今月のひとこと2017年5月号





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2017年5月6日
毎年の連休周辺は忙しくて、最近は動作が遅くなり作業に時間がかかるせいか、例年にも増して時間がなくなり、本欄の予定も大幅にずれてしまいました。  

トランプ政権も、政権そのものは体制がなかなか安定しませんが、原状では軍関連が方針を決めているらしくて、内政はガタガタですが、外交はやっと本来の共和党らしくなって来ました。 大統領自身も、学べば学ぶほどみたいな、何処かで聞いたような事を言っているようです。 いずれにしても、韓国は大統領選挙、日本は森友問題にかまけている間に朝鮮半島はきな臭くなってきました。

まずシリアをトマホークで攻撃、その後もカールビンソンを派遣するわ、B1を2機もとばすわ、原潜を韓国に送るわの上での中国との、これぞ外交と言う見本みたいなやり方で、完全に中国を押さえ込みました。 国務省の体制が未完成のままですが、ティラーソン国務長官は、想定よりしっかりしていて、評価が高いです。

安倍政権の安全保障対策は、結果的には非常にうまく行っていると思います。 良いタイミングというか、ギリギリと言うか絶妙のタイミングで、安全保障関連法案が通って、ちょうど実施できるドンピシャのタイミングになりました。 更には、他国に先駆けて、いち早くトランプ大統領との個人的な関係を構築できたのも絶妙でした。

最近ではロシアにも行って、いくら若いと言っても結構大変なスケジュールで、しかしこれだけ使うと政府専用機も値打ちがあると言うモノです。 以前の首相なら、定期便のファーストで行ったら? と言いたくなるスケジュールが多かったのですが、大型プラ-ベートジェットを駆使する現首相は、確かにトランプ氏とも波長が合うのでしょう。

北朝鮮問題は落とし所すら見えませんが、圧力と対話で探っていかないとダメなのでしょう。 トランプ政権が中国を押さえ込んだのが大きく、あの手この手で中国をけしかけているようで、しかし中国もだんだん手が無くなってきたのが原状ではないでしょうか。 TV番組で誰かが言っていましたが、北朝鮮内部で軍クーデターが起きて、金一族を追放し、中国も、韓国も、日本もロシアも安心するような、安定的な政権が出来るのが、もっとも現実的な解ではないかと思います。 当然、アメリカや中国では十分に検討されているはずです。

北朝鮮のミサイルの失敗はアメリカのサイバー攻撃の結果だと言う噂が流れています。 あまり刺激的にならないように、自爆したのでは無いかと思っていましたが、アメリカはイランのウラン濃縮施設をサイバー攻撃で動作不能にした実績もあり、サイバー攻撃の信憑性も高まっています。

もっともこのサイバー攻撃が本当だとしても、それは、前のオバマ政権の時代に仕込まれたモノなので、トランプ政権としてはあまり認めたくないと言う心理だと思います。 また、北朝鮮のネット環境は非常に貧弱で、逆に攻撃しにくいし、ハイレベルのハッカーが何千人も居ると言うことなので、サイバー攻撃はにわかには信じられません。 ネットが無くてもサーバー攻撃は可能ですから、時間を掛けて、部品レベルで仕込んで居たのかも知れません。

最近のITの世界ではAIが大流行です。 リクルートテクノロジーズがAI「A3RT」を無料公開したことが、少し前に話題になりました。 しかも実際に使われて居るサービスですので、性能的には優秀だと思います。 私は不得意ですが、得意な方は、これを試用してみては如何でしょうか?

AIが仕事を奪ってしまうとか、AIに仕事をさせれば、人間は遊んで暮らせるとか、悲観的やバラ色の未来が描かれていますが、やはり機械には限界もあります。 状況が限定的な将棋や囲碁の盤面とか、ある一定のデータの処理とかには実力を発揮するでしょうが、それ以外の情報、人間なら常に受けている様々な外的な情報を総合判断しないと行けない場合は、AIは、無力となるでしょう。

私の持論は機械-人間系で、ある条件の下での答えを速やかにAIに出させる。 さらに条件を少し変えて、また出させると言うことを繰り返しながら、正しい答えを得て行く事が最良だと思っています。 この時に必須なのは、答えが出るまでの速度です。

多少不正確でも、すぐにAIが答えを出すことが重要で、全ての条件を入れて、延々と計算して、やっと答えが出てくるのを待つのはあまり得策では無いと思います。 デカルト的な西洋の考え方では、全ての条件を入れて正しく判断したら、正しい答えが出ると言うことですが、そもそも全ての条件と言うのを入れるのが困難です。 質問している方にも分かっていない場合もあります。

