今月のひとこと2013年9月号


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2013年9月2日
暑い暑いと言っている内に、とうとう9月に入りました。 暑さも少しはマシになって、朝は結構涼しい日も多くなってきました。 しかし関西でも、気温は平年から、ちょうど1℃高いだけらしいです。 1℃高いのがこれだとすると、温暖化で地球の平均気温が1℃上がると言うことは、大変なことだと今更ながら思います。

稲の生育が早くなったとか、りんごの味が変わったとか、魚の採れ方が変わってきたとか、雨の降り方が違ってきたとか、影響はどんどん顕在化しているようです。 農作物も生育が違ってきて、従来の作り方ではうまく育たないと感じていましたが、先日他の農家でも同じようなことを聞きました。

炭酸ガスが原因かどうかは、定かではないですが、これだけ化石燃料をどんどん燃やしたら、地球は暑くなるのは当たり前ですよね。 過去営々と化石燃料として溜め込んだ太陽エネルギーを一気に吐き出しているわけですから、根本的には、使うエネルギーを減らす、更には地球の人口を減らすと言う事しか解決策が無いようにも見えます。

ラリーニーブンのSF、リングワールドでは、人口太陽の周りに幕を張って、昼と夜を作り出していましたが、これを逆にして、地球の周りに太陽光発電パネルを帯状に敷き詰めて、少し地球に影を作って冷やす。 ついでに発電もする。 実現の困難度は別にして、使用するエネルギーや人口を減らすと言うような話より、技術で解決できる、このような方法の方が実現しやすいと思います。

原因はともあれ、地球の温暖化は現時点でどのような対策を採っても、進行しますがら、将来の世代は、日本の場合は、政府の財政債務と併せて、面倒な問題を抱え込みます。 尤も、政府の財政債務は、日本の場合は最終的には国民の債権ですから、気分的なものを除けば国全体では中立だと思います。 高年層が溜め込んでいる資産もいずれは、相続と言うカタチで引き継がれるのですから。

このような高度な社会を、生まれたときから引き継げるのですから温暖化も、そのコストと思わないとしょうがないですね。 まあ、損得で言うと今の世代、特に高年齢層は、現役時代には、それなりに苦労をしてきたのでしょうが現時点では成果は享受して、その副作用は後で、と言うように食い逃げ世代と言われてもしょうがないでしょう。

前置きが長くなりましたが、経済状況は少し足踏み状態。 株価もさえないし、まだ年末18000円と言っている経済評論家も居るみたいですが、いずれもしても消費税の決定待ちではないでしょうか。 物凄く難しい判断だと思いますが、市場は消費税アップをすでに折り込んでおり、今さら延期は無いと思います。 延期や条件の変更となると、法律を通しなおさないといけないので、第3の矢の成長戦略の議論が吹っ飛びます。 また、この消費税のアップはほとんど有効ではないのですが、財政規律に疑問符が特に海外から付くと思います。 更には安倍政権の指導力にも疑問符が付くと思います。 経済学者は経済的な観点からいろいろ言いますが、アベノミックスで分かったように、今は気分的なものが非常に重要なので、ここでテンションが落ちるような政策は、経済理論的にいくら正しくても、やるべきでは無いと思います。

それにしても安倍政権はラッキーですね。 ちょうど株価や円安が最低レベルまで落ちたときに金融緩和や財政出動をアナウンスした。 これ以上のタイミングは無いと思います。 アナウンスしただけで市場は反応した。 さらには、とうとう出た麻生失言も、何故かほとんどのマスコミは問題にせず、ちょうど起きた沖縄米軍のヘリコプター事故で掻き消され、その事故ですら、あっと言う間に忘れ去られてしまいました。 事故が起きなければ、またその事故が、たまたま市街地で起きたら、天地をひっくり返すような騒ぎになったことでしょう。 ラッキーも実力のうち。 国のトップであれば、理由はともかく、悪いことも良いことも結果責任が全てです。 最後の消費税の決定もなんらかのラッキーが起こるのか? 10月までの1ヶ月は目を離せません。

量子テレポーテションの記事が、先日の新聞それも一般紙の読売新聞にありました。 量子テレポーテションは既に実現していて、それを利用した暗号通信システムも実用化されていますが、今回はそのテレポーテションの効率が飛躍的にアップしたと言う記事です。 本欄でも 2003年には取り上げていますので、詳しくはそちらをご覧頂くとして、この分野では日本がかなり先行しているようです。

