今月のひとこと 2018年11月号

2018年11月2日

最近は急に寒くなってきて、今朝はとうとう10℃を切りました。 15℃を切ると入れている温室の暖房は元より、自室の暖房も必要になってきましたが、灯油が高いです。 以前に一度リッターで100円にもなったことがありましたが、今回は底まで行きませんでしたが、90円台後半は間違いありません。

とうとう貿易戦争の実害が出てきたのか株価の急落です。 しかし、その後は少し持ち直して、リーマンショックの時のようにはならないようです。 尤も、リーマンショックの時も上下を繰り返しているうちにストーンとさがったので、今回も要注意です。 いずれにしてもアメリカの中間選挙待ちでしょう。

マイク・ペンス米副大統領が10月4日、ワシントンの保守系シンクタンク、ハドソン研究所で「トランプ政権の対中政策」と題して行った40分の演説が中国を驚愕させていルとのこと。 いままでトランプ氏の影に隠れて余りぱっとしなかった副大統領ですが、保守共和党の面目躍如と言ったところでしょうか。 、米ソ冷戦の始まりを告げたウィンストン・チャーチル英首相の「鉄のカーテン」演説に匹敵するとも言われています。

トランプ政権の初期の頃に日米経済対話と称して麻生さんのカウンターパートとして大統領に指名されましたが案の定、麻生さんとは馬が合わずに、また経済は良く分かっていないので、これは立ち消えになってしまいました。

トランプ政権はトランプ氏のメチャクチャな政策と、共和党の正統保守のこの様な政策が混在しているので、非常に分かりにくいですが、このペンス演説には、皆同意ではないでしょうか。 以前の民主党の対中国政策があまりにも無策だったので、特にそれが目立ちます。 トランプ氏のメチャクチャな政策の間に、この様なまともな政策が時々出てくるので、トランプ政権の評価は、そこそこになっているのだと思います。

最近、衝動買いしたネットカメラの話題です。 3500円の値が付いていたので、思わずかってしまいましたが、これが結構な出来でした。 首振りはもちろん赤外照明もついています。 LAN接続でスマホで画像が見れるのは、それなりとして、ビックリしたのは、外に持ち出してモバイル環境でも見れたこと。 最初は間違って操作したのですが、見れることにビックリ。 LANとLAN外がシームレスでした。

以前からビデオレコーダー(ディーガ)ではありましたが、この様な安いカメラで実現しているのには驚いたのと、セキュリティの問題があるのではと言う疑問です。

LAN接続されたカメラの映像を参照するには、従来の方法では、WAN接続されたルーターにポートマッピングをセットして、外部からのアクセスはポート番号に変換して参照すると言うものでした。 これに加え、サイトをアクセスするための固定IPアドレスもしくはダイナミックDNS(DDNS)の設定が必要でした。 今回のカメラは、このどちらも不要というか、おそらく自営のサーバーで処理しているのだと思います。 しかしこちらのサイト情報が勝手に持ち出されて管理されているわけですから、中国企業と言う事も加味して、少し気持ちが悪いです。

ディーガでもこのカメラでも最初にLAN環境で、ペアリングをしないといけなくて、しかもディーガの場合は、ペアリングの有効期限も設定されていました。 しかし、本格的なハッキングを一般家庭のネットワークに行うのか、と言う議論もありますが、興味本位や偶然でハッキングに成功するかも知れないので、この辺の仕組みは知りたいところですが、現在の所公表された資料は無いようです。 少なくとも外部から見えるという事はハッキングできると言う事です。

カメラに話を戻すと、さらなるメリットは、ftpが可能、メール通報も可能、SDメモリにも録画可能です。 また録画タイミングを決める動体検知もレベルは3レベルしかないですが、非常に感度は良いです。 録画も静止画とビデオが可能です。 ビデオは15秒間で1メガ程度と少ないです。 サウンドも同時に録音されます。

反面デメリットは無線LANも付いているのですが、安定して動かない。 まだ最終チェックはしていませんが、どうもうまく繋がらないです。 首振りはほぼ全周が可能ですが、動作が少し遅いし、標的を指示するGUIもお粗末で使いにくい。

PCでも使えますが、これは従来型のポートアクセスになります。 表示はFlash形式なので、一般的ではないです。 スマホでは汎用の参照アプリも使えないです。 いずれにしても3,500円は安い。 サスガに最近では4,000ー5,000円ぐらいの値段が付いているようですが、トータル的にはコスパは良いと思います。

今月の読み物は、「結局、勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済」 (講談社+α新書) 新書 2017/8/18 武者 陵司 (著) Kindle版 ¥756 新書 ¥907

1年前に書かれたのですが、1年を感じさせない内容です。 日経4万円は、お話としても、1年経って、この本のタイトル通りになって来ました。 斜め読み出来るほど読みやすいですが、所々にデータがあって、ここは良く見ないといけないです。

内容紹介

トランプ大統領の政策が後押しし、サイバー空間という名の「第7大陸」を支配して好調なアメリカ経済は、さらに隆盛する。また、優秀なインド人がアメリカで起業するように、新技術や新ビジネス・モデルも、結局、アメリカでしか生まれない。

一方、ボストン・コンサルティング・グループによると、米中の生産コストは1%以内に……「メイク・イン・アメリカ」政策で主要な製造工場を失う中国は最後の一撃を見舞われ、バブル崩壊の坂道を転げ落ちる!

