今月のひとこと2010年11月号





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2010年11月1日
台風一過と言うわけにもいかなくて、秋の梅雨になってしまいました。 何十年ぶりかで、車で東京まで行ってきました。 流石に歳を考えて行きは沼津で一泊したのですのが、帰りは一気に浜名湖での30分の休憩で、正味5時間15分で帰りつきました。 よくよく考えたら、東京まで直接自動車で行ったことはないのでは無いかと思いました。 学生の頃は名神しかなくて、東名がところどころ出来ているだけだったので、国道1号線をひたすらトラックの追い越しに必死になっていました。 これで確か沼津までノンストップで8時間はかかったと思います。 ずっと高速道路で、自動車の性能は飛躍的に上がり、体力があれば一気に走り切れますね。 リニアの話も出ていますが、その時点では電気自動車(EV)で少なくとも東京・大阪間は充電なしで走れるようになるのではないでしょうか。

政治も経済もぱっとせず、また近い将来の展望もなく、うっとうしい天気で陰気な気分になってきます。 アメリカは、さらなる未踏の金融緩和に出ようとしていますので、ますますの円高が進行するでしょう。 本欄でも何回か紹介したように、自国通貨が上がるのはその国の価値が上がることなので、本来喜ばしいことです。 従って、現時点では海外の資産を買い取るとか、大名海外旅行に出かけるとか、もっと円高を謳歌したら良いと思います。

あまりにも輸出企業の言い分が声高になりすぎです。 某日本経団連の会長が顔をしかめながら円高は困る、とだけは言って欲しくない。 他の団体だっと思いますが、70円でビジネスが出来るように、と言っていて、ふーんと思ったら東芝の会長か相談役で、東芝は社内レート70円で行くそうです。 いつも元気な電産の永守さんは、このチャンスにとどんどん大型のM&Aを進めています。 円高キャンペーンで気を付けないといけないのは、インフレ(デフレ)係数を考えると、現状は名目で言うほど円高では無いのです。 日本はデフレが進行していますので、その分は名目の円高に触れるので実質はあまり変わっていないと言うことです。 従って問題は、デフレに対応出来ていない輸出企業に有ります。 また、円高と言うよりドル安ですから、他の通貨に対してはそんなに円高になっていません。 ニュースでも円高円高と言いますが、対米ドルであると言うのはあまりいいませんので、円高だけが印象に残るのです。 むしろ米ドルの時代が終わりつつあると認識すべきでしょう。

またまたノーベル賞が2人出ました。 やはり長生きしておかないとと言う事と、何が評価されるのか分からないと言うことですね。 今回受賞された特にアメリカにいる人は、ラッキーでした、と言う言葉を何回も言っていました。 これが本心ではないですか。 特に今回の受賞は、技術もさることながら液晶がこれだけ広がったと言うことの要因が大きいでしょう。 私も若い頃に液晶に少し頭を突っ込んで、ついでに有機ELにもわずか関連しましたが、40年前の液晶はどうしようもなく不安定で、寿命が短く、量産性に欠けるものでした。

せいぜいデジタル時計の文字盤とか、電卓の表示とかにしか使えませんでした。 50インチ100インチの画面が出来るとは夢にも思いませんでした。 もちろん基板となる大型の薄いガラスの製造技術に寄るところも大きいのしょうが、今回の受賞につながった技術がメジャーな役割を果たしているのではないかと思います。 パテントがなかったと言うことですが、これがあれば市場は膨らまなかったでしょうが、何とか日本の優位が保てたのかも知れません。 他の優位の技術が見当たりません。 ひょっとしたらELがもっと早くメジャーになったかもしれません。

ノーベル賞での連想で、例の本当にラッキーだったニュートリノの観測で賞をもらった、カミオカンデで、また新しいプロジェクトがスタートしたようです。 カミオカンデの最初の目的は、素粒子論の標準理論で予言されていた陽子の崩壊を観測することでした。 理論では陽子も崩壊しこの世は、何十億年後かはエネルギーだけつまり光で薄ぼんやりした、後はなにもない世界になると言うことで、何十億年も待てないので、数を増やして膨大な水の中の水素原子の崩壊を捉えようとしたのです。

計算では年に2-3個の崩壊があるはずだったんですが、結局これは見つからなかった。 それで同じような機構で、今度はニュートリノを観測しようと言うことになり、東京の研究所でニュートリノを発生させて、富山のカミオカンデで検出できたのですが、それと同時に地球の近く、近くと言っても何光年の距離ですが、ここで新星が出現した。 つまり星が大爆発を起こし、その時に発生した大量のニュートリノを検出したのです。 これがノーベル賞受賞の大きな要因でした。 たまたま検出器を作ったら、たまたま近くで新星が爆発したなんて偶然は楽観的に考えても、数千年に一度だと思いますので、あの受賞はラッキーだったとみんなに言われているようです。 受賞した本人も、ラッキーだったと言われていますが、といつも言っていました。

