今月のひとこと2017年9月号

2017年9月3日
暑い夏も終わりに近づいて、やっと少し涼しくなってきました。 加計問題にかまけている間に、東アジア情勢は風雲急を告げて、とうとうミサイルが日本を超えました。 いろいろな情報をまとめると、どうも今回の発射は、最終段階で失敗したようです。 本来は距離的にグアムに届く所に発射したようですが、少しショートして短くなったようです。 

 

しかし計画はそうであっても、発射の段階でアメリカの反応を考えて、少し短くしたと言う可能性も残っていると思います。 それにしても金正恩はしっかりしている。 オーラも出てきた。 北朝鮮はすぐに崩壊すると言った評論家は何処に行った? 金正恩を選んだ北朝鮮政府の上層部の選択眼はしっかりしていたと言うことです。

このミサイル発射状況下での経済七不思議の最大のモノは、日本が危機にあったにも関わらず円が上昇したと言う事です。 サスガに株式は下落しましたが、すぐに元に戻りました。 ミサイル発射と言うことで、これは円が下落すると思ったのですが、有事の円買いは当事国になってもその通りだったと言うことでしょうか。

いずれにしても円が常に高めに振れるのは、基本的には日本の経常収支が黒字だと言うことです。 政府債務が巨大だと言うことで円暴落を予想する人が居ますが、これは日本が経常収支黒字で、しかも世界最大の債権国だと言うことを忘れているのだと思います。 政府はなるほど財政赤字を抱えていますが、日本の国全体としては黒字国で、政府の財政赤字を日本国内で相殺しても、日本国としては黒字のままのピカピカの国のままです。

ちなみにアメリカは世界最大の債務国で、国としても借金まみれで、通常の国ならとっくにデフォルトを起こしていると思いますが、最強の基軸通貨であるドルの発行権を持っているために、それでも平気です。 もっとも政府の財政赤字は深刻で、アメリカの国債は上限が法律で定まっており、これを毎年法律を作って更新しているのですが、これが9月に再び上限に達します。 現時点ではマーケットは楽観的で、過去にも例があってギリギリのところで、法案が成立したのですが、今回のトランプ政権では民主党が反対を崩さず、民主党の一部の賛成が無いと成立しないようで、9月末が近づくと状況は混沌としてくるかも知れません。

通貨発行権を持つ国の赤字と言う点では、一ランク規模が小さくなりますが、日本の国としての赤字と政府の赤字も、アメリカの世界とアメリカの国との対比で似たようになります。 アメリカが世界に対して赤字でも平気なのは、日本政府が日本国に対して赤字が平気なのと似ています。 財務省は財政均衡主義なので、どうもこの日本政府と日本国の区別を意図的に曖昧にして居ると思いますし、特に家計との対比はまったくのミスリードになっていると思います。 先日の日経新聞の大機小機欄で、遅ればせながらの指摘がありました。

今月の読み物は、応仁の乱 – 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書) 呉座 勇一著

オススメ度 ★★★ 是非読むべし

京都で先の大戦と言うと応仁の乱。 太平洋戦争では焼けなかった京都も応仁の乱では丸焼けに。 特に上京は戦場になったので、ほとんど丸焼けになったようです。 何しろ登場人物が多いので、名前を覚えるだけで大変ですが、やっと読みました。 少し予備知識がないと、学校で教わっただけではなかなか読めないです。 私は録画したのを見ましたが、探すとYoutubeにありました。

 

まずこれで全体を掴んで読んだほうが理解が速いと思います。 文章そのものは非常に分かりやすくうまいですが、内容がややこしいので難解です。 

 

基本的に京都と河内が舞台なのですが、主役の一人の畑山政長の墓が大阪平野にあります。 以前に行ったことがあるので、写真を引っ張り出しましたが、当時はあまり応仁の乱に興味がなかったので失念していました。 墓と言っても、住宅地の真ん中にあって、非常に行きにくいし、草ぼうぼうだし、何の変哲も無い五輪塔だし、本当かな、と当時から思っていましたが、どうも本当らしいです。 墓地の一角にある『乃木将軍景仰碑』は3m以上はある大きな石碑で、何でも畠山政長の軍師であった佐々木源次左衛門清高の子孫が乃木希典であるらしい。 それにしても墓地はみすぼらしい。