2020年の世界経済が見える!!

内容(「BOOK」データベースより)

中国をいかに封じ込めるか―それはトランプ政権の最優先課題となっています。世界の技術、市場、資本のただ乗り「フリー・ライド」によって目を見張る成長を遂げた中国は、アメリカによってこのフリー・ライドを禁止され、成長が期待できなくなるでしょう。こうして、フリー・ライドを前提とした中国経済とそのビジネスモデルは一気に機能を停止し、経済成長が止まる「中進国の罠」に陥ることは確実です。現代版シルクロードである一帯一路構想、海のシルクロードである真珠の首飾り戦略、AIIB(アジアインフラ投資銀行)などは、歴史上の大言壮語として記録されることになるでしょう。こうした環境のもと、日本には、歴史的な追い風が吹いてきます。


今月のひとこと 2018年10月号

2018年10月3日

二連発の台風で散々でした。 更に今週は三連発になりそうな感じで、今年は台風の当たり年ですね。 特に21号は第二室戸以来の強さで、久々に怖いと思いました。 第二室戸は紀伊水道をまっすぐ上がってきて勢力は衰えずに、そのまま神戸に抜けました。 家はミシミシ、壁土はバラバラで外では2階の瓦がどんどん落ちてきて、1階の屋根が滅茶滅茶になってしまいました。

今回の台風はそこまで酷くは無かったのですが、瓦は少し落ちました。 樹木の被害が大きく、傾いた木が何本が出ました。 近くの名所の桜の古木も倒れてしまって、その付近だけは歯抜けになってしまいました。

25号は右側を通ったせいか、最接近でも風はほとんどなかったです。 むしろ通り過ぎてからの風が強かったです。 台風の速度が50kmにあがると、30mの風と言うのは分速ですから、時速になおすと108km/時となり、単純な計算をすると、これが左側だと258km/時(72m)、右側だと58km/時(16m)とエラく差が出るようです。

台風と同時に株価も来ました。 トランプの貿易戦争もあるのに、何で上がるのか分からない内にドンドン上がって、24000円の壁を越えてしまいました。 株高の原因として、新興国から引き上げた資産の振り向け先になった、円安になっている、日本株が割安と言うような解説がありますが、みんな後解説になってますね。

カナダとのNAFTA交渉で分かったように、古色蒼然とした自動車の数量規制が導入されようとしています。 いつか来た道で、ここは、今や政権のバックボーンになっている経産省の役人の人に頑張ってもらいたいと思います。 マスコミではいろいろケチを付けますが、日本の交渉力はそれなりにしぶといと思います。 TPPはもの凄く頑張ったと思いますが、頑張れば出来るはずで、直球勝負と言うよりは変化球勝負が得意なようですから、アメリカの直球に日本の変化球を期待しています。

江戸幕府も後の明治政府からボロクソに言われて、それが定着している用ですが、幕末の林大学の日米交渉も、時間を引き延ばしながら、日本の意思不統一にも関わらず、時には鋭く反論し結果を出したと思います。 関税自主権の無い不平等条約は納得できませんが、条文でほとんどの関税は20%になっており、実質的にはあまり不平等では無かったようです。 当時からしたたかに交渉していたことが良く分かります。 隣の中国のアヘン戦争を横目で見ながら、今と同じですね。 現代の林大学、交渉官頑張れ。

今週からはまたもやノーベル賞週間になってしまいした。 今週はみなガンの免疫療法について詳しくなりそうです。 そもそも免疫と言うのはもの凄く強力で、免疫不全になると死亡に至る場合が多いです。 これがどうしてガンに効かないのか、私もずっと疑問でした。 ネットを検索すると、免疫療法の広告が山と出来てきます。 これらは皆本物では無くて、免疫細胞を体から採りだして培養して戻すと言うのが一般的ですが、これでガンは治りません。 しかし末期ガンでワラをもすがるような人に対して、保険外なので法外な治療費を請求するほとんど詐欺的な病院が多々あると言うより、全部そうだと思います。 今後は、このノーベル賞受賞にかこつけた免疫療法詐欺が横行しないように祈るのみです。

