今月の一言2011年3月号

「今月のひとこと」の目次
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2011年3月1日
やっと株価が復活して来たと思ったら、中東情勢が怪しくなってきました。 その割には、今週の初めは一瞬下がりましたが、持ち直しました。 アメリカの大統領選と日本企業の業績アップ期待が中東不安に優ったと言うことでしょう。 とは言え中東の危機ドミノはまだまだ先があるので、いつの時点かこれがぷつんとなると、ニュージーランド地震のようにガタガタ来るのではないでしょうか。

最近は、日本頑張れ、と言う論調が多いですね。 中国にGDP第2位の地位を奪われたのですが、それでもまだ第3位。 ちなみに第2位の地位は42年も続いたと言うことです。 いずれにしても、まだまだ大国で底力はあるはずです。 もう少し自信を持って、最悪の政治は放っておいて、グローバルに気持ちを大きく持とうではないでしょうか。 昨年1年の企業の活動を見ていると、その様な印象を持ちます。 妙な国内に見切りを付けて、海外での活動を盛んにする動きが目につきました。 それまでは、何となく踏ん切りが付かずにグズグズしていたのですが、昨年ぐらいで、中国や新興国に背中を押されたカタチで吹っ切れたのではないでしょうか。

とは言え中国の膨張は凄まじいですね。 年明けに一斉にニュースになった、中国製のステルス戦闘機、殲-20が話題になりました。 F-22のパクリだとか、初飛行の日にアメリカのゲーツ国防相が訪問したときには、胡錦濤は知らなかったとか、話題には事欠きません。 一応飛んだので、みんなビックリしましたが、実配備には10年かかるとのコメントでしたが、日本はどうするんでしょう? 中国はアメリカのメーカーに注文する?? ようですが、 F-22ラプターは日本には提供してくれないし、提供してくれても偉く高価なので、お金がない日本としては買うに買えないと言う状況でしょう。 交換保守部品などを含めて、一機300億円はくだらないのではないでしょうか。 日米関係を考えるとヨーロッパ主導の戦闘機は採用できないので、後はF-35 になるようですが、単発のくせに結構高くて、またその開発も遅れに遅れて、下手したら、中国に先を越されるのではないでしょうか。

最近のITの世界で大いに話題になったのは、大相撲八百長問題で消したはずのケータイメールが解読されたと言うことでしょう。 最初は、サーバーのファイルを解析すれば分かるのでは、と思ったのですが、あれだけの数のメールが処理されているので、これは無理と分かりました。 ドコモはダメですが、auなら1ヶ月ぐらいはサーバーに保存してあるので、そこから簡単に復帰できるようです。

実際は、やはりケータイをバラして、チップを取り出して、シミュレーターにセットしてデータを読みだして、さらにそのファイル解析をしたみたいです。 新聞によればメーカーの協力を得て、3ヶ月かかったとかですので、現場の技術者は残業につぐ残業ではなかったのでしょうか。 特に日本のガラケーはファイル構造も独自ですので、メーカーの設計者でないと分からないと思います。 まあ、ここまで徹底的にやれば読めると言うのはその通りだと思います。 通常はかかるコストが膨大ですので、一般的には不可能だと思います。 最近見た某ビジネス雑誌には、ケータイでは無いのですが、PCのディスクデータの解析方法が詳細に出ていました。 ここでも鍵になるのは、それぞれのアプリ特有のヘッダ情報がどこまで解析できるかであって、専門の解析業者はそう言うデータをノウハウとして蓄積しているのでしょう。

今月の読み物は ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書) 加藤 文元 (著) ¥882。 ガロア群と言うのはどこかで聞いたことが有ると思いますが、 天才とはこういう人の事を言うのだと実感します。 単なる数学の本ではなくて、当時のフランスの政治状況とか、何故ガロアが決闘しなければならなかったとか、いろいろな背景が分かります。 「この証明を完成させるための方法がある。でも私には時間がない。 」 と言うのは有名なフェルマーの最終定理について、フェルマーが、「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」と書いたことと似ています。 フェルマーの最終定理(予想)は、結構難しくて、最近やっと完全な証明がなされましたが、その時にもガロア群の考え方が使われたと聞いています。 どちらも同じ楕円関数に関連したもので、数学の奥深さには驚かされます。

