「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。
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11月4日
株価は連休前に落ちて、連休明けが見ものですね。 日経平均は上がっているのですが、小型株がまだまだ出遅れで、一向に動く気配がありません。 SBIホールディングスの北尾社長にもキナ臭い話が出ていて、まだまだ昨年の一種のIT小型バブルの決着は着いていないようです。
ソフトバンクの孫さんがまたまたやってくれました。 お得意のゼロ円の衝撃とその後の混乱。 最初はわざとやっているんでは無いかと思ったんですが、そうでもなさそう。 「誰が世界で一番安いインターネット接続を実現したのか?」といつも言っています。 確かにYahooBBでは衝撃的な安さで他社がそれに追従して、結果的には世界で最もインターネットの進んだ国になりました。 10年前ならインターネットの最先端のアプリケーションは米国の展示会とかセミナーに一生懸命に行ったものでしたが、最近ではインターネットの最もクールなところは日本です。 光ファイバーがこれだけ普及している国もありません。 10数年前に光ファイバーを各家庭に引くには20兆円以上のお金がかかる、これをどのようにして調達するか、と言う議論がありましたが、隔世の感があります。
知らない間に価値が無くなってしまった電話債券。 逆に考えると当時はあれだけのお金を払ってでも電話を利用したいと言うニーズがあったんですね。 現在の価値に直すと、何十万円にもなるでしょう。 しかし最近では何万円もかかるような光ファイバーには誰も手を出さずに、定価表には2万円とか書いてあっても、何とかサービスでタダになるような仕掛けになっています。
前述のソフトバンクのケータイですが、基本的にはゼロ円プラス基本料金は良いとしても、夜間の9時から12時までの通話に制限をかけているのは解せません。 どうせ当分は回線がガラガラでしょうから、使いたいだけ使ってもらったら良いのではないでしょうか。 どうもソフトバンクの内部で、そう言う実務派の人と孫さんみたいな、それ行け派とのすれ違いがあったのでは、無いでしょうか。
使う帯域つまりデータ容量で言うと、有線は無限、無線は有限、と思っていましたが、無線の世界も技術進歩が早くて、無線も実質的には無限の帯域があると思ってよいのではないでしょうか。 孫さんの言う、世界で最も安いケータイ料金を実現して欲しいものです。 しばらくは混乱を眺めていようかと思います。 YahooBBの時でも混乱はしばらく続きましたから。
核論議が盛んになりました。 議論はどんどんやるべきで、頭から考えもしないのは民主主義の基本に反します。 世界第2の経済を誇る日本は既に核を持っていると感じている人が多いそうです。 技術的にも資源的(プルトニュームが捨てるほどある)にも可能性はきわめて高いようです。 誰かがその気になれば3ヶ月で出来る、と言っていましたが、それは無理としても、3年あれば何とかなると思います。
持てるが持たないと言うのが最も良い態度だと思います。 現実的に例えば日米同盟を考えてみても核保有は無理でしょう。 しかし、北朝鮮の核実験のあとすぐにライス国務長官が飛んできて、アメリカの核の傘の再確認をしていきました。 彼らにしてはこれが最も言いたいことでしょう。
雑誌を読んでいたら、核保有をに匂わせる>> 中国はこれが最も危険と思っているので>> 北朝鮮に核廃棄を促す、と言うようなシナリオが書いてありましたが、もっと外交カードとして使ったら良いのにと思います。
このような中で、中国はちゃっかりと、中国-アフリカ サミットを先週に開いて、中国がアフリカを支援すると言う外交イベントを開きました。 日本では例の鈴木宗男騒ぎでアフリカとの連携は切れてしまったように思います。 北朝鮮に気を取られているうちに、流石に中国は着々と手を打っています。 拉致とか軍備や核保有を言う間にもっと外交的にやることは多いと思います。 ちなみにアフリカは「非」と表現します。
今月の読み物は、経済モノです。 超整理法で有名な野口悠紀雄さんは元々経済学者。 この人の本はとても読みやすいです。 今回は先延ばしになっている消費税の話と金融工学の話。
知っているようで知らない消費税―「超」税金学講座 (文庫) 野口 悠紀雄 ¥540税込
何となく分かっているようで突き詰めると分からなくなる消費税。 いったい益税とは何故生じるのか、これから消費税率を単に5%から上げるだけで万事収まるのか、と言う疑問に答えます。 従来の消費税の考え方は、どんどん積んで行く考え方で、100円で仕入れたら105円の仕入れになり、売る時は200円で売るのなら、210円で売る、見たいな考え方ですが、ここに示されているのは、210円で売ったら、10円のうち5年は仕入先に、残りの5円を自分で税務署に払うと言う考え方で、非常に分かりやすい。 応用する時も応用が利きます。 また、消費税率を上げるなら、インボイス方式にしないと益税が発生してそれを補足出来ない。 従って消費税アップを望む小売業者も存在する、と言うような話になっています。 給与所得者の源泉徴収は、単に徴税の手間を省くだけとおもっていましたが、このような観点では、給与支払いのインボイスであると見れば、サラリーマンの税金が何故ガラス張りになっているのか、やっと分かりました。 反面、消費税と言うか、売上げに関してはガラス張りでは無いと言うことで、脱税が横行する原因になっていると言うことです。
内容(「BOOK」データベースより)
迫り来る大増税時代を前に、我が国の税制について考えたことがおありだろうか?たとえば消費税の仕組みとは?その構造的な欠陥とは?構造改革が叫ばれながら、改革らしい改革が行われず、税制改革を主導すべき基本理念さえ明確でない日本の現実。現状では企業のIT化にも対応できない。経済を活性化させる、あるべき税制改革構想を、当代切っての論客が説く。
金融工学、こんなに面白い (新書) 野口 悠紀雄 ¥725税込
もう一つの金融工学の本は、題名だけで敬遠する方も居られると思いますが、中身は非常に分かりやすい。 物凄い高等数学を使わないと分からないと思われているデリバティブ金融商品が簡単に分かります。 経済学とは何? 投資手法と経済学の関連は? などいつも漠然と疑問に思っていることが良くわかるようになります。
金融工学とは、文字通り金融の振る舞いを工学的アプローチによって解明する学問であり、情報科学とともに金融業界の活性化と新生の基礎を築くものとして、期待がされている分野だ。一方、新時代に向かう経済のなかで中核的役割を担うとされながら、高度な金融理論や数学理論に立脚していることから「敷居が高く、近寄りがたい」という声が上がっていることも事実だろう。本書は、難解な用語や数式を極力排除し、実際の金融界におけるエピソードや「ヴェニスの商人」「エデンの東」など、一般の人にも馴染みの深い文学作品や映画を例にとりながら、金融工学の本質をわかりやすく説いた入門書である。株価予想の可能性やリスクとリターンの関係など、金融構造の基本から、リスクヘッジの思想や方法を提示。さらに、1970年代に脚光を浴びつつ、すでに「終わった理論」とされてきた「ベータ投資理論」を、マーケット・リスクへの立体的な評価の側面から再評価している。また先物取引やオプションなどに関しても、発生の歴史からその構造が詳しく述べられており、現代のファイナンシャル理論を概観する手助けとなるだろう。さらにIT革命のなかで、経済をいかにとらえるかというテーマにも取り組み、「実社会へのアウトプット」という立場から金融における「工学」的視点の確立を訴える本書は、「株で儲けよう」といったたぐいの実用書的なハデさはないが、より本質的に時代をとらえる一助となるだろう。(太田利之) 書評より