人間が考えている間に、その条件に気がつく場合も良くあり、この点でも素早い反応で、答えが得られるのは必須だと思います。 この様にAI機械と人間が共同して、分かっていない事も埋めながら、最終結果に向かうと言うのがもっとも良い解決方法だと思っています。

今月の読み物は、「生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像」 ブルーバックス 武村政春 著 Kindle版 \1,058
オススメ度 ★☆☆ 興味があれば読むべし

自分ではウイルスもしくは類似のものが、試行錯誤で出来たとは思えない、眼球などの部品を部品レベルでゲノム移動したのではないかと思っているので、興味を持って読みました。 巨大ウイルスのウイルス工場が真核細胞の細胞核の元になったと言う仮説は面白かったです。 ウイルス粒子はウイルスではなくて、ウイルスが感染した細胞が、本来のウイルスであると言う、新説も紹介しています。 卵子と精子の類似からの発想みたいですが、まあ確かに言われてみれば、そうかもしれないと思いました。

文章は読みやすく、単語の定義も適宜されているので、斜め読みは無理でも、ささっと読めます。

【内容紹介】
数十億年前、いま最も注目を集めるあるウイルスの祖先が誕生した。ヒトや細菌とは遺伝的系統を異にする彼らが、私たちの〈共通祖先〉に感染し、生物の発展・繁栄に不可欠なDNAや細胞核をもたらした!?そして、その子孫たる「巨大ウイルス」が明らかにする、生命と進化の知られざるからくりとは?日本初の巨大ウイルス=トーキョーウイルスの発見者が語る、生物進化のアナザーヒストリー。

今月のひとこと2017年4月号





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2017年4月3日
トランプ政権もとうとう化けの皮が剥がれてきて、当初一部にあった議会との摩擦の見方が現実になって来ました。 共和党もなかなか一枚岩でもなく、超保守から民主党に近いところまで結構幅が広く、オバマケアの見直しでは、この双方からの反対があったようです。 単に大声で主張を叫ぶだけでは、政治の世界は前には進まないと言うとこですね。

トランプ政権の失速で、市場の反応も悲観的になって来て、最近ではズルズルと下がってきています。 サスガにダウ平均は2万ドルを維持していますが、日経は早々と19000円を割り込み、この先が見えなくなりました。

国内は森友一色になり、何処が本質的な問題なのかもハッキリせず、野党が久しぶりに見つけた政権攻撃目標を攻撃するだけの展開になっています。 最近では、野党の方に飛び火して、先がますます見えにくくなってきました。 首相の「関係あれば首相も議員も辞める」、「忖度は無かった」、「ゼロ回答」等の強気過ぎる発言や、首相夫人の奔放な行動で、ますます混乱している感があります。

第一次安倍政権の、「お友達内閣」、「政権投げだし」などのキーワードがふっと頭をよぎった人が多かったのではないでしょうか。 せっかく世界で一番安定した政権と言われ、世界をリードする役割がやっと回ってきたのに、このたいした問題ではない森友問題に足を引っ張られるのは、非常に残念です。 混乱の原因の一因が、首相夫妻にあるのも残念な点です。 支持率をもう少し下げて、警告を与えないといけないのかも知れません。 既に海外投資家は、このリスクを考えて、投資を引き上げにかかっているようです。

それにしても籠池元理事長は腹が据わっていて、しっかりしていますね。 下手な政治家や経営者は完敗です。 しかも付いている弁護士との連携も良くて、この弁護士もなかなかのものだと思います。調べてみると山口弁護士で、米国でも弁護士資格を持っているそうで、その後の対応を見てても、アメリカらしい突っ込みだと感じていました。 ネットでも評価が高いみたいです。

とうとう棋界のタイトル保持者が初戦とは言えAI将棋に敗北したことです。 将棋や囲碁と言う盤面で非常に限定された情報の中でのAIは無敵だと思います。 現実の世界では、この直接情報だけでは無くて、いろんな外部の人的な情報も計算に入れないとうまく行かないので、決定的な結果にはならないと思いますが、ゲームの世界はルールが全てですので、最強になると思います。

AIが全ての仕事を置き換えると言われていますが、実際には全ての外部情報をインプットするのには無理があるので、一番良い使い方はアシスタントだと思います。 一つの仮定の元でその結果をAIが最短時間で結果を出し、それを見てまた別の仮定の設定をして、その結果を得る。 この繰り返しで最終的には人間が最適な結果を得ると言う方法だと思います。

エクセルでシミュレーションをして、初期値を少しづつ変えて結果を見てみると言うのは良くやられている手法ですが、これをもっとAI的に行えば良いと思います。 AIが人間かと言うような二者択一ではなくて、両方が共同作業をすると言うイメージになると思います。