「BOOK」データベースより
天才という呼称すら陳腐なものとする人物が歴史上には存在する。十九世紀、十代にして数学の歴史を書き替えたガロアは、まぎれもなくその一人だ。享年二十。現代数学への道を切り拓く新たな構想を抱えたまま、決闘による謎の死で生涯を閉じる。不滅の業績、過激な政治活動、不遇への焦りと苛立ち、実らなかった恋―革命後の騒乱続くパリを駆け抜けた、年若き数学者が見ていた世界とは。幻の著作の序文を全文掲載。

今月のひとこと2011年2月号

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2011年2月1日
やっと少し市況も上向いて来たと思ったら、早速エジプト情勢が悪化してしまいました。 これが卯年の跳ねるだったらどうでしょうか。 国債の格付けが下げられて、総理の「疎い」と言う発言でまたゴタゴタしています。 以前の格下げの時は、ボツワナ以下と言われて、論議を呼びました。 いずれにしてもGDPの2倍近く、それも現時点で対策を講じても倍は遥かに超える状況で、これくらいの格下げで良く持っていると思います。

消費税を5%上げても、社会福祉の費用の増加で消えてしまい、財政均衡には程遠く、現在のままでは、消費税を20%以上上げないと、バランスしません。 やはり現時点で為すことは、大規模な大幅な規制緩和でしょう。 すぐに出来なければ特区でも良い。 また法人税を大幅に安くする。 多少安くしても歳入欠陥に占める割合は多く無いので、多少下げても大勢に影響はないでしょう。 もしくは、自分でできないのならIMF管理にでもしてもらって、外からコントロールしてもらわないといけなくなるでしょう。 お隣りの韓国は少し前までIMF管理にまで陥ったのですが、現時点では元気になって、日本を脅かすまでになっています。 財政赤字カウンターと言うのを見つけました。 増えること自体はたいしたことないのですが、金利が上昇したら、金利払いだけで国家予算が消えてしまいます。

ITの世界では、アップルのスティーブ・ジョブズの病気療養休暇が話題になっています。 過去2回も病気療養でCEOを離れていますので、今回は無期限と言う事で市場も注視しているところです。 先日この話題で、アップルの本社がTVで映っていましたが、知っている頃と比べて植木が物凄く大きくなったなと感じました。 元のアップルの本社は、ここから数ブロック南の交差点に有りました。 実はそのすぐ下のアパートに住んでいたことがあるので良く知っていました。

現在のアップルのキャンパスは、元々モトローラの建物があって、例のサンフランシスコ地震で建て替えを余儀なくされて取り壊されました。 その跡地に現在のアップルの本社が出来たのです。 近くには、HPの大きな敷地や、AMDのキャンパスもあり、シリコンバレーの中心地の一つだと思います。 最近のGoogleやジョブスのNEXTコンピュータなどは、もっと北の空港に近いところの、101号線の東側に有ります。 以前は何も無いところで、要するに地価が安いところだったのでしょう。 シリコンバレーの膨張は結局、サンノゼで止まって、東の方に少し動いたのですが、結局は元のスタンフォード大学の南の付近に戻っていったと言う感じです。

今月の読み物は、日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書) 大山 礼子著 です。 今国会中継を聞きながら本稿を書いていますが、意外に国会とはどうなっているのか、知らないことに気が付きました。 なかなか固い書物ですので、読みにくいかなと思ったのですが、意外に読みやすくて、各国との比較も適宜行っており、タイトル通り日本の国会の姿が良く分かります。 2院制のメリット・デメリット、その改革の方向性に付いて、委員会審議とはなにか、本会議審議は何故討論が少ないのか、などなど、その理由が良く分かります。

内容(「BOOK」データベースより)
政党間のかけひきに終始し、実質的な審議が行われない国会。審議空洞化の原因はどこにあり、どうすれば活性化できるのか。戦後初期からの歴史的経緯を検討した上で、イギリスやフランスとの国際比較を行い、課題を明らかにする。「ねじれ国会」が常態化した今、二院制の意義を再考、そして改革の具体案を提示する。

2011年 正月 元旦 あけまして、おめでとうございます

2011年正月元旦
2010年 正月 元旦 あけまして、おめでとうございます。
昨年の1月号を見直しても、あんまり変わっていないようで、この1年は特に政治の世界は変化がなかったと言うことでしょう。

