今月のひとこと 2018年12月号

2018年12月3日

急に寒くなったと思ったら、それ程までは寒くならずに、小春日和が続きます。 暖かいのと原油の値下がりで、灯油やガソリンの高騰も止まって、しかし経済には余り良くなくて、良し悪しと言うところでしょうか。

アメリカの中間選挙が終わったと思ったら、特にアメリカの株価が落ちだして、日経も下がってきました。 米中は、何とか中国が折れてきて、最後の関税アップには至らないと思いますが、もしそうなったら景気悪化は必至です。 さらに年明けからは、日米のTAG交渉がスタートするので、これの行方が心配。

過去の日米交渉の経験があるので、と言う事でしょうが、トランプ政権は何をしてくるのか分かりませんので要注意です。 最近GMが輸入関税のお陰で材料が高騰し、工場の閉鎖を発表しましたが、これを逆手にとってトランプ氏は、国内保護で自動車関税を25%にすると脅しをかけてきています。 アメリカの車が特に日本で売れないのは、日本向けの車を作っていないからで、日本メーカーでもアメリカ向けの自動車を国内に売ると全く売れません。 逆にドイツ車は高価にも関わらずドンドン売れています。 この辺を何処まで分かっているのか心配です。

ほとんど報道されませんが、G20ではいわゆる仮想通貨とか暗号に関しても議論されたようですが、中身が良く分かりません。 いずれにしても米中対立で、他のテーマはそれどころでは無かったのかも知れません。

降って湧いたゴーン騒動。 桝添元都知事なんか細かいもので、億円単位の巨大な公私混同があったようです。 有価証券報告書不記載は、見方によっては単なる形式犯で、逮捕するほどの事案でもないということですが、海外在住のため身柄拘束しないと取り調べが出来ないと言うジレンマがあると思います。

ケリー取締役と同時に身柄拘束と言うのは、映画のシーンを見るようです。 嫌がるケリー取締役を民間機で成田に、ゴーン会長はプライベートジェットで羽田に、ほぼ同時刻に到着させ、ゴーン会長の身柄拘束が確実になった時点で、高速道路上のケリー取締役をAPに停めて、そこで待っていた検察に身柄拘束。 一つでも予定がずれるとうまく行かなかった綱渡りで、他にも想定外を考えて人員を配置していたものと思いますが、検察の面子のかかった逮捕劇でした。

このニュースを聞いて最初に思ったのは、「ブルータスお前もか」と言う文句でしたが、勿論このブルータスは西川社長のことで、腹心の部下だったようですが、こんなクーデター説がまかり通るようになってしまいました。

表面に出ているような事象ばかりではなくて、恐らく1年ぐらい前からいろいろな動期があったのだと思います。 その中で一番面白いのは、2名の社外取締役が居ますが、一人は女性のレーサー、もう一人が経産省のナンバー2だった人で、今年の6月の株主総会で承認されています。 会社によるとは思いますが、年明けぐらいから、方向性が決まって、政府とも相談して、春には内定していたはずで、これにはゴーン会長の承認がないと実現できないはずです。

フランスと日本のバランスを取ることに気を遣っていたゴーン氏が配慮したことは間違いないでしょう。 しかしこの時には、この仕掛けは既にスタートしてたと思われます。 今後どのように決着していくのか分かりませんが、だれがこのシナリオを書いたのか、興味のあるところです。 こう言う仕掛けをしても、読み通りに事態が動いていくことはあり得ないので、何処までが想定範囲内なのか、面白いところです。

検察は情報を小出しにしながら、様子を見ていると思いますが、今後は再逮捕を経て特別背任が立件できるかが焦点になってくるでしょう。 その間にフランスからの日本の検察制度に対する批判が高まってくると思います。

最近の自動車はエレクトロニクス化が激しく、しかしその割には表示パネルのカスタマイズが容易でないと感じていました。 カーナビなどの設定画面からは、多少の設定は出来ますが、もう少し他の部分となるとほとんど出来ませんでした。

最近の自動車にはOBDⅡと言うコネクタが付いていて、これで自動車の状態のモニタリングと機能設定が出来ます。 最近では強制的に付けないといけないそうです。 従来はイーサネットとの変換器を付けて、いろんなモジュールを別々に入手して、時にはコンパイリングもやって、総額で5万円ぐらいかかって大変なものでしたが、つい最近から、スマホ(iPhoneが良い、Androidは制約がある)でBluetoothを介して1万円ぐらいで設定できるようになりました。

最近は自動車は車輪付きのスマホと言われるようになりましたが、少しはスマホに近づいたような気がします。 しかし、このツールはメーカーが用意したものでは無いので、その動作は少し不安定なところもあり、現に自車でやってみましたが、意図しない設定になってしまって、戻らない事もありました。

今月の読み物は、「日銀日記――五年間のデフレとの闘い」 単行本 2018/10/27

岩田 規久男 (著) Kindle版 ¥2,322 ¥3,800

異次元の金融緩和の渦中に居た人の初の著書なので、すぐに買って読みました。 日記と言っても毎日書かれたわけでは無いようで、タイミングに合わせてその時点での状況をまとめると言うスタイルだったのでしょう。 その日記を元に編集したのか本書。

朝は公用車が迎えに来て、そのまま副総裁に入って、昼食は社員食堂か出前で食べて、夕方に帰ると言う、ガンが手見れば当たり前の生活が大半だったのでしょう。 サスガに著名な経済学者が訪問してきて、会食することもあったようです。

国会での答弁の場面など、随所に臨場感が溢れますが、傍で思っているような劇的な場面は少なくて、淡々と業務をこなしていると感じです。 就任当時の緩和の時の状況は良く分かるのですが、マイナス金利を決めた時の状況は知りたいと思ったのですが、この辺はぼかされている。 現在進行形の政策なので、コメントはしにくいと思いますが、もう少し知りたいと思いました。 本人は「賛成した」とアッサリ書いています。

2%未達で辞任と言ったことに対しては、いろいろ批判されているのか、弁明が目立ちます。 辞任はともかく、あれだけ言い切ったのだから、何らかのけじめは必要だと感じました。

【内容紹介】

日本経済をここまでダメにしたのは誰か? デフレから脱却し、経済成長を達成するべく、日銀副総裁を務めた経済学者による5年間の記録。歴史的転換点に立ち会え。

内容(「BOOK」データベースより)

消費税増税、経済音痴の政治家、誤解だらけのマスコミ…リフレの敵とはなんだったのか?元日銀副総裁が語る本音。実録!日本経済の転換点。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

岩田/規久男

1942年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院単位取得満期退学。学習院大学経済学部教授などを経て、2013年4月から五年間、日銀副総裁を務める。学習院大学名誉教授。専門は、金融論・都市経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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