今月の読み物は、「京都の洋館」 単行本(ソフトカバー) 2016/12/5 石川祐一 (著)、 神崎順一 (写真) ¥ 3,024

オススメ度 ★★☆ 京都に居た人は読むべし

主に京都市内の文化的価値のある洋館を収録しています。 特に内部の写真が多いのが良いです。 トップは、おなじみ京都府庁舎で、次が京都市庁舎。 京都府庁舎は会議で行った時には、冷房もなく、剥き出しの無粋な蛍光灯がそこら中に露出配管されていて無残でしたが、その後綺麗に改修されたようです。 町の中でも無意識に見ていた洋館が、実は歴史のあるモノだと今更ながらに気がつきました。 他には、駅前の関電ビルや長楽館、駒井家住宅などもあり、既に改装されている中央電話局なども収録されています。 もっと小さなしかも敷地の中にあるものは、未収録ですが、思い出しながら眺めるのも一興です。

【内容紹介】
京都は近代建築の宝庫である。本書では「洋館」と呼ばれる西洋建築を収録。京都府庁や市役所など公共施設の建造物から、京都大学や同志社などの学舎、静謐な雰囲気の教会、三条通に今も遺る商業施設、豪奢な個人邸宅まで。外観から内部まで詳細に撮影した美しい写真と、京都市文化財保護課・文化財保護技師の石川祐一による簡潔な解説とともに、その魅力に迫る

今月のひとこと2017年3月号





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2017年3月2日
トランプ騒動も先日の一般教書演説で大分落ち着いてきました。 スピーチライターが歴代大統領の演説を切り貼りして仕上げて、後でトランプが手を加えた所がハッキリして、面白かったですね。 しかし、確かに大統領らしい演説になっていたと思いますが、これなら今流行の性能が大幅に向上したAIでやって、後で手直ししてもあまり変わらなかったのではと思います。

米国憲法を読んだことありますか? しょっちゅう憲法修正何条とか言う表現が出てくるので、不思議でしたが、よく考えると1787年と言う江戸時代中期に成立した世界最古の成文憲法なんですね。 従ってエラく細かいこともかかれていて、如何に法律をつくる議会を最初に作るか? と言う観点で書かれているようです。

お手本にする憲法も無いので、最初に手探りで作って、後から修正を加えているんです。 明治帝国憲法は今見てもなかなか良く出来ていると思っていましたが、米国の憲法に遅れることほぼ100年後の1889年に公布されていて、良く出来ているのは当たり前かと思います。

経済面では日経平均も確かに長期的には上昇だが、当面はどうするかで迷っている感じがします。 個人の投資家は塩漬けにした損失含みの株式を大量に持っているので、株価の戻り待ちの売りが結構出ているのでは無いかと推測します。 塩漬け株は統計には出てこないので、その影響はなかなか分かりません。 まあ恐る恐ると言う感じです。

金正男暗殺事件にはビックリしました。 VXガスと言うあんなに効く毒と言うのは現存するのですね。 まるで殺虫剤みたいやなと思っていたら、やはり1950年代初期にイギリスで殺虫剤を開発していて発見されて、人間にこれだけ効くのなら兵器に白太良いと言うことになったらしいです。 VXと言うくらいで、Vシリーズの毒ガスがいっぱいあるようです。

VXガスとは猛毒の神経剤(V剤)の一種で、サリンなどと同様、コリンエステラーゼ阻害剤として作用し人類が作った化学物質の中で最も毒性の強い物質といわれています。 揮発性(蒸気圧)が低いため残留性が高く、そのうえサリンなどと異なり化学的安定性も高いので、温帯の気候においては、散布から1週間程度は効果が残留するそうです。 水で洗浄しただけでは取り除けないため、安全な状態にするためには化学洗浄が必要。 木材や皮、布などに付着した場合には長期間毒性を維持したまま留まるため、VXガスに汚染された物に触れただけでも危険。

VXガスの作用機序はアセチルコリンと言う神経伝達物質が無尽蔵に増えてしまって死に至る経過をたどります。 なぜこうなるかというと、VXはアセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを無効にするコリンエステラーゼ阻害作用があるためです。 シナプス間隙においてアセチルコリンが適量あれば、人体は脳が発した命令に対してスムーズに機能します。 しかしVXによってアセチルコリンが大量に存在してしまうと本来の脳が発した命令はうまく伝わらず、肉体的にも精神的にも大混乱に陥ってしまいます。 大混乱の結果、身体には痙攣(けいれん)、麻痺(まひ)、呼吸困難、錯乱といった死に至る症状が現れてしまうのです。