卯年は跳ねるとの相場格言で、今年こそと株式投資の期待ですが、出遅れの日本株が本当に跳ね上がるのかどうか、大いに気になるところではあります。 尤も千里を走る寅は1年遅れと言う話も有ります。 日本で金融緩和してお金をばらまいたら、結局それは回りまわって、国債に回って、結局お金がぐるぐる回っているだけで、残ったのは国債残高だけと言うことが、この20年ぐらい起こっていて、怖いもの見たさも手伝ったインフレ期待・予測は完全に外れました。

昨年のリーマンショック以降は、全世界的にお金がだぶついていますから、これがどこに向かうのか、気になるところです。 一部の新興国とも言えない、中国やインドなどでインフレ傾向が出てきましたが、これくらいで済むのか気になるところです。 アメリカはどうも日本タイプになりそうで、長期金利が下落しています。

年の初めですから、長期的な希望のある話をしたいと思います。 最近、流行の電気自動車(EV)ですが、通常のエアコンをつけたり、いろいろなことをすると、航続距離は 100Km 程度では無いかと言う話になって来ています。 要するにチョイ乗りのいつでも充電できる目的に限るとか、ハイブリッドしか実用にはならんと言うことがハッキリして来ました。 電池の技術革新も次の一歩の展望がなくて、充電容量の桁上げが難しいようで、もし出来たとしてもエネルギーの塊となり安全性の問題もあり、実用化には時間がかかりそうです。 ターミネーター3でターミネーターが壊れた電池を捨てて大爆発を起こすシーンがありました。 多かれ少なかれこう言う事故は起きそうです。 もちろん電池メーカーは万全の対策をしていますし、すると思います。

原子炉で直接水素ガスを発生させる事が出来ると言う記事を、最近タマタマ見た新聞で発見しました。 以前に水素ガスブームが有ったときは、水素ガスの発生にエネルギーつまりCO2が必要で、あんまり意味がないのでは、と思っていましたが、高温ガス炉で直接水死ガスを発生させると、CO2問題はかなり解決すると思います。 水素ガスの燃料電池で発電すれば、現時点での電気自動車の欠点はクリアできると思います。

燃料電池車は、既に各社が試作車を開発していて、ホンダの「FCXクラリティ」、トヨタの「FCHV-adv」、日産の「X-TRAIL FCV」などがあり、要するに以前の水素ガスブームの時に開発していて、あながち完全な夢でも無いようです。 ただ燃料電池の瞬発力がないとか、回生エネルギーを充電できないとかの問題があって、リチュウム電池車とのハイブリッドになっています。ホンダ車で言うと航続距離も600km以上で、この距離を支える水素タンク容量も171リットルで済み、ガソリンの2倍位で済むようです。 技術的にはハイブリッドで量産の域に達しているので、後は水素タンクと燃料電池の改良でしょう。 ガソリンスタンドの代わりに水素ガススタンドが出来れば、現在の自動車とほぼ同じ使い勝手が期待できます。 街中の完全EVと遠乗りの水素自動車が住み分けて行くのではないでしょうか。

ちなみにマツダのロータリーの水素ガス直接駆動の「RX-8ハイドロジェンRE」の性能を見てみると、ガソリンに比べて、性能がだいたい半分になってしまいますね。 まあ水素ガスが提供されたらの話ですが、スポーツカーでなければ実用上は問題ないのではないでしょうか。

問題の水素ガスの発生ですが、まず鉄を作る高炉から副産物として出来てくるようですが量が少ないので、実用には大量に作れ、CO2の発生が少ない原子炉が良いでしょう。 我が国では、HTTR 高温工学試験研究炉 と言う高温ガス炉が茨城県大洗町にあります。 黒鉛減速、ヘリウム冷却型原子炉で、1000度近い熱を発生できます。 この熱を使って、要するに水を分解して水素を作るのです。 もんじゅなどで冷却にナトリウムを使って大事故を起こしていますが、この原子炉はヘリウムを使うので安全性は高いそうです。

超電導送電システムも、次世代のエネルギー問題を解決するひとつの重要な技術でしょう。 これが可能になれば、地球規模で発電を行い、それを配電することが出来ます。 例えば主要な砂漠地域に太陽電池を設置すれば、どれかは昼間になっているはずですので、太陽電池の夜間問題は解決できます。 また送電線の持つ大きなインダクタンスと大電流の特徴を生かし、電力を磁気エネルギーにして貯蔵する蓄電システムをつくることも可能です。