そのカミオカンデが3度目の正直で、今度は宇宙の暗黒物質を検出しようと動き出しました。 これが検出されたら今度は本当にノーベル賞ものです。 この宇宙全体にある、我々の体や地球を形成する物質は物凄く沢山あるように思えますが、実は全体で言うと10%しか無いのです。 他は暗黒物質とさらには暗黒エネルギーが大半を占めているのです。 暗黒物質は、単に見えない宇宙の塵みたいなものでは無くて、重力以外の相互作用を持たないので検出は極めて難しいとされています。 この中の候補としては先程のニュートリノがあり、当時ニュートリノの重さがゼロでない、と言う事が間接的に実証されて、当時のクリントン大統領も言及しました。 しかしこれだけでは暗黒物質の総量には達しないことが分かりました。 暗黒あネルギーは、ご存知アインシュタインが、生涯の間違いと言った、アインシュタイン方程式の中に無理やり追加した宇宙項に関連していて、この宇宙項そのものが暗黒エネルギーに相当すると言うことが分かってきました。

アインシュタインは古典物理を、最後に集大成した人ですから、量子論には最後まで反対していましたが、宇宙に関しても膨張宇宙は信用せず、定常宇宙だと信じていました。 それでほっておくと膨張する宇宙を止めるために無理に宇宙項を追加しました。 その後宇宙が実際に膨張している事が分かって、アインシュタインは、自説を否定し上述の言葉になったのです。 その後、当時そうていしたような定常的な膨張ではなくて、膨張が加速していることが分かり、その原因が暗黒エネルギーだと言うことです。

今月の読み物は、世界は分けてもわからない (講談社現代新書) 福岡 伸一著 ¥819
前作が面白かったので、また読んでみましたが、ここで取り上げて置いてなんですが、そんなに面白いとは思えませんでした。 文章が少々読みにくい。 しかし後半の研究結果の捏造に関しては、なかなか筆も冴え、一気に読みました。 ノーベル賞確実と言われた研究成果が、ひょんなことから捏造とばれてしまった話ですが、その途中の電気泳動の実験手順が微に入り細に入り、図解すると一発で分かるようなことが、文章化され、それがまた良く読める。 実際に自分で実験しているような気分になりました。

こう言う捏造事件は結構あって、似たようなケースでは同じような時期に、ジョン・ロング事件と言うのがあって、マサチューセッツ総合病院で、癌の一種である「ホジキン病」の培養株を得て、これを元に種々の成果をあげたのですが、結局は捏造が発覚したそうです。 日本でも、以前に話題になった、旧石器の発掘捏造も有りました。 筆者は、研究者がなぜこう言うことをしでかすのか? と言う分析をしたかったらしいのですが、その結論はイマイチぼんやりしています。 いずれにしても、この捏造作業の描写は一読の価値アリです。

内容紹介
60万部のベストセラー『生物と無生物のあいだ』続編が登場! 生命は、ミクロな「部品」の集合体なのか? 私たちが無意識に陥る思考の罠に切り込み、新たな科学の見方を示す。 美しい文章で、いま読書界がもっとも注目する福岡ハカセ、待望の新刊。

内容(「BOOK」データベースより)
顕微鏡をのぞいても生命の本質は見えてこない!?科学者たちはなぜ見誤るのか?世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカへ―「治すすべのない病」をたどる。




今月のひとこと2010年10月号

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2010年10月1日
検察問題、中国問題、通貨問題・・ だんだんうんざりしてきます。 中国は検察問題を狙ってやったのではないとは思いますが、勢いのある国は運まで付いてきます。 やはり素人集団の民主党では荷が重すぎるのか。 それにしても尖閣のビデオがなかなか出てきませんね。 偽ビデオとは思いませんが、偽メールの二の舞だけはして欲しくないと思います。 流石に若い前原大臣を前にクリントンはデレデレして、ついでに尖閣は安保の範囲だと言ってくれましたが、アメリカもまさかここまでこじれるとは思っていなかったと思います。

中国側から見ると、沖縄を含む特に尖閣は物凄く目障りでしょうね。 沖縄も中国の領土だったと言う、今のところ単なる学説らしいですが、いつ何時政府の方針になるかも知れません。 台湾、尖閣、石垣、沖縄と中国のものになれば、いつでも堂々と太平洋に出ていけるわけで、ここを何とかしようと思っていることは間違いありません。 それにしても国民の方も脳天気な意見もあって、愕然としますね。

かたや日本から見ると、この地域を奪われるとシーレンが確保できなくなって、石油の供給が不安定になります。 戦前のABC包囲網を連想する状況となるのではないでしょうか。 円高もそれ自体は国の資産価値が上がるわけなので歓迎すべき事でしょうが、妙なことに各国が自国通貨安を競争しているので、それに付き合わざるを得ないと言うことでしょう。

せっかくの通貨高ですから、その価値を最大限に利用して、外国企業の買収とか、石油の備蓄を積むとか資源の確保とか、単に円高を嘆くだけでなくてやることは沢山あると思います。 中国にこれ以上押されると、本当に日本の信用がなくなり、国内的には、自国内で国債が消化できなくなり、海外に依存すると、急速に最後の砦である個人資産が目減りして、急速に円安の方向に振れるのではないでしょうか。 その時の円安は、日本が世界から見放されたと言ういみですから、本当に日本沈没です。 今は最後の花だと思わないといけないでしょう。

iPadを先日、某大型カメラ店でいじってきました。 最初の印象は、超高級フォトフレーム。 単なるフォトフレームでも1万ぐらいするので、特に超高級ではないでしょうが、それでダメなら多機能フォトフレーム。 iPadの上で例えばコマーシャルにあるようにドキュメントを作るのはとても面倒。 メールを見るのはともかく書くのは大変そうです。 反面、写真を見るのは非常に楽です。 反応が速いのが特に良いです。 写真をパラパラめくる感じも、PCで見るより見やすい。 と言うことで、デジカメの付属品(どっちが高いのか?)として、写真ビューワとしてみれば、大変に満足の行くシロモノです。 多少高いのが欠点ですが。

