今月の一言2008年2月号

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「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。

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2月3日
いよいよ世界経済もおかしくなってきました。 アメリカは底が見えず、日本は実力以上に落ち込んだ逆バブル、中国はオリンピックまで持ちそうに無く、餃子中毒事件の決着は今や世界問題となりつつあります。 ヨーロッパも何かおかしくて全世界的な不況になりそうで、考えただけで嫌になります。 この心理が、更に状況を悪くして、と言う悪循環に陥っています。 せめて政治がしっかりしてくれたら良いのですが、大阪知事選の結果は、「万馬券」と言われているそうで、いかにも人材が居ない感じです。

大阪府の職員は15000人も居るそうで、ちょっとした大企業を根底からひっくり返そうと言うことですから、それなりに準備をして、落ち着いてやらないと無理でしょう。 特に行政機関は、明確な行動基準がないので、どこをどう押せば人が動くのか? 最後は、利害が対立したときに動かんのでしょう。 私の好きな山本五十六の言葉「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」、山本ほど人気のあった人でも苦労していると感心し、安心し。

最近は、いろいろAV機器を買ってみているのですが、なかなか変化が激しいので、なかなか付いていけません。 以前から言っているように、IT技術の、最後の山のハイビジョンがそこに見えてきて、しかも周辺技術が何とか追いついていると言う状況です。

以前の本欄でも紹介しましたが、ブルーレイとHD-DVDの狭間からヒョイと出てきたのが、Mpeg4をベースにしたH.264/AVC技術です。 Mpeg2 の約4倍の圧縮率があるので、通常のDVDにかろうじてハイビジョンが録画できることになります。 最近のTVコマーシャルで、通常のDVDにも録画出来ます、と言うのを見たことがあると思います。

この状況は、20年近く前に、MP3が出てきた時の状況と似ていると思います。 当時は日本のメーカーが競ってポータブルのCDプレイヤーとかMDプレイヤーとか得意のファインメカで競争していた時です。 いつも覗いているサニーベールの Fry’s でひょいと見ると、MP3プレイヤーがおいてありました。 曰くジョギング中でも音ブレがしない、ショックに強いと言うことでした。

つまりメカが半導体に置き換わった瞬間でした。 その後は、通常のCDに10倍ほどに圧縮したMP3の音楽を入れて、10枚のCDが1枚になりました。 音が悪いとか言われましたが、ポータブルでそんなに真剣に聞くわけでもなく、今日ではiPODでこれが完全に定着し、ディスクで何千曲と持ち運べるようになりました。

同じことが映像の世界で起こっているように思います。 ブルーレイだ、HD-DVDだ とかハードの競争をしているうちに、競争は半導体に移ってしまって、結局アメリカに主導権を奪われてしまうのではないでしょうか。 今回の Mpeg4 は、このところなかなか元気の良いパナソニックが圧縮伸張LSIを開発した事が大きいと思います。 手の中に収まるハイビジョンビデオカメラなどは、要するにこの圧縮を行うLSIを開発出来た事がほとんどでは無いでしょうか。

この圧縮伸張は、PCでもなかなかしんどいらしくて、処理するのに最高性能のPCでも、撮影した時間と同じくらいの時間がかかるようです。 以前に Mpeg2 で通常放送の映像を処理しましたが、おなじくらいとは言えませんが、結構時間がかかりました。 これもソフト技術の向上でそれなりになるのでしょうが、やはりハードで圧縮できるのは楽でよいです。

2月5日に出荷と言われているパナソニックのDVD/HD録画機は、この圧縮LSIを搭載している最初の機種で、シングルチューナーですが、SDカードから直接エンコードして映像をTVに写せるそうです。 まだ出荷前なのに、今日見たら5万円を切っていました。 ディスクは250Gb ですが、圧縮を使って録画すれば実質 1Tバイトと同じことになります。

おそらく、映画会社が売り出すコンテンツはCDやDVDと同じようにブルーレイになるのでしょう。 しかし録画は、圧縮技術を使って、小さなディクスに格納してその分安価なものになっていくでしょう。 1T のディスクに4Tが入ることになり、ほとんど1週間の関心のある番組は片端から録画できるでしょう。 さらに残したければ、ブルーレイに4タイトルぐらい圧縮して録画できるようになるでしょう。 通常のDVD-Rは今や安いので、これに圧縮してハイビジョンを1タイトル入れるようになるのではないでしょうか。 これでやっとブルーレイ、HD-DVD 論争に決着が付くと思います。

ワンセグ放送は、結構解像度が低いので、4GバイトのSDカードに、20時間ぐらい録画出来ますので、以前のウォークマン感覚でTVを見ることが出来ます。 見たら消し、見たら消しすれば十分に使えます。

いくら圧縮しても、ハイビジョンは結構大きな容量になって、2時間番組でDVDぐらいの4Gバイトぐらいになります。 ちょうどMpeg2 で2時間で3Gバイトちょっとだったので、大体同じくらいになります。 これを入れたり、後はデジカメの写真を入れたりで、大きなディクスが欲しくなりますが、これもRAIDと言う障害に強い方式のものが、5万円台で入手できるようになりました。 完璧ではないのですが、4台のうち1台のディスクがやられても不良ディスクさえ交換すればOKと言う代物で、従来はものすごく高くて、一般には使えないものでしたが、最近は値段が下がって前述のものは、250Gバイトのディスクが4台で1Tバイト。

しかし復旧のための容量が常に必要で、これを除くと 750Gバイト。 しかし、一般の使用には十分でしょう。 万が一2台のディスクが同時に駄目になっても、最近はディスクサルベージ屋さんが育ってきたので、一例では、最高額25万円で、落として完全にやられたディスクからでもデータは復旧できるそうです。

最後に悪名高いコピーワンス問題。 デジタルコンテンツを保護するために、デジタル放送の録画は1回きり、とすることで、現時点では全ての録画機がこれに対応しています。 録画機にコピーして1回。 それをさらにDVDに移動してお終い。 要するにDVDにコピーするとオリジナルのディスクからは、コピーしたところだけ削除されてしまいます。 これを10回にすると言うのが、インターネットの父として有名な村井純さんが政治判断として決めました。 まだ対応機器は出荷されていませんが、パナソニックなどは、今後はファームウエアのバージョンアップで対応すると言うことです。 私もコピーワンスは最初はとんでもない、と思っていましたが、やってみて慣れてくるとそんなに不便でもないか、と思うようになりました。 コピーワンスでも、コピー10でも、まあどちらでも良いかという感じです。

今月の読み物は、生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891) 福岡 伸一著 ¥777税込。 特に一般書ではなく、筆者の実際の研究の足取りを追いながら、主題のテーマを追っていくという、なかなか読み物としても、面白いものです。  研究競争の一端を垣間見たり、ポスドクの実態など、なかなか読ませます。 ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などの後、現・青山学院大学教授。 専攻は分子生物学。2006年に第一回科学ジャーナリスト賞を受賞しています。

夏休み。海辺の砂浜を歩くと足下に無数の、生物と無生物が散在していることを知る。
美しいすじが幾重にも走る断面を持った赤い小石。私はそれを手にとってしばらく眺めた後、砂地に落とす。ふと気が付くと、その隣には、小石とほとんど同じ色遣いの小さな貝殻がある。 そこにはすでに生命は失われているけれど、私たちは確実にそれが生命の営みによってもたらされた物であることを見る。小さな貝殻に、小石とは決定的に違う一体何を私たちは見ているというのだろうか。(本文より)







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