超電導送電は、既に実証実験は始まっていて、実用には問題は無いようです。 問題の冷却も高価な液体ヘリウムでは無くて、77Kの液体窒素が使える高温超電導物質が発明されたので、後は冷却の方法とエネルギー収支だけとなりました。 もちろん将来に常温での超電導が実用化されれば冷却は不要となります。

超電導ケーブルは、中心に冷媒を通すパイプが通っており、これを取り巻くように超電導電線が配置され、その外には冷媒が止まったときのための銅線があるようです。 全体は要するに魔法瓶のように真空の容器の真ん中に位置するようにしてあるようです。 最大の問題は、可撓性つまりどれだけ柔らかく曲げられるかです。 特に超電導物質は非常にもろいものですので、これを如何に曲げるかがポイントです。

送電方法も、その昔エジソンが主張したような直流になるようです。 交流の最大の利点はトランスを使って電圧の降昇圧が容易だったのですが、最近は半導体技術の発達で、直流でもこれが可能になりつつあります。 しかし、現在の交流送電システムは、システム全体でも、そのロスは5%程度と、特に日本は高効率を誇っています。 ちなみにこの半分はトランスによるもので、また直流送電も一部取り入れられているようなので、直接の比較は難しいですが、超電導送電に必要な冷却エネルギーや電圧変換ロスを考えると最終段階まではまだ道のりがありそうです。

今月の読み物は、ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち スコット・パタースン (著), 永峯 涼 (翻訳) ¥ 2,310 分厚くってぎっしり活字が埋まっている本だったので少し引きましたが、読み始めると止まらない。 どっかで聞いたことのある、シタデルのケングリフィン、ルネッサンスのシモンズ、破綻したGSAM(ゴールドマンサックス・アセット・マネジメント)のグローバル・アルファ、90年代後半に超レバレッジでオールインして破綻したLTCM、クオンツ達が集結してつくったアスネスのAQR、モルガン・スタンレーのPDT、D.E.ショー、メダリオン、Saba などが次々と出てきます。 私はこの分野には無縁でしたが、1990年代に取引がコンピュータで行われていると言うような話を聞いたことがあったので、そんなものかと思っていましたが、ザラバ中に毎秒何百万ドルも増えていくお金、それがリアルタイムで表示されていると言うのは、すごいですね。 確かにシステムを作ったら後は何もしなくて良い。 しかし何かの拍子にアルゴリズムの想定が狂ったら、ガタガタになりますね。 あっという間に何千億円の損失が出ます。 何百億ドルとか日本語に訳してあるので、これをドルに読みなおしてやっと感覚が分かります。 それにしても最初から最後までポーカーの物語のテーマが流れていて、この人達はギャンブル好きなんですね。 この世界は所詮ギャンブルの世界なのかと考えさせられました。

内容紹介
リーマンショックに代表される近年の金融危機の中心には、計量分析に基づく投資手法を考案した天才数学者達の存在があった。ウォール街が記録的なメルトダウンを経験するまでの足取りを辿る渾身のドキュメンタリー。

内容(「BOOK」データベースより)
ウォールストリートの食物連鎖の頂点に君臨する「クオンツ」と呼ばれる天才数学者たち。彼らは、平凡な人間には解読不能な微分学、量子物理学、応用幾何学を駆使して金融商品の値動きを分析し、莫大な利益を上げてきた。だが、彼らの開発した数々のデリバティブ(金融派生商品)や数理モデルは、史上最大の金融崩壊の引き金となってしまう。天才たちはどこで何を間違えたのか―。ウォールストリートの内幕を暴く驚愕のノンフィクション。NYタイムズ・ベストセラー。

今月のひとこと2010年12月号

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2010年12月3日
先日と言ってもだいぶ前ですが、新聞をバラバラ見ていたら、ベタ記事でブノワ・マンデルブロー氏死去と出ていて、久しぶりにフラクタルを思い出しました。 85歳だったそうで、1977年に一連の図形を表現するためにフラクタルという概念を発表したそうで、確かにビジュアル的に分かりやすかったので、すぐに知ったと思います。 簡単な図形の繰り返しによって複雑な形を表現すると言う当時としては目からウロコの理論だった記憶が有ります。 海岸線とか山のスカイラインの形とか、樹木の形とかが表現できます。 現在でも少し手を抜いた背景画像に使われている場合が有ります。

