今月の一言2011年7月号

「今月のひとこと」の目次
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2011年7月2日
節電が喧しく謂われている時節に限って、急に真夏日になってしまって、まあ良いリハーサルになったのではないでしょうか。 夏と共に、ギリシャ問題が取り敢えず決着して、アメリカのQE2の終了がうやむやになり、おかげで少し円安・株高になりました。 日本の震災復興もなかなか進まず、アメリカのQE3も見えずに、日本と同じように失われた10年に突入しつつあるのではないでしょうか。

来年の大統領選挙を控えて、オバマ大統領は何でも有りの経済政策をとると、みんな思っているのですが、失われた10年の日本と同じく取れる政策が限れれてきているようです。 日本の事を無策と散々批判した人も、アメリカ経済のデフレ日本化を本気で心配し始めたようです。 確かに不確実性がますます大きくなってきています。

復興財源を増税というのは全く間違っていると思いますが、そろそろ1000兆円にも達する財政赤字は無視できません。 問題になっている復興財源はせいぜい20-30兆円ですので、毎年40兆円以上の国債を発行しているのですから、大したことはないでしょう。 もし対外的に格好がつかないと言うことであれば、届くか届かないか分からないような義援金代わりに、法人税を除く個人所得税を少し増税すれば良いと思います。 ただでさえ疲弊している法人をこれ以上痛めつけるべきではないでしょう。

国債発行に必ず枕言葉が付いてくる「次世代につけを先送りにするな」と言うのも、また財務省の陰謀ではないかと思います。 10年前は国の財政赤字を家計の借金に例える話が、しょっちゅうマスコミで流れていましたが、これは嘘だと言うことがハッキリしましたが、今度は「つけの先送り」です。 確かにつけは先送りになるのですが、同時に資産も先送りになります。 現世代が保有する資産は、相続税を課されると、国と次世代、課されなければそのまま次世代に、先送りになります。

こう言うキャンペーンを張るときは従来からそうですが、必ず資産と負債のどちらかしか言いません。 現状の日本ではほとんどの資産と負債が国内にありますので、バランスシート的に考えないと道を誤ると思います。 ちなみに資産の一部は海外に投資されていて、日本は対外的な資産と負債を差し引きした純資産では世界で一番であって、なんのかんの言ってみても、日本は世界で一番のかねもちなんです。 もっと自信と誇りを持ちましょう。 どっかのヨーロッパの小国と比較するのは止めましょう。

一番の問題はインフレで、個人はもちろん国の立場から言ってもそうです。 小欄でも一度触れたことがありますが、復興投資がもし30兆円あって、それが1年で完結すると、ちょうど問題になっている受給ギャップが埋まるので、インフレに転ずる可能性が高いと思っています。 これは一種朗報で、国債が暴落するので国債残高は急激に減ります。 ただし国債を保有している、もしくは銀行やゆうちょを通じて間接的に国債を買っている人は、その大半が消えてしまいますが、国債残高は減ります。 またこの状況でしか、国債残高を劇的に減らす方法は無いと思います。

原発の汚染水処理も2歩前進1歩後退の状況で、やっつけ仕事ではこんなものかとは思いますが、バルブの閉め違いとか初歩的な間違いが多いですね。 はやり日雇い的に掻き集めた作業者がやっているとしか思えませんね。 まあ全長4kmもあるパイプラインでは、何が起こっても不思議はないでしょう。

線量計がたくさん売れて、中国からもいい加減なものが多く入ってきているようですが、最近は少しだぶついて、以前のような高値はなくなってきたみたいです。 まあこの商売は濡手で粟だったでしょう。

ガイガーカウンターとか以前に言っていたのが線量計で、ガイガー=ミュラー管(GM管)を使ったものが安いです。 ガリガリ音をだすあれです。 不活性ガスを封入した筒の中心部に電極を取り付け、高い電圧を掛ける。筒中に放射線が入ると、不活性ガスが電離されて電極と陽極の間にパルス電流が流れ、これを音として聞くとガリガリ言う。 安価な割には(と言っても高く売っています)、非常に利得が高く大きな信号を得られる半面、この電流の強さは、放射線の持つエネルギーと比例関係にはならないので、放射線の持つエネルギーを測定することは出来ません。

