今月のひとこと2014年3月号





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2014年3月1日
株価の戻りが遅いと言うか、想定通りと言うか、経済アナリストはいろいろ言いますが、このまま4月の消費増税に突入しそうです。 その後の展開も、6月には戻るとか年内はかかるとかいろんな意見がありますが、結構時間がかかると思います。 その結果、10%は見送りになると思っています。 このまま、あと2%アップしたらガタガタになってしまうような気がします。 夏の内閣改造で、麻生さんが残るかどうかで、決まると思っています。

EUもだんだんと日本化しつつあり、デフレに突入の可能性が高くなってきました。 EUは過去はうまく危機を乗り切ってきましたが、じわじわとくるデフレに対応できるのでしょうか。 日本にも影響が大なので気になるところです。 あれだけ円高円高と騒いでおきながら、いざ円安になると、その効果は物価押し上げと一部の海外展開をしなかった、もしくは遅れていた国内生産の比重が高い企業の利益アップにしか効いていないように見えます。

円高の時に中小企業の社長から円高がすべての元凶みたいなことを言われて非常に違和感があって、未だによく覚えています。 国内の中小企業は、それなりに影響はあるのでしょうが、直接の影響は無いはずと思っていましたが、やはり実際に円安になってみると、その効果は限定的であることが明確になってきました。

そもそも自国通貨が高くて文句を言い、安くなって安心すると言うのは、どこかおかしいと以前からの自説ですが、特に原発が止まって燃料費がアップしている現時点での円安は、貿易赤字の原因になります。 もっとも、燃料費のアップはたいしたことは無くて、その試算が過大だとか、円安だけの効果だという話もあります。 いずれにしても、従来言われていたような、円安万能論には限界があると言うことで、これからは適正な為替水準に落ち着いていくと思います。

原因はともかく貿易黒字が急速に減ってしまって、貿易赤字が定着しそうです。 日本は世界最大の債権国ですから、その配当とかを入れた経常収支は、依然黒字なので、当面は問題ないですが、これも減りつつあって、最終的に外貨準備が減り始めると、国富が減少すると言うことで、国債の価値に疑問符が付いて、価格の下落つまり長期金利のアップと言う事態になってくると、これは大変なことになります。

長期金利は日銀の異次元緩和で、低いままです。 一時は乱高下しましたが、最近は落ち着いてきて、しかしこの間見た広告では、変動住宅ローンが0.6%で、びっくりしました。 1%を切った時点でもびっくりしたのですが、その内に0.8%になり、最近は0.7%で、これが底かと思っていたら、さらに下がりました。 これは実際の金利ですから、銀行が調達する金利はもっと安いことになります。

経済とITの狭間の話題は、何と言ってもビットコインでしょう。 年明けからビットコインの新聞記事が増えたなと思っていたら、取引所が閉鎖と言うことで、大きなニュースになりました。 仕組みがイマイチ明確ではありませんが、暗号化技術で良く使われる、公開鍵と秘密鍵の鍵ペアを使った仕組みのようです。 公開鍵を使って振り込みを行い、秘密鍵で引き出すと言うことらしい。 しかし、これだけでは特徴の一つである匿名性が保たれないので、何らかの仕掛けがあると思いますが、技術的には大したものでは無いと思います。

今回の問題は、この鍵ペアが破られたと言うことでは無くて、取引所のサーバーがハッキングされたと言う良くある話だと思います。 もし鍵ペアが純技術的に破られたとしたら、これは大問題で、世の中が根本的にひっくり返る可能性があります。 同じシステムを住基ネットはもちろん、ネットバンクでもセキュリティの高いビジネス口座にも中心的に使われています。

