今月のひとこと2008年11月号

11月3日
いよいよ秋も深まってきました。 今週はアメリカ大統領選挙で、オバマ大統領が生まれるようです。 期日前の投票が3割を超えるという報道があって、これはオバマに有利に働くでしょう。 震源地のアメリカが大統領選挙をやっているのに、対極にある日本は、総選挙延期でなんとも締まりませんね。 どうせ今回の問題は長期化するので、少々バタバタしてもしょうがないと思います。 また、全世界的な不況なので、日本がジタバタしても外的要因の方が大きいでしょう。 円高と騒いでいましたが、あっという間に100円近くになって、輸出関連企業は当然に為替予約(早い話が先物)を手配しているので、そんなに急激な影響は出ないはずです。

今回の世界同時不況で、金融技術の全てが否定されているような感じですが、サブプライムローンにしても何にしても、リスク分散技術がうまく機能しなかった、もしくは過信したということでしょう。 あれだけの株価や原油先物価格の乱高下の中で、売る人がいて買う人が居ると言うのは良く考えると不思議ですね。 もっとも日本で株価の最大の下げをした時にちょうど株価を見ていたのですが、午前中はほとんど値が付きませんでした。 東証上場の株価があれだけ寄り付きで値が付かないのははじめて見ました。 それでも買い注文と売り注文は出ていました。

今回の問題は、リスクを引き受けるべき金融機関がその対応力以上のリスクを引き受けてしまった事に最大の原因があると思います。 良く調べていませんが、問題を起こした投資銀行に対する規制が甘かったと言う事でしょう。 通常の銀行はBIS規制として自己資本率8%とかの規制がありますが、投資銀行に対する、これが緩すぎたのではないでしょうか。

それにしても、ノーベル経済学賞はどうなっているんでしょう? 今回の金融危機の遠因になっているのは、ご存知ブラックショールズの式で、これでデリバティブの価値を計算できた事によって、現在の広範な証券化の端緒となったと思います。 その前にはLTMの破綻を切っ掛けにしてロシア危機があったのは記憶に新しいところで、このときもノーベル賞受賞者が会社を立ち上げて、それで失敗したと言う事で、この時は個人的な問題として捉えられていたのですが、今回はそれを遥かに凌駕する問題となってきました。

ちなみにノーベル経済学賞は、本当のノーベル賞ではなくて、後で追加されたものと言うことです。 さらにはノーベル賞には数学分野はありませんので、本来のノーベルの趣旨から言うと自然現象を扱わないノーベル経済学賞と言うのは平和賞と並んで胡散臭いもののひとつです。

ノーベル賞と言えば、今回は久々に理論物理の世界で受賞が決まりました。 ヨーロッパのLHCの建設で機運が湧いてきたのでしょうが、少しタイミングが遅かったです。 自発的対称性の破れの南部陽一郎は貰って当然と思っていましたが、本人も30年前までは貰って当然と思っていた、とインタビューに答えています。 CP対称性の破れを観測したリー・ヤンとは意味合いが異なりますが、1957年にノーベル賞を貰っていますので、これよりもっと根源的なので受賞してもおかしくなかった。 それにしても良く生きていた。 死んでいてもちっともおかしくない年齢だし、風貌も変わっていました。 流石に授賞式には行かないそうです。

小林・益川理論も当時は、クオークが6種類以上ないといけないと言う理論があるよ、と言う感じでしたが、トップクオークが発見されて実証されたということで、その時に受賞すべきだったと思います。 ヨーロッパのLHCでは物質に重量を与えるヒッグス粒子の発見が目標ですが、早くもこれが発見されたらノーベル賞だという声もあります。 小林・益川の先生の坂田昌三ももらっておかしくないと思いますが、少し外しているのと、すでに亡くなってしまいました。 残念。

理論物理は、大量生産で色んな可能性を理論的に追求して、それが当たると大きいが外すと何も残らないという感じです。 片方の実験物理は、だんだんと仕掛けにお金がかかるようになってきていますので、例えばヨーロッパのLHCは日本・アメリカ・EUの相乗りになっています。 日本からも若手の研究者が100人以上参加しているそうです。 北京で銀メダルを取ったフェンシングの選手が言っていましたが、世界レベルならほとんどレベルは同じ、思い切って突っ込んでいってそれがたまたまうまく行ったらメダル。 下手したら入賞も出来ない。 学問の世界も同じで、見極めて突っ込んで行って、それが当りなら世界で評価されるということでしょう。

 

 

日本の理論物理の草分けは、何と言っても湯川秀樹。 確かに天才と言って良いでしょう。 彼が中間子のアイデアを考え付いたのは第2次世界大戦の前ですから、大変なものです。 だから、敗戦国にも関わらず受賞できたと思います。 湯川的と言う言葉があるくらいですから。次は、朝永振一郎。 くりこみ理論をJ.S.シュウィンガー R.P.ファインマンと共同受賞しました。 くりこみによって、本来計算が出来ない粒子の電荷などを計算できるようになったのですが、単なる数学テクニックとも思えます。 そのせいか、ノーベル賞の紹介の中ではあんまり出てきません。 しかし、くりこみ可能かどうかは大きな問題で、重力子は繰込みが出来ないので研究が進んでいません。

3人目は江崎玲於奈。 トンネル効果を発見して、半導体の進歩に貢献しましたが、少し工学的な匂いが強いので、これなら他にも西沢潤一はどうだとなります。 貰っても不思議ではない人で、自分でもそう思っていると言うことです。

その後なにもなくて、2002年にニュートリノの小柴昌俊。 カミオカンデが有名ですが、本来は標準理論で予言されている陽子の崩壊を検証するために作ったもので、本人曰くニュートリノを観測したかったが、それでは当時の文部省がうんと言わないのでそうした、との事ですが、作って2-3年で銀河系のごく傍で新星爆発があると言う極めて運の良いめぐり合わせでした。 結局、陽子の崩壊の証拠は得られず、そのうちに検出器が大量に破損して、もしこの時に新星爆発があったら、ノーベル賞はありませんでした。