新聞記事で触れているような解毒剤は存在するのかと言うことですが、プラリドキシムヨウ化物PAM(パム)と言われるもので、コリンエステラーゼにくっついて、そのはたらきを邪魔しているVXを引きはがしてくれます。 ただ症状が現れてからでは遅くて、症状が出る前に服用しないと行けない様子です。 今回の暗殺事件では、最初からこの様な薬を服用していたと思われます。 しかし完全には解毒できないので、多少の症状は出たものと思われます。

以前から怪しかった先日のMHK「試してガッテン」はとうとう一線を越えてしまって。トンデモ番組になってしまいました。 テーマは糖尿病で、ある種の睡眠薬を服用すると糖尿病が治るというかマシになると言うことで、突然「デルタフォース」が出てきた辺りからトンデモになって、たまたまTVを見ていたので、これはヤバいなと感じました。

その後PCでメールを見ていたら、Twitterの記事が飛んできていて、それを見ていると、この番組を本気にして医者に睡眠薬を処方するように要求してきたと言う記事が出てきて、ウチにも来たと言う医者ばかりで、結構な騒動になっていました。 薬には認可された薬効があって、その薬効に合わない症状に対しては処方はできないのですが、患者はどんどん言ってくる。 睡眠薬には糖尿病と言う適用はないので当たり前ですので、NHKの勇み足です。 さらにNHKが推奨したのが新しく2014年ぐらいに認可になった、新しいタイプの機序をもつ睡眠薬だったのも、混乱を増長する事になりました。

昨夜の「試してガッテン」の番組の冒頭でアナウンサーが謝っていましたが、誤解を与えるような番組内容で申し訳ありません、と言う意味で、誤解した方が悪いと取れるような釈明でした。 もともとこの番組はもっとマシだったのですが、途中から少しトンデモに傾斜してきた傾向がありますし、ごく簡単な話題を延々と引っ張って番組を作るような所が出てきて、最近ではほとんど見なくなりましたし、見ても最初から疑わしいと思うようになりました。

今月の読み物は「世界最強だった日本陸軍 スターリンを震え上がらせた軍隊」 PHP文庫 ¥680 福井 雄三 著

オススメ度 ★★★ 是非読むべし

タイトルからして多少陸軍を買いかぶっているところもありますが、海軍善玉陸軍悪玉説に一石を投じる読み物です。 海軍はあれだけ派手に真珠湾をやって、その後はミッドウェーで大敗北をしてるのですが、確かに陸軍はこれと言った敗戦はしていない。 シンガポール侵攻は真珠湾に匹敵する戦禍だがあまり評価されていない気がしました。 ノモンハン事件は日本側の大敗北だと思っていましたが、これは半藤一利と司馬遼太郎による決めつけで、本当は日本側の大勝利で、スターリンはこれを非常に気にしていたと言うことです。

歴史にIFはないですが、太平洋戦争はしょうが無かった必然だと言うようには思っていましたが、別の選択として、あの時に日本が海軍説の南進をせずに陸軍説の北進していたら歴史は変わった、と言うのは目からウロコでした。 南進したためにスターリンは日本との不可侵条約を締結し極東軍を西部戦線に投入し、負けかかっていた戦争を盛り返し、ドイツが負けてしまい、最後はソ連の不可侵条約破棄で満州侵攻で戦争が終わったのです。

あの時に日本が北進していたら、少なくともソ連は無かったでしょう。 ロシアとして残り、原状と変わらない状態にはなったと思いますが、少なくとも冷戦は無かったと思います。

【内容紹介】
日米戦争における日本の最大の悲劇は、日本が戦争に負けたことではなく、アメリカから一方的にやられっぱなしの、あのようなぶざまな負け方をした、戦闘内容のレベルの低さだった。これがいまだに日本人の潜在意識の底に尾を引いている。──本書「序文」より

旧ソ連の秘密文書公開によって、ノモンハン事件がじつは日本陸軍がソ連軍を圧倒した勝ち戦だった事実が明らかになった今日、昭和史は大幅に書き換えられなければならない。

……スターリンは恐怖に震え上がった。じつはソ連はすでに日本に停戦を申し入れていたのだが、日本から回答がないのを見て、焦慮のあまりついにドイツに泣きついたのである。日本が「恐ソ病」にかかっていたのは事実であるが、ソ連はそれ以上に「恐日病」にかかっていた。──本書「第一章 ノモンハン」より
当時世界最強だった日本陸軍が、なぜ太平洋戦争に敗れたのか。その答えにこそ「昭和史の謎」を解く鍵がある。