免疫が身近で分かりやすいので、この様なイカサマが蔓延るのでしょうが、こんな風潮の中で阪大は細々と免疫療法を追求してきたと思います。 しかし今回の件で京大にノーベル賞をさらわれてしまい、本家本元は残念な気持ちでいると思います。 しかし考えてみると、オプシーボで認知度が上がった免疫療法が、これで第4のガン治療法として確定したように思います。

オプシーボは投与した患者の20ー30%にしか効果はないそうで、これも遺伝子検査が確立したら的確に投与できるようになると思います。 薬価もベラボーに高いようですが、これは最初の適用が皮膚ガンだったので、これの適用患者数が500人だったためだそうです。 しかし考えてみると500人にしか適用できない薬をいくら薬価が高いと言っても、良く開発する気になったものだと思います。 開発元の小野薬品も最初は断って、アメリカのベンチャーが手を出そうとすると、一転引き受けたそうです。

そう言う意味では非常にラッキーな一件だと思います。 いくら熱心に開発を持ちかけたのかは分かりませんが、オプシーボが無ければノーベル賞は無かったのではないでしょうか。 最近のノーベル賞は、何かのビジネス的な成功、もしくは具体的な応用が無ければ評価しないような気がします。 評価能力が衰えているのか、一般の納得性が無ければダメなのか。 分野は異なりますが、理論物理の分野では、何の役に立つのか? と言うのでも受賞しています。 以前の益川小林理論もその通りで、これだけでは何の役にも立ちません。 カミオカンデのニュートリノも同様です。

自然科学についていつも思うのは、これらは発明では無くて、発見だろう、自然の法則の中から何かを見つけ出すだけでは無いのか? 単なる偶然とは言わないが、見つかるかどうかは、かなり当たり外れがあるのではないかと思います。

自然科学の分野からは単なる応用科学に過ぎないと言われている数学は、確かに発見はあるのでしょうが、その土台は人間が作り出したもので、宇宙の自然定数、例えば電子の荷電量が少しでも違ったら、人間は勿論生物全般、宇宙全体も無くなるのか変化するのか、いずれにしても大きな変動に見舞われますが、数学はそうなったとしても、もし人間が生き延びれていれば、その変化しないことが分かるでしょう。

これの延長線上にコンピュータソフトウエアがあります。 ハードウエアは自然科学で、江崎さんなどがこれに絡むノーベル賞受賞者ですが、この上で動作するソフトウエアは全くの数学であるためか、この分野にはノーベル賞は来ません。 いま流行のAIやブロックチェーンなどは、その影響が世界に与えるインパクトで言うと完全にノーベル賞級だと思うのですが、この分野をもっと評価すべきと思います。

今月の読み物は 「東芝の悲劇」(幻冬舎) 大鹿靖明著 ¥749税込 電子書籍

東芝と言うのは東京の会社なので、若い頃は余りよく知りませんでした。 12ビットのマイコンを作ったり、すこし変わった会社と言うイメージがありました。 実家で買った東芝のビデオレコーダーはずっと使えないままでした。 その後、ディスクレコーダーを入手しましたが、これが機能の塊で、不具合も多くて、しかし熱心なファンも居るとのことで、妙に納得したことがあります。

その後、我が家のTVを東芝にしましたが、仕様が簡単になったためか、非常に使いやすいものでした。 リモコンのボタンも地デジBSそれぞれに付いていて、ボタンの少ないのがとっつきやすいと言う風潮に反して使いやすく、親近感がありました。

その東芝が、企業解体の様相を呈してきたので、少し内情を知りたいと思って読みました。 筆者の取材がすごいです。 ずっと追いかけている。 結論的には全ての問題の源流に西室さんが居るような感じがしました。 それにしてもアチコチの社長や会長を引き受けて、どんな人だろうと言う興味もありました。

【内容紹介】

粉飾決算、原子力事業の失敗、遂には看板の半導体事業も放出――超名門企業・東芝はなぜ崩壊したのか?20年に及ぶ取材から浮彫りになったのは、権力に固執し責任をとらず決断もできない、歴代トップの無様な姿だ。東芝で起きたことは、今も日本の政・官、そしてあなたの会社でも起きている。全組織人必読、衝撃のヒューマンドキュメント。


今月のひとこと 2018年9月号

2018年9月2日

9月に入って台風の影響か、やっと少し涼しくなりましたが、これでも例年並みになって涼しいと感じるほどです。 野菜は高騰しましたが、電力不足は無かったようです。 何しろ暑いので、暑い方が農業には適していると、以前に誰かが言いましたが、品種の問題もあるのでしょうが生育は悪いです。 トマトなどは実が付かなくなり、変形したトマトでも直売所では売れて行くと言う状況です。 暑さに強いと言われているオクラですら、今年の収量はかなり少なかったようです。

