今月のひとこと2013年6月号





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2013年6月2日
株価大乱調です。 連休までは気をつけていたんですが、その後は麻痺してしまったようです。 と言うよりは、日経平均より個別銘柄の株価に気を取られていたと言う事でしょう。 金曜日は日経平均は上がったのですが、今まであまり下落しなかった米国市場の下落が大きかったので、世界で最初に開く、明日の日本市場の寄付きが見ものです。 13000円を切るところまで行くのではないでしょうか。 ちょっとしたミニミニバブルでした。 バブル相場と言う言葉が、ふっと頭をよぎりった後に下落が始まりましたね。

リーマンショックのあとは、各国で金融緩和が大規模で行なわれましたが、こう言う前代未聞の緩和には必ず副作用があります。 リーマンショックの前のデフレ期でも日本では大幅な緩和が行なわれて、それが巨額の債務残高に繋がっているんですが、この時にみんな思ったのはインフレになると言う事でした。 私も10年前にはそう思いいましたが、10年経ってもインフレどころか、デフレが進行しました。 中国の安価な製品のせいにする議論もありましたが、今は全世界的にデフレが進行しようとしていて、どうも世界中が異次元の経済状況に陥っているような感じです。

QE3からの出口戦略を探るアメリカは、復活したように見えますが、ヨーロッパは身動きがつかないし、中国も失速気味。 発展途上国も落ち込んでいて、ここでアメリカの調子が悪くなると、日本が再生する前に、また世界的な不況に陥るのではないかと危惧します。 結局緩和した金融は、インフレに向かうのではなくて、緩和した財政に逆流して、日本が経験している流動性のワナに陥ってしまうのではないかと心配しています。

日経の夕刊は経済話題以外の記事が面白いです。 先日まで、岡本綾子の私の履歴書が連載されていました。 最近の女子プロの名前は分かりませんが、この連載には、親友だったパティリゾとかローラボーとか懐かしい名前のオンパレードでした。 なんとなくイメージどおりの実態だったみたいなので、興味深く読みました。

同じ連載で面白かったのは日本酒の話。 自分でブレンドして飲むとのことで、この記事の評判が良かったらしくて、2回同じ話題が続きました。 そこで発見したのは「みりん」でした。 コクの無い日本酒には、みりんをブレンドすると味が飛躍的に良くなるとの事で、みりん(味醂)とは何だと興味が沸きました。

味醂は調味料としか認識が無いですが、さっそく料理用の味醂を取り出して飲んでみました。 日本酒が出来るまでの江戸時代は、お酒として飲まれていたようです。 思った通りに物凄く甘く食事の間には飲めないですが、コーヒーのウイスキー割りのKaruha とか牛乳のウイスキー割りのBeileys と同じと思えば、少し日本料理には味がきついですが、食後酒としてはアリだと思いました。

更に調べると、焼酎を混ぜて味を調え、アルコール度を上げたものは「直」(なおし)、「柳蔭」(やなぎかげ)と呼ばれて高級酒だそうです。 また、正月に飲む「お屠蘇」の日本酒に薬草と共に味醂を入れるのを思い出しました。

落語の「青菜」に「柳影」が登場します。

「ああ、御苦労さんじゃな。植木屋さん、こっち来て一杯やらんかいな。」
「へえ。旦那さん。おおきにありがとさんでございます。」
「一人で飲んでてもおもろあらへん。植木屋さん相手に一杯飲もうと用意してましたのじゃ。どや、あんた柳蔭飲まんか。」
「へっ! 旦那さん、もうし、柳蔭ちゅうたら上等の酒やおまへんか。いただいてよろしいんで?」
「遠慮せんでよろし。こうして冷やしてました。さあ、注いだげよ。」
「こら、えらいありがたいことでおます。」
と、柳蔭(上等の味醂酒)を御馳走になり、「うわあ、いい酒でんなあ。」とすっかりいい気分。

この影響か、土曜日の日経の調味料ランキングのトップは、「福来純三年熟成本みりん」でした。 同じメーカーからは、名前もずばりの柳影も発売されています。

今月の読み物は、異次元の金融緩和の原点を探る「高橋是清と井上準之助―インフレか、デフレか 」(文春新書) 鈴木 隆 著 ¥872
これを読んでいると、当時も今もほとんど変わらない議論をしているんだと実感しました。 当時はこの時点から、軍部の独走が始まったのですが、現在では何が起きるのでしょうか。 似たような内容の本は多いですが、2人を対比させたことで、その時点の政治状況も良く分かります

内容(「BOOK」データベースより)
いまの日本に必要なのは、国債バラマキか、それとも財政緊縮か。昭和のはじめ、同じ問題に直面していた。インフレ政策の高橋是清と、デフレ政策の井上準之助。だが、ともに劇薬の扱いを誤り、この国を悲劇へと導いた―渾身の歴史経済ノンフィクション。

★★★(是非読むべし)




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