あれだけ大騒ぎして本欄でも取り上げたSTAP細胞が怪しくなっているようです。 論文に掲載の写真が取り違えていたと言うそれ自体は大きな問題ではないのですが、発表から1ヶ月経っても、実験の再現がどの研究所でも出来ていないようです。 ネットを見ると、「いや、1ヶ月では結論が出ない」、「STAPの特徴は短時間に培養できるはず」、「特許も取っているから」、「特許取っても正しい保証は無い」、「特許を完全に押さえないといけないので、論文には全部書いていないはず」、「全部書いていない論文なんて意味が無い、追試が出来ることが論文の必須条件」などなど憶測が渦を巻いています。
要するに、私も感じていましたが、最大の疑念は胎児の細胞にES細胞が混じっていたのでは無いかと言うことだと思います。



本欄で先月取り上げたように、過去の常温核融合事件と展開が似ているので、同じ展開にならないように祈ります。 世界中で追試は行われているはずですが、今までで5-6カ所の否定的な結論しか出ていないようです。 総本山の京都大学IPS細胞研究所の追試とその結果を知りたいものです。

今月の読み物は「世界は分けてもわからない」講談社現代新書 福岡伸一著 ¥ 819
捏造ついでに、思い出したのが、この本。 福岡氏はよくTVにもでて来てフェルメール オタクとしても知られていますが、文章もなかなかうまくて、ファンが多いです。 本書の前半は、まとまりもなく面白みも無いですが、後半は打って変わって筆が冴え渡る。 本書は前半は絶対に読まないで、後半だけお読みください。 読む価値あり。

1980年代、E・ラッカーという高名な生化学者が、癌化におけるリン酸化カスケード理論、「まず司令塔の酵素があり、それにより酵素が次々にリン酸化し、最後に細胞のリン酸化が起きて、細胞が癌化する」を提唱した。ラッカーの研究室はその仮説を実証すべく、蛋白生成、酵素反応、電気泳動の実験を膨大な数行うのだが、誰もその理論を立証できなかった。 現在では、これは正しいとされ、これを元に夥しい数の新薬が作られていて、ノーベル賞級の研究だったのですが、以下のような前代未聞の捏造事件で、その名声は地に落ちてしまいました。

ある時、大学を卒業したばかりのマーク・スペクターという若い研究者が研究室に入り、彼が実験をすると、今まで誰も証明できなかったカスケード理論を立証するデータを次々に生み出していきました。スペクターの実験は彼のみしか成功しないものが多く、彼は「神の手を持つ実験者」と皆からみなされるようになった。 スペクターの努力により、ラッカー教授のリン酸化カスケード理論は完璧に近いものに完成し、あの超一流学会誌「cell」にも論文が載った。

しかし、ひょんな偶然から、彼の実験はすべて捏造ということがばれ、スペクターは行方不明となる。 スペクターは天才実験者ではなく、天才詐欺師であったのだ。

自分のサイトを検索してみたら、4年前にも紹介していました。 こちらも、ご覧ください。
http://masuda.org/jiko/jiko2010b.htm#20101101

★★★ 是非読むべし

今月のひとこと2014年2月号





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2014年2月4日
あれよあれよと言う間に株価が下落して、元の木阿弥になってしまいました。 いつも年度末は裏切られると言うか、想定より速く落ちます。 今年は、消費増税を控えているので、みんな身構えていたんでしょう。 3月どころか2月に入る前から落ちました。 2011年の時は3月末に向かって、順調に上がっていたのが、東北大震災で一気に急落。 12年は低迷、昨年はやれやれと思ったところで、連休に来ましたね。 まさにアベノミックスも正念場。 これから真価が問われます。 来年の今頃はどうなっていることでしょう。

来年の消費税10%への道ですが、ほとんど可能性は無いと思います。 元々この8%でも、安倍首相はやる気が無かったと思います。 夏ごろにはそ迷いが見え隠れしてました。 結局、法案を出す時間も無かったし、日本としては一度言ってしまっているので、やめるわけには行かなかったのでしょう。 3%分に相当する5兆を積んで、目を瞑って正面突破です。 しかし10%は、こうは行かないと思います。 出だしからこの株価ですから。