電力はサスガに太陽光発電が功を奏しているようで、夏場の晴天が続くと、特に暑い日でエアコンが必須のタイミングでは、発電量が増えるので整合的なのだと思います。 しかし発電セルは高温には弱いので、高温になると発電効率が落ちるようですが、それでも発電量は増えているようです。 更にはエアコンの動作効率の向上も奏功していると思います。

株価はトルコのリラショックで急落しましたが、最近は少し持ち直したようです。 アメリカはトランプ減税が効いているのか、依然として絶好調で、これに大いに助けられていると思います。 長期間の金融緩和にも関わらず、日本は依然として物価は上がらず、潜在成長率も一向に伸びません。 このまま消費税をアップして、オリンピックが終われば、どうなるのか心配になってきます。 オリンピックまでには何とかなっているだろうと、みんな思っていたので、これが裏切られるとトンデモ無いことになりそうです。

こんな中で高校野球の決勝戦中継には思わず見入ってしまいました。 実際は作業をしながらTVの音声だけを聞いていたのですが、予想通り連投に次ぐ連投の投手が崩れてしまって、注目の金足農業が敗れてしまいました。 地元とは言え大阪桐蔭が買ったのはご同慶の至りですが、ある意味で勝って当たり前と言う事で、注目度は少し低かった、と言うより金足農業の注目度の方が高かったのでしょう。 有名になった反り返って歌う校歌ですが、何を歌っているのか、聞いていても良く分からなかったので、調べてみたら、これがスゴイ校歌だと言う事が分かりました。 1番だけで1分半もあり、2番以降の歌詞は不明でした。

<金足農業高校 校歌>

可美(うま)しき郷 我が金足

霜しろく 土こそ凍れ

見よ草の芽に 日のめぐみ

農はこれ たぐひなき愛

日輪の たぐひなき愛

おおげにや この愛

いざやいざ 共に承けて

やがて来む 文化の黎明

この道に われら拓かむ

われら われら われら拓かむ

良くある校歌とは全く違います。 作詞は国文学者・近藤忠義氏。 作詞当時は東京音楽学校(現・東京芸大)の講師でしたが、思想問題で解任。その後、法政大の教授を務めましたが、治安維持法で検挙され、敗戦の時を獄中でむかえました。 戦後まもなく日本共産党に入党。国文学界の重鎮として、戦前は日本文学研究に新しい学風を開き、戦後は日本文学協会の創設に参加するなど民主的で科学的な文学研究の確立に尽くしたと評されたそうです。 日体大の校歌も作詞したそうです。 旧制の中学・高校の校歌を多数作詞しています。 東北の学校が多いですが、関西で珍しいところでは、尼崎市歌も同氏の作詞になります。

作曲はもっとすごい。 「 故郷」「春が来た」「春の小川」「朧月夜」「紅葉(もみじ)」「日の丸の旗」などで知られる岡野貞一氏。もっとも岡野氏は校歌は沢山作曲していて、関西なら大阪府立北野高等学校校歌(作詞:土井晩翠)も同氏の作曲になるそうです。 ちなみに土井晩翠は「荒城の月」の作詞者としても知られています。

最近のITの話題ではIoT用の通信プランがやっと出てきました。 以前にどこだか忘れましたが、100円/月のものが出たようですが、詳細は不明です。 今回のものはIIJからのもので、月100MBの通信量で年2400円のIoT用個人向けプラン、8月30日より提供開始。 これとAmazonのAWSを組み合わせると、リーゾナブルなコストのシステムを構築出来ます。 ほかにも上り高速プランでは。月に3GBの通信容量で680円、6GBで1200円、12GBで2180円となって、格安SIMよりも一層安く利用できるようです。

今月の読み物「大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済」 講談社現代新書 2018/7/19 高槻 泰郎 著

Kindle版 ¥918 新書¥972

最初に買った時は、どうせあまり面白くないだろうと思っていましたが、読み始めると、これが面白い。 一気に読んでしまいました。 当時の大坂商人のバイタリティと発想の豊かさをひしひしと感じます。

新田開発などで米の生産性が上がり、江戸時代初期から米価は下がり続け、米本位制を採っていた徳川幕府の経済的なアキレス腱だったわけです。 この米価を維持しようと努力するのは、日銀の物価上昇政策とも類似し、白川元総裁が絶賛するのも無理はないかと思いました。

堂島の米相場の話は、少し知っているはずで、てっきり米価格をヘッジする商品先物だと思っていましたが、実際は米価指数先物取引で、最後まで現物とは関係ないのです。 米の取引は米切手と言う証券として取引していたのですが、この取引とも指数としてはリンクしていますが、単なる指数リンクで、実際の米価と大幅に乖離することもあったようです。