今月の読み物は、マイケルサンデルのこれからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学マイケル・サンデル (著), Michael J. Sandel (著), 鬼澤 忍 (翻訳) ¥2,415
少し前に、TVでたまたま『ハーバード白熱教室』NHK教育テレビにて放送中(2010年4月4日~6月20日、毎週日曜18:00~19:00、全12回)の最終回をちらっと見たんですが、途中から見たので議論が分からず、学生がえらく難しい事を議論していると言う感じで、これにはえらくショックを受けました。 当然に英語でやっていたのですが、議論内容がさっぱり分からず、二重のショックを受けました。 ハーバードではこう言う議論を日常的にやっているんだと思いましたが、その後これは超人気の講義で、教授のマイケル・サンデルのバックボーンも分かってきて、やっと理解できました。 それで、今回の本が出たときは、一発で購入しました。 先日もTVで、東京大学でのマイケル・サンデルの講義が放映されていたので、思わず全部見てしまいました。

内容はともかく、面白かったのは、東大の学生は最初は日本語でやっているんですが、途中から議論が本格化すると、みんな英語になってしまいました。 まあ英語の出来る人なんでしょうが、みんな結構上手でしたね。 流石は東大と言う感じです。 途中で英語になる訳は、マイケル・サンデルの言うことを英語で聞いているので、頭が英語に切り替わっていて、英語でないと頭の中がまとまらないということでしょう。 もうひとつの理由は、ああ言うディベートになると、俄然英語のほうが便利だと言う理由もあると思います。 物事をキチンと説明する、議論をするには英語は大変便利に出来ています。 反面文学とか芸術の領域はやはりなんと言っても日本語です。 結論(動詞)を先に言う英語は議論に適し、結論(動詞)を後に言う日本語は感情表現に適していると思います。 これで思いつきましたが、英語でも、最後に aren’t you? みたいなのを付ける場合が有りますが、これは ~そうでしょ? みたいなニュアンスで、やはり最後に言わないと感情がこもらないと感じるのは、古今東西同じように思えます。

マイケル・サンデルの講義は、講義としても思い白いですし、最近滅多に口にしなくなった「正義」みたいなものが正面きって取り上げられるのも新鮮に感じるのではないでしょうか。 日常いつも感じていることがずっと前に哲学者が看破していたとかの再発見が有ります。 例えば、「相手が勝手に誤解するのは良いが、明確な嘘はいけない」と言うのは私の主義ですが、これがカントとは知らなかったなんて事もあります。

内容(「BOOK」データベースより)
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー、待望の邦訳。

今月のひとこと2010年9月号





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2010年9月4日

今週になって、やっと少し曇ってきて雨も少し降って、気分的には涼しくなりました。 天気予報でも、植物の水枯れに気をつけてください、とやっていますが、少しでも水遣りが遅れるとテキメンに枯れてしまいますね。



経済の分野は、気温と異なり冷え込みがきついです。 日銀対策が出た途端に円高になると言う、本当に市場に舐められていると言っても良い状況です。 確かに日銀が繰り出せる手はそんなに多くはなく、この状況がこれからも続くとなると、そのための打ち手を残しておかないと行けないこともよく分かります。 しかしそれにしても、首相も財務大臣もぎこちなさすぎる。 いくら政権を取って時間がないとか、慣れていないとかの言い訳がありますが、それなら政権を取らなければ良かったんです。 何も名誉職ではないので、慣れてませんと言う言い訳はないでしょう。



昨日、小沢・管両氏の公開討論会があって、たまたまTVを点けたらやっていたので少し見ました。 確かに菅さんは頼りない。 特に経済問題になると何を言いたいのかさっぱりわかりません。 それに反して、小沢さんは政策に関しては明確。 ただしどこまで本当なのか信頼感に欠けます。 財源問題でも地方へのお金の配分を変えるだけで出てくるとか、代表選に勝ったらどうすると言うことに関しては何も言わないとかで、小沢さんは連立が出来るので推されているはずなので、少しは言うべきと思います。 反面、菅さんは、国会運営に関して、何か言わないと、その不安が大きいですね。 その後のTVの報道でも、この討論会の点数は、少し小沢さんの方が高かったようです。



最近のIT分野の話題は、先日日経に載っていた、πの計算を5兆桁までやったことでしょう。 面白いのは、これがスパコンではなくて、普通の少し性能の高いPCで実行されたことです。 新聞の識者のコメントと言うのが面白くて、計算に使ったアルゴリズム(計算式)が優れているのであって、PCでやったことをそんなに評価していませんでした。 何時かあった事業仕分けで、世界2位ではダメなんでしょうか? と言う対象がスパコンであった事で、その後予算が復活し、スパコンがやっと陽の目を浴びました。 しかし、今回の成果で、同じようなことがPCでも出来ますよ、と言われたので、新聞の識者は当然にスパコンに関連している人でしょうから、あんまり面白く無かったのではないでしょうか。



今日のPCはとてつもない性能を持っていて、計算にはあまり使いませんが、ウインドウズとかオーディオ・ビデオなどの処理にほとんどが使われていますので、直接の比較はなかなか実感できないのですが、25年前に1台1億円もした、DEC社のVAXミニコンの性能はたったの1MIPSでした。 現在はコンピュータの性能をMIPS表示をあまりしませんが、それから5-6桁上がっていると思います。