【以下引用】
成功例の少ない「応仁の乱」で18万部。日本史研究に新たなスター誕生か。
日本史上の大トピックとされていながらも、全体像を捉え難い「応仁の乱」。そんな題材を、既成史観の図式に頼ることなく、絶妙なバランス感覚で丁寧に整理した新書がヒットしている。NHK大河ドラマの歴代最低視聴率記録を長年保持していた『花の乱』(1994年)を始め、「応仁の乱」を扱ったものに成功例は少ないので、異例の現象だ。
「『応仁の乱』をテーマに選んだのは著者ご本人です。地味かもしれませんが名前を知らない日本人はおらず、そういう意味では歩留まりがよい。大ヒットはしないまでも絶対に失敗はしないテーマという認識でした。中公新書は『歴史ものに強い』というアドバンテージもありますし後は“著者力”で突破だ、と」(担当編集者の並木光晴さん)
古くは網野善彦さん、近年では磯田道史さんなど、日本史研究者には、時に、学識の確かさと読み物としての面白さを両立させるスター学者が登場する。36歳とまだ若い本書の著者は、次代の有望株だ。
「扱う題材の全体像をはっきりと理解し、その上で、読者に伝える情報を取捨選択できる。30代半ばでのこの筆力には、とても驚かされました」(並木さん)
中公新書の主な読者層は50代以上。しかし本書の売れ行きの初速はネットなどと親和性がある30代・40代が支え、そこから高年齢層に支持が広がった。これは、新たなスター誕生の瞬間かもしれない。
評者:前田 久 (週刊文春 2017.3.2号掲載)

だらだらと続く大乱
小学校の教科書で紹介されていることもあってか、「応仁の乱」の知名度は高い。しかし、それがどのような戦乱だったのかと問われると、多くの日本人が口ごもる。室町後期に京都でおきた……戦国時代のきっかけとなった……諸大名入り乱れての……。
呉座勇一『応仁の乱』は、ほとんどの日本人が実態を知らないこの大乱を、最新の研究成果をふまえながら実証的に検証してみせる。さらには、同時代に生きた興福寺の2人の高僧(経覚と尋尊)が遺した日記を通じて、戦乱に巻きこまれた人々の生態を描いている。それらの合間に、気鋭の中世史学者ならではの自説も展開する。いたって学術的な内容なのだが、構成の巧さと呉座の筆力によって最後まで読ませる。
しかし、全体としては、やはりよくわからない。それは決して呉座の責任ではなく、この戦乱が結果的に大乱になってしまっただけで、発端の当事者(細川勝元と山名宗全)たちも、短期に決着するとふんでいたからだ。それがいつしか、両氏が多数の大名を引きこんだために、諸大名の目的が錯綜して、将軍も大将もコントロールできなくなっていき、京都だけでなく各地で戦闘がくり返され、だらだらと終結まで11年もかかってしまったのだ。しかも、戦後処理まで判然としないのだから、応仁の乱はよくわからない。
大義名分に乏しいだらだらと続いた応仁の乱は、第1次世界大戦に類似していると呉座は説く。結果的に諸国に新たなパワーバランスを生みだすことになる、地味な大乱。ひょっとしたら今、私たちもそんな混沌の時代を生きているのかもしれない。
評者:長薗安浩 (週刊朝日 掲載)

 

 

今月のひとこと2017年8月号

2017年8月2日
梅雨も明け蒸し暑い夏になって来ました。 加計問題はとうとう政権を揺るがすまでに、大きな政治問題に発展しました。 元々は国家戦略特区の意思決定過程の問題であったのに、防衛省の日報問題と同時進行で安倍政権の問題となり支持率が急落し危険水域まで悪化しました。

加計幸太朗氏が、いかにも悪そうなイメージの写真になっていて、どんどん想像による悪印象が強くなっているのも原因でしょう。 ちょっとマシな写真を掲載しておきました。 首相の「1月20日に知った」問題も加計氏の国会招致を避けようとしているような印象があり、それで無ければ過去の答弁を修正してまで、1月20日に拘るのかが意味不明です。 説明すればするほど、疑問点が出てくるのも良くないです。

藤堂高虎の今治。 市職員の官邸訪問も、官邸側に記録が無いと言うことになって、また疑問が深まります。 今朝の新聞では、この時には愛媛県職員も同席していたと言うことですが、これだけ多くの関係者が居るにも関わらず、官邸側の対応者が不明というのも解せないところです。 一説では、対応したのは安倍総理本人では無いか、と言う見方もあり、確かにこれなら隠したくなると言う気持ちは分かりますが、もしそうなら、いずれはバレるのではないかと思います。 その時の衝撃は北朝鮮のミサイルの比ではないでしょう。