当然に幕府は、単なるマネーゲームだと理解して、押さえにかかりますが、米価をあげたい幕府の思惑と絡んでスタートしたのでしょう。 この辺は現在の日銀の物価政策と似たような点があると思います。

この100年近く後に始まったシカゴ穀物取引所の商品先物とは違って、今の言葉で言えば、本当の意味での先物取引、デリバティブ取引だったのです。 どう言う動機で、このような先物取引を始めたのかは良く分かりませんが、いずれにしても、現在でも通用する先物市場です。

もっと驚くのは、市場は今とほとんど変わらない前場と後場があって、更には夜間市場もあったようです。 この取引は、今ではコンピュータでやりますが、当時の一日の取引は数百と言われていますが、この処理をソロバンと筆書きでやってしまうのです。 詳細は長くなりますが、今で言うストップ高やストップ安に相当するルールもあって、何の手本となるシステムも無い時代に、独自でシステムを作り上げ、それを破綻無く運用していたとは、驚愕のひとことです。

内容紹介

海外の研究者が「世界初の先物取引市場」と評価する江戸時代、大坂堂島の米市場。米を証券化した「米切手」が、現在の証券市場と同じように、「米切手」の先物取引という、まったくヴァーチャルな売り買いとして、まさに生き馬の目を抜くかのごとき大坂商人たちの手で行われていた。このしばしば暴走を繰り返すマーケットに江戸幕府はいかに対処したのか? 大坂堂島を舞台にした江戸時代の「資本主義」の実体を始めて本格的に活写。


今月のひとこと 2018年8月

2018年8月1日

それにしても暑い。 サスガに早朝の5時頃は少しマシになったが、先週までは早朝でもムッとしていました。 温暖化もさることなら、それ以前に気候変動が大きくなって北感じがあります。 大雨による土砂災害も以前にもあったので、最近急に増えたというわけでもないのでしょうが、立て続けにいろんな自然災害が起きているような気がします。

特に都市部の温度上昇は大きく、子供の頃は池の水がしょっちゅう凍って居た記憶がありますが、最近では凍ることも珍しくなりました。 これだけ人口が密集して、さらにエネルギー消費が大きければ、炭酸ガスに寄らずとも、その地域の温度も上昇するでしょう。

わずか150年ぐらい前の幕末でも、京都油小路の伊東甲子太郎暗殺では、遺骸は凍っていたと言う記録があって、当時の京都は結構寒かったと言う事です。 逆に夏の京都は暑くて、これにフェーン現象とか言うのが加わると、40℃を平気で超えることになりそうで、想像するだけで汗が出てきます。

温度計の温度つまり乾球温度もさることながら、水を含んだガーゼで包まれた湿球の温度の方が問題であると、最近の新聞で見て、最近は老眼なので、湿球の湿が読めなくて、何を書いているのか? とさらに眺めました。

乾球の温度と湿球の温度差で相対湿度を計算することが出来ます。 湿球温度が下がれば下がるほど相対湿度は低いことになり、同じ気温でも汗が蒸発しやすくなり、体感温度は下がります。

湿球温度が体温を超えるかどうかと言う点が一番重要で、湿球温度が36℃を超えると、いくら汗をかいても蒸発せず、体温を下げる方法が無いと言う事になり、エアコンを使うしか生き延びる事は出来ないと言う事になります。 気温が40℃でも50℃でも湿球温度が36℃を超えない限り、暑いですが、体温は維持できます。

このまま温度上昇が続くと湿気の多い東南アジア、特に日本では湿球温度が36℃を超える日は間近に迫っています。 もし超えたら、熱中症の死者数は跳ね上がり、土砂災害などの自然災害の死者数を大幅に超えることになりそうで、最近言われているように、高気温も自然災害とみるべきと言うことでしょう。

インフレ率がなかなか上昇しない中で日銀もやっと長期金利を上げる方向に向かいました。 このままオリンピックを迎えると、オリンピック終了後はさらにインフレ率が下がり、またもやデフレに突入することにもなりかねません。 要するに賃金が上がらないのが原因ですが、1990年代の初頭にアメリカに居た時も、非常に好調な企業が突然レイオフをしたり、賃金がなかなか上がらないことがあり、疑問に思っていました。 この傾向がずっと続いているのだと感じます。

当時の印象ではアメリカはベンチャーが多いので、スタートアップの会社の賃金は当然に低く、さらに安い中国製品が流れ込んでいたので、それらが影響しているのはないかと思ったものでした。 日本のバブル崩壊後は、好調なアメリカと言えども、この様な傾向は内在していたし、現在も内在しているのではないかと思います。 日本はそれが顕在化してしまっているだけだと思います。 かと言って、これと言う解決策は無いのですが。