アインシュタインの有名なEPRパラドックス(提案したアインシュタイン自身が間違っていた)を実際に実験で確かめることが出来て、量子化した光子を作り出して、実際に実験を行なっているようです。 まあこう言うことが出来るので、量子暗号装置も開発できるんですが、イマイチ理解できない(光子がどこにあるのか確定しないなど)量子力学は、単なる数学上のモデルと思っていましたが、実際にこうやって、実際の光子をつかって、実験できるのでは、驚異的なことだと思います。

クウォークを提案した、後でノーベル賞のゲルマンが、本人ですら数学的なモデルだと思っていたところ、実際に発見されて、最近で話題になったヒッグス粒子も実験で確認されています。 あの天才のアインシュタインが徹底的に否定した量子力学が現実の世界そのものと言うのは、驚異的なことです。 アインシュタインが言った「この世で一番不思議なことは、我々が宇宙を理解できることだ」の言葉がますます心に響きます。

遠い世界の話のように聞こえますが、量子テレポーテーションが進化すると量子コンピュータが作れます。 これが出来ると、現在我々が使っている暗号技術は、ほとんど無効になるといわれています。 ほとんどのPCには、IEをはじめ沢山のソフトウエアに暗号技術が使われています。 これが後数十年で、無効になって、暗号で秘匿した情報が筒抜けになってしまう可能性が高くなります。 財政赤字の破綻か、地球温暖化か、暗号の無効化か、あと20-30年は激動の時代になりそうです。

今月の読み物は、本屋でたまたま見つけた 「実践 日本人の英語」岩波新書 マーク・ピーターセン 著。 ¥798 最初の衝撃の著書「日本人の英語」から25年。 他にも著書が多数あるようですが、本書は特に格調の高い大人の英語の特に文章を書くための本です。 日頃はメールを書くたびに呻吟して、妙だなと思いながら送信ボタンをクリックするのですが、ここには、その問題点がほとんど網羅されているのではないでしょうか。 ブツ切れの文章を如何につなぐか、繋ぐ言葉をどうするか、冠詞や時制をどうするか、格調高くするためのテックニックとか、非常に役に立ちます。

最初の「日本人の英語」は衝撃でした。 まず、外国人がこれくらいの日本語が書けるのか? と言う衝撃。 25年経ってますます磨きが掛かっています。 日本語だけでも対抗できないな、と言う感じです。 まだ、読んでない方は、英語に興味が無くても、是非読んでください。 続けて出た「続 日本人の英語」はイマイチでしたが。

最初の「日本人の英語」でやっと冠詞の使い方が分かるようになりました。 それまでは、要するに分かっていなかった。 つまり犬だと、a dog, the dog, dogs, my dog, ・・・ それぞれ意味が全く違ったり、意味が通じなかったりすると言う事が良く分かりました。 また時制も間違えると意味が全く通じないということがある。 本欄でも 2003年に取り上げています。

ただ、日本人の側から言わせていただくと、日本語には冠詞の概念がない、さらに、「です」、「ます」、「そうね」、「ですか?」 「でしょうか?」 などなど最後にくる動詞の変化が山のようにあって、しかもこれは英語では表現できない。

従って、英文を書くとやたらとTheが付いたり、現在形では何となく気持ちが悪いので、時制をいじってみるが、これが誤解を招く。 逆に外国人の日本語を聞いていると、聞きかじりなのか、最後に「ね」をいつもつけて話すとこれが耳障りになります。

要するに、英語は論理的な言語なので、私はこれを「ロジカル・ニュアンス」と名前を勝手につけています。 冠詞をつける、複数形のsをちょっと付けるだけで、意味がバーンと明確なります。 無ければ意味が分からんときもある。 かたや日本語は、馬から落馬するのと同じみたいなので恥ずかしいですが「エモーショナル・ニュアンス」と言ってます。 最後に、「ね」とか「だよね」「でしょ」とかいろいろ付けて気持ちを表す仕掛けです。

ある時、東京の地下鉄で、女高生が2人乗ってきて話を始めました。 2人とも完全バイリンガルで、英語と日本語を交互に使っていて、面白いと思って聞いていると、誰それが何をしていたか、とか、こんなことがあったよ、とか言う説明は英語でやっていて、それ凄いねーとか、かわいいねぇとかは日本語。 両方の言語の良いとこ取りで、感心しました。

いずれにしても、日本人は気持ちを表す方法が無いことにフラストレーションを抱きながら英語を使い、それを聞く方は、その論理性の無さにフラストレーションを抱いて、お互いがフラストレーションを持ちながら会話していることを忘れないことが、解決だと思っています。

★★★(日本語自身を知る意味でも、是非読むべし)

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