報道しない自由と言うのがあるらしく、加計問題の国会中継で、加戸元知事や青山議員の質問が、全くなかったように報道しないマスコミもあったようで、たまたま国会中継をずっと見ていて非常に違和感がありました。 どうも従来型のマスコミは、トランプ大統領では無いですが、消極的なフェイクニュースだと言うことです。

結局頼りになるのは、玉石混淆のネットの複数の記事です。 ニコ動やYouTubeなどの映像はもっと役に立ちます。 いずれにしても、情報とくに新聞記事は当てにせず、自分で事実を確認しなければならない時代になったと言うことでしょう。 事実をありのままに伝えると言うマスコミの機能はほとんど無いと言っても良いと感じました。

いずれにしても、アメリカでは毎日史上最高値を更新しつつあるにもかかわらず、せっかく2万に到達した日経平均株価も、膠着状態となり、さらに問題が出てくれば、如何に日銀やGPIFが買い支えようと暴落の恐れは多分にあります。

最近のITの話題の一つはビットコインでしょう。 NHKの番組でも取り上げられ、億万長者に成れると言う感じです。 少し流行ってきたと思ったら、やはり問題はブロックチェーンのブロックの作り方にあります。 小人数で細々とやっている分には良いのでしょうが、これだけメジャーになってくると、ブロックを生成するマイナーの処理速度やブロックの大きさ、また各ノードで保持する全ブロックのサイズなど問題が顕在化しています。 今までの取引の全ブロックは1Tバイトに収まっているようですが、これからどんどん増えると思いますので、容量が2桁も多くなると、普通のPCと言うわけにも行かずに、だんだんとヘビーになってくるのでは無いでしょうか?

たしかに初期のインターネットを想起する状態です。 初期のインターネットもせいぜい9600Bpsの電話回線で結ばれていただけで、ネットの上でサウンドやましてや画像や動画がハンドリングできるとは、夢にも思わなかったです。 ビットコインの中核技術のブロックチェーンも似たような状況で、これからどんどん改良が加えられて行くのではないでしょうか。 今回のビットコインの分割も、基本はシステムの更新方法の異論にあるわけです。 いずれにしても、ブロックチェーンは、インターネットの上の更なる大発明ですので、ますますネットが重要になってくるのは間違いないところです。

今月の読み物は、「反資本主義の亡霊」(日経プレミアシリーズ) 新書 原田 泰 著
\880

オススメ度 ★★★ 是非読むべし

どっかの書評にもありましたが、もう資本主義はアカンとか経済はこれ以上向上しないととか、後ろ向きで自虐的な本がたくさん出ていて、私も何冊か読みましたが読後は何となく気分が落ち込みましたが、この本を読んで溜飲が下がる思いです。 ちょっと筆が走りすぎで、話の筋が少し飛ぶところはありますが、なかなか良いです。 *野さんなんかどっかに行ってと言う感じです。

特に大恐慌辺りからの歴史は再読する必要ありです。 こんな人が日銀の政策委員会に居るなんて、それだけでもビックリ。 本当はビックリする方がおかしいのですが。

内容紹介

資本主義が格差、貧困、戦争をもたらす!?
――なぜわが国では、資本主義は悪者扱いされるのか?

資本主義の生み出す豊かさこそが、格差を縮小し、環境を保全し、労働条件を高め、福祉や文化を発展させているのである――日本に根強く残る“反資本主義”の誤りを歴史的・思想的な観点から指摘、資本主義の再評価を試みる!
<本書の目次より>
・資本は格差の原因か
・アメリカの所得格差は労働所得の格差による
・江戸の人びとはトリクルダウンの天才だった
・金融危機の原因は経営者の報酬制度にもある
・アベノミクス格差論には根拠がない……

今月のひとこと2017年7月号

2017年7月1日
やっと梅雨に入ったようで雨模様になりました。 政権も長くなると緩みというか内部疲労を起こしているような気がします。 森友に始まって加計、豊田暴言、ついでに女性差別発言、極めつけは防衛大臣資質問題と加計ヤミ献金問題。 これに対抗できる交代可能な与党内外の勢力が見当たらないのが一番の問題でしょう。私の見るところ森友問題は財務省の引渡価格の決定過程を明確にすること。 要するに廃棄物が埋まっていることで、担当者が将来の訴訟などを嫌ったせいで必要以上に査定価格を下げたのが原因だと思うので、その辺を説明する事。