今月のひとこと2017年2月号

2017年2月2日
相場格言・申酉騒ぐの酉年ののっけから、トランプ騒ぎで大揺れの証券界です。 ゼロサムの典型的な投機市場である外為市場も大揺れで、日替わりで大きく円ドルが変わります。 相場の変化は上がるにしろ下がるにしろ投機的には大歓迎ですが、サスガに最近の動きにはついて行けないようで、ミスワタナベも消極的になっているようです。

それにしても良い意味でも悪い意味でもアメリカ的で、あれだけ大騒ぎした過去の通商交渉もほとんど忘れていたのを思い出しました。 よく考えたら、過去の政権も無理難題を次々とふっかけてきましたので、それが再燃しただけと思えば、トランプ節に惑わされて、とんでもない災厄が降って湧いたと言うほどではないでしょう。

この間のTPP交渉で見たように、日本も交渉テクニック的にはそれなりに強力ですし、譲るものはほとんど無くなってましたので、粛々と交渉に臨めば良いのではないでしょうか。 西側世界で、トップ2同士ですから、それなりの摩擦もあり交渉が必要だと思います。

この中で出てきたポイントは、日本の非関税障壁です。アメリカの自動車関税は最小2.5%もあるのに、日本の関税はゼロで、しかもアメリカ車には優遇措置まであるのです。 これだけドイツ車が氾濫している日本にアメリカ車が入ってこれないのは、単にアメリカ車の出来が悪いと言うか、日本向けのものではないみたいで、フォードのCEOも問題は為替だとしか言っていません。 まあ為替の問題もあるでしょうが、ドイツ車も同じで、問題のすり替えとしか思えません。

しかし非関税障壁の最たるものは消費税だと言ったら、すぐに理解できるでしょうか?

トヨタなどの大手自動車会社は、輸出時に1000億円単位の消費税の還付を受けます。 これは一種の輸出補助金みたいなものなので、WTOのルールではいけないのですが、消費税の還付だけは例外事項として認められているようです。 問題は、双方の国が同じ消費税で、料率が同じなら問題にはならないでしょうが、アメリカのような消費税を採用していない国とでは、不公平だと言う見方が出てきます。

アメリカには消費税が無い代わりに、売上税があります。 これが最終消費者に売るときに限り1回だけ課税するもので、これも輸出の時は免税になりますが、単に免税と言うだけで還付はありません。

消費税が理屈の通りに各段階で預かり的になって、最終的に最終消費者に転嫁されると言うのであればよいのでしょうが、消費税は途中の段階では価格の一部に暗黙的に埋没してしまい、最終の還付だけが明示的に行われると言うのが問題です。 消費税は難しく判例でも価格の一部と言う判定がなされています。

いずれにしても消費税率が低い場合は、それほど問題にならないでしょうが、8%、10%となってくると問題が顕在化されてくるでしょう。 ヨーロッパは元々消費税率が高かったので、アメリカとの間での消費税交渉は厳しく行われたとのことですが、日本ではほとんど報道されていません。

TPPであまり問題にならなかったのは、多国間交渉であったためで、この辺もトランプが不利だと思っているかも知れず、2国間だと特に自動車の非課税障壁の原因に挙げられるかも知れません。 消費税にはいろいろ問題があり、アメリカが頑として受け入れず、シンプルな売上税しかないのも、それなりの理由があるのだと思います。

しかしアメリカは超大国であるためか、身勝手なものです。 未だにインチ・フィートや華氏を使い、つい最近まで特許も先願主義で無く先発明主義を取っていて、突然もの凄く基本的な特許が出てきて巨額の賠償金を請求されるようなこともありました。 消費税/売上税も同じ事だと思います。 どっちが良いとか悪いとかは思いませんが、世界統一基準に合わせて欲しいと思います。


今月の読み物は、「アメリカは日本の消費税を許さない 通貨戦争で読み解く世界経済」 (文春新書) 岩本 沙弓 著 新書¥810 Kindle版 ¥800

オススメ度 ★★☆ 隙間時間に読むべし

前述のような事をずーっと頭の片隅にあったものですから、この本がTVの番組で紹介され、ほとんど売れなかったと聞いたので、真っ先に購入しました。 やはり同じような問題意識を持っている人がいたので、あっという間に読了しました。 私が癌が得るよりもっと整理されていました。 もっとも本の後半は、自己主張というか、愚痴というか、同じ事がずっと繰り返されていたので、斜め読みしましたが、なかなか面白く、目からウロコでした。 トランプ以前( 2014/1/20)に書かれたものですが、トランプアメリカの逆襲を受けて、今だからこそ読んでみないと、いけないと思いました。

