2013年5月5日
連休で市場も一服です。 日本が休んでいる間に、円は99円台になり、日経先物も14000円台に復帰ししました。 これで連休が明けるとどうなるかが面白いですね。 5月の中旬は、ヘッジファンドの決算の締めが多いので、この影響がどう出るかです。 いずれにしても黒田日銀総裁が、打てる手は全て一気に打った、と言ったとたんに、次の材料はなくなりました。 短期東しから、長期投資に戦略を切り替えるタイミングでしょう。
投資信託に資金が流入していると言う報道が多いですが、今更と言う感じもします。 投資信託は手数料が高いので、運用会社だけが儲かると言う仕組みになります。 日本からは投資しにくい外国債券や株式ならイザ知らず、日本株に投資する投資信託なら、直接株式を買うか、銘柄選びに困るのなら、ETFを購入すれば良いのでは? と思ってしまいます。 過去のパフォーマンスを見ると、日経255のETFのパフォーマンスを上回った投資信託は数えるほどしかないようですので、たまたまその投信を買ったら日経平均より儲かったというだけでしょう。
昨年はコンピュータの生みの親のイギリス数学者アラン・チューリング生誕100年であったためか、チューリングに関する書籍が沢山出版されました。 コンピュータの原型を作ったチューリングも、1954年6月7日に41歳の若さで青酸カリを使った不幸な最後を迎えました。
1936年の論文「計算可能数について──決定問題への応用」で発表されたチューリングマシンが、現在のコンピュータの原型です。 私も、学生時代にチューリングマシンの講義を受けて、非常に新鮮な感じを受けたのを覚えています。 未だに記憶している授業のひとつです。
仮想マシンもさることながら、計算可能数と言う概念も素晴らしかったと思います。 計算可能数は、有限の手段すなわち計算数で計算できるということを示した点です。 当時の疑問は、与えられた計算にどれだけの時間がかかるのか、永遠にかかるのか、が不明だった点にあります。
チューリングの仮想マシンは、当時の最新技術であった、磁気テープを元に考案されています。 プログラムどおりに物事を進めていくとと言うのは、西陣織のジャガート織機などでは、以前から実現していましたが、チューリングマシンのすごさは、そのプログラムを自分で書きなおすと言う点にありました。 これが、コンピュータを単なるプログラムマシンから、現在のようなソフトウエアマシンに変革した点だと思います。
チューリングの仮想機械は、以下の動作を、機械は内部状態が停止状態になるまで反復して実行し続けます。
1.無限に長い磁気テープ
2.その中に格納された情報を読み書きするヘッド
3.機械の内部状態を記憶するメモリ
で内部状態とヘッドから読み出した情報の組み合わせに応じて、次の動作を実行します。
1. ヘッド位置のテープに情報を書き込む
2. 機械の内部状態を変える
3. ヘッドを右か左に一つ移動する
しかしチューリングマシンのように、プログラムそのものを書き直すと言うのは、実用上問題が多かったようで、主に書き直すのは参照アドレス部分だけなので、最新のコンピュータでもそうですが、初期のコンピュータでは、参照アドレスを変更するためのインデックスレジスタなどによるアドレス修飾と言うような追加のハードウエアがありました。 しかし、プログラムテクニックで、プログラムそのものを書き直すことも可能だったので、アドレスだけでなく、命令コードそのものも書き換えてしまって、まったく別の動きをさせることもありました。
当時はソフトウエアを機械言語で書いていたために出来ることで、現在のように高級言語で書く場合には、このようなことは余程のプログラムテクニックを駆使しないと出来ないようになってしまっています。 また、これと同じことが、ソフトウエア上で表現できるようになってきています。 更には、ソフトウエア品質管理上は、この様なプログラミングは禁止されているのが通常です。
その後の実際のコンピュータでは、2次記憶の存在が重要になり、仮想メモリの技術が発展しました。 さらには、半導体技術の発展で、CPUコアを多数持つものが出現し、最近では、如何にその消費電力を減らすか、と言う点で技術が開発されてきています。
今年も鳥インフルエンザで騒ぎになりました。 幸い中国の鳥インフルエンザも、その後の拡大も確認されていずに、何とか平穏に終わりそうです。 しかし感染力と死亡率の極めて高いウイルスが発生するのは時間の問題だと思います。
ウイルスは生物に最も近い物質であるとされていて、生物であるとは認知されていません。 その増殖には、他の生物である細胞が必要で、自分自身では増殖できないからです。 ウイルスは、一度細胞に取り付くと、その遺伝子を細胞内にぶちまけるので、遺伝子の交雑が非常に容易に起きるようで、これが短期間に新たなウイルスが誕生する原因になっています。 また、ウイルス由来と思われる器官や遺伝子が、我々人間の細胞内に見つかるので、ウイルスは生命進化上も大きな役割を果たしていると思われます。
生物進化も非常に興味のある分野です。 人間のような非常に複雑な生物が、試行錯誤の末に出現すると言うのは、驚き以外の何者でもありません。 最近のと言っても20年ぐらいですが、研究によると。分子レベルでのたんぱく質の進化と言うか変化は、何億年も外形上は変化しないシーラカンスでも、ずっと変化のある哺乳類でも、その速度は変わらないそうです。
変化しても外形的には変化が無く、自然淘汰には中立であるとされています。 外形上も変化すると生存に適不適きが出てくるので、自然淘汰で選択されます。 一番大きなのは捕食だと思います。
今月の読み物は、DNA誕生の謎に迫る! 遺伝子の本体DNAはどうつくられたか?構造、進化、複製から起源の謎をひも解く! (サイエンス・アイ新書) 武村 政春 著 ¥1,000
鳥インフルエンザに影響されて読んでみました。 読み始めは、当たり前のことが書かれていると思い流し読みを始めましたが、途中から真剣になりました。 まだ定説になっていない学説や、将来の見通しも書かれていて、なかなか面白いものでありました。 半分が図絵で、冗長な部分もありますが、まあまあ分かりやすいです。 ウイルスもので挫折した人にお奨めです。
【内容紹介】 遺伝子の本体DNAはどこまで解明されたのか、DNAは私たち生物が生きていくために不可欠な物質であり、すべての生物の“はじまり”に深く関わっている。本書は、遺伝子の本体であるDNAの化学的特徴や遺伝情報物質としての有用性をまとめつつ、その起源の謎をストーリー形式で展開している。