今月の読み物は、「日本核武装(上下)」 幻冬舎文庫 高嶋 哲夫 著

上下とも Kindle版 ¥600 文庫版 ¥648

小説なので、どこまで現実感がでるのかと、斜に構えて読み始めました。 解説で小川さんが書いているように、現実問題としては核武装は出来ないのですが、実際はどうかと言うシミュレーションになっていると思います。

核弾頭一つがあっても核保有国とは言えないと思いますが、それ以外はよく考えられたストーリーで、映画化を想定したような、シナリオみたいな情景描写になっていますので、非常に読みやすい。

また、核爆弾の開発計画書の存在がキーになっていますが、誰かが書いて、全くの独創で一人では出来ないし、そんな計画書一つが問題になることは無いと思います。 単なる話の作り方の問題でしょう。

日本の中小零細企業の技術が、核爆弾の製造の基礎になっていると言うストーリーも、おそらく取材した結果だと思いますが、確かに1つや2つの爆弾を作るのなら、こう言う中小零細企業も役に立つと思います。 現実にジェット機の部品も作っています。

核武装とは直接関係ないですが、尖閣諸島を巡る中国軍とのやりとりは、こう言う状況もあるかも知れないと思わせるものでした。

最近とみに保有するプルトニュウムを削減しろと言う要求が特にアメリカから来ていて、ひょっとすると核を手放さない北朝鮮や、ヘタすると核武装した朝鮮半島統一国家が出来上がると、日本も何をしだすか分からないと言う心配があるのでしょう。

核技術を保有して置くと言う下心があったと思いますが、非核保有国の中で日本だけが原発の核燃料の再処理が出来、その結果プルトニュウムを抽出して保有できる。 これの使い道が高速増殖炉のもんじゅだったのですが、ナトリウム漏れ事故が原因で廃炉になってしまいました。 その後はフランスと共同開発をすることになりましたが、これもフランスがやる気が無くて頓挫しそうで、プルトニュウムの行き場が無くなっています。 この原発由来のプルトニュウムでまともな核爆弾が出来るわけでも無く、北朝鮮ならともかく日本が出来損ないの核爆弾を作っても政治な意味はないでしょう。

いずれにしても、アメリカに届くICBMは技術的な問題もあり、これは諦めるか、中断するとは思いますが、北朝鮮は世界が認めるかどうかは別にして、少なくとも潜在的な核保有国として存在し続けるでしょう。

完全な防衛装備であるイージスアショアですら、地元の反対、予算の問題、ロシアのクレームなどで波紋を広げている状況で、核武装なんかは夢のまた夢に終わりそうです。 現実に保有するのでは無くても、いつでも保有できると言う状況は作っておかないといけないと思います。

【内容紹介】

国内で日本の核武装に向けた計画書が見つかった。官邸から秘密裏に全容解明するよう指示を受けた防衛省の真名瀬は、まさかの事実を?む。核爆弾製造に元自衛隊幹部や大手企業が関わり、完成が近いのだ。そんな中、日本上空を北朝鮮の弾道ミサイルが通過、尖閣では海上自衛隊と中国軍の小競り合いが起き、日本の自衛官一人が亡くなってしまう。


今月のひとこと2018年7月号

2018年7月2日
とうとう暑い夏がやってきました。 今年は空梅雨と思っていたら、早いところでは6月中にも梅雨明けでした。 先日の大阪北部地震は、思ったより大騒ぎになってしまいました。 当日のその時間は、軽四で走っていて、地震警報が出たので、少しゆっくりと、揺れが来るのかと構えていましたが、何も無く、そのまま町の中に入ると、みんなが外に出ていて、通学中の生徒も固まって集まっていました。 結構揺れたようですが、車で走っていると分からなかったです。 阪神大震災の時も、この家の石灯籠などは全く倒れていなかったので、揺れはそんなにきつくなかったのかと思います。

どうも淀川を挟んで北と南では岩盤が違うようで、揺れは伝わらないようです。 後は上町台地の断層と、生駒山系の断層があるのですが、近い生駒の方は発生頻度から言うと問題無さそうです。 そもそも、奈良の方からだらだらと高くなってきて、大阪側で急に斜度が大きいのは、これが断層であって、ここから地震が発生すると、山際(この辺りではヤマネキと言う)の建物はひとたまりも無いでしょう。

伏見城が倒壊した慶長伏見地震は、今回の地震と似たような所ですが、こちらの大阪南部の被害はそれほど大きくは無かったようです。 少なくともその時は存在した秀吉の大阪城はたいした被害は無かったようです。 ちなみに、この地震を契機に年号が文禄から慶長に改元されたそうです。