しかし森友関連の学校のデザインは素晴らしいですね。 どれ見てもスッキリ綺麗に出来ています。 お金もかかっているようには見えない。 あの2人のうちにこんなセンスがあったのか、と感心しています。 建物は残して保育園なり小学校は開設すべきですね。

加計問題は確かに加計ありきで話が進んだと思います。 やはり何かネタが無いと特区など出来ないわけで、もし特区をぶち上げて誰も応募が無ければ面子丸つぶれです。 しかし総理のお友達との関連が深いので、ここは念入りにその関係を否定する論理を作っておかないと行けなかったと思います。 要するに脇が甘かった。

豊田暴言は個人的な事なのでドウしようも無い。 これだけの経歴を持っている人がおかしいとは言えず、まあ田中真紀子も似たようなモノでしょう。

現防衛大臣発言は根が深いので深刻。 以前から資質に問題があると感じてましたので、地が出たと言う感じですが、こういう人をキチンと見抜けない総理大臣と言うのに信頼が無くなりました。 世論調査の結果でもこう言う傾向がありますが、この発言問題の後の世論調査がミモノだと思います。 形式上で無い本質的な任命責任が生じます。 せっかく70年かかった憲法改正もこれで風前の灯火になった感があります。

元文科大臣の加計ヤミ献金問題も、限りなく黒に近い。 加計の元秘書が11件(笑)のパーティ券購入をとりまとめたとのことですが、法律上のあっせんにはならないようで、逃げ切れると思っていると思いますが、実態はあっせんなので、いくら11に分けてもダメだと思います。 この調子で行くと、どんなにまとまったパーティ券でも20万に分ければOKと言うことになります。 まあ政治家が作った政治資金規正法なので・・・と言う論調もありますが、あまりにも有権者を馬鹿にした話だと思います。

株価も日銀の買い支えで高値維持ですが、方向性に欠けてぱっとせず、 アメリカの第2のサブプライムローンと言われている低所得者用のオートローンの問題と自動車そのものが変革期を迎えていることで需要が減っていること、これに絡んで安全機能が付いていない中古車の価格が下落するなど、一時は我が世の春だった自動車業界にも暗雲が垂れ込めています。

サスガに最近は政府の債務を家庭の借金に例える論調は無くなり、あの騒ぎはやはり財務省のヤラセだったと言うことが明確になりましたが、日銀が買うべき国債が市場から枯渇してきたり、ETFの購入を通じて、日本の株式会社のかなりの部分が日銀が最大株主になってきたりして、その副作用が顕在化してきています。

安倍政権が終わりオリンピックが終わった後が恐ろしい。 全てのツケが回ってくるようで、大激震のそれまでにいろんな事を整理して置いた方がよいかも知れません。

先月買ったビデオレコーダーの番組を離れたTVで見たかったので、試しにDNLA対応と書かれたTVスティックを買ってみました。 送料込みで\1,406なので、あまりきたいしていませんでしたが、やはりそれなりでした。 中国からの直送。

AnyCast M2 Plus Mini Wi-Fi ディスプレイドングル レシーバメディアTVスティック

ハードウェア仕様:
CPU:シングルコアARM Cortex A9 Rockchip RK2928 1.2 GHz。
GPU:3D GPU 1 xマリ400。
OS:Linux 3.0.8。
DDR3:256MB
Wi-Fi:802.11b / g / n 150Mbps 2.4GHz

ポータブルDLNA AirplayミラキャストHDMI
WiFiディスプレイドングルテレビ受信機アダプタ
HDMI 1.4、1080PフルHD出力をサポート
RAM:256MB
HDMI 1080Pスマートフォン用マルチディスプレイ共有

マニュアルは簡単な英文のみで、非常に分かりにくいです。 仕組みが分かれば理解できるのですが、それがなかなか分からない。

EZCastのコピーみたいで画面が似ています。 スマホをWifi接続して設定しますが、スマホからルーター接続して、さらにこのドングルが本来のWifiでネットに接続します。 この辺は洗練されていて使いやすいです。

Airmirror、DLNA、Airplay Miracastをサポートします。となっていますが、結局スマホ側にアプリを入れて、スマホに表示して、それをドングルを経由してTVにミラーすると言うことで、ドングル自体に機能があるわけではないです。 従って機能の大半はスマホ側のアプリで決まります。 EZCastのコピーらしいので、EZCast用のアプリはみな使えるようです。