東京方面に行くことがあったので、以前から行きたいと思っていた武相荘に行ってきました。 実はここから数kmの所に何年も居たのですが、行きそびれていました。 ここは言わずと知れた白洲次郎が太平洋戦争を予測して疎開し、農業に従事したところです。 何か本当に観光地化していて、少しイメージが崩れました。 面白かったのは書斎で、机の横には小型のTVが置いてあって、私も実は小さなTVを置いていて親近感が湧きました。 農業は本格的で、小型のトラクターまで有りました。 エピソードなどはこのページを御覧ください。

車は最初はベントレーであとでポルシェになったそうですが、後には東北電力の会長になりそれなりに収入はあっはずですが、武相荘に移った時には吉田首相のブレーンをしていた程度でたいした収入はなかったはずです。 しかしそれなりに買えたというのは、手数料収入とか、見方によっては大阪で言う「がめつく」稼ぐ能力もあったようです。 単に占領軍にとってうるさい日本人であっただけでなく、商才もそれなりにあったと言うのはうなずける話です。 いままで知らなかったのですが、墓所が兵庫県三田市にあることを今知りました

昨今、流行りの坂本龍馬も海援隊と言う一種の商社を経営していて、これは一種の軍隊で実力行使が出来た事が薩長同盟を成立させるような政治力の源泉になったそうです。 某政党の一兵卒と自称している人はこのベースは十分にあるのですが、理念が無いですね。 逆にいくら立派な理念があっても、それをサポートする要するに資金力、実力行使がないと政治力も発揮できません。 軍事力も同じで、政治力や外交力とマッチしていないと十分な力の発揮は出来ないと思います。

今月の読み物は、財務官僚の出世と人事 (文春新書)> 岸 宣仁 (著) ¥798 白洲次郎と両極を成す官僚のタイトル通りの内容です。 如何に旧大蔵省の主計局が役所の中の役所と言われるワケがわかります。 やはりこの国は主計局で持っていたんですね。 いくら政治家が政治主導と叫んでみても政策は停滞するだけ。 はやり政治家による高い理念と官僚による実行がうまく咬み合わないと、この大きな日本は動かせないと思います。 極東のちっぽけな島国と言うのは、どうも我々の義務教育の段階で刷り込まれているので、すぐに北欧の小国との比較になりますが、なにしろ中国には並ばれましたが、世界で第二のサイズ、物理的な大きさでは無くて経済サイズがある国ですがら、そう簡単に細部までコントロールすることは不可能だと思います。

内容(「BOOK」データベースより)
試験の成績に関する限り、彼らは幼少の頃から「優秀」「できる子」の折り紙をつけられ、「神童」の評判を取った人物も多かったはずだ。それだけ頭のいい人物がいったいどんな出世競争を繰り広げているのか。日本一熾烈なエリート戦争、勝者と敗者を分けたものは何か?1000枚の取材メモで再現。歴代事務次官の出身高校・大学リスト付。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
岸 宣仁 1949年埼玉県生まれ。73年東京外国語大学卒業後、読売新聞社入社。横浜支局を経て経済部に勤務し、大蔵省、通産省、農水省、経企庁、日銀、証券、経団連機械、重工クラブなどを担当した。91年読売新聞社を退社、経済ジャーナリストとして知的財産権、技術開発、雇用問題などをテーマにしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

今月のひとこと2010年11月号





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2010年11月1日
台風一過と言うわけにもいかなくて、秋の梅雨になってしまいました。 何十年ぶりかで、車で東京まで行ってきました。 流石に歳を考えて行きは沼津で一泊したのですのが、帰りは一気に浜名湖での30分の休憩で、正味5時間15分で帰りつきました。 よくよく考えたら、東京まで直接自動車で行ったことはないのでは無いかと思いました。 学生の頃は名神しかなくて、東名がところどころ出来ているだけだったので、国道1号線をひたすらトラックの追い越しに必死になっていました。 これで確か沼津までノンストップで8時間はかかったと思います。 ずっと高速道路で、自動車の性能は飛躍的に上がり、体力があれば一気に走り切れますね。 リニアの話も出ていますが、その時点では電気自動車(EV)で少なくとも東京・大阪間は充電なしで走れるようになるのではないでしょうか。