20年ほど前に、CPUを4つ積んで100MIPSとして、デスクトップ型のワークステーション(今で言うPCに相当)を開発しましたが、この時で既に2桁アップで、当時のスパコンが視野に入っていました。 当時の記事が有りますので、このリンクを辿って御覧ください。 その時にはっと気がついて、それ以降はスパコンの展示会にも参加しました。



円周率を5兆ケタまで計算したPCは、作者のHPを参照すると OS:Windows Server 2008R2 CPU:X5680(3.33GHz)x2 MEMORY:96GB(8GBx12) HDD:1TB(Boot)+2TBx3(Output)+2TBx16(Swap) MOTHERBOARD:Z8PE-D12(ASUS) とのことで、流石にメモリとディクスは大きいですが、百数十万円かかるとは思えませんね。 自作と言えば自作ですね、こんな仕様のPCは売っていませんし。



5兆桁と言うことは、1桁に1バイト割り当てるとすると、それを格納しておくだけで、5Tバイトのディクスが必要です。 ここでは2TBx3=6TBなので大体の想定は出来ると思います。 実際は圧縮して格納しているようです。 なおCPUは、24スレッド/12コア!! で、これをフルに計算に使うところが今回の(ソフトウエアの)ミソです。



アルゴリズムであるソフトウエアは Alexander J. Yeeさんの作成で、計算開始は2010年5月4日、終了は8月3日です。主計算に使用した公式はchudnovskyの公式で計算時間は約90日、検証計算に使用した公式はPlouffe及びBellardの公式で、計算時間はそれぞれ66時間、64時間とのこと。 検証計算は本来は別の公式で行うべきですが、最終桁付近の16進32桁を別公式で計算し一致している事で済ませているのを不十分と言われています。 まあ専門の学者じゃないんだし、いずれにしても快挙です。



ちなみに ここで使用したソフトは、ここに有ります。 我こそはと思う方はチャレンジしてみてください。 ただし大量のディスクと電力が必要です。 もっと簡単で小規模なものは、π計算プログラム 「スーパーπ Ver 1.1」 と言うのが有りますので、お試しあれ。 自分のPCの性能評価に使えます。 今これでやってみたら、200万桁が50秒でした。 この調子でディスクの制限がないとしたら、5兆桁では約3.5万時間かかる計算。 約1.2年かかります。



さらに円周率の暗記法というのも有ります。 身(3) 1つ(1) 世(4) 1つ(1) 生(5) く(9) に(2) 無(6) と言うのはよく知られていますが、これは51桁までです。 1000桁のもありますので、お試しあれ。出だしは 産(3.) 医(1) 師(4) 異(1) 国(59) に(2) 向(6) こう(5) 産(3) 後(5) 薬(89) な(7) となります。 ここを御覧ください。



今月の読み物は、今話題沸騰の普天間です。 「普天間」交渉秘録守屋 武昌 著 ¥1,680 注文したときは在庫が無いとの事でしたが、すぐに届きました。 守屋元事務次官は、この本の出版が出来たこと、年齢的なこともあり早期に刑期を終えたいとのことで、上告を棄却し刑が確定したそうです。 日記をそのまま引用、もちろん実名のオンパレード。 当然に本人に不利な事実は伏せられているとは思いますが、人物批評等、批評されている本人が見たらとんでもないと言う感じです。 官僚の意地を感じます。 小池大臣とのバトルでも、喧嘩両成敗にはなりましたが、小池大臣の辞任の方が先になっていて、その日付が誇らしくしかし淡々と記載されています。



私も政治や官僚の世界を垣間見たことがありますが、その雰囲気はよく出ています。 しかし冷静に考えるとこんな事にエネルギーの大半を使わないといけない政治もどうかとは思います。 これが非効率極まりないが最上の政治システムである民主主義の現場の状況なんでしょう。 サラリーマンでも組織の一員ですから、これに似たような状況があると思います。 その参考にもなると思います。



また、沖縄の声と言われているものの実態がよく分かります。 そんなに単純に基地負担軽減と言うようなもので片付けられない実態があると思います。 多少はバイアスがかかっている記述だとは思いますが、何となく想像していたことに思い当たります。 小泉、阿部、飯島、二階、額賀、小池、麻生、下地、石破各氏などの実際の口調がそのまま伝わってきて、普天間だけでなく、当時の政府中枢のやりとりが生々しいと思います。



出版社/著者からの内容紹介

「引き延ばし」「二枚舌」── 不実なのは誰だったのか?

詳細な日記が炙り出す驚愕の舞台裏!

