今月のひとこと2010年8月号





「今月のひとこと」の目次
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2010年8月1日
最近は本当に暑いですね。 雨の降りかたも熱帯風になって来てスコールのようになっています。 猛暑特需と言うのがあるそうですが、経済と政治の世界は、冷ややかで熱気がありません。 これ以上日本の首相が交代すると本当に世界から無視されてしまいそうです。 先日の G8 でも日本は例外扱いされてしまいました。 しかし最近の欧米とくにアメリカの状況を見ていると、日本の状況にだんだん近くなってきたようです。

ずっと前から周回遅れと言われていた日本ですが、どうも先頭を走っているのではないか、と思われる場面が多くなってきました。 良いことなのか、悪いことなのかは、良く分かりませんが、もし先頭だとしたら日本が自律的に回復過程に入ったとしても国外に引きずられて、失われた30年になるのは間違いないでしょう。

昨今の国内政治状況を見ていても、あと3年は状況は何も良くならないと言う感じです。 せっかく国民が消費税はしょうがないな、と思っていたところへ水を差してしまいました。 普天間と全く同じパターンで、せっかくその気になったのに、そこへわざわざ水を差すと言うのは、要するに空気が読めていない、また読めないリーダーに国は任せられないと言うことではないでしょうか。

前回でご紹介した、テスラ・モーターズで思い出すのは、アップルのジョブズが愛読したという「タッカー」と言う名前の自動車開発物語です。 結局この車は、50台だけ生産して終わったのですが、アメリカのバイタリティを感じる上で当時は非常に面白かったと言う印象が有ります。 本の出版はもちろん、コッポラ監督の元で映画化されました。 一度テレビで放映されたのでご覧になった方もおられると思います。 文庫本が出ていたはずで、ネットで散々探したのですが、表紙の画像が見当たりませんでした。 自宅にはあるはずなんですが、これも捜しきれずでした。 中古はあるようですので、興味ある方は注文してみてください。

こんな海の向こうの状況を指を咥えて眺めているのかと言うと、そうでもなくて、日本でも慶応大学の Eliica があります。 8輪車の異様な形状でご存知の方も多いと思います。 結構大型で、最高速度は370km/hで、一般に売れる車では有りませんが、電気モーターの威力に度肝を抜かれました。 最近のスポーツカーのハイブリッドタイプは、燃費の向上と言うよりは、電気モーターをターボ的に使って加速を得ると言うのが一般的です。

電気モーターだけを使っての加速は、言わば電車の加速なんですが、ガソリン車と比べて、トルク曲線がフラットなので、ずーっと加速するようです。 要するに変速機が無いと言うか不要なので、このようなことになるのです。 しかしこれが良いのかどうか。 ガソリン車の運転方法は、感覚を含めて完成の域にありますので、この点どうかと言うことです。

性能的には、例えば、この Eliica は、0-100km加速に4.1秒です。 スポーツカーの代表格のポルシェ・ターボで4.2秒ですから、加速性能的にはほとんど最高級のスポーツカーになっていると思います。 ちなみにモーター出力は1個当たり約100馬力で、8個のモーターで800馬力となり、単純比較は出来ませんが最高レベルのスポーツカー(例えば、国産なのに4000万円近くするレクサスのLFA)のエンジン出力500馬力を大きく凌駕します。

最近の自動車の変速機は、当然にオートマティック(AT)なんですが、一応レバーが付いています。 ハイブリッドでは、小さなレバーが付いているだけですが、それ以外のガソリン車は、すでにATのレバーの意味合いが無くなっているのにも関わらず、昔と同じように付いています。 ちなみにマニュアルシフトの時は、当然にギアを直接レバーで操作していました。 間違えてシフトすると、ガリガリとギアの当たる音と感触がありました。 ATになった初期は、ATの油圧バルブを操作する機能となりましたが、最近ではすべて電気操作ですので、マイコンの信号を入り切りするスイッチでしか有りません。

排気音も例えばレクサスのLFAは、その音まで細かくデザインしたそうですので、これが電気自動車になったら、スピーカーから音が出るようになるんでしょうか。 少し寂しい気がします。 既に電気自動車があまりに静かなので、ガソリン車のエンジン音を出して通行する人に知らせるような装置も考えられているようですので、あながち的外れではないような気がします。 なにか蒸気機関車に対するノスタルジーみたいな話ですが、自分で操作すると言う非常に微妙な感覚の話ですので、今後どのようになって行くのか非常に興味のあるところです。

Eliicaを商品化するための電気自動車のプラットフォームを開発する会社「シムドライブ(SIM-Drive)」が設立されています。 ベネッセコーポレーションが一枚かんでいます。 さらに実際の量産車を作る 京大発のベンチャー企業 ナノオプトニクス・エナジー が設立されています。 日本たばこ産業が撤退する米子工場の跡地約を取得し、改修や生産設備の導入などで5年間に約230億円の設備投資を行い、約800人の雇用を計画しているそうです。 多くの紆余曲折が予想されますが、どういう所に落ち着くのか見守っていきたいと思います。

今月の読み物は、結局先程紹介した「タッカー」。 書籍は古書しかありませんので、DVDを御覧ください。

【以下 Gooより引用】
第2次世界大戦終結まじかの1945年春。デトロイト郊外の小さな街で、プレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)は子供の頃からの夢を追い求めていた。9歳の時に惚れ込んだ自動車業界に身を置き、最愛の妻ヴェラ(ジョアン・アレン)や長男のジュニア(クリスチャン・スレイター)をはじめとする4人の子供達と共に幸せな日々を過ごしていた。戦争も終わり、アメリカが新しい時代を迎えようとしている時、タッカーは自分の夢である新しい車を作る決心をする。友人である元銀行家のエイヴ(マーティン・ランドー)、技術者のエディ(フレデリック・フォレスト)やジミー(マコ)の協力を得て、遂にモデル・カー、“タッカー・トーペード”を作り上げた。速さだけではなく、安全性や高級感をも求めた夢の車、トーペードは、巧みな宣伝やその斬新なスタイルで、たちまち世間の注目を浴びる。

だが、当時アメリカを牛耳っていた巨大な自動車産業のビッグ3や、ファーガソン上院議員(ロイド・ブリッジス)ら保守的な政・財界は、密かに暗躍してタッカーをあらゆる面から攻撃し、その事業を叩き潰そうとした。タッカーは罠に落ち、裁判にかけられ工場は閉鎖寸前となった。全ての疑惑を晴らし、無罪を勝ちとるためにタッカーたちは50台の新車を期日までに完成させなければならない。タッカーとその仲間たちの苦闘の日々が始まった。

そして最終弁論の日、タッカーは陪審員席に向かって、自らの信じるアメリカの自由・正義・未来について語りかける。「巨大な力で個人の自由な発想を押し潰すことは、この国の未来をも閉ざすことになるのではないか」その熱意ある発言は、陪審員たちの心をも動かした。遂にタッカーは無罪の判決を得て、それを迎えるかのように裁判所の前に完成したばかりのタッカー・トーペードが並ぶ。だがこの日、タッカーの工場は連邦政府によって閉鎖されることになってしまった。それでもタッカーと仲間たちは意気揚々と新車に乗り込み、パレードよろしく帰途についた。彼の車はこの50台のほかに、作られることはなかった。



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