あれよあれよと大きな話題になっているのは、何と言ってもSTAP細胞でしょう。 みんなべた褒めですが、額面どおりなら、またノーベル賞と言うことでしょうが、何か違和感があります。 この分野は世界中の研究者が競って研究しているので、単純なアイデア勝負できる分野では無いと思います。 本当にアイデア勝負なら、他の研究者は大いに恥じるべきですが、そうそう大きな抜けがあるとは思えないです。

だから最初のコメントは、みな一様に「驚いた」と言うことでした。 IPS論文捏造事件も、方法は化学処理でしたので、化学処理はやり尽くして、最後に遺伝子操作による山中方式が成功したのだと思います。 その時点で抜けがあったとしたら、宝くじに当たったようなもので、しかし運も実力の内ですから、それはそれで良いと思います。 山中教授でも「私は運が良かった」と何回もコメントしていましたが、それなりのメジャーな世界でトップを取ろうとしたら、「実力」と「パワー」と「運」は必須でしょう。

私見ですが、STAP細胞の弱いところは、人間の細胞では成功していないことです。 あれだけ短期間に培養できるなら、自分の皮膚であろうが髪の毛であろうが、口の粘膜であろうが、そこからSTAP細胞を作るのは極めて容易のはずですが、出来ていない。 ここにヒントかあると思います。

受精卵から作るES細胞は倫理上の問題があったので、IPS細胞が開発されたんですが、これは遺伝子操作するときに癌を引き起こす遺伝子を使ったので、ガン化の恐れがある。 その後ガン由来の遺伝子を使わずにIPS細胞が作成できて、大いに広まったのです。 今回のSTAP細胞は、報道によるとマウスの新生児のリンパ細胞から作られたとのことで、ES細胞に近いものに刺激を与えてリセットしたのではないかとも言われています。

人間は妊娠期間が長いので、生まれた後ではSTAP細胞にならないのではないかと思います。 また大量にSTAP細胞を作る場合は、ES細胞の時に問題になった程ではないでしょうが、倫理問題が再燃するかもしれません。 いずれにしても注目すべき研究ではあります。

似たような話として、強烈に印象に残っているのは、常温核融合。 米国ユタ州のソルトレイクのホテルに泊まっていて、USA Today の朝刊を見ると、一面トップに掲載されていました。 Fusionとなっていたので、これは核融合の事かなと一瞬辞書を引きたくなるくらいでした。 ビーカーに溶液を入れて電極で電気分解すると、その時に中性子が出たとか、液温が上がってエネルギーが出たとか。 当時の通産省もその気になって予算を付けて、大々的に追試を始めましたが、一向にその気配が無い。 中性子は間違い、エネルギーは電気分解時の電気のエネルギーと言うことになったと思います。 しかし最近まで国の予算でその研究をやっていたと思います。 (写真のリンクの内容は真偽不確かです)

この時の衝撃は、何千億円もかけて、核融合炉を開発しているのに、それと同じことがビーカーの中で出来てしまうと言う、予算をつけた方としては、戦慄すべき話だったわけです。 これと同じで、もし化学刺激でIPSと同じものが出来るのなら、これは大ごとで、IPSにあれだけの(と言ってもまだたいした額ではない)予算をつけて大々的にやっているプロジェクトが無意味になってしまいます。 頭の柔軟な若い女性の研究者の成果と言うだけでは済まない問題がいろいろあると思いますし、それ以前に、IPSと同じに論じて良いのか、と言う問題もあります。 報道は、自由な研究環境、理系の女性と言うことだけに焦点が当たっており、ついこの間もノーベル賞で大騒ぎしたIPS細胞のことをけろっと忘れているようなワイドショーにも幻滅します。

今月の読み物は超硬派です。 ケプラー予想: 四百年の難問が解けるまで 新潮文庫 ジョージ・G. スピーロ著、青木 薫 訳。 1900年にパリで開催された国際数学者会議で、ヒルベルトが重要な未解決問題のひとつとして提起したものですが、私は全く知らなかったです。 ひょんなことからこれを知ってこの本を読み出したのですが、最初の章を読んで、余程止めようかと思ったぐらいですが、途中から俄然面白くなり、読みきりました。