その後に今回の正統理論物理の系譜とも言うべき受賞で、朝永振一郎以来の40数年ぶりの出来事です。 10次元とかスーパーストリングとかいろいろ話はありますが、最近の理論物理は少し停滞気味ですね。 だからヨーロッパのLHCに期待が集まっているのでしょう。 新たな現象が出てくれば、また理論も進展するでしょう。

ちなみに、これを見ておられるインターネットとかWebサイトとかブラウザとかは、LHCを立ち上げたCERNと言う組織で、論文を共有しようと言うことで始まったのです。 ネットワーク自体は、アメリカで生まれたのですが、その上で動くいわゆるインターネットはCERNのTim Berners-Leeによって、最初のブラウザであるMOSAICが作られました。 その後、シリコングラフィックス (SGI) の創業者ジム・クラークがCEOを投げ打ってしてマーク・アンドリーセンらとモザイク・コミュニケーションズ設立。後にネットスケープコミュニケーションズとなりました。 意外なところで、ノーベル賞とインターネットが結びついているのです。

そう言えば、ネットスケープコミュニケーションズもAOLに買収され、そのAOLもタイム・ワーナー(CNNやワーナー・ブラザーズ等を傘下に持つ)を買収し、世界最大の複合企業体になったが、今はタイム・ワーナー社の一部門になってしまった。 栄枯盛衰。

今月の読み物は、少し古いですが、「入門 超ひも理論―物理学の最終理論をやさしく解説!」広瀬 立成 著 中古商品 ¥660より。 上記のノーベル賞と絡めて読めば面白さ100倍。 ひも理論だけでなくて、理論物理の初歩からの解説があります。 ちなみに南部陽一郎は対象性の破れのほかにひも理論も発表しています。 提唱したのは、大きなと言っても原子サイズのひも。 「超」と付くのはそれより遥かに小さい、極限の空間サイズと言うことです。

出版社/著者からの内容紹介
「この世のあらゆるものは振動するひもからできている」――この驚くべき理論が、いま物理学に革命を起こしている。これまで物質の究極の姿はクォークなどの素粒子であるというのが定説であった。しかし超ひも理論は、それよりもさらに小さい1種類のひもがすべての根源だという。

超ひも理論のすごいところは、これまで発見された色々な素粒子の性質をすっきりと説明できるだけではなく、自然界に存在する重力、電磁力、弱い力、強い力という4つの別々の力を統一――すなわち一つの力の異なる側面として記述することができるのである。

力の統一ということがいかに革命的なことであるかは、アインシュタインがその生涯をかけて取り組みながらも、ついに達成できなかったことを見ても明らかであろう。

本書はその難解な「超ひも理論」を一般向けに解説したはじめての本。相対性理論や量子力学の初歩からわかりやすく解説してあり、文科系の人でも読める。

内容(「BOOK」データベースより)
みんな“ヒモ”だった!?「この世のあらゆるものは振動するひもから出来ている」―この驚くべき理論がいま物理学に革命を起こしている。アインシュタインも成し得なかった、自然界の4つの力を統一する究極の真実とは。相対性理論、量子力学の初歩から学べる。

内容(「MARC」データベースより)
この世のあらゆるものは振動するひもからできている-。この驚くべき理論がいま物理学に革命を起こしている。アインシュタインも成し得なかった、自然界の4つの力を統一する究極の真実とは? 一般向けにやさしく解説する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
広瀬 立成
愛知県生まれ。1967年、東京工業大学大学院博士課程修了。東京大学原子核研究所、ハイデルベルク大学・高エネルギー研究所などを経て、現在、東京都立大学理学部教授。理学博士。専攻は高エネルギー物理学実験(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

今月のひとこと2008年10月号





「今月のひとこと」の目次
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10月4日
今週は急に寒くなって、最低気温は15℃にもなりました。 冷房と暖房を交互に切り替えないといけないような状況です。 アメリカ発の金融危機も混迷を深めて、日本の経験を生かすはずのアメリカでももたもたが続いています。 本稿を書いている時点で、やっと不良債権法案が通ったのですが、ダウ平均は通貨直後は300ドル以上の上昇だったのが、150ドル以上の下落で後場を終えたようです。 要するに効果は無いと市場が判断したものでしょう。 結局、銀行の資本不足になってしまって、後は資本注入しかないのでは無いでしょうか。 しかし、当の銀行の資産査定も行われていず、来月は大統領選挙で、具体策は打てず、日本の解散時期や景気後退と重なって、どうにも身動きが出来ない状態です。 左は急に有名になったリーマン兄弟。

まあ、日本はここまで来るのに、10年ほどかかっていますから、それに比べたら素早い方でしょう。 日本では、この時点で竹中大臣の半強制的な資本注入で日本経済はやっと底を打ったのです。 それにしても、つい最近まではアメリカは大騒ぎしているが銀行の資本は大丈夫だから、と言われてきたのですが、急速に状況は悪化してるようで、来年からの動きに注目する必要があります。 長期戦となるようです。

暗い話はさておいて、最近話題の5万円ノートPCの先頭を行く、ASUSTekの EeePC701 SD-X。 値段は税送料込みで37,890円。 画面が 7型ワイドTFTカラー液晶800×480ドットと小さいものの、無線LAN、30万画素カメラ、マイク、USB3ポート、SDHCスロットを持ち、グラフィックスもフルのRGBコネクタが付いています。 メモリ関連は、メインメモリが512Mbとまあまあですが、ディクスが無くてメモリ(SSD)になっていて高速だが、これが8Gbと小さい。 その代わり外付けのUSBディスクが30Gb付いています。 これに小型のマウスが付いているので、ディスプレイを除くとコスト的にギリギリ削ったという感じはしません。 最後にびっくりするのは、これにXPのHomeがインストールされていることです。

よくまあこの値段で出せるな、と思っていろいろ眺めてみました。 これにOfficeの代わりにOpenOfficeを乗せれば、通常のビジネスには問題なく使えます。 問題のディスプレイもフルのRGBコネクタが付いているので、そのまま通常のディスプレイに繋ぐと、1024×768は表示できました。 また、本体のディスプレイと2画面でも使えます。