地震による改元で思い出すのは、安政南海地震です。 こちらでもお寺が全壊したとかの話はありますが、若江の付近を中心に半径約4kmで家屋倒壊があったとのことで、この辺りは旧河内湖のあとで、地盤が緩いせいか地震が強く伝わったようです。 実際の地震は嘉永年間に起きたのですが、この地震や黒船来航、内裏炎上などがあり、安政と改元され、年号上は安政年間であるので、この名前が付いたとのことです。 しかし改元にも関わらず、その後も大きな余震が続いたとのこと。

ITの話題は量子コンピュータです。 方式はだいたい2つに分かれていて、汎用のものと、特定の計算だけ出来るものの2つで、新聞記事などですぐにも実用化できるような紹介もあり、ベンチャーが作ったモノモノしい、映画に出てくるようなコンピュータも紹介されていますが、これは後者の特定のアプリを処理できるもの。 そもそもコンピュータの物々しいのは冷却装置であって、コンピュータそのものでは無いのです。

コンピュータとしては当然に汎用的で無いと意味がないのですが、その実現が行き詰まっています。 何しろ捕まえ所が無く、確率で動くような量子を相手にしているので、揺らぎによるエラーが頻発します。 この2つが別々に報道されるので、どうなっているの? と疑問になります。

本命の汎用量子コンピュータで、エラーを抑えようと、謝り訂正符号を入れると、こんどは計算するビット長が長くなりすぎて、いまでもたいした数のビットは作れないのに、これ以上は無理となっています。 そこで、光を用いた誤りに強い方式が提案されました。 これが成功するのかどうかは分かりませんが、いずれは解決されて、量子コンピュータが完成するでしょう。 その暁には、暗号を解くのが非常に得意な量子コンピュータによって、現在の暗号方式は無効になってしまうので、また新たな方式に変更しないといけなくなります。 また役所に行ってマイナンバーをカードを作り替えないといけなくなります。

今月の読み物は、大阪北部地震にちなんで、「天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災」 (中公新書) 磯田道史 著

紙の本の価格: ¥ 821
Kindle 価格: ¥ 760

豊臣政権を揺るがした二度の大地震、一七〇七年の宝永地震が招いた富士山噴火、佐賀藩を「軍事大国」に変えた台風、森繁久彌が遭遇した大津波―。史料に残された「災い」の記録をひもとくと、「もう一つの日本史」が見えてくる。富士山の火山灰はどれほど降るのか、土砂崩れを知らせる「臭い」、そして津波から助かるための鉄則とは。東日本大震災後に津波常襲地に移住した著者が伝える、災害から命を守る先人の知恵。


今月のひとこと2018年6月号

2018年6月4日

この春は、いろんな事が重なって、ずっと忙しかったですね。 現役の頃は意地でも忙しいと言う言葉は禁句にして、挨拶代わりにお忙しいでしょうね? と言われると、「イヤ、ヒマです。」と答えることにしていましたが、最近は自分で忙しいですと言うようになりました。 恐らく体の反応力が落ちているので、何をするにも時間がかかり、おまけにどんな些細なことも自分で動かないと前に進まないので、どうしても時間がかかるのでは無いかと思っています。 ずっと前に、子供は2倍の時間を過ごしていると言う話を聞いたことがありますが、夏休みはイヤになるほど短かったですね。 年寄りは半分の時間しか過ごしていないので、もっと長く感じても良いのではないかと思っています。

北朝鮮にからむドタバタ劇が少し収束しつつあります。 中間選挙があるアメリカ大統領には会談中止の選択はなかったはずで、経済制裁が効いている北朝鮮にも、中止の選択は無く、大統領の手紙に翻弄されただけではないでしょうか。

やっと最近トランプも認めてきましたが、会談をしても顔合わせだけで、これで制裁が少しでも緩んだら北朝鮮の思うつぼです。 ディール好きの大統領のお手並み拝見と言うところですが、北朝鮮もディールが上手で、シンガポール会談がどう言う結果になるのかミモノです。 どちらも成果があったと言う事をアピールするのでしょうが、その出汁に日本が使われたら、たまったものではありません。

アメリカはお金が無いから支援する気が無い、韓国や日本が支援するだろうと、言う発言もあり、戦時賠償は行わないといけないのですが、人の懐を他人に言われたくないと思います。 我が首相にも、この辺をバチッと釘を刺してほしいものです。

最悪シナリオは、アメリカに届くICBMの開発は中止、日本に届くミサイルと核は保有する、日本は経済支援を行うと言うもの。 拉致被害者問題は、2の次にされてしまう可能性は高いです。 トランプから、余り固いことを言うな、と言われて、バチッとNOと言えるかが安倍政権の命運を握っています。 国内問題ではガタガタですが、得意の外交でもほころびが目立って、ウリにしていたトランプ関係でもスッキリしていないです。 トランプとの会談で、どこまで強く言っているのか、だんだん怪しくなってきました。