政治も経済もぱっとせず、また近い将来の展望もなく、うっとうしい天気で陰気な気分になってきます。 アメリカは、さらなる未踏の金融緩和に出ようとしていますので、ますますの円高が進行するでしょう。 本欄でも何回か紹介したように、自国通貨が上がるのはその国の価値が上がることなので、本来喜ばしいことです。 従って、現時点では海外の資産を買い取るとか、大名海外旅行に出かけるとか、もっと円高を謳歌したら良いと思います。

あまりにも輸出企業の言い分が声高になりすぎです。 某日本経団連の会長が顔をしかめながら円高は困る、とだけは言って欲しくない。 他の団体だっと思いますが、70円でビジネスが出来るように、と言っていて、ふーんと思ったら東芝の会長か相談役で、東芝は社内レート70円で行くそうです。 いつも元気な電産の永守さんは、このチャンスにとどんどん大型のM&Aを進めています。 円高キャンペーンで気を付けないといけないのは、インフレ(デフレ)係数を考えると、現状は名目で言うほど円高では無いのです。 日本はデフレが進行していますので、その分は名目の円高に触れるので実質はあまり変わっていないと言うことです。 従って問題は、デフレに対応出来ていない輸出企業に有ります。 また、円高と言うよりドル安ですから、他の通貨に対してはそんなに円高になっていません。 ニュースでも円高円高と言いますが、対米ドルであると言うのはあまりいいませんので、円高だけが印象に残るのです。 むしろ米ドルの時代が終わりつつあると認識すべきでしょう。

またまたノーベル賞が2人出ました。 やはり長生きしておかないとと言う事と、何が評価されるのか分からないと言うことですね。 今回受賞された特にアメリカにいる人は、ラッキーでした、と言う言葉を何回も言っていました。 これが本心ではないですか。 特に今回の受賞は、技術もさることながら液晶がこれだけ広がったと言うことの要因が大きいでしょう。 私も若い頃に液晶に少し頭を突っ込んで、ついでに有機ELにもわずか関連しましたが、40年前の液晶はどうしようもなく不安定で、寿命が短く、量産性に欠けるものでした。

せいぜいデジタル時計の文字盤とか、電卓の表示とかにしか使えませんでした。 50インチ100インチの画面が出来るとは夢にも思いませんでした。 もちろん基板となる大型の薄いガラスの製造技術に寄るところも大きいのしょうが、今回の受賞につながった技術がメジャーな役割を果たしているのではないかと思います。 パテントがなかったと言うことですが、これがあれば市場は膨らまなかったでしょうが、何とか日本の優位が保てたのかも知れません。 他の優位の技術が見当たりません。 ひょっとしたらELがもっと早くメジャーになったかもしれません。

ノーベル賞での連想で、例の本当にラッキーだったニュートリノの観測で賞をもらった、カミオカンデで、また新しいプロジェクトがスタートしたようです。 カミオカンデの最初の目的は、素粒子論の標準理論で予言されていた陽子の崩壊を観測することでした。 理論では陽子も崩壊しこの世は、何十億年後かはエネルギーだけつまり光で薄ぼんやりした、後はなにもない世界になると言うことで、何十億年も待てないので、数を増やして膨大な水の中の水素原子の崩壊を捉えようとしたのです。

計算では年に2-3個の崩壊があるはずだったんですが、結局これは見つからなかった。 それで同じような機構で、今度はニュートリノを観測しようと言うことになり、東京の研究所でニュートリノを発生させて、富山のカミオカンデで検出できたのですが、それと同時に地球の近く、近くと言っても何光年の距離ですが、ここで新星が出現した。 つまり星が大爆発を起こし、その時に発生した大量のニュートリノを検出したのです。 これがノーベル賞受賞の大きな要因でした。 たまたま検出器を作ったら、たまたま近くで新星が爆発したなんて偶然は楽観的に考えても、数千年に一度だと思いますので、あの受賞はラッキーだったとみんなに言われているようです。 受賞した本人も、ラッキーだったと言われていますが、といつも言っていました。