消費税、TPP、量的緩和、為替……。これらの諸問題は日米間の通商政策の歴史から見ると一つの道筋で繋がっていることが分かる。

2017年 元旦 あけまして、おめでとうございます


2017年元旦 明けましてお目出度うございます。

申酉騒ぐの相場格言通り、大波乱の1年で年明けからの暴落で始まり、トランプ相場の余韻を残しながら大納会となり、格言通り今年も混乱が実感として予想されます。 せっかく2万円超を期待したのですが、アッサリと19000円を割り込みそうな勢いです。

株式は単なる投資対象と言うことだけではなくて、リアルタイムに経済と心理状況を表す現実的な唯一の指標と言っても良いと思います。 昨年はいくつもの国民投票や選挙で番狂わせがありましたが、株式相場は市場参加者による投票が毎日行われていて、その結果がリアルタイムで分かり、それに対する反応も即時に行われると言う極めて厳格かつ即時的な指標だと思います。

もちろんそれには心理的な影響も完全に組み込まれていて、総合的な判断となります。 おまけに金銭の裏付けもあり、単なるアンケートでは得られない真剣さとそれに関わる心理状態も影響し、読み間違いもたくさんあります。

初期のころからインターネットに、それと意識せずに付き合ってきたのですが、最初にインターネットとして意識したのは初期のブラウザであるMosaicが一般的になった1993年、その後一般の人がインターネットを知ったのが、1996年だと思います。 典型的な文系人間だった父親がインターネットと口にしたのにビックリしました。

それから20年が経過して、どうもこれからはインターネット2.0とも言うべき新時代に入ったと言う思いが強くなりました。 日本を含む各地での選挙や投票の意外性は、従来型のマスコミが実態を正確に報道できなくなり、実際の情報はインターネットとスマホを介して行われる事がメジャーになって来たことを示していると思います。 政治そのものに大きな本質的な影響を与えるようになったと言う事でしょう。

ケータイのiモードのプロジェクトに最初に関係したころには、元々PCでのインターネットが当たり前と思っていたので、こんな小さな画面で何が出来るのか? との疑問が多く、ビジネスとしては本気になれませんでした。 しかし、それがドンドン浸透し、スマホの登場によって画面の問題は解消されてPCと同様になり、OSが変わったことで、GUIも革命的に変化し、今やインターネットはスマホと一体となったと言って良いでしょう。 かたやiモード対応の機種の出荷が終了したのも象徴的だと思います。

インターネットの規模の点では、IoTが進展して接続台数は今の10倍から100倍にまで膨らむと思います。 折しも従来型IPV4によるIPアドレスが昨年に枯渇したと言うニュースがありました。 以前から枯渇すると言うことでV6が浸透してきているのですが、それがとうとう現実のものとなり、非常に象徴的だと思います。

従来はM2M (Machine to Machine)として考えられていたのですが、これが昨年からIoTとして、急速に発展しました。 これも2000年ころからプロジェクトに参加していたのですが、当時とまったく同じ議論がIoTでもなされています。 もちろんそれ以上に概念に幅が出てきていますが、ビジネスモデル的にも基本的には同じ議論です。 M2Mのころは、ケータイの市場が飽和しつつあり、ケータイキャリアとしては、この市場を爆破的に増やすには、と言う少し後ろ向きの姿勢がありましたが、IoTはもっと前向きだと思います。

当時も計画したM2MとAIとの連携も、当時は飛躍的に伸びるAI技術も無く、コンセプトだけでしたが、IoT時代ではディープラーニングと言う強力なツールが出現し、想定以上の成果を上げています。

ただいくら強力でもディープラーニングは大きな意味の統計処理を行う技術なので、これに適した分野では大きな成果があります。 将棋や囲碁の世界では、過去の棋譜などを勉強して強くなっていくのですが、これはディープラーニングの得意中の得意で、トッププロが敗北するのは当然だと思います。 これからは、過去の棋譜などに囚われるのではなくて、全く新しい戦法を考えないといけない時代になったと思います。

一方のAI分野は当面はディープラーニングの統計処理が力を発揮しますが、やはり本来の意味理解の技術を進めないといけないと思います。 ディープラーニングは、いわば高度なオウム返しであって、何か入力があるとそれに対する過去の事例を素早く引き出して返すと言う方法です。 中身の意味は分からなくても良いのです。

30年ほど前に、「人工無能」と言うお遊びのプログラムがありましたが、何か質問すると、適当に答える。 しかしその気になっていると不思議に会話が成立している「感じがする」と言うしろもので、これと今の人工知能会話とどれくらい違うのか。 本物のひととの会話でも、日常挨拶は、ほとんど人工無能でなされていると感じるときがあるくらいです。

意味理解が出来ると人間本来の能力である「自意識」が形成されるかも知れません。 こうなるとやっと本物の「人工知能」になってくると思います。 ひょっとすると、意味理解とさらに別の技術ブレークスルー、流行の言葉で言うと技術シンギュラリティがあると、自意識が芽生えると思っています。 生きている内に本物のAIを体験できるのか?