 「守屋さん、沖縄では大きな仕事は二十年かかるんですよ。石垣空港の時だって、年月がかかっても誰も困らなかった。今回はまだ七年です。たいしたことないじゃないですか」 私は呆れるしかなかった。 「それなら、沖縄の県民の前でそう言いなさい」 そう沖縄首脳に伝えた。 (本文より)



内容(「BOOK」データベースより)

膨大な量の日記には、自身と相手の発言内容、そして行動の詳細が記されていた。それはまさに「普天間問題」の真相を繙く第一級資料だった―。防衛事務次官として、アメリカ、沖縄、永田町と対峙してきた著者が、日記をもとに今まで語られることのなかった全経緯を綴る。






今月のひとこと2010年8月号





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2010年8月1日
最近は本当に暑いですね。 雨の降りかたも熱帯風になって来てスコールのようになっています。 猛暑特需と言うのがあるそうですが、経済と政治の世界は、冷ややかで熱気がありません。 これ以上日本の首相が交代すると本当に世界から無視されてしまいそうです。 先日の G8 でも日本は例外扱いされてしまいました。 しかし最近の欧米とくにアメリカの状況を見ていると、日本の状況にだんだん近くなってきたようです。

ずっと前から周回遅れと言われていた日本ですが、どうも先頭を走っているのではないか、と思われる場面が多くなってきました。 良いことなのか、悪いことなのかは、良く分かりませんが、もし先頭だとしたら日本が自律的に回復過程に入ったとしても国外に引きずられて、失われた30年になるのは間違いないでしょう。

昨今の国内政治状況を見ていても、あと3年は状況は何も良くならないと言う感じです。 せっかく国民が消費税はしょうがないな、と思っていたところへ水を差してしまいました。 普天間と全く同じパターンで、せっかくその気になったのに、そこへわざわざ水を差すと言うのは、要するに空気が読めていない、また読めないリーダーに国は任せられないと言うことではないでしょうか。

前回でご紹介した、テスラ・モーターズで思い出すのは、アップルのジョブズが愛読したという「タッカー」と言う名前の自動車開発物語です。 結局この車は、50台だけ生産して終わったのですが、アメリカのバイタリティを感じる上で当時は非常に面白かったと言う印象が有ります。 本の出版はもちろん、コッポラ監督の元で映画化されました。 一度テレビで放映されたのでご覧になった方もおられると思います。 文庫本が出ていたはずで、ネットで散々探したのですが、表紙の画像が見当たりませんでした。 自宅にはあるはずなんですが、これも捜しきれずでした。 中古はあるようですので、興味ある方は注文してみてください。

こんな海の向こうの状況を指を咥えて眺めているのかと言うと、そうでもなくて、日本でも慶応大学の Eliica があります。 8輪車の異様な形状でご存知の方も多いと思います。 結構大型で、最高速度は370km/hで、一般に売れる車では有りませんが、電気モーターの威力に度肝を抜かれました。 最近のスポーツカーのハイブリッドタイプは、燃費の向上と言うよりは、電気モーターをターボ的に使って加速を得ると言うのが一般的です。

電気モーターだけを使っての加速は、言わば電車の加速なんですが、ガソリン車と比べて、トルク曲線がフラットなので、ずーっと加速するようです。 要するに変速機が無いと言うか不要なので、このようなことになるのです。 しかしこれが良いのかどうか。 ガソリン車の運転方法は、感覚を含めて完成の域にありますので、この点どうかと言うことです。

性能的には、例えば、この Eliica は、0-100km加速に4.1秒です。 スポーツカーの代表格のポルシェ・ターボで4.2秒ですから、加速性能的にはほとんど最高級のスポーツカーになっていると思います。 ちなみにモーター出力は1個当たり約100馬力で、8個のモーターで800馬力となり、単純比較は出来ませんが最高レベルのスポーツカー(例えば、国産なのに4000万円近くするレクサスのLFA)のエンジン出力500馬力を大きく凌駕します。

最近の自動車の変速機は、当然にオートマティック(AT)なんですが、一応レバーが付いています。 ハイブリッドでは、小さなレバーが付いているだけですが、それ以外のガソリン車は、すでにATのレバーの意味合いが無くなっているのにも関わらず、昔と同じように付いています。 ちなみにマニュアルシフトの時は、当然にギアを直接レバーで操作していました。 間違えてシフトすると、ガリガリとギアの当たる音と感触がありました。 ATになった初期は、ATの油圧バルブを操作する機能となりましたが、最近ではすべて電気操作ですので、マイコンの信号を入り切りするスイッチでしか有りません。

排気音も例えばレクサスのLFAは、その音まで細かくデザインしたそうですので、これが電気自動車になったら、スピーカーから音が出るようになるんでしょうか。 少し寂しい気がします。 既に電気自動車があまりに静かなので、ガソリン車のエンジン音を出して通行する人に知らせるような装置も考えられているようですので、あながち的外れではないような気がします。 なにか蒸気機関車に対するノスタルジーみたいな話ですが、自分で操作すると言う非常に微妙な感覚の話ですので、今後どのようになって行くのか非常に興味のあるところです。

Eliicaを商品化するための電気自動車のプラットフォームを開発する会社「シムドライブ(SIM-Drive)」が設立されています。 ベネッセコーポレーションが一枚かんでいます。 さらに実際の量産車を作る 京大発のベンチャー企業 ナノオプトニクス・エナジー が設立されています。 日本たばこ産業が撤退する米子工場の跡地約を取得し、改修や生産設備の導入などで5年間に約230億円の設備投資を行い、約800人の雇用を計画しているそうです。 多くの紆余曲折が予想されますが、どういう所に落ち着くのか見守っていきたいと思います。