最近の広告で、DELLが5万円を20円切るノートブックを出してきました。 DELLにはいろいろプラスαがあるので要注意です。 タワー型が安いと思って買うと、送料に5000円も取られてしまいます。 また、最近はXPにしたいと思うと、ダウングレード費用が必要で、これが6-7000円も必要になります。 さらにOfficeを乗せるとすぐに8万円ぐらいになってしまいます。 ここは先ほど言ったような OpenOfficeを使うべきでしょう。 最新バージョンは良くなっていて、Word、Excel、Powerpointの全てを含んでいます。 モノによっては(特にWord)は元のより出来が良いと思います。

先月号で紹介した、パンソニックの新しいビデオレコーダーが入ってきました。 しかし結果はあまり良くありません。 軽快だった操作が重くなって、他のレコーダーと同じようになってしまいました。 画面の表示も綺麗になったのは良いのですが、何か見難い。 前のものの方が綺麗ではなかったですが、見やすかったと思います。 アクトビラが見えるようになったのは進歩ですが、最大のポイントの操作性が落ちたのが残念ですね。

先日たまたま無線LANを探していたら、FONと言うのを見つけました。 それなりに有名らしいのですが知りませんでした。 要するに、Wi-Fi(通常の無線LAN)を使って全員参加型でアクセススポットを世界中に広げる、アクセスポイントを提供した人は、他の世界中のアクセスポイントで無料でアクセス出来ると言うもの。 ポイントは、やはりセキュリティ。 自分で引いたネットのルーターの内側に公衆アクセスポイントを繋ぐので、ここが心配になります。

端末はヨドバシを含むどこかの通販でいつでも買えます。 値段も安くて安いほうは2000円ぐらい、高いほうでも4000円程度(上位機種)です。 これでWi-Fiのアクセスポイントが買えるのなら、これだけでも安いものと思います。 2000円と4000円の差も結局たいしたことが無いので、2000円の分で十分です。 ファームは常に更新されているらしくて、電源を入れて30分はダウンロードなので処理が行われているようです。 Use OpenOffice.orgIDは自分のIDプラス追加で5個まで発行できますので、喫茶店などで一時的にIDを発行すれば5人まで使えることになります。 問題は、通常のプロバイダはこう言う使い方を想定しないと言うか、約款で禁止しているのが大半だとおもいますので、おおっぴらには使いにくいでしょう。 もっとも、現状でも通常のアクセスポイントを設置して使っているところもあるようなので、それほど特殊なケースになるわけではないでしょう。

上位機種では指向性のある外部アンテナを接続できるようで、100mぐらいは届くようです。 しかし認可を得ているわけではないようなので、電波法違反になる恐れがありますと表示されています。

全世界の、もちろん全日本のFONの設置されている地図を参照できますが、結構たくさんあるような感じです。 Wi-Fi用の無線IP電話機も発売されていますので、ある程度敷詰めが出来れば、ケータイに取って代わるかもしれません。

今月の読み物は、夏から読もうと思ってなかなか読めなかった、大東亜戦争の実相 (PHP文庫)瀬島 龍三 著¥650税込。 あれだけの戦争を実際に動かした人に興味があって以前から読みたいと思っていました。 単なる軍国主義や兵器オタクでは、あれだけの戦争を遂行できませんからそれなりの参謀がいたのだと思いましたが、そのとおりでした。 戦後は伊藤忠の会長までなった人ですから、何をやらせても出来たのではないかと思います。

出版社/著者からの内容紹介
なぜ日本人は大東亜戦争を戦うことになったのか。当時の日本人の苦悩に満ちた選択を、大本営陸軍参謀であった著者が虚心坦懐に語る。
六月、皇太后陛下が崩御され、これで昭和という時代が確実に終わったと実感した人は少なくない。しかし、一つの時代が終焉しても、語り継がれるべき歴史というものがある。

 本書は元大本営陸軍参謀将校として、大東亜戦争勃発の経緯をつぶさに見てきた著者が、日本がなぜ大東亜戦争を戦うことになったのかを、明治維新から日清・日露の戦争を経て、大東亜戦争にいたるまでの歴史を凝視しつつ、大東亜戦争は「自存自衛の受動戦争」であったという立場から、苦悩する近代日本の姿を、鮮やかに叙述したものである。

 本書は今から28年前の、ハーバード大学における講演録であるが、国家存亡の危機にあって当時の日本人が守り抜こうとした精神とは何であったかを問う著者の論点は、今、八方ふさがりの状況にある日本人への、危機に対する問題意識の喚起といってもよい。21世紀の国の形を考えるうえでの必読の書である。

本書は、1972年、米国・ハーバード大学で国際関係学者約50人を前に行われた講演を、20世紀末になってからまとめたものである。戦時中、陸軍最高統帥部の作戦部に勤務し、全軍作戦の企画立案指導に携わった瀬島氏の貴重な証言である。
著者はまず戦争の呼び名を太平洋戦争でなく、あえて「大東亜戦争」とする理由を語っている。それは、大東亜新秩序を建設するための戦争であるから大東亜戦争と呼んだのではなく、単に大東亜の地域において行われる戦争という意味合いに過ぎず、戦時中の法令や条規の随所に使用されていた歴史的事実によるものだという。このあたりは、大東亜戦争の名で戦争作戦に深くかかわった著者のこだわりが感じ取れる。
まず興味を引くのは、当時の大本営の姿が、その内部にいた者の証言として生々しく語られていることである。対等の立場という位置づけでありながら大本営に引きずられざるを得なかった政府。陸軍と海軍の内部対立。そうした中で、「自存自衛」のために開戦に追い込まれた当時の日本の苦悩が如実に示されている。
著者は、末尾で大東亜戦争を踏まえての7つの教訓を語っている。そこでは大陸政策の失敗、軍事優先の国家体制などが挙げられているが、特筆すべきは明治憲法下における国家運営能力が時代に適応しなくなったという点である。当時の国家運営は実質的には元老と呼ばれる勲功者たちによって運営されていたが、最後の元老といわれた西園寺公望は開戦直前の昭和15年に死去していた。いわば、明治維新以来の政治体制の崩壊が開戦に至った遠因の一つであるという指摘は、興味深いものがある。(杉本治人)