インターネット上の更に大きな技術シンギュラリティは、ブロックチェーン技術です。 従来あったP2Pと言うサーバーレスシステムに暗号化技術を組み合わせたものですが、これはインターネット創造以来の大発明でしょう。 30日の日経本紙の1ページ広告と各ページの1/4広告は、何とビットコインの広告で埋め尽くされ、非常に象徴的だと感じました。

ブロックチェーンは、まずビットコインなどの仮想通貨でスタートしましたが、これからは、電子契約文書や登記文書などの大規模な原簿が必要な分野に革命を起こすと思います。 いずれは契約は全てインターネット上のブロックチェーンでなされ、暗号による個人認証が実印に替わるでしょう。 印鑑証明は過去の遺物になりそうです。

しかし現在のブロックチェーン技術は欠陥も多く、まだまだ発展の余地は大きいと思います。 また全てのトランザクションをブロックチェーン上に置くのは非合理的なので、契約文書の本体などは、従来型のデーターセンターに置かれるようになると思います。

1960年代にインターネットが発明されて以来、Webの発明を経て、50年を経過して、とうとう全地球規模で隅々まで地理的にも、経済的にも、政治的にも浸透してきて、いわばインターネット2.0とも言うべき時代に入ってきたのは間違いないでしょう。 しかも、一国はおろか全世界の仕組みや民主主義そのものにも影響を与える存在になり、それがさらに進展する時代になりました。 後生に残るターニングポイントだとひしひし感じます。 インターネット1.0を体験し、2.0のとば口を垣間見れたことにわくわく感が絶えません。

今月のひとこと2016年12月号





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2016年12月1日
驚愕のトランプ大統領誕生に世界中がひっくり返った11月でした。 冷静に考えると、民主党政権が8年も続いて、これと言う成果も無い中で次は共和党だと言うのが、まず第1点。 それとみんなは口には出さないが、黒人の大統領の後で女性の大統領でマイナーが16年続くことになるの第2点目。 私見ですがトランプの意図的な女性蔑視発言もこの辺りにポイントがありそうです。

意外だったのは白人女性の支持が意外にもトランプの方が高かった。 また白人低所得層も言われるほどトランプ支持ではなかった。 むしろ中間所得層以上の白人男性の支持が高かったと言うことです。 確かにオバマ民主党は、議会のねじれも有って、これと言った政策を実行できなかったし、その路線を踏襲するヒラリーも同じ評価だったのですね。

総得票数ではヒラリーが200万票も多かったようですが、選挙慣れしているはずのヒラリーが何で落としたのか? 共和党のサポートが十分得られなかったトランプの素人集団が何故選挙戦術で勝ったのか。 一説では、優秀なIT技術者がビックデータを駆使して選挙戦略を立てたと言うことです。

つまり従来型のメディアの予想がことごとく外れた事と、ビックデータの正解は非常に象徴的だと思います。 ツイッターなどのデータを利用したビックデータ解析では、従来型の面談や電話による世論調査では出てこない隠れトランプ票を検出していたのだと思います。

日本の世論調査も電話で行うようですが、これは日中に固定式電話に出て回答する人にバイアスがかかります。 質問の仕方によっても変わりますが、各社とも固定式電話による数千のサンプルデータですので、非常に危ういと思っています。

最近の大きなテーマの天皇生前退位問題も、世論調査では反対はたった5%しかなかって、大抵の機微な調査では反対は20-30%はかならずあるので意外でした。 私はどちらかというと慎重な考えですので、同じ意見は5%しかないのだとビックリしましたが、専門家のヒアリングでは1/3ぐらいが慎重な考えでした。 私と全く同じ意見と述べる人も居て、瞬間的には疎外感があったのですが、安心しました。 同じように考えている人は、5%では済まないと思うのですが、実態は分かりません。

ヨーロッパはブリグジッットで大騒ぎとなり、アメリカはトランプ騒ぎで、今度は韓国が大騒ぎになっています。 最初は単なる大統領絡みの、良くある不正疑惑だと思っていましたが、だんだんとデモの規模が大きくなり、最初は北の資金援助があるのでは? と言う見方もあったのですが、どうも一般民衆の中に不満が鬱積して、それが爆発したようです。 こう見ると、3つの流れは同じような閉塞感に対する不満が吹き出てきているように思います。 それが従来型のマスコミには反映されなくて結果的に爆発に見えてしまうのではないでしょうか。