何とか安価に監視カメラを使えないかと、いろいろ知恵を絞ったところ、LTEを使ったルーターがあり、これと格安SIMの組み合わせて、月額1,000円程度で遠隔監視が出来ることが分かりました。 格安SIMは月当たりの通信容量の上限があるのですが、常に見ているわけでも無く、間欠的な使用なので、そんなに通信料は無いし、もし上限に達しても200kbpsに制限されるSIMなので問題ないかと思っています。

同じ無線でもWimaxなどは、月額で3,000円以上になります。 もっともLTEでも通信量が多くなると、3,000円近くになってしまいます。 あくまで一時使用だと思います。

ルーターはPocket WiFi LTE GL04Pをヤフオクで、これも格安で入手しまし、いろいろテスト。 分かったことは、通常のルーター機能は全てあって、問題のポート変換も問題なしで、WAN側からのアクセスはOKでした。 ここでハタと思い出して、ダイナミックDNSが使えないことが分かりました。 最初はIPアドレスを変更の度に直に入れることを想定していましたが、IPアドレスが意外にしょっちゅう変化することが分かり、固定IPもSIMでは選択できますが、これにまた月額1,000円程度かかってしまうので、当初の目的の格安と言うのに反してしまいます。

ルーターにはダイナミックDNSのサポート機能はなかったのですが、サスガにカメラの方に付いていて、しかしカメラはIPアドレスの変更は認識できませんので、15分単位の更新とし、何とか対応できることになりました。

ダイナミックDNSのは、動的にIPアドレスとWebアドレスをDNSに設定してくれる機能で、サスガにドメイン名はいくつかの中からの選択になりますが、それ以降の名称は勝手に決めることが出来ます。 以前はこのDDNSは無料が多かったのですが、サスガに維持するのも大変みたいで、最近はほとんど有料になりました。 私が使っているのは、元々無料でしたが、有料化で2年、99ドル。 それなりの金額になりますが、毎月500円程度なので、許容できる範囲では無いかと思います。 これでドメインは30個まで管理できます。

問題の通信容量ですが、まだ時間が経っていないので、良く分かりませんが、思ったよりは少ないみたいです。 使用しているカメラは、今や名機となったコレガのCG-WLNCPTGLです。 一時は、ヤフオクの値段も下がってもう寿命かと思われましたが、最近はまた値段が上がって1万円もする場合があります。 いずれにしても良く出来ていて必要な機能は全てあるし、首振りも出来るし、故障もほとんど無い名機です。

今月の読み物は、「考証 福島原子力事故 炉心溶融・水素爆発はどう起こったか」 単行本 2014/3/28 石川迪夫 (著)

あれだけの大事件で、マスコミも大騒ぎしたのに、その後のフォローがほとんど無いので、本書は待ちわびていました。 しかし良く見ると4年前には初版が出されており、その時に読めば良かったと後悔しています。

本書は、難解と言う評判で、覚悟して読み始めましたが、最初の部分のスリーマイル島事故の部分では、特に繰り返しが多くて、分かりやすくしようと言う意図は分かりますが、煩雑に感じました。 いずれにしても、反復が多いので、分かりやすいです。 いろいろ批判はあるようですが、これで福島第一原発の事故の全容がほぼ解明されたのだと感じました。 当時テレビニュースで見ていた事柄との整合性もそれなりにあり、説得性があると思います。

特に水素爆発に至る水素の発生原因と水素の漏洩経路に関しては、刮目すべき解釈がありました。 それまで疑問に思っていたことが、矛盾無く説明されています。

私自身は元々原発は批判的に見ていましたが、この事故以来は原発推進派になりました。 さらに沸騰水型炉は原潜の原子炉の転用で、欠陥炉だと思っていましたが、本書を読むと、それなりの設計がなされており、安全性が確保されている炉だと認識しました。

反戦派もしくは一部の戦前派が言うような戦争前の戦争を計画した人々は完全なバカだと言う太平洋戦争と同じで、原発も当時としては最高の頭脳と最大の努力で作られたと思います。 今の基準で批判するのは、後出しじゃんけんも良いところで、この辺は冷静に見ないといけないと思います。

明治維新、太平洋戦争などの大きな変革時期には、その前の権威である江戸幕府や日本帝国政府などは必要以上に過小評価される傾向にあります。 同じ事が原発事故の前後でも起きていることに気が付いて愕然としました。

そんなに昔でも無い時期の事柄もこの様な評価になることを、本書を読んで理解できたことは大きいと思います。 目をしっかりと開いて、事件後バイアスに惑わされずに、本当の姿を理解することが、現在の世の中を正しい方向に進める原動力になると信じています。