今月のひとこと2008年9月号





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9月6日

猛暑の夏も少しはマシになってきました。 そんなところに降ってわいたのが福田首相電撃辞任。 成りたくて成ったわけではない首相の最後は、新聞の記事で見た、成り際が汚ければ引き際も汚いと言うことでしょう。 アメリカの大統領選挙も共和党にアラスカ州の知事を新たな副大統領を迎えて、俄かに活気付いたようです。 マケイン候補もうまい副大統領を連れてきたと感心しました。 これでクリントン支持者も取り込めるし、保守層も安心するし、一石三鳥ではないでしょうか。



そうこうしているうちに、アメリカで悪い経済統計数字が出てきたことを切っ掛けに、全世界株安に突入しました。 ついこの間までは、アメリカは意外にしっかりしている、底堅い、と言われていたのですがそうでもなかったと言う所でしょう。 中国のオリンピック後もオリンピックはGNP比では2-3%程度だし、地域も北京に限定されていると言うことだったのですが、これからどうなるかは予断を許しません。



中国は共産主義と言うより、独裁的な方がこのような場合には気になるのですが、今までの所は、この独裁がマイナスの面よりプラスの面が強かったので、トータルではうまく行っているように見えます。 道路にしても、立ち退きは強制的で速やかです。 日本みたいに10年もかかると言うわけではありません。 あっという間に町の真ん中に大きな道路が出来てしまいます。 経済のコントロールはこれとは全く違うでしょうが、決断は速やかに行えると思います。



ITの最近の話題はあんまり無いのですが、パナソニックからまた新しいBDレコーダーが発売されたので、その話題です。 何回か本欄でも取り上げましたが、全体のバランスではパナソニックが良いし、その映像圧縮技術が発展していくのでそれが面白いと思っています。 従来の機種では、4倍の圧縮(HEモード)でしたが、今回は5.5倍の圧縮(HLモードが新設)を実現しているそうです。 圧縮後の映像品質はまだ検証されていませんが、従来の4倍ですと、2時間の映画が少しの事で通常のDVD-Rに入りません。 しょうがないので両面のDVD-DLにするのですが、生板が高いのと、今度は2枚分ですから大幅に余ってしまいます。



新しい機種ではアクトビラに対応しているようです。 要するにビデオ・オン・デマンドサービスで、ネットワークでダウンロードして映画やアニメが楽しめます。 ただ アクトビラ ビデオ・ダウンロードは、2008年12月以降サービス開始予定との事。 いずれにしてもレコーダーに落とせるのは良いですね。



パナソニックのDVDレコーダーは画質も良く、なにしろ電源をいれてからの起動時間が速い、ほとんど数秒で使えるようになります。 しかしそのために欠点も目に付きます。 最大の欠点は、録画予約した番組の番組情報を見ることが出来ない点です。 カスタマサービスに電話したら、クレーマーと間違えられて、えらく丁寧なおばさんが電話してきましたが、要するに「すみません」としか言ってくれなくて、他社では当たり前の機能が何故ないのか? この疑問に対しては要領を得た回答がありませんでした。 コストアップになるとか、良く分からない説明でした。



他には、これは公にする欠点では無いかも知れませんが、NHKのBS放送を受信していると、設置の連絡をお願いします、と言うメッセージが、ちょうど字幕が出るところに出て、一種の嫌がらせがあるのですが、これが他社のDVDレコーダーに一度録画して、追っかけ再生をすると見えなくなるのですが、パナソニックではそれも録画されています。 他社の期首でも最新のものは、NHKからの要請でそうなっているのかもしれません。



他は、みんなから言われている、リモコンの使いにくさ。 コストダウンになるとは思えないのですが、蓋を付けて2重構造になっている。 設計としてはめったに使わないものは蓋を開けて操作しろ、と言うことなんでしょうが、ちょっとした事、例えば番組のタイトルを表示する、みたいな機能がイチイチ蓋を開けないと操作できない。 その代わり?外部のボタンが大きい。 大きければ使いやすいだろうと言う事か、と言うのは一般の見方です。



HDに圧縮モードで録画できるのはW録のときは片方のみ。 これは圧縮エンコーダーが1組しか無いためで、片方はまったく圧縮なしのDRモード(DVDのDRとは違う)で録画するのはしょうがないでしょう。 ここから威力を発揮するのが、使っていないときの、DR画像から圧縮画像への変換が出来ること。 圧縮エンコーダーを作った人は余程エンコーダーが遊んでいる事が気になったのではないでしょうか。



DRで録画して、空き時間に圧縮して、それをそのままDVDに焼くと高速で4-5倍速で焼けます。 この使い方が最も良い使い方ではないかと思います。 だた最初はDRで録画するので、HDの容量は少し多めに必要になります。 ただ何故か分かりませんが、このDVDはDVD-RやDLやパナソニックですからDVD-RAMは使えるのですが、DVD-RWは使えません。 何の意味があるのか不明です。



短命で終わるかと思ったDVD-RAM ですが、このように意外に延命していて、量販店でも沢山売っています。 高速の書き込みも可能になってきました。 次世代はBDで決まりました。 こう言うときはいつも思うのですが、技術の高いほうが勝ちます。 コストは後から付いてくるので、コストが安いからと言うのはいつかは消えていくと思います。 BDの生板も安くなってきましたので、これと圧縮技術を組み合わせると、1枚のBDに4-5番組を入れることが出来ます。 これは以前にMP3が出来たころ、CDを10枚以上持ち歩いていたのですが、MP3に圧縮して1枚のCDに入ってしまいました。 これの延長線がiPodでありiTuneであるわけです。



記録媒体の方の、SDメモリも物凄く安くなりました。 ギガバイト当たりで1000円ははるかに切っているのではないでしょうか。 この間デジカメ用に1Gバイトのメモリを買ったら1,000円以下でした。 要するに1メガバイトで1円と言う一昔前なら想像すら出来なかったレベルになっています。 映像の圧縮は一筋縄では行かないので、MP3の時ほど劇的ではないですが、圧縮すなわちLSIと記録媒体すなわち半導体メモリの組み合わせはますます進化するでしょう。