ケプラー予想とは「大きさの等しい球をもっとも効率よく三次元空間に詰め込む方法は、果物屋の店先にオレンジが積まれるときの方法と同じである」と述べている。小さな子どもでさえ、直観的に「正しいのでは?」と思いそうな命題だ。ところが、一見当たり前のようなこの命題の正しさを明らかにすることが、とてつもなく難しかった。

最後は、地図を4色で塗り分ける4色問題と同じく、コンピュータを使って数学的には無理やり証明(証明と言うのか)したのです。 この当時、従来の数学的な手法は、「エレガントな方法」で、コンピュータを使ったのは、「エレファントな方法」だと言うことを聞いたことがあります。

また、同じようなことを本書では、イギリスの数学者イアン・スチュアートは「ワイルズによるフェルマー予想の証明がトルストイの『戦争と平和』なら、ヘールズによるケプラー予想の証明は電話帳のようなもの」だと喩えているのも面白いです。

しかし、もっと面白いのは、コンピュータを使った証明は、それを100%検証することは非常に難しい、一つの問題を別のコードを書いて、別のコンパイラでコンパイルして、別のコンピュータで計算して同じでも、そうではない可能性があると言う批判に対して、従来型の数学的な手法の証明でも間違いはいくらでもあり、論文として出てから何年も経ってから間違いが発見されることもある、と言う反論は興味深いです。

この本の最後の3分の1は、コンピュータの歴史から、数値計算の方法や限界とそれを打ち破る歴史などに費やされていて、数学に興味のお持ちの方以外でも、コンピュータに興味がある方にも面白く読めるものではないかと思います。

★★☆ 理系の男女は是非読むべし。




2014年 元旦 あけまして、おめでとうございます

 

2014年 元旦 あけまして、おめでとうございます。
昨年の巳年は特に経済の転換点であったようです。 株式相場は、相場の転換点で、1929年の巳年は米ニューヨーク証券取引所で株価が暴落、1953年にはソ連首相、スターリンの重体が伝わり朝鮮戦争による特需が終わるとの観測から株価が急落、バブル景気が頂点を迎え12月に3万8915円の史上最高値をつけた1989年も巳年でした。 昨年の本欄を読み直すと、こう書いてありました。 辰年と巳年の相場格言は、「天井」で、今年の午は尻下がり。 最後の大納会が天井になるかどうかですね。

 

まさかの安部首相靖国参拝で、米国の反応のサプライズはあったものの、今のところは大きな波乱もなく、このまま4月の消費税アップに行き着くのかも知れません。 3%アップのうちの2%分に相当する経済対策を打ったものの、サスガに今年は良くて現状維持、普通では尻下がり。 一時は18000円の予想もあった昨年も、5月のレベルにやっと戻ったと言う事でしょう。

原発再稼動も普天間も動き出したので、あと少しの我慢だと思います。 小泉発言で揺れた原発再稼動ですが、日本の国の大きさを冷静に考えてみると、単純な原発ゼロは成り立たない事は分かると思いますが、軍備と同じで、なければ良いが、なくすことは出来ないということだと思います。 普天間も同じで、なければそれに越した事はないですが、現実的には辺野古移設は不可避だと思います。

原発問題での一番の問題点は、再処理した高レベル廃棄物ではなくて、抽出したプルトニュウムの方だと思います。 これがどんどん溜まる。 英国とフランスと国内に50トンほどあるようです。 このプルトニュウムを使う予定だった高速増殖炉の「もんじゅ」は、技術的にモノにならないし、もし出来たとしても時間的に間に合わないと思います。 「もんじゅ」を活用して高レベル廃棄物を核種変換して、無害なものに変えると言う技術を開発しようと言う話になっているようですが、「もんじゅ」をそのまま動かすよりは、こっちの方がまだ現実的だと思います。

