティ企業のシマンテックが、奇妙なマルウェアを発見したと公式ブログで報告しました。 ウイルスの作成者の意図は不明ですが、Linux.Wifatchと呼ばれるそのマルウェアは、感染しても害はなさず、むしろセキュリティを高めてくれる働きをするのだそうです。 ルーターに感染して、そのルーターを最新のセキュリティアップデートをやってくれるとのこと。

人間が感染しているウイルスも大半は無害で、一部は必須のものも有るようで、一説によると進化の大きなステップもウイルスがDNAの断片を持ち込むことでなされると言う話もあり、ウイルスというとひどい病気になると言う印象が強いのですが、意外に役に立つというか生きる上で必須でも有るようです。

同じようにコンピュータでもウイルスは外を及ぼすだけでなく、この様に役に立つようなものは出来ないのかと思います。 偽装されたらダメですが、特別の標識を持った善玉ウイルスをどんどん作ってネットに放ってはどうかと思うくらいです。

今月の読み物は、「瀬島龍三―参謀の昭和史」 文春文庫 保阪正康著 ¥605

★☆☆ 別の面から戦後史に興味ある人には読み応えあり。
瀬島龍三は、太平洋戦争時には大本営作戦参謀。 ソ連抑留、東京裁判に検事側証人として出廷、高度経済成長期には企業参謀、伊藤忠商事会長、そして中曽根政権下の行政改革では臨調・行革審の政治参謀として活躍した昭和史そのものの参謀ともいえる人物。

どういう人が、あの戦争を実際に作戦を作り指導したのか、またその後がどうなったのか、を知りたくて読みました。 筆者の正確もあるのかも知れないですが、全体的に公平というか、冷徹な記述が多いので、良くあるような持ち上げるような人物描写ではないです。

実際に読んでみると、本当に数奇な運命と言う感じと、サスガに大本営の作戦参謀は、良い悪いは別にして優秀なんだと感心しました。 抑留先のソ連でも、それなりの能力を発揮し、戦後は伊藤忠商事に入社して、単なる繊維商社から、世界的な商社に押し上げた原動力でもあります。

いわゆる上に立つ人で無く、根っからの参謀タイプの人物伝の、現代に生きた人なので、その詳細を読むことが出来ました。

内容(「BOOK」データベースより)
陸大を優等な成績で卒業し、太平洋戦下の大本営作戦参謀を勤め、戦後は高度成長期に商社の企業参謀、さらに中曽根行革で総理の政治参謀として活躍―。激動の昭和を常に背後からリードしてきた瀬島龍三。彼の60年の軌跡を彩る数数の伝説を検証し、日本型エリートの功罪と歴史に対する指導者の責任を問うノンフィクション力作。
著者は、綿密な取材によって瀬島が語らない昭和の裏側をかなりの部分明らかにしている。しかし、瀬島自身に対するインタビューを終えた感想は「知りたかったことになにひとつ正確には話してくれない」ということだった。おそらく、瀬島が語らなかったことは、そのまま昭和史の闇の中へ消えていくのだろう。ただ一つ、瀬島の大本営参謀としての本音がもっとも正直に吐露されていると思われる『北方戦備』という自らが記した大著は、一般の人間は閲覧することのできない、防衛庁戦史室という密室に寄託されているということである。(杉本治人)