一番最初に出会ったディスクと言うか記録媒体は、5インチのペラペラのFD。 これが256キロバイト。 今で言うと 1/4円相当。 これが3.5インチになって、1.4メガで終わりました。 次は、大きな10インチのディスク。 ドカンとラックから引き出しになっていて、固定円盤とカートリッジになっていて、それぞれ10メガバイト。 これでも物凄く有難かった。 同時にDBに使えるように大型のディクスを入れましたが、これが80メガバイト。 要するに10メガの円盤が8枚入っています。 電源を入れると地下鉄の列車が走るような音がして、大型冷蔵庫ほどの大きさがあって、一度故障するとヘッドが取り替えられて、20万円が飛びました。



本格的なディスクは、当時は一世を風靡した富士通のイーグル。 8インチで20-30キロもあって取り付けたり外したりするのが大変で、これで86メガ。 その後156メガになりました。 3.5インチのフルハイトの最初に使ったのが、170メガバイト。 わざわざロスの北にあるシミバレーというところにある会社まで何度も納期交渉に出かけた事を思い出しました。 こんな事を思い出していると隔世の感がありますが、30年ほど前の話です。



今月の読み物は、進化しすぎた脳 (ブル-バックス) (新書) 池谷 裕二 著 ¥1,050税込。 全体が講義風になっているので、最初は違和感がありましたが、最後まで読むとまあまあかなと言う感じです。 脳が体を作っているのではなくて、体が脳を作っている、というのはなかなか面白い。 高機能の声帯がまず出来て、それをコントロールするために脳の機能が増えた、また声を出すことによって抽象的な考えや思想を脳がハンドリング出来るようになった。 脳だけ取り出して、培養液の中で育てて、外部は全てシミュレーションをするという様なお話がありますが、これは一時的には行けるのでしょうが、長期間では脳が死んでしまうのではないでしょうか。



しかし、こんな複雑なものが自然の進化の果てに出来たと言うのは本当に信じられない。 余程の偶然に遭遇しないと出来るとは思えませんね。 意識とは何か、コンピュータに意識を持たせるにはどうしたらよいのかが提起されています。 脳には1000億のニューロンがあるそうです。 30年前にインテルのグローブ氏の話をコムデックスで聞いたときに、CPUのトランジスタが10年後に10億になる、と言う話を聞いてあと2桁で脳に匹敵すると思ったのですが、1つのトランジスタが1つのニューロンに対応するはずも無く、まだ

何桁かの差があるように思えます。 これだけの数で、消費エネルギーは電力換算で、20Wだそうです。 少しのトランジスタしかないCPUがチンチンになってファンを回さないといけないのはまだまだ自然の進化には対抗できるほど技術力が低いということでしょう。



出版社 / 著者からの内容紹介

『しびれるくらいに面白い!』 最新の脳科学の研究成果を紹介する追加講義を新たに収録!

あなたの人生も変わるかもしれない?

『記憶力を強くする』で鮮烈デビューした著者が大脳生理学の最先端の知識を駆使して、記憶のメカニズムから、意識の問題まで中高生を相手に縦横無尽に語り尽くす。

「私自身が高校生の頃にこんな講義を受けていたら、きっと人生が変わっていたのではないか?」と、著者自らが語る珠玉の名講義。



メディアから絶賛の声が続々と!

『何度も感嘆の声を上げた。これほど深い専門的な内容を、これほど平易に説いた本は珍しい』――(朝日新聞、書評)

『高校生のストレートな質問とサポーティブな池谷氏の対話が、読者の頭にも快い知的な興奮をもたらす』――(毎日新聞、書評)

『講義らしい親しみやすい語り口はもちろん、興味をひく話題選びのうまさが光る』――(日本経済新聞、書評)





今月のひとこと2008年8月号





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8月3日





温暖化の影響か、物凄く暑い日が続きます。 子供のころには、氷は必ず張りましたし、年に1回は必ず雪が積もりました。 最近では冬が暖かくなって、夏はさらに暑くなりました。 年間平均温度の上昇は1℃程度ではなくて、2-3℃あるような気がします。 都市部では、ヒートアイランド現象で、このような大幅な平均気温の上昇が見られるのでしょう。



これに反して、株価は下がりに下がっています。 3月に少し持ち直したのですが、さらに2番底を狙う展開になっています。 年末まではいろいろあるとは想定していましたが、その想定より大きな変化があるようです。 内閣改造もパッとせず、少なくとも年末までの半年は不透明で不安定な状況が続くでしょう。



今までは成果の配分、これからは負担の配分が政治の要点と言った政治家が居ましたが、全体のパイが大きくならない状況の中で、取り合いをしても意味が無く、全体が沈んでいる中での増税なんぞは本当に意味が無いと思います。 日本経済には底力があって、相対的に株式の評価も上がって良いはずで、中国などとの経済効果で、大きなアジア経済圏を作ることが出来るはずなのに、チマチマとした、安心安全みたいな政策目標かどうか分からないような政策が出来たりして、もともと政府と官僚がもたらして問題があるから安心しなくてはならないので、それを政策みたいに言われると、それはないだろうと言いたくなります。



原油価格が少し下がったようですが、またぞろ上がりだしたようです。 本当に投機による価格なら、すでに大幅に下がっているでしょう。 この時に大きく言われたのが、投機は悪い、何とか抑えろ、と言う事でした。 日本は、何故か金融に対しては保守的と言うより無知と言うほうが正しいので、戦争は悪だから、自衛隊の装備についても何も知らない、知らせない、みたいな事と相通じるような気がします。 高名な政治評論家でも、経済のことになると、急に素人以下になって、投機は悪だ、外資は全てハゲタカだ、と言い出す始末。 もう少し知識を身につけないといけないと思います。 原油価格高騰の時に言われたのが、投機は悪で、これを取り締まらなければならない、と言う事で、確かに何らかの規制は必要でしょうが、洞爺湖サミットでも、アメリカはとことんこれに反対したそうです。



意外に日本では知られていない事は、原油で問題になった、先物取引が本格的に行われたのが、大阪の堂島の米売買が1730年頃であったということです。 これはアメリカのシカゴで穀物の先物取引が開始される約100年前になります。 もっと驚くことは、現在行われている先物取引の基本的は仕組みがこの時に作られています。 先物取引、特に穀物先物取引は、日本の大阪で始まったと言うのが、世界の常識ですが、日本では誰も信じません。