元の目的のTV視聴は、どうなったというと、操作が面倒になるので、アキラメました。 まずスマホのWifiをドングルにつなぎ直して、スマホのアプリを立ち上げて、ビデオを表示して、それをTVにミラーすると言う手順を毎回行わないと視聴できないようです。

今月の読み物は、「黒部の太陽」 木本 正次 著
Kindle版 ¥ 800

オススメ度 ★★☆ この閉塞の時代に再読すべし

先月紹介の、吉村 昭 「高熱隧道」の続編として読みました。 詳しくは説明不要でしょうが、重なる逸話が出てくるので、全体の状況が良く分かりました。 それにしても当時の日本にはガッツがあったのですね。 元気が出てきます。 単なる1つの民間企業の関西電力がここまでやるとは素晴らしいと思いました。 昨冬にカニを食べに行った城崎温泉にあった、太田垣翁資料館も思い出して、興味深く読みました。

内容紹介
21世紀によみがえる黒部ダム建設工事の苦闘。 北アルプスに山中を貫く関電トンネルの掘削―。 破砕帯と呼ばれる脆弱な土壌、冷たい地下水の大量噴出。 トンネル貫通までの苦闘と葛藤を描く、人間ドラマ。 映画『黒部の太陽』(1968年、三船敏郎・石原裕次郎主演、熊井啓監督)や、フジテレビ開局50周年記念ドラマ『黒部の太陽』(2009年、香取慎吾主演)の原作文庫版。 –このテキストは、文庫版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)
昭和三〇年代。電力不足の日本を救うため、人跡未踏の地で、巨大ダム「黒四」の建設が始まった。だが工事はトラブルの連続で、ついに「破砕帯」に遭遇、大出水に襲われる。もしこのまま工事が進まなければ、黒四ダムは完成しない。そのとき男たちは、いかにして困難に立ち向かったのか?徹底取材で描かれたノンフィクション・ノベルの傑作。

 

今月のひとこと2017年5月号

2017年6月2日
やっと6月になりました。 5月の長かったこと。 2ヶ月分に感じました。 毎日が同じ事の繰り返しだと短く感じ、異なることの連続だと長く感じるようです。 以前に新規事業を立ち上げたときは、それこそ1ヶ月が3ヶ月にも感じましたし、1週間も長かったです。 日曜日に助走体制に入って、月曜日の早朝会議からスタートするのですが、途中の日にああヤレヤレ週末かなと感じても、大概は水曜日でした。

トランプ大統領の本領発揮で、G7会議もほとんど何もまとまらなかったようですね。 最古参メンバーの安倍首相にはもう少し頑張って欲しかったが、メルケル相手ではなかなか思うようにならないですね。 結局トランプ対メルケルの構図になってしまって、日本は入る隙間もなく、あまり出番も無かったです。 パリ協定も風前の灯火。

これを反映しているのか、2万円の大台を前に株価も冴えず、一進一退になっています。 これを書いている金曜日の朝の時点ではまだ2万円に届いていませんが、これで終値が2万円を超えるのかどうかが関心事だと思います。

今朝の日経には、日銀の資産がGDPに並ぶ500兆円に達したと言う記事があり、将来的には一時的に債務超過になるとの見方があり、しかし日銀本体は意外に問題にならないと言う見方が強いと書いてありました。 通貨発行権のある日銀が債務超過になったとしても、何が問題として出てくるのかは誰にも分からず、日銀内部でも心配する人は多いと思います。 いずれにしても壮大な経済実験には変わりはないと思います。

長年使ってきたビデオレコーダが、ディスクの不具合か、よくダウンするようになって来たので、後継機を購入しました。 癖はあるが豊富な機能で有名だった東芝のレコーダーはどうかと思ったのですが、癖だけ残って、後はあまり進歩していない様子で、後の候補はパナソニック、シャープ、ソニーとなります。 結局、原状の機械に不満はたくさんありますが、連続性を買ったのと、ネットの評価が悪くないので、パナソニックにしてみました。 これで4台目となりました。

高機能機でも5万でおつりが来る値段で、この前に買ったのは、これの3倍以上はしたと思うので、コスパ的には大進歩です。 問題のチューナーは、地デジ3ch、BS3chと一番多いのを選んで、これで録画の時の制約は大分マシになりました。