日経平均はトランプ相場を反映して、しかも原油減産が予想以上の結果で、現時点で18600円超になりました。 確かにこの調子だと年末には19000円に到達しそうですが、その前に調整があると言う見方もあります。 対ドル円は140円になりましたが、これでFRBの利上げが12月に行われると120円も視野に入ってきます。

トランプ優勢の時の株価の動きも驚かされましたが、今後も波瀾万丈になりそうです。 恐らくヒラリーが接戦の末に制するだろうと思っていて、昼食を食べながらTVを見ていたら、オハイオはトランプ、しかもフロリダで優勢と言うことで、慌ててPCを見に行ったのですが、ちょうど昼休み。 後場の寄り付きでと思ったら、値が付かない状況がしばらく続きました。

やっと値が付いたと思ったら、さらに下がって、それから少し上がって、また下がる。 これは想定通りと思っていたら、1000円安あたりから、急上昇。 慌てて買い戻す事になります。 この時点で空売りをしていた人は大きな損失を蒙ったのではないでしょうか。 長年見なかったリアルタイムの乱高下でした。

これでロムニーが国務大臣になったら、米国も盤石ではないでしょうか。 トランプ自身が良く分かっていて、選挙戦中にあれだけ非難していたロムニーを三顧の礼で迎えようとしていますが、恐らくロムニーは受けるでしょう。 株価には良い影響があり、これと利上げ円安、トランプ政策で、株価は上がるしか無いです。 ジュリニアーニの声もありましたが、国務長官と言うレベルではないと思います。

最近のITの話題は少ないのですが、中国製スマホにバックドアが仕込まれていたと言うニュースがありました。 国防高等研究計画局(DARPA)関連のセキュリティ解析ツール提供会社が、Shanghai ADUPS Technologyが開発したファームウェアが問題だそうです。

Shanghai ADUPS TechnologyはFirmware Over-The-Air(FOTA)アップデートサービスを提供する中国の大手企業である。クラウドベースのサービスを展開しており、同社が開発したファームウェアを組み込んだスマートフォンは、インターネット経由でファームウェアアップデートできます。

このADUPS製ファームウェアを採用したスマートフォンは、ユーザーの位置情報やユーザーの通話履歴、連絡先情報、および入力したテキストメッセージなどを収集し、72時間おきに、中国にあるサーバーに送信していたという。 BLU Products製のスマートフォン「BLU R1 HD」で確認されました。

ADUPSのファームウェアはこのほかにもHuaweiやZTEといったメーカーが採用し、出荷数は7億台に上るとの試算があり、潜在的に問題は存在するそうです。 しかし今のところBLU Products製のスマートフォン以外では問題は報告されていません。

これとは別にRagentek Technology製ファームウェアを採用するAndroid端末に深刻な脆弱性が見つかったとのこと。 これは、無線経由でファームウェアをアップデート(Over The Air=OTA)する際に暗号化通信が行われないというもので、中間者攻撃の手法によってリモートの第三者がroot権限で任意のコードを実行できるそうです。 知らない場所での公衆Wifiでのアップデートは止めましょう。

いずれにしても、スマホのデータは流出することを前提に使うべきですね。 GoogleにしろMSにしろ、何らかのカタチでデータは送っていますし、その確認は非常にややこしいです。 通常のメールも、その気になれば全部見れますので、メールは葉書と思って、他人に見られることを想定して書くことです。 あまり固有名詞は使わないとか、当人同士しか理解できないように書くとか、少しテクニックは必要です。 どうしても機微な情報の場合は、面倒がらずに暗号化しましょう。

単純なパスワードでも無いよりマシです。 pdfやZip圧縮でもパスワードは掛けられます。 折角、国の認証が付いたマイナンバーカードがあるので、これの公開/秘密鍵を使えば良いと思うのですが、なかなか良いツールが出てこないです。 自で作った鍵で暗号化しても良いと思いますが、相手が公開鍵を知らせて来ないと暗号化できないです。 せめて自分は後悔しましょう。 その第一歩で、自分のメールの発信者認証のために、シグネチャーにフィンガープリントを付けることにしました。 以前は自分で作った鍵のフィンガープリントでしたが、今回からは正式のマイナンバーカードのフィンガープリントですので、一生使えます。

今月の読み物は、良い読み物が無く、それと読む暇が無かったので、休みです。