今月の読み物は、結局先程紹介した「タッカー」。 書籍は古書しかありませんので、DVDを御覧ください。

【以下 Gooより引用】
第2次世界大戦終結まじかの1945年春。デトロイト郊外の小さな街で、プレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)は子供の頃からの夢を追い求めていた。9歳の時に惚れ込んだ自動車業界に身を置き、最愛の妻ヴェラ(ジョアン・アレン)や長男のジュニア(クリスチャン・スレイター)をはじめとする4人の子供達と共に幸せな日々を過ごしていた。戦争も終わり、アメリカが新しい時代を迎えようとしている時、タッカーは自分の夢である新しい車を作る決心をする。友人である元銀行家のエイヴ(マーティン・ランドー)、技術者のエディ(フレデリック・フォレスト)やジミー(マコ)の協力を得て、遂にモデル・カー、“タッカー・トーペード”を作り上げた。速さだけではなく、安全性や高級感をも求めた夢の車、トーペードは、巧みな宣伝やその斬新なスタイルで、たちまち世間の注目を浴びる。

だが、当時アメリカを牛耳っていた巨大な自動車産業のビッグ3や、ファーガソン上院議員(ロイド・ブリッジス)ら保守的な政・財界は、密かに暗躍してタッカーをあらゆる面から攻撃し、その事業を叩き潰そうとした。タッカーは罠に落ち、裁判にかけられ工場は閉鎖寸前となった。全ての疑惑を晴らし、無罪を勝ちとるためにタッカーたちは50台の新車を期日までに完成させなければならない。タッカーとその仲間たちの苦闘の日々が始まった。

そして最終弁論の日、タッカーは陪審員席に向かって、自らの信じるアメリカの自由・正義・未来について語りかける。「巨大な力で個人の自由な発想を押し潰すことは、この国の未来をも閉ざすことになるのではないか」その熱意ある発言は、陪審員たちの心をも動かした。遂にタッカーは無罪の判決を得て、それを迎えるかのように裁判所の前に完成したばかりのタッカー・トーペードが並ぶ。だがこの日、タッカーの工場は連邦政府によって閉鎖されることになってしまった。それでもタッカーと仲間たちは意気揚々と新車に乗り込み、パレードよろしく帰途についた。彼の車はこの50台のほかに、作られることはなかった。



今月のひとこと2010年7月号




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2010年7月3日

今日は朝から大雨で、出かけるところを中止して、これを書いています。 参議院選挙も後半戦になってきて、消費税の議論などが盛んになってきていますが、結果の数字ばかりで、ざっくりとしたシナリオが無いのが気になります。 社会保障費が毎年1兆円ずつ増えていくとのことですが、単純に消費税になおすと2%となり、5%の消費税アップも2-3年で消えて行くと言う事になりますが、この辺の説明が無くて、単に5%アップと言う話ばかりです。

おまけに最近では、400万以下の所得の場合は、還付するとのことですが、今日の朝刊で各紙が載せていましたが、半分が還付になってしまって、もし消費税を10%として、半分を完全に還付すると、均すと5%となり、歳入としては現状と同じと言うことになります。 いい加減な話が多いので、有権者はみんな眉に唾をたっぷり付けているのではないでしょうか。

経済の世界もぱっとせず、株価もどんどん下がっています。 結局、日本はいろいろ言われていますが、世界の中で見ると、一番マシなので、円高になってしまって、本当に価値が上がっての円高ではないので、株価が下がって、さらには地価も下がって、要するに日本が衰弱死する方向に行っているのですが、銀行などは国債買いに走ると言う構図です。 国債は最近は大幅な値上がり、つまり利息は下落しています。 最近の個人向け国債の固定金利は、0.15%で1000兆円借りても利息支払いはたったの1.5兆円。 これならいくら国債を発行しても心配ないと言うのが政治の認識ではないでしょうか。

あまり好ましくないのですが、以上のようなメカニズムで、しかも国際的にも圧力はあまり無くて、妙な安定があるのが現状でしょう。 しかしこのメカニズムが逆転を始めると、他の国の債務が減っていく、景気が良くなっていく、相対的に日本の価値が下がってくる、円を売る、円安になり、こうなると日本の底力が残っていたら、輸出で稼いで景気は好転する。 と言うシナリオになります。 国内消費が云々されますが、日本の輸出はGDP全体の20%しかありません。 これが少し良くなっただけで国内的には目に見えた良い効果があるということは、一昨年ぐらいを思い出せば良く分かると思います。

管総理のブレーンと言う経済学者の大阪大学社会経済研究所 小野善康所長が、先週に立て続けにテレビ出演していましたが、例の増税したら景気が上がると言う理屈の元らしいのですが、増税してそのお金を「政府が正しく使えば」と言う条件で景気が上向くとの理屈。 マクロの話とミクロの話が入り乱れているので、良くわかりませんでしたが、マクロ的に見ると、既に国債と言う形で民間のお金は歳入を超えるほど大量に調達されて、それが正しくかどうかは分かりませんが、預金に回さずに何らかの形で使われているのです。 これに数兆円のお金を足したところでたいした差はないと思うのです。 しかしポイントは、成長はしない、本当に貧しい人が居ると言う前提で、年収200万クラスにお金を配って、消費を上げようと言うことみたいです。 これと現在議論中の消費税と何の関連があるのか、良くわからないところです。

いずれにしても、「政府が正しくお金を使う」と言う前提自体が実現不能で、これが本当に実現できたら、何もしないで景気は上向くし、みんな平和に暮らせるでしょう。 何か前提のすり替えみたいなことを感じました。 まあ民主党ならではの大きな政府指向の話でした。 アメリカ人なら絶対に認めない論理ですね。 最近ではかなり変化しましたが、特に連邦政府を全く信用していない国で、州毎に軍隊を持っていたり、武器の所有が憲法で保証されて いる国ですから。