溜まったプルトニュウムの使い道は、ウラン燃料に10%ほど混ぜるMOXしかないわけで、せいぜいこれで使い切らないといけない事になります。 詳細なデータはないのですが、100万kW級原発の年あたりのウラン燃料消費量は30t程度らしいので、日本の再稼動原発を 100万kW 20基とすると、年間に600トン必要となり、現時点で50トンほど溜まっているプルトニュウムは1年で消費できそうです。

ネットの世界では昨年からビッグデータの話題が盛んになってきています。 以前は「データマイニング」と言うような技術がありましたが、ネットの時代になって様変わりしました。 ニューメディアと言っていた時代とネットコンテンツの時代の差と似ているようです。 これだけ大量のデータがあると、量は質を変革する、で全く違う技術に変化しました。 これのハシリで覚えているのは、Twitterを解析して、株価の騰落を予想する、と言うベンチャービジネスが、何かの賞を取った事です。 その時は、ホンマかいな、と思ったのですが、それがビッグデータと言う技術でまとまった感じです。 クラウドならではのビックデータですが、問題も多くあります。

クラウド関連で年末に話題を呼んだのは、バイドゥの日本語変換ソフト「Baidu IME」。 クラウド変換を自動的にやっていたのが問題視されて、デフォルトではこれをOFFにする事で決着したようです。 この「Baidu IME」は、何かのソフトをインストールする時に、余程注意しないと勝手にインストールされてしまいます。 これに劣らず、最近のソフトは気をつけないと、どんどん勝手にソフトをインストールしてしまいます。 時々調べて削除するようにしないと、こんなソフトだらけになってしまいます。

WindowsのデフォルトのIMEの変換効率の悪さにはほとほと手を焼いている所ですが、Google IMEも同じようなもので、一度使ってみて、クラウド変換をしている事が明白だったので、使うのを止めました。 ネットで検索する言葉はそのまま変換されるので、便利ではあるのですが、変換はサーバーがらみで行っているようなので、オフライン時では不便だし、セキュリティ上はもっと問題です。 特に Baidu IME は何をしているのか、全く分からないので、即アンインストールしました。 いずれにしても、無料の正体不明のソフトはインストールしない事が大切です。

さらには、アメリカによるネットの盗聴が問題とされ、ケータイの通話まで盗聴されていると言う事で、世界に衝撃を与えました。 エシュロンと言う盗聴システムは以前からあって、通常の無線通信、電話通話、ファックスなどは、盗聴の対象とされてきましたが、さらにはネットも大規模に盗聴されていると言う事でショックを与えました。 大手の接続プロバイダがデータを提供していたと言うことにも増して、海底ケーブルの光ファイバーに直接アクセスする技術を使って、プロバイダも知らない間に、光信号のまま盗聴していたと言う事がわかって驚きが広がりました。

元々インターネットは、ネット技術者間の情報共有に使われていたので、セキュリティが低いと言うよりは、セキュリティがなかったのです。 これをコンピュータウイルスが攻撃して、データ漏洩が起き、これを防ぐために、主にPCのセキュリティレベルを上げる事を最重要視してやってきたのが今までの流れだと思います。 しかし、これからは、また再びオリジナルのインターネットに近くなって、セキュリティの壁を低くするような方向に向かうのではないかと思われます。 しかし繋がる端末の数が桁が違うと言うより、10桁近くも違うので、また新たな世界が現れ、それに伴って新しいビジネスも生まれることでしょう。 ますます目が離せないですね。

ここまで高速なるとは思わなかった無線通信も当たり前になり、全端末が世界規模でひとつに繋がると言う、20-30年前には全くの夢物語、SFの世界だったのが、現実になってきているのは、驚嘆する以外のなにものでもありません。