そのカミオカンデが3度目の正直で、今度は宇宙の暗黒物質を検出しようと動き出しました。 これが検出されたら今度は本当にノーベル賞ものです。 この宇宙全体にある、我々の体や地球を形成する物質は物凄く沢山あるように思えますが、実は全体で言うと10%しか無いのです。 他は暗黒物質とさらには暗黒エネルギーが大半を占めているのです。 暗黒物質は、単に見えない宇宙の塵みたいなものでは無くて、重力以外の相互作用を持たないので検出は極めて難しいとされています。 この中の候補としては先程のニュートリノがあり、当時ニュートリノの重さがゼロでない、と言う事が間接的に実証されて、当時のクリントン大統領も言及しました。 しかしこれだけでは暗黒物質の総量には達しないことが分かりました。 暗黒あネルギーは、ご存知アインシュタインが、生涯の間違いと言った、アインシュタイン方程式の中に無理やり追加した宇宙項に関連していて、この宇宙項そのものが暗黒エネルギーに相当すると言うことが分かってきました。

アインシュタインは古典物理を、最後に集大成した人ですから、量子論には最後まで反対していましたが、宇宙に関しても膨張宇宙は信用せず、定常宇宙だと信じていました。 それでほっておくと膨張する宇宙を止めるために無理に宇宙項を追加しました。 その後宇宙が実際に膨張している事が分かって、アインシュタインは、自説を否定し上述の言葉になったのです。 その後、当時そうていしたような定常的な膨張ではなくて、膨張が加速していることが分かり、その原因が暗黒エネルギーだと言うことです。

今月の読み物は、世界は分けてもわからない (講談社現代新書) 福岡 伸一著 ¥819
前作が面白かったので、また読んでみましたが、ここで取り上げて置いてなんですが、そんなに面白いとは思えませんでした。 文章が少々読みにくい。 しかし後半の研究結果の捏造に関しては、なかなか筆も冴え、一気に読みました。 ノーベル賞確実と言われた研究成果が、ひょんなことから捏造とばれてしまった話ですが、その途中の電気泳動の実験手順が微に入り細に入り、図解すると一発で分かるようなことが、文章化され、それがまた良く読める。 実際に自分で実験しているような気分になりました。

こう言う捏造事件は結構あって、似たようなケースでは同じような時期に、ジョン・ロング事件と言うのがあって、マサチューセッツ総合病院で、癌の一種である「ホジキン病」の培養株を得て、これを元に種々の成果をあげたのですが、結局は捏造が発覚したそうです。 日本でも、以前に話題になった、旧石器の発掘捏造も有りました。 筆者は、研究者がなぜこう言うことをしでかすのか? と言う分析をしたかったらしいのですが、その結論はイマイチぼんやりしています。 いずれにしても、この捏造作業の描写は一読の価値アリです。

内容紹介
60万部のベストセラー『生物と無生物のあいだ』続編が登場! 生命は、ミクロな「部品」の集合体なのか? 私たちが無意識に陥る思考の罠に切り込み、新たな科学の見方を示す。 美しい文章で、いま読書界がもっとも注目する福岡ハカセ、待望の新刊。

内容(「BOOK」データベースより)
顕微鏡をのぞいても生命の本質は見えてこない!?科学者たちはなぜ見誤るのか?世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカへ―「治すすべのない病」をたどる。




今月のひとこと2010年10月号

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2010年10月1日
検察問題、中国問題、通貨問題・・ だんだんうんざりしてきます。 中国は検察問題を狙ってやったのではないとは思いますが、勢いのある国は運まで付いてきます。 やはり素人集団の民主党では荷が重すぎるのか。 それにしても尖閣のビデオがなかなか出てきませんね。 偽ビデオとは思いませんが、偽メールの二の舞だけはして欲しくないと思います。 流石に若い前原大臣を前にクリントンはデレデレして、ついでに尖閣は安保の範囲だと言ってくれましたが、アメリカもまさかここまでこじれるとは思っていなかったと思います。

中国側から見ると、沖縄を含む特に尖閣は物凄く目障りでしょうね。 沖縄も中国の領土だったと言う、今のところ単なる学説らしいですが、いつ何時政府の方針になるかも知れません。 台湾、尖閣、石垣、沖縄と中国のものになれば、いつでも堂々と太平洋に出ていけるわけで、ここを何とかしようと思っていることは間違いありません。 それにしても国民の方も脳天気な意見もあって、愕然としますね。