トヨタも出資した、米国カリフォルニアのテスラモーターズが1000万円(おそらく現地では6万ドルぐらいの普通の値段)の新しい車を出すそうです。 現車種は、1800万円(12.8万ドル)の屋根が開くロードスターで100km加速が4秒だそうで、ポルシェも真っ青です。 新しい車種からはパナソニックのリチュウムイオン電池が使われるようです。 航続距離も400km近くあり、車としての完成度がどれくらいかが気になるところですが、ロータスエリーゼがベースになっているので、そのレベルだと思えば良いでしょう。

気になる車重ですが、なんと 1235kgしかないそうで、この中に450kgの電池を含んでいます。 元になったロータスエリーゼが800kg程度しかなかったので、エンジンがモータに置き換わったと考えるとほぼバッテリ分だけが重くなった計算です。 もっともカーボンファイバーなどを多用して、車重軽減の努力は大変なものがあったと思いますが、これだけの設計をして、この値段は驚異的です。 世界で1000台以上売れたそうです。 売上を計算すると約130億円。 ファーストラウンドのファンドが75億円ということですので、出足は車と同じく急加速ですが、事業としてはこれからでしょう。

普通のガソリンエンジンのスポーツカーより性能が良いと言うことで、現状のガソリン車はどうなって行くのでしょう。 クラッチも変速機もなくただアクセルを踏むだけ。 それで良いとも言えるし、物足りないのは単にガソリン車をいままで乗っていたからか。 生まれてから既にインターネットがあった世代が成長して、ものの考え方が変わったように、初めて乗る車が電気自動車だったら、その後の考え方も変わるのかもしれません。 ガソリンエンジン車が、すべてクラシックカーになってしまうのでしょう。

今月の読み物は、 咸臨丸、サンフランシスコにて (角川文庫) 植松 三十里 (著) です。 映画のシナリオのような出だしで、なかなか面白いと思います。 メインテーマになっている、日本人水夫の墓ですが、サンフランシスコの 280をダウンタウンから行くと、乗ってすぐに左側みたいです。 Fストリートをエルカミノを横切って左です。 サンフランシスコはよく知っていると思っていましたが、ここは知りませんでした。 ダウンタウンから移転して、ダウンタウンにはお墓は禁止されているそうです。 最初に行った時から、確かにこの辺りはお墓の多いところだと感じていました。 よく見かけたのは、ゴールデンゲート国立墓地でここは軍人のみ、日本人墓地からもっと南で、左に380を行くとサンフランシスコの空港があります。

Googleで捜すといろいろわかりました。 写真も出てきました。 場所はよく見てみると、入り口を入ってまっすぐ行くとロータリーがあるのでその右斜め前に3基並んでいるのがそれと思われます。 ストリートビューは、墓地のなかまでは入らないので、良く見えませんが。 EarthではMapよりもう少し分かりやすいです。 お試しあれ。 写真クリックでMapの現地が表示されます。 写真はいずれもGoogle ストリートビューより引用。

内容紹介: 安政7年、遣米使節団を乗せ出航した咸臨丸には、塩飽衆の吉松たち日本人水夫も乗り組んでいた。書き下ろし後日譚も併載し、歴史の渦に消えた男たちの運命を辿った歴史文学賞受賞作が大幅改稿を経て待望の文庫化!

内容(「BOOK」データベースより) : 安政7年、条約批准のため遣米使節団が江戸湾を出航した。勝海舟が艦長を務める「咸臨丸」には、瀬戸内の塩飽衆・吉松たち日本人水夫が乗り組むが、悪天候に悩まされ、病気も蔓延する。アメリカ人水夫との対立、士官・中浜万次郎への反発など不穏な空気の中、果敢に太平洋横断に挑んだ彼らを思わぬ運命が待ち受けていた。書き下ろし後日譚「咸臨丸のかたりべ」を併載し、第27回歴史文学賞受賞作品が大幅改稿を経て、待望の文庫化。



今月のひとこと2010年6月号


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2010年6月6日

政治の世界もまさかの大逆転で、それもやっと一段落して、一応の方向性は決まったと思います。 有権者が選択したのだから、と言う論調が目につきますが、何も総理大臣まで選んだわけではありません。 こういう事を見ていると、やはり国のリーダーは国民が直接選挙をする大統領制にしないと、その人の考えや政策が十分にチェック出来ません。 またこれにより強いリーダーシップが取れると思いますが、現在の仕組みでも同じような選挙方法が取れるでしょう。  衆参同日選挙で信を問うのがもっとも分かりやすい、リーダーシップが取りやすい方法ではないでしょうか。  



市場の動きもなかなか面白かったです。 首相の辞任では動かず、幹事長の辞任で上昇したとの事。 市場というのは多数のリアルタイムの投票みたいなものですから、一瞬にして評価が出たと言うことでしょう。 本欄でも以前に述べたように、選挙は重要で数がすべてを支配すると言う事は本当ですが、結果としての数であるべきで、最初から票と言う数を取りに行くばかりでは、理念が生きてこないと思います。 前首相のように単に言葉だけで思いを述べるのだけでなく、それを実現する目玉となる政策とのセットでないといけないでしょう。