当時の堂島では、1300人ものトレーダーが、証券化された米や、先物、デイトレードまで、インターネットのある現在とほとんど同じように取引されていたそうです。 通信には狼煙とか、旗が用いられ、現在でも旗振り山のような地名がアチコチに残っています。 ひょっとしたら、江戸時代は、商人も、政府の役人も、現在より余程すごい仕事をしていたのかも知れません。





もともと、なぜ先物が日本で出現したのかと言うと、当時の日本の経済の中心は米でした。 特に幕府と言う政府の役人の給与は米で支払われていました。 実際にはこの米を通貨に換えないと、市中では使えないので、交換レート、つまり米の価格はおおきな関心の的でした。 また、現物の米を金や銀に交換し、現物の米は流通させないといけませんから、そのような業務を行う米問屋と言うビジネスが成立したのです。



ところが、江戸幕府が出来た1600年ごろは、米の生産性がそんなに高くなく、 1石が100匁(銀)ぐらいしていたのですが、世の中が安定するに従って、新田開発が盛んに行われ、その結果、米の生産性は飛躍的に増加しました。 一方で人口はそんなに急には増えませんので、必然的に米の供給過多になって米の値段が急落してきました。 まあ、現在と同じような状況で、米余りとなったのです。 一時は1石当たり30匁と言うピーク時の3分の1になってしまいました。 これでは、米で報酬を得ている武士階級つまり政府役人の生活が成り立たなくなりました。



そこで、幕府政府は、米の価格向上策を採るのですが、この中に先物取引があったのです。 当時の先物取引は禁止されていて、いわばヤミで取引が細々と行われていました。 これを公認したのです。 そのやり方も、現在と同じで、禁止令はそのままにして、取締りをしないようにしたのです。 その後、現在の取引所に当たる米会所が堂島に開設されました。 ときの政府は、現在の原油のように投機が価格を押し上げることを期待したのですが、元々需給関係が変化しているので期待通りには上がりませんでしたが、米価格は安定しました。



先物と言うのは、期限を指定して、それまでもしくはその時点で、決済を行うものです。 従って、安くなると思えば、売っておく、現物がなくても空売りでも売っておく。 決済時点で、価格が上がっていようと下がっていようと、価格は決まりますから、事業計画はキチンと画けるのです。 もし上がっていても、現物があれば儲けはないですが、損もない。 下がっていれば、実施的に儲けになります。 元々の先物の目的は、このようなビジネスの安定化にあります。 その意味では、保険と非常に似た部分があります。



決済が先になると言うのが、先物取引の特徴で、証拠金があれば大きな取引が出来ると言うのも、堂島の時代からあった、大きな特徴のひとつです。 この点が、賭博に似た投機が悪であると言うイメージの元になっているのでしょう。 証拠金と言うのは、先物の決済が先に行われて、その時に実際の売買が行われて、その売買の差額だけ、損をしていればその分だけのお金が預託されていれば良いと言う趣旨です。



価格が大きく変化するとこの証拠金を積み増ししなければならない場合が出てきます。 この時に無理に手持ちの現物を損を覚悟で売ることで、相場が変化する場合もありますが、いずれにしても、想定外のリスクが発生する場合があって、このリスクを無くすのがオプションです。 オプションと言うとデリバティブの最右翼で、最もリスクの高い投機のような感じがしますが、実際にはリスクは、支払った、もしくは買った金額以上には発生しません。



オプションには、売る権利プットと買う権利コールがあって、それぞれのオプションの売買がありますので、トータルで4種類となります。 この値段は、有名なノーベル賞(経済学賞は正式のノーベル賞でないという人もいる)を受賞したブラック・ショールズ式で計算できます。 面白いのは、この式で計算しても、経験的に値付けした価格でもほとんど変わらなかったということです。 オプションと言うのは、保険とほとんど変わらなくて、例えば先行き下がると見て、そのヘッジをしたければ、プットを買って置けば良いのです。 想定どおり下がったら、権利を行使して、損失をカバーする。 上がれば利益は出るのですから、権利は放棄します。 オプションを買った費用は、掛け捨ての保険代と思って処理すれば良いのです。



最近の原油のように、相場が大きく変化した場合は、何らかの規制が必要です。 現在の株式市場でも、よく知られているように、余り高くなりすぎれば、ストップ高となり、少し頭を冷やすようになっています。 他にもこまごまと色んな規制があります。 この辺は、長年のノウハウによるものでしょう。



今月の読み物は、堂島のDNAを取りもどせ (単行本) 柳沢 逸司 著 ¥1,575税込。今回のテーマになった堂島の話を読もうと思って買ったのですが、中身はデリバティブの入門書でありました。 それもなかなか良く出来た入門書で、先物やオプションに関して、懇切丁寧な説明があります。 他の本を読んで挫折した人に最適。 単に先物を悪者扱いにせず、その本質を良く知りましょう。 もちろん現在の先物などのデリバティブには欠陥が沢山ありますので、それも良く知って、江戸時代に世界を主導していた先達に敬意を表して、単に投機は悪と言うステレオタイプから脱却しませんか?














今月のひとこと2008年7月号





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7月5日

株価の連続12日下落は、50数年ぶりだそうです。 あれあれと言う感じで下がっていますが、おお大割れすることはないと言うことで、パニックにはなっていないようです。 金曜日のアメリカの雇用統計の結果がそんなに悪くなかったのに、下がってしまいました。 少し上がると利益確定する、もしくは手仕舞いしてしまう事が多いのではないでしょうか? しばらくはこのような状況が続くものと思われます。



昨日から、とうとうダビング10が始まりました。 最初に村井純氏が政治決着でダビングを10回と決めた時は、ほんとうに実現するとは思っていませんでした。 コピーワンスに慣れてきたせいもあって、10回とは言わずに、3回ぐらいでも良いか? と思っていました。 また、実施の際には骨抜きになって、実態的には使えないのでは? とかいろいろ思っていましたが、6月から1ヶ月はずれたものの、当初の計画通り実現できています。 やはりオリンピック前の特需に対するメーカーの意気込みの方が強かったのではないかと思います。