かたや日本から見ると、この地域を奪われるとシーレンが確保できなくなって、石油の供給が不安定になります。 戦前のABC包囲網を連想する状況となるのではないでしょうか。 円高もそれ自体は国の資産価値が上がるわけなので歓迎すべき事でしょうが、妙なことに各国が自国通貨安を競争しているので、それに付き合わざるを得ないと言うことでしょう。

せっかくの通貨高ですから、その価値を最大限に利用して、外国企業の買収とか、石油の備蓄を積むとか資源の確保とか、単に円高を嘆くだけでなくてやることは沢山あると思います。 中国にこれ以上押されると、本当に日本の信用がなくなり、国内的には、自国内で国債が消化できなくなり、海外に依存すると、急速に最後の砦である個人資産が目減りして、急速に円安の方向に振れるのではないでしょうか。 その時の円安は、日本が世界から見放されたと言ういみですから、本当に日本沈没です。 今は最後の花だと思わないといけないでしょう。

iPadを先日、某大型カメラ店でいじってきました。 最初の印象は、超高級フォトフレーム。 単なるフォトフレームでも1万ぐらいするので、特に超高級ではないでしょうが、それでダメなら多機能フォトフレーム。 iPadの上で例えばコマーシャルにあるようにドキュメントを作るのはとても面倒。 メールを見るのはともかく書くのは大変そうです。 反面、写真を見るのは非常に楽です。 反応が速いのが特に良いです。 写真をパラパラめくる感じも、PCで見るより見やすい。 と言うことで、デジカメの付属品(どっちが高いのか?)として、写真ビューワとしてみれば、大変に満足の行くシロモノです。 多少高いのが欠点ですが。

今月の読み物は、マイケルサンデルのこれからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学マイケル・サンデル (著), Michael J. Sandel (著), 鬼澤 忍 (翻訳) ¥2,415
少し前に、TVでたまたま『ハーバード白熱教室』NHK教育テレビにて放送中(2010年4月4日~6月20日、毎週日曜18:00~19:00、全12回)の最終回をちらっと見たんですが、途中から見たので議論が分からず、学生がえらく難しい事を議論していると言う感じで、これにはえらくショックを受けました。 当然に英語でやっていたのですが、議論内容がさっぱり分からず、二重のショックを受けました。 ハーバードではこう言う議論を日常的にやっているんだと思いましたが、その後これは超人気の講義で、教授のマイケル・サンデルのバックボーンも分かってきて、やっと理解できました。 それで、今回の本が出たときは、一発で購入しました。 先日もTVで、東京大学でのマイケル・サンデルの講義が放映されていたので、思わず全部見てしまいました。

内容はともかく、面白かったのは、東大の学生は最初は日本語でやっているんですが、途中から議論が本格化すると、みんな英語になってしまいました。 まあ英語の出来る人なんでしょうが、みんな結構上手でしたね。 流石は東大と言う感じです。 途中で英語になる訳は、マイケル・サンデルの言うことを英語で聞いているので、頭が英語に切り替わっていて、英語でないと頭の中がまとまらないということでしょう。 もうひとつの理由は、ああ言うディベートになると、俄然英語のほうが便利だと言う理由もあると思います。 物事をキチンと説明する、議論をするには英語は大変便利に出来ています。 反面文学とか芸術の領域はやはりなんと言っても日本語です。 結論(動詞)を先に言う英語は議論に適し、結論(動詞)を後に言う日本語は感情表現に適していると思います。 これで思いつきましたが、英語でも、最後に aren’t you? みたいなのを付ける場合が有りますが、これは ~そうでしょ? みたいなニュアンスで、やはり最後に言わないと感情がこもらないと感じるのは、古今東西同じように思えます。

マイケル・サンデルの講義は、講義としても思い白いですし、最近滅多に口にしなくなった「正義」みたいなものが正面きって取り上げられるのも新鮮に感じるのではないでしょうか。 日常いつも感じていることがずっと前に哲学者が看破していたとかの再発見が有ります。 例えば、「相手が勝手に誤解するのは良いが、明確な嘘はいけない」と言うのは私の主義ですが、これがカントとは知らなかったなんて事もあります。

内容(「BOOK」データベースより)
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー、待望の邦訳。