半導体センサで出来たものは高価ですが、放射線が半導体検出器を通過するとそれらによって電離した電子が電子-正孔対を作り出し、これを逆バイアス電場によって電極に集め、増幅・測定するこにより、空孔内部で失われたエネルギーがわかる。 従ってガイガー=ミュラー管と違いエネルギーも測ることが出来ます。

問題となる放射線には、主にアルファ線、ベータ線、ガンマ線と中性子があります。 アルファ線は原子核で大きいので紙1枚で止められます。 ベータ線は電子線なので、少し大きくてまあまあ止まる。 問題はガンマ線で、放射線と言っているのは、ほとんどこれです。 ガンマ線と言っても、本質は電波と同じで正体は光子ですが、エネルギーが極めて高いので量子効果が大きくて、ポツポツと言う感じになるんです。 もっと低いのは、X線でこれも被爆と言っていますね。 レントゲン写真を撮るときに、操作する人がドアの外の逃げるのがそうです。 まあエネルギーは弱いし、瞬間なので問題は大きくないです。

ケータイの健康被害が最近話題になりました。 WHOが調査して、問題ないことも無い、と言うことになりました。 脳腫瘍の発症確率が高くなるとのこと。 私は以前から嫌だと思っていました。 なにしろ頭に接近して、それも弱くない電波が出るんですからね。 まあエネルギーの大半は頭はほとんど水ですから、熱エネルギーになってしまうと思いますが、放射能被爆を極端に嫌う人がケータイを平気で使うのは解せません。

放射能被爆の発ガン確率の程度は今問題になっていますが、受動喫煙と同じ程度。 喫煙者は何と2000ミリシーベルト被爆と同じで、メタボや野菜嫌い、はたまた痩せすぎだけでも、許容量被爆と同じらしいです。 しかし何が起きるか分かっていないので、特に子供は生存時間が長いし、影響を受けやすいと思われますので、なるべく被爆しない方が良いと思います。 定年後のおじさん、おばさんは、全く心配ないので、どんどんボランティアで行くとか、福島産の食べ物を食べるとかしてください。 低線量の被爆が健康に悪いのか、はたまた良いのかすら良くわかっていません。 と言うことは、良いという結果もあるのです。 要するに細胞が鍛えられて強くなると言うんですね。 確かにラジュウム温泉とか言うものもありますし、まあ気持ちの問題でしょう。

今月の読み物は、原発安全革命 (文春新書) 古川 和男 (著) 以前から気になっていたので、ゆっくり読んでみました。 だいたいこう言うのはいい加減な思いつきが多いのですが、これは違いますね。 実際に作って運転してみると、いろいろ問題は出てきそうですが、ここに書かれている範囲では問題はない。 反原発がファッションになっていますが、折角ある核エネルギーを使わない手は無いと思います。 エネルギーが有り余ってる訳ではないし、CO2問題もあるので、原発を原理的に考え直すもの必要だと思いました。

現在のウランを中心とした核エネルギー体系は、元々軍事技術からの発展系です。 従って核拡散の心配は原理的に存在するんですね。 またその最たるプルトニュウムの使い方が未だに決着していないのも大問題。 特に日本は原子爆弾を作るわけではないので、核廃棄物処理が進んだとすると、どんどん溜まる一方。 処理が進まないと、福島第一のように原発に保管しておかないと行けなくなります。 どっちにしても溜まる一方。

普通の軽水炉でこんなに大騒ぎになると、高速増殖炉もんじゅのナトリウム冷却なんて夢のまた夢。 最近、落下した部品の引き上げにやっと成功したが、今回の福島第一の事故でもんじゅは息の根を止められたと思います。 各国が放棄たように、日本も放棄せざるを得ないでしょう。 今回の福島第一の3号炉でやっていたようにウランにプルトニュウムを混ぜるMOX燃料ですが、ガソリンにバイオ・アルコールを3-5%混ぜるような話で、溜まる一方のプルトニュウムを消費するには全く足りません。

ここで紹介されているトリウム炉は、液体燃料による連続処理が可能で、しかも小型にでき、プルトニュウムを消費でき、核拡散の心配も無いと良いことずくめ。 この通りかどうかは分からないが、折角ある核エネルギーの安全な活用を、技術的に解決できるのなら、追求すべきだと思います。 私の推測ですが、このトリウム炉のアイデアの中には、高速増殖炉の経験がある程度生きていると感じました。 現状の高速増殖炉の棚上げとか、太陽光パネルだけでなく、国家全体のエネルギーの方向性をキチンとだすように議論を進めるべきです。

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