もっとも全番組録画の機種は20万近くしますので、しかし以前のレコーダに少し上積みするだけで、全番組を1ヶ月録画出来るマシンを買えることになります。

機能面でもっとも進んだと思うのは、ネットを経由してスマホなどで外部で視聴できる事です。 従来もDNLA対応であれば、ローカルのLAN経由で使えたのですが、今回からは外部から使えるようです。

 

 

仕組みはイマイチ理解できていないのですが、以前よりパナソニックは、ローカルの機器を外部からアクセスできる技術、つまりルーター越えが可能でした。 今回はそれにストリーミングを組み合わせて外部からの視聴が可能になったと言うことでしょう。 スマホなどは無料、PCは有料と言っても1ヶ月200円程度です。 外部アクセスは理論的には可能なのですが、特別の設定を全く不要にしている点が非常に良いと思います。 今流行のIoT機器にも十分応用が可能だと思います。

セキュリティが心配になりますが、まだ総設置台数が少ないので、問題にならないのでしょう。 その内に、意外なセキュリティホールが見つかるかも知れません。

今月の読み物は、「高熱隧道」 新潮文庫 1975/7/29 吉村 昭 著 Kindle版 ¥ 520 文庫 ¥ 562

オススメ度 ★★☆ 立山アルペンルートに行ったことのある人は読むべし

宇奈月温泉からトロッコ電車に乗って鐘釣駅まで往復したときに、この小説を思い出して、早速読んでみました。 トロッコ電車と言っても、京都の山陰線のトロッコと似たようなモノだと思っていましたが、実際は大違い。 よくまあこんな所に小規模とは言え鉄道を敷設して、ダムまで建設するとは、ビックリです。

ここに来たことが無かったときは、あまり興味も湧かなかったのですが、来た後に読むと俄然興味が湧きます。 本題の高熱隧道は、この辺りの遙か上の方ですが、この下の辺りだけでも、その状況は推測できルくらいです。 鉄道は黒部第3ダムや第4発電所まで通じていて、トロッコ電車の終点である欅平から、200mのエレベーターで上がって、さらにバッテリ電車で第3ダムまで行けるようです。

ビデオはこちら。

サスガに、欅平から先は、予約制で抽選だそうで、平日にもかかわらず結構な競争のようです。 この欅平から先が、本題の高熱隧道で、触るだけでもやけどするくらいの高熱の中を掘り進んだと言うことです。

黒部第三発電所――昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の、岩盤最高温度165度という高熱地帯に、隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であった。犠牲者は300余名を数えた。トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威とが対決する異様な時空を、綿密な取材と調査で再現して、極限状況における人間の姿を描破した記録文学。


 

今月のひとこと2017年5月号





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2017年5月6日
毎年の連休周辺は忙しくて、最近は動作が遅くなり作業に時間がかかるせいか、例年にも増して時間がなくなり、本欄の予定も大幅にずれてしまいました。  

トランプ政権も、政権そのものは体制がなかなか安定しませんが、原状では軍関連が方針を決めているらしくて、内政はガタガタですが、外交はやっと本来の共和党らしくなって来ました。 大統領自身も、学べば学ぶほどみたいな、何処かで聞いたような事を言っているようです。 いずれにしても、韓国は大統領選挙、日本は森友問題にかまけている間に朝鮮半島はきな臭くなってきました。

まずシリアをトマホークで攻撃、その後もカールビンソンを派遣するわ、B1を2機もとばすわ、原潜を韓国に送るわの上での中国との、これぞ外交と言う見本みたいなやり方で、完全に中国を押さえ込みました。 国務省の体制が未完成のままですが、ティラーソン国務長官は、想定よりしっかりしていて、評価が高いです。

安倍政権の安全保障対策は、結果的には非常にうまく行っていると思います。 良いタイミングというか、ギリギリと言うか絶妙のタイミングで、安全保障関連法案が通って、ちょうど実施できるドンピシャのタイミングになりました。 更には、他国に先駆けて、いち早くトランプ大統領との個人的な関係を構築できたのも絶妙でした。

最近ではロシアにも行って、いくら若いと言っても結構大変なスケジュールで、しかしこれだけ使うと政府専用機も値打ちがあると言うモノです。 以前の首相なら、定期便のファーストで行ったら? と言いたくなるスケジュールが多かったのですが、大型プラ-ベートジェットを駆使する現首相は、確かにトランプ氏とも波長が合うのでしょう。