昨日の朝、パナソニックのHD/DVDレコーダーをチェックすると、ダウンロード成功のメッセージと、画面には新しいアイコンが追加されていました。 それまでに録画したのは、当然にコピーワンスですが、その後に録画したのは、すべて録画回数が10回になっていました。 事前には、ダビング10の機能が付いても、大半の放送はコピーワンスのままではないか? と疑っていましたので、録画したビデオが全部ダビング10になっていたのは、少しびっくりしました。



これで、HD/DVDレコーダーの売れ行きも多くなるのではないか、と期待されるところです。 今使用中のパナソニックのレコーダーですが、パナソニックのレコーダー全般について言えることだと思いますので、その使用感を再度まとめておきます。 以前にも本欄で紹介しましたが、それ以降もいろいろ使っていて気がついたところもあります。



まず、AVCHDフォーマットのハンドリングが出来る。 パナソニックはブルーレイも出していますが、競合のソニーが主導権を握っているせいか、あんまり熱心ではありません。 もちろんHD-DVDとも関係なく、圧縮技術に活路を見出そうと言うところでしょう。 私は、以前のMDとMP3の関係と似ているところがあるので、将来的には圧縮技術の方が有利と思っています。 しかしブルーレイも残るでしょう。 圧縮したものをブルーレイにいれたらさらに入るのですから。



録画した2時間のAVCHDの高圧縮タイプで、録画したものを、DVDに移そうとしたのですが、DVDは4Gbのところ5Gbあって、結局DL(両面タイプ、7Gb)にコピーしました。 少し画面は荒れますが、50インチぐらいのTV画面ではほとんど気になりません。 また、一度録画したものをさらに圧縮することが可能。 録画していない空き時間に自動で圧縮してくれます。 ただし一度圧縮したものは、制限が多くて、他のモードには変換できません。



次に良いところは、ダブル録画も、削除も追っかけ再生もみんな同時に出来ます。 他のメーカーだと特に東芝は、録画中には削除が出来ません。 また古い機種では、ダブル録画の2つ目を録画していると、再生が出来ません。 もっとひどいのは、ダビング中に録画が始まると、ダビングが中断してしまいます。 DVD-Rだと1枚がオシャカになります。



もっとも、パナソニックでも、録画とダビングは同時には出来ません。 しかし、ダビング予約が出来るので、空き時間を狙ってダビングを予約できます。



実際の使用で最も良いのは、電源の立ち上がり。 数秒で立ち上がります。 他のメーカーだと2-3分かかることがあります。 まあパナソニックは常に電源が入っていると言う話もあり、確かに電源が入っている、入っていないの区別があんまりないような気がします。 いずれにしても、すぐに使えるのは良いことです。



それと、ネットからのアクセスが非常に簡単な事。 予約録画した番組でディスクがいっぱいになりそうだと、他の場所に居てもメール連絡が来て、アクセスのサイトでログインすると、自宅のレコーダーにアクセスして、不要な番組を削除できます。 これはパナソニックだけの大きなメリットです。 ちなみにシャープのレコーダーには、ネットワークそのものがありません。 ついでにシャープは、TV側がすごいと思います。 チューナーが少なくともダブルで付いています。 反面レコーダーはシングルの機種もあり、安いほうに複数チューナーを載せるのはしんどいのかも知れません。



唯一最大の悪い点は、録画した番組の紹介データが表示されません。 いろいろやっても駄目なので、基本的に機能がないようですが、他のメーカーのものは大体表示されます。 どうもデータ放送の情報が表示されないようです。 何か権利関係か、何か技術的な問題ではない問題があるのでしょう。 まだこれはメーカーに確認していません。 デジタル放送の大きな利点の一つが生かされていない感じです。



これに付随するのか、予約録画した番組が、目的の番組でなかったときは、元の予約情報が入ってしまうので、間違いやすい。 予約どおりかどうか別にして、録画した番組のタイトルにしておけば済む話だと思いますが、トップメーカーにしては、妙な仕様だと思います。



マイナーな問題としては、リモコンが使いにくい。 必要なボタンがフタの中にあるので、イチイチ開かないといけない。 早送りボタンが離れたところにあるので、すぐに押せないので、使いにくい感じが残ります。 またボタンも妙に大きくて、押しにくい。 使いやすさ=ボタンの大きさ、ではないと思います。



こうしてみると、東芝の機能の豊富さもあまり実際の役には立たないようです。 パナソニックの一部削除機能も使ってみると良くできていて、CMカットも思いのほか簡単に出来ます。



今月の読み物は、メタボの罠―「病人」にされる健康な人々 (角川SSC新書 2) 大櫛 陽一著 ¥756税込。 以前から、コレステロールが高いと言われていましたので、気になっていて、コレステロールに関する本を読んでいて、ついでに読んだ本がこれ。 コレステロールは、220以上が異常なのですが、統計的には240ぐらいが最も平均寿命が長いらしいです。 心臓だけを見ているとコレステロールは低いほうが良いのですが、低いと今度はがんの可能性が高くなるとの事。 確かに心臓は大丈夫でも、がんで死んでしまっては元も子もないと思います。



コレステロール低下剤が3000億円も需要があるとか、最近のメタボ便乗コマーシャルの多いこと。 統計的には、チョイメタつまり小太りの方が最も長生きと言うデータもあり、何で国民の大半が治療を要する状況になるのか。 日本は世界一クラスの長寿国であるはずが、何で大半の人が半病人と判断されるのか。 どうも製薬会社、健康食品会社の売り上げ増の思惑と医療費削減を目指す厚労省の役人の思惑が、誰も想定していなかった妙な形で実現してしまった感があります。 同じことが、裁判員制度にも感じられますが、どうも最近の日本の官僚の能力が落ちてしまって、単なる産官癒着と言うレベルでなくて、官僚の意図した政策が狙ったように当たらない、もっとひどくて別の作用をしてしまう、と言うことが起きているのではないでしょうか。 こう言うことを考える一助になれば良いと思います。 ついでにコレステロールに薬はいらない! (角川oneテーマ21)



[BOOKデータベースより]