前回は、オープンカーの話で、今回はその続編のハズでしたが、いろいろ面白い話題が出てきたので、アッさりと延期して今回は盛りだくさんです。



宇宙航空研究開発機構(JAXA)がH-IIAロケットで打ち上げた金星探査機「あかつき」です。 戻ってくる「はやぶさ」が話題になっていますが、注目すべきは、あかつきに小型相乗り衛星として「IKAROS(イカロス)」が打ち上げられた事です。 イカロスは、超薄膜の帆を広げ太陽光圧を受けて進む太陽風ヨットです。 この帆の一部に薄膜の太陽電池を貼り付けて、これで発電をすると言う事ですが、なにより嬉しいのは、太陽風ヨットであることです。



太陽からの主に光の粒子の圧力を受けてヨットのように宇宙を帆走するのです。 ロマンがありますねぇ。 普通の水上のヨットもロマンがありますが、宇宙でしかも太陽風とは、何とも言えないロマンがあります。 理屈の上では、光速まで加速できるのですが、質量があるので、その10%にも行かないのでは無いかと思います。 いずれしても、これが実際に作られて、ロケットで打ち上げられて帆走していると考えると何とも言えない感慨があります。



何十年も前に、この話を本で読んでいたので、なんとか思い出してみると、SF作家アーサーCクラークの短編集「太陽からの風」(早川書房)の表題作でした。 現物は探したが出てきませんでしたが、 カバー解説文から抜粋すると、赤道上空22,000マイル。今、男たちは太陽ヨットレースのスタートラインに並んでいた。途方もなく大きな円形帆は、惑星の間を吹く風を受けて、いっぱいにふくらんでいる。レース開始まであと3分。これから地球を2周してその加速で地球から脱出し太陽の風を背にまともに受けながら、月へ向かうレースが始まる…男たちの夢とロマンを乗せ、宇宙を疾駆する太陽ヨットレースを描いた「太陽からの風」



日本語入力で、PCのWindowsに付属しているMS-IMEにイライラしていませんか? 思った変換が出来ない、例えば「京滋」みたいな単語でも出てきません。 ずっとイライラしていたのですが、最近ひょんなことから、GoogleがIMEを提供(もちろん無料で)していることを発見しました。 早速インストールしてみると、これがまああまあで、少なくとも今までのイライラはかなり低減されました。 インストール時間も少なく、再起動も必要なく、XPでも7でもOKでした。 流石にGoogleで、Web上の単語はすべて出てくるそうです。 また、ケータイでも実装されているような、予測に基づく単語候補も出てきます。



半角の設定(記号を半角にするとか全角にするとか)も便利です。 ただIMEのON/OFFの切り替えキーの設定とかは、まだ不便で設置ファイルを書きなおさないといけないようですが、これも近々に改善されると思います。 ATOKをインストールするとシステムエラーが頻発して、これ以来はATOKは絶対にインストールしない、また有料でしかも結構な値段がする。 その反動でWnnのPC版を作ったのですが、なかなかバージョンアップに追ていけなくて、結局イライラしながらMS-IMEを使い続けていました。 けれどこのGoogle IMEですっきり解決しました。



今月の読み物(今回は読まなくて良いですが)は、我、知事に敗れたり―2009年9月堺市長選 (単行本)木原 敬介著 ¥1,575 です。 シャープの誘致とかでそんなに失敗もないのに何故市長選挙に負けたのか、前から不思議でしたし、堺市はいろいろ関係があったので興味があり、読んでみました。 結論から言うと、大した内容の本でもないので、わざわざ高いお金を出してまで買うべきものでは無いと思いました。 ダラダラと恨みつらみを書いているだけで、政策としては、LRTが中止されたことが最後まで未練がましく記述されています。 この木原さんと言うのは民間から大阪府に再就職した人ですが、やはり役人が合っていたのだと思います。 お役人らしく、一つづつ政策を積み上げていくやり方で、確かに本人の言う様に、実績は着実に上がってきている、どこが悪いのか? と言うことでしょうが、良い悪いは別にして大阪府知事が言っているのはもっと大技で世の中を変えると言う事で、これは相手が悪かったとしか言いようが無いですね。



また、堺市が政令市になった事が長年の夢で大きな成果としていますが、何で大阪府の中に政令市と言うような、二重権力体制みたいなものが必要なのか良くわかりません。 堺市の立場なら、権限が大きくなる政令市は意味があるのでしょうが、大阪府の立場から言うと、アンタッチャブルがひとつ増えたことになります。 大阪府知事のターゲットは大阪市と堺市で、これを解体する大技が大阪都構想でしょう。 政令市は府と同格と言う事で、大阪府の担当はこの2市を除く他の地域と言う住分けになって、政令市内では、府と市の二重行政となってしまいます。



大阪府では、まず水道事業の一本化を目指したのですが、結局一本化出来ず、最後は大阪都構想で大技をかけたと言うことでしょう。 どっちが良いとか正しいとか言う事では無くて、チェンジ・変革をして欲しいとみんな思っているので、残念ながら前堺市長の言い分はよく分かりますが、議論のレベルが違うのと、時代が変わってきていると言う印象を強くもちました。



著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

木原 敬介

1939年、大阪府豊中市生まれ。大阪大学法学部卒業。伊藤忠商事を経て、1964年大阪府採用。美原町助役、大阪府地方課長、堺市助役、大阪府税務長、大阪府企業局長、大阪府水道企業管理者を歴任。2001年堺市長当選。二期八年間在任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)