北朝鮮問題は落とし所すら見えませんが、圧力と対話で探っていかないとダメなのでしょう。 トランプ政権が中国を押さえ込んだのが大きく、あの手この手で中国をけしかけているようで、しかし中国もだんだん手が無くなってきたのが原状ではないでしょうか。 TV番組で誰かが言っていましたが、北朝鮮内部で軍クーデターが起きて、金一族を追放し、中国も、韓国も、日本もロシアも安心するような、安定的な政権が出来るのが、もっとも現実的な解ではないかと思います。 当然、アメリカや中国では十分に検討されているはずです。

北朝鮮のミサイルの失敗はアメリカのサイバー攻撃の結果だと言う噂が流れています。 あまり刺激的にならないように、自爆したのでは無いかと思っていましたが、アメリカはイランのウラン濃縮施設をサイバー攻撃で動作不能にした実績もあり、サイバー攻撃の信憑性も高まっています。

もっともこのサイバー攻撃が本当だとしても、それは、前のオバマ政権の時代に仕込まれたモノなので、トランプ政権としてはあまり認めたくないと言う心理だと思います。 また、北朝鮮のネット環境は非常に貧弱で、逆に攻撃しにくいし、ハイレベルのハッカーが何千人も居ると言うことなので、サイバー攻撃はにわかには信じられません。 ネットが無くてもサーバー攻撃は可能ですから、時間を掛けて、部品レベルで仕込んで居たのかも知れません。

最近のITの世界ではAIが大流行です。 リクルートテクノロジーズがAI「A3RT」を無料公開したことが、少し前に話題になりました。 しかも実際に使われて居るサービスですので、性能的には優秀だと思います。 私は不得意ですが、得意な方は、これを試用してみては如何でしょうか?

AIが仕事を奪ってしまうとか、AIに仕事をさせれば、人間は遊んで暮らせるとか、悲観的やバラ色の未来が描かれていますが、やはり機械には限界もあります。 状況が限定的な将棋や囲碁の盤面とか、ある一定のデータの処理とかには実力を発揮するでしょうが、それ以外の情報、人間なら常に受けている様々な外的な情報を総合判断しないと行けない場合は、AIは、無力となるでしょう。

私の持論は機械-人間系で、ある条件の下での答えを速やかにAIに出させる。 さらに条件を少し変えて、また出させると言うことを繰り返しながら、正しい答えを得て行く事が最良だと思っています。 この時に必須なのは、答えが出るまでの速度です。

多少不正確でも、すぐにAIが答えを出すことが重要で、全ての条件を入れて、延々と計算して、やっと答えが出てくるのを待つのはあまり得策では無いと思います。 デカルト的な西洋の考え方では、全ての条件を入れて正しく判断したら、正しい答えが出ると言うことですが、そもそも全ての条件と言うのを入れるのが困難です。 質問している方にも分かっていない場合もあります。

人間が考えている間に、その条件に気がつく場合も良くあり、この点でも素早い反応で、答えが得られるのは必須だと思います。 この様にAI機械と人間が共同して、分かっていない事も埋めながら、最終結果に向かうと言うのがもっとも良い解決方法だと思っています。

今月の読み物は、「生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像」 ブルーバックス 武村政春 著 Kindle版 \1,058
オススメ度 ★☆☆ 興味があれば読むべし

自分ではウイルスもしくは類似のものが、試行錯誤で出来たとは思えない、眼球などの部品を部品レベルでゲノム移動したのではないかと思っているので、興味を持って読みました。 巨大ウイルスのウイルス工場が真核細胞の細胞核の元になったと言う仮説は面白かったです。 ウイルス粒子はウイルスではなくて、ウイルスが感染した細胞が、本来のウイルスであると言う、新説も紹介しています。 卵子と精子の類似からの発想みたいですが、まあ確かに言われてみれば、そうかもしれないと思いました。

文章は読みやすく、単語の定義も適宜されているので、斜め読みは無理でも、ささっと読めます。

【内容紹介】
数十億年前、いま最も注目を集めるあるウイルスの祖先が誕生した。ヒトや細菌とは遺伝的系統を異にする彼らが、私たちの〈共通祖先〉に感染し、生物の発展・繁栄に不可欠なDNAや細胞核をもたらした!?そして、その子孫たる「巨大ウイルス」が明らかにする、生命と進化の知られざるからくりとは?日本初の巨大ウイルス=トーキョーウイルスの発見者が語る、生物進化のアナザーヒストリー。