「ウエスト周囲径、男性85センチ、女性90センチ以上は要注意」。この病理学的根拠のない数値は、今、国際的な批判にさらされている。しかしなぜ、厚労省はこれを引っ込めないのか。それには理由がある。2008年度から特定健診という、「メタボ狩り」制度が義務化されるからだ。日本人はそんなにやせなくてはならないのか?否、日本人はややメタボな体型の人が最も長生きするというデータがある。「メタボ撲滅運動」は、製薬会社と厚労省が結託した金儲け運動ではないのか?産官学の癒着が生んだ「メタボ撲滅」といういびつな運動の真実を明かす驚愕の書。



第1章 メタボリックシンドロームという嘘;

第2章 産官学の癒着が生んだメタボ撲滅運動;

第3章 「ちょいメタ」が最も長生き;

第4章 捏造されたウェスト周囲径;

第5章 高血圧より降圧治療が危険;

第6章 コレステロールは大切な脂質;

第7章 やせていても糖尿病になる;

第8章 自分の体は自分で守ろう




今月のひとこと2008年6月号





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6月1日
株価も上昇傾向ですが、落ち過ぎた分だけ戻っていると言う事でしょう。 経済は外部状況の悪化でなかなか立ち上がらないようです。 実際に上がってくるのは、来年以降になるのではないでしょうか。 底割れの危険はひとまず去ったと言う事でしょう。 中国の奥地の地震の影響も良く分かりません。

土曜日の新聞の第一面に、通販サイト サイバー恐喝、と言う大きな活字が踊っていました。 方法は、本欄の2005年12月3日号で紹介したボットネットと思われます。 数万台のPCから同時に一つのサーバーアクセスしたため、1Gbyte/s のサーバーの根ってワークに、6Gbyte/sでアクセスが集中したため、他の正規のユーザがアクセスできなくなり、これを解除するための金銭を要求したとの事です。 サーバーは中国に有るらしくて、日本からは手出しが出来ないようです。 被害が大きい割にはあまり知られていなくて、警察庁が実施した意識調査でも、知っている、と回答した者は3.7%にとどまったとの事。


















先日、TVを見て
いたら、俺たちに明日はない、と言う昔の映画があって、思わず見てしまいましたが、そこでは隣の州に逃げ込めば、地元警察は居ってこれない、と言うシーンがありました。 昔は州境、現在では国境、似たようなロジックで面白いと思いました。

ボットネットの話に戻ると、最近はインターネットに常時接続が多くなったので、あなたのPCも知らない間に、ボットネットに乗っ取られているかもしれません。 従来のウイルスは、症状が顕在化するので、それと分かりますが、症状が出なければ分かりません。 症状を出ないようにしておいて、思うがままに操るのがボットネットです。 電源を入れたPCの負荷が勝手に大きくなると、ひょっとしたら、乗っ取られて、どこかのサーバーに攻撃を掛けているのかも知れませんよ。

このような性質を平和的に自覚的に利用したのがいろいろ出ています。 最初は本欄でも紹介したように、地球外生命体を探す SETI@home プロジェクトと、暗号を解読するプロジェクトとかがありました。 最近では、地球温暖化で地球気象のシミュレーションを行うプロジェクトが人気を集めています。 探してみると、一般的に多数のPCを集めて大きな計算を行う汎用のプラットフォームが出来ていました。 この中の一つのプロジェクトに地球気象のシミュレーションがありました。

良くニュースで、50年後に何度平均気温が上がるから、炭酸ガスの排出を削減しなければならない、と言う様な文言が出てきますが、ここで使われている何度アップと言うのは、シミュレーションの結果で得られたもので、実際にやってみるわけには行きませんので、要するに計算値という事です。 地球気象や将来の温度上昇と言うのはいろいろな条件で決まるので、なるべく地球を細切れにしてそれぞれの部分で計算を行うのですが、細かくすればするほど精度は上がりますが、計算量が膨大になって行きます。

地球気象のシミュレーションには、物凄く大きなコンピュータが必要になります。 少し前までは日本がトップを走っていて、「地球シミュレーター」と言うスーパーコンピュータが稼動しています。 各国とも、国の威信をかけて大きなスパコン開発競争をしています。

この計算を、いつもはほとんど遊んでいる個人のPCで分担してやろうと言うのが、このプロジェクトで、別名グリッドコンピューティングとも言われています。 たんぱく質の同定とかいろいろなプロジェクトがありますが、地球温暖化プロジェクトは、将来の温度上昇の分布や、降雨量の分布などが見えて、なかなか面白いです。 ただ電気を食いますので、電気代にご注意ください。

今月の読み物は、プリンシプルのない日本 (新潮文庫) 白洲 次郎 著 ¥500(税込)。 近年白洲次郎が見直されています。 政治家ではありませんが、東北電力の会長をやりながら、吉田首相の相談役となり、現実の政治の世界に影響を与えました。 近年の閉塞感が漂う中、スパッとした物言いが人気を集めているのでしょう。 居宅(東京都町田市)を訪問するツアーもあり、引き込まれる不思議な魅力を持った人です。

「風の男」、そして「占領を背負った男」―戦後史の重要な場面の数々に立ち会いながら、まとまった著作は遺さなかった白洲次郎が、生前、散発的に発表した文章がこの一冊に。「他力本願の乞食根性を捨てよ」「イエス・マンを反省せよ」「八方美人が多すぎる」など、日本人の本質をズバリと突く痛快な叱責は、現代人の耳をも心地良く打つ。その人物像をストレートに伝える、唯一の直言集。 「BOOK」データベースより

著者略歴 白洲 次郎
1902(明治35)年、兵庫県芦屋の実業家の次男として生まれる。神戸一中卒業後、イギリス・ケンブリッジ大学に留学。帰国後は英字新聞記者を経て商社に勤務するが、’43(昭和18)年、日本の敗戦を見越して鶴川村(現・東京都町田市)で百姓となる。’45年、吉田茂に請われて終戦連絡中央事務局参与となり、日本国憲法成立などに関与。その後、貿易庁長官に就任、通商産業省を誕生させる。以後、東北電力会長などを務め、’85年逝去。妻は白洲正子(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 「BOOK著者紹介情報」より