今月のひとこと 2018年8月

2018年8月1日

それにしても暑い。 サスガに早朝の5時頃は少しマシになったが、先週までは早朝でもムッとしていました。 温暖化もさることなら、それ以前に気候変動が大きくなって北感じがあります。 大雨による土砂災害も以前にもあったので、最近急に増えたというわけでもないのでしょうが、立て続けにいろんな自然災害が起きているような気がします。

特に都市部の温度上昇は大きく、子供の頃は池の水がしょっちゅう凍って居た記憶がありますが、最近では凍ることも珍しくなりました。 これだけ人口が密集して、さらにエネルギー消費が大きければ、炭酸ガスに寄らずとも、その地域の温度も上昇するでしょう。

わずか150年ぐらい前の幕末でも、京都油小路の伊東甲子太郎暗殺では、遺骸は凍っていたと言う記録があって、当時の京都は結構寒かったと言う事です。 逆に夏の京都は暑くて、これにフェーン現象とか言うのが加わると、40℃を平気で超えることになりそうで、想像するだけで汗が出てきます。

温度計の温度つまり乾球温度もさることながら、水を含んだガーゼで包まれた湿球の温度の方が問題であると、最近の新聞で見て、最近は老眼なので、湿球の湿が読めなくて、何を書いているのか? とさらに眺めました。

乾球の温度と湿球の温度差で相対湿度を計算することが出来ます。 湿球温度が下がれば下がるほど相対湿度は低いことになり、同じ気温でも汗が蒸発しやすくなり、体感温度は下がります。

湿球温度が体温を超えるかどうかと言う点が一番重要で、湿球温度が36℃を超えると、いくら汗をかいても蒸発せず、体温を下げる方法が無いと言う事になり、エアコンを使うしか生き延びる事は出来ないと言う事になります。 気温が40℃でも50℃でも湿球温度が36℃を超えない限り、暑いですが、体温は維持できます。

このまま温度上昇が続くと湿気の多い東南アジア、特に日本では湿球温度が36℃を超える日は間近に迫っています。 もし超えたら、熱中症の死者数は跳ね上がり、土砂災害などの自然災害の死者数を大幅に超えることになりそうで、最近言われているように、高気温も自然災害とみるべきと言うことでしょう。

インフレ率がなかなか上昇しない中で日銀もやっと長期金利を上げる方向に向かいました。 このままオリンピックを迎えると、オリンピック終了後はさらにインフレ率が下がり、またもやデフレに突入することにもなりかねません。 要するに賃金が上がらないのが原因ですが、1990年代の初頭にアメリカに居た時も、非常に好調な企業が突然レイオフをしたり、賃金がなかなか上がらないことがあり、疑問に思っていました。 この傾向がずっと続いているのだと感じます。

当時の印象ではアメリカはベンチャーが多いので、スタートアップの会社の賃金は当然に低く、さらに安い中国製品が流れ込んでいたので、それらが影響しているのはないかと思ったものでした。 日本のバブル崩壊後は、好調なアメリカと言えども、この様な傾向は内在していたし、現在も内在しているのではないかと思います。 日本はそれが顕在化してしまっているだけだと思います。 かと言って、これと言う解決策は無いのですが。

今月の読み物は、「日本核武装(上下)」 幻冬舎文庫 高嶋 哲夫 著

上下とも Kindle版 ¥600 文庫版 ¥648

小説なので、どこまで現実感がでるのかと、斜に構えて読み始めました。 解説で小川さんが書いているように、現実問題としては核武装は出来ないのですが、実際はどうかと言うシミュレーションになっていると思います。

核弾頭一つがあっても核保有国とは言えないと思いますが、それ以外はよく考えられたストーリーで、映画化を想定したような、シナリオみたいな情景描写になっていますので、非常に読みやすい。

また、核爆弾の開発計画書の存在がキーになっていますが、誰かが書いて、全くの独創で一人では出来ないし、そんな計画書一つが問題になることは無いと思います。 単なる話の作り方の問題でしょう。

日本の中小零細企業の技術が、核爆弾の製造の基礎になっていると言うストーリーも、おそらく取材した結果だと思いますが、確かに1つや2つの爆弾を作るのなら、こう言う中小零細企業も役に立つと思います。 現実にジェット機の部品も作っています。

核武装とは直接関係ないですが、尖閣諸島を巡る中国軍とのやりとりは、こう言う状況もあるかも知れないと思わせるものでした。

最近とみに保有するプルトニュウムを削減しろと言う要求が特にアメリカから来ていて、ひょっとすると核を手放さない北朝鮮や、ヘタすると核武装した朝鮮半島統一国家が出来上がると、日本も何をしだすか分からないと言う心配があるのでしょう。

核技術を保有して置くと言う下心があったと思いますが、非核保有国の中で日本だけが原発の核燃料の再処理が出来、その結果プルトニュウムを抽出して保有できる。 これの使い道が高速増殖炉のもんじゅだったのですが、ナトリウム漏れ事故が原因で廃炉になってしまいました。 その後はフランスと共同開発をすることになりましたが、これもフランスがやる気が無くて頓挫しそうで、プルトニュウムの行き場が無くなっています。 この原発由来のプルトニュウムでまともな核爆弾が出来るわけでも無く、北朝鮮ならともかく日本が出来損ないの核爆弾を作っても政治な意味はないでしょう。

いずれにしても、アメリカに届くICBMは技術的な問題もあり、これは諦めるか、中断するとは思いますが、北朝鮮は世界が認めるかどうかは別にして、少なくとも潜在的な核保有国として存在し続けるでしょう。

完全な防衛装備であるイージスアショアですら、地元の反対、予算の問題、ロシアのクレームなどで波紋を広げている状況で、核武装なんかは夢のまた夢に終わりそうです。 現実に保有するのでは無くても、いつでも保有できると言う状況は作っておかないといけないと思います。

【内容紹介】

国内で日本の核武装に向けた計画書が見つかった。官邸から秘密裏に全容解明するよう指示を受けた防衛省の真名瀬は、まさかの事実を?む。核爆弾製造に元自衛隊幹部や大手企業が関わり、完成が近いのだ。そんな中、日本上空を北朝鮮の弾道ミサイルが通過、尖閣では海上自衛隊と中国軍の小競り合いが起き、日本の自衛官一人が亡くなってしまう。


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