今月のひとこと2017年4月号





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2017年4月3日
トランプ政権もとうとう化けの皮が剥がれてきて、当初一部にあった議会との摩擦の見方が現実になって来ました。 共和党もなかなか一枚岩でもなく、超保守から民主党に近いところまで結構幅が広く、オバマケアの見直しでは、この双方からの反対があったようです。 単に大声で主張を叫ぶだけでは、政治の世界は前には進まないと言うとこですね。

トランプ政権の失速で、市場の反応も悲観的になって来て、最近ではズルズルと下がってきています。 サスガにダウ平均は2万ドルを維持していますが、日経は早々と19000円を割り込み、この先が見えなくなりました。

国内は森友一色になり、何処が本質的な問題なのかもハッキリせず、野党が久しぶりに見つけた政権攻撃目標を攻撃するだけの展開になっています。 最近では、野党の方に飛び火して、先がますます見えにくくなってきました。 首相の「関係あれば首相も議員も辞める」、「忖度は無かった」、「ゼロ回答」等の強気過ぎる発言や、首相夫人の奔放な行動で、ますます混乱している感があります。

第一次安倍政権の、「お友達内閣」、「政権投げだし」などのキーワードがふっと頭をよぎった人が多かったのではないでしょうか。 せっかく世界で一番安定した政権と言われ、世界をリードする役割がやっと回ってきたのに、このたいした問題ではない森友問題に足を引っ張られるのは、非常に残念です。 混乱の原因の一因が、首相夫妻にあるのも残念な点です。 支持率をもう少し下げて、警告を与えないといけないのかも知れません。 既に海外投資家は、このリスクを考えて、投資を引き上げにかかっているようです。

それにしても籠池元理事長は腹が据わっていて、しっかりしていますね。 下手な政治家や経営者は完敗です。 しかも付いている弁護士との連携も良くて、この弁護士もなかなかのものだと思います。調べてみると山口弁護士で、米国でも弁護士資格を持っているそうで、その後の対応を見てても、アメリカらしい突っ込みだと感じていました。 ネットでも評価が高いみたいです。

とうとう棋界のタイトル保持者が初戦とは言えAI将棋に敗北したことです。 将棋や囲碁と言う盤面で非常に限定された情報の中でのAIは無敵だと思います。 現実の世界では、この直接情報だけでは無くて、いろんな外部の人的な情報も計算に入れないとうまく行かないので、決定的な結果にはならないと思いますが、ゲームの世界はルールが全てですので、最強になると思います。

AIが全ての仕事を置き換えると言われていますが、実際には全ての外部情報をインプットするのには無理があるので、一番良い使い方はアシスタントだと思います。 一つの仮定の元でその結果をAIが最短時間で結果を出し、それを見てまた別の仮定の設定をして、その結果を得る。 この繰り返しで最終的には人間が最適な結果を得ると言う方法だと思います。

エクセルでシミュレーションをして、初期値を少しづつ変えて結果を見てみると言うのは良くやられている手法ですが、これをもっとAI的に行えば良いと思います。 AIが人間かと言うような二者択一ではなくて、両方が共同作業をすると言うイメージになると思います。

今月の読み物は、「京都の洋館」 単行本(ソフトカバー) 2016/12/5 石川祐一 (著)、 神崎順一 (写真) ¥ 3,024

オススメ度 ★★☆ 京都に居た人は読むべし

主に京都市内の文化的価値のある洋館を収録しています。 特に内部の写真が多いのが良いです。 トップは、おなじみ京都府庁舎で、次が京都市庁舎。 京都府庁舎は会議で行った時には、冷房もなく、剥き出しの無粋な蛍光灯がそこら中に露出配管されていて無残でしたが、その後綺麗に改修されたようです。 町の中でも無意識に見ていた洋館が、実は歴史のあるモノだと今更ながらに気がつきました。 他には、駅前の関電ビルや長楽館、駒井家住宅などもあり、既に改装されている中央電話局なども収録されています。 もっと小さなしかも敷地の中にあるものは、未収録ですが、思い出しながら眺めるのも一興です。

【内容紹介】
京都は近代建築の宝庫である。本書では「洋館」と呼ばれる西洋建築を収録。京都府庁や市役所など公共施設の建造物から、京都大学や同志社などの学舎、静謐な雰囲気の教会、三条通に今も遺る商業施設、豪奢な個人邸宅まで。外観から内部まで詳細に撮影した美しい写真と、京都市文化財保護課・文化財保護技師の石川祐一による簡潔な解説とともに、その魅力に迫る