今月の読み物は、たまたま映画を見たせいで思い出して読んでみた「 細雪」 (中公文庫) 谷崎 潤一郎 ¥1,150
上中下の3巻になっているのですが、面倒になって一冊になったものを買ったので、その重い事。 余程、電子ブックににしたら良かったと思ったくらいです。 なにしろ文庫本でも、段落なしでギッシリ書いてあるのに怖気づきましたが、覚悟して読み始めたにしては、見た目より読みやすい。 圧巻は、最後の方の幸子の心の中の描写で、ぎっしり8ページに渡って、心の中を描いていあります。 絵画で言えば、伊藤若冲か上村松園。 ここまで書けるか、と言うほどに描いてあります。 谷崎潤一郎がこの物語を書き上げた旧宅の倚松庵も神戸ポートライナーの傍で現存しており、当時の名残をとどめております。

★★★(是非読むべし)


 

 

 

今月のひとこと2013年12月号





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2013年12月6日

日経平均も16000円超を目前にして、行ったり来たりです。 来年から売却益に対する課税が強化されるので、それを見込んだ売りと買いが交錯しています。 海外勢もそろそろクリスマス休暇に入るので、動きが鈍くなってきたと思います。

NISAも早々と口座開設合戦が華々しかったですが、予想されたとおり、重複開設があって、これの取り扱いが問題となってきています。 基本的には早いもの勝ちで、開設日付の早いものが有効となりますが、同じ日だとどうするのか、問題ですね。

為替は円安に振れたのですが、意外にその効果は無くて、むしろ円高のメリットが失われて、貿易赤字は膨らんでいます。 もっとも、円安は国内物価の引き上げ要因になりますので、デフレ脱却には有効だと思います。 しかし短期的には痛みが伴います。

少しマシになってきたヨーロッパが怪しくなってきました。 要するにデフレです。 デフレはじわじわと効いてくるので、EU危機みたいなことはないですが、少しずつ体力が低下してくる感じです。 あれだけ大騒ぎしたギリシャの財政は、あっと言う間に持ち直して、財政赤字は激減したそうです。 ギリシャの場合では無いですが、単純に財政赤字が減ったから良いというものではないのが難しいところです。

通貨発行権を持つ政府は、ある程度の赤字は持っていないといけないようです。 しかし日本の財政赤字(誤解をするので敢えて借金とは言いません)は、巨額すぎます。 少なくとも半分にはしないといけないと思います。 現在の赤字を完全に黒字にするには消費税を20%以上にすべきと言う議論もありますが、赤字をゼロもしくは黒字にしないといけないと言う理由はありません。 通貨発行件を持つ国家の財政赤字を家計に例える財務省の説明はおかしいので、ここは少し頭を切り替える必要があります。

消費税の低減税率の話で、先日のBS放送の番組を見ました。 これを推進する公明党が説明していましたが、その論拠に唖然としました。 これを見て、公明党嫌いになった人は多いと思います。 低減税率推進の2つの根拠の1つが、国民が望んでいるから、と言うのがあって、これの更に根拠は、アンケートだそうです。 アンケートで低減税率が望ましいですか? と言う問いに、60%以上がYESと答えたと言うのが理由です。

誰でも税金が安くなることに異論はないでしょう。 むしろ40%もの人が、NOもしくは分からないと答えたほうがビックリします。 同席していた元主税局官僚が、「10%均一」 と 「11%+食料品の低減税率5%」の比較ならフェアーだと言ってました。 食料品の税率5%は全体の税率の1%に相当するそうです。 該当品目の線引きも難しいし、低所得者対策にもならないので、この番組を見たあとの私の感想は元々慎重であった低減税率は反対になりました。

その後が、もっとひどかったです。 元銀行員の公明党の副委員長かなにかの説明。インボイス方式でなくて、現状の請求書保存方式でと言う方法が、物凄く簡単で、みんな誤解していると人をアホ呼ばわりして、結局2つの税率を掛けた消費税を2段書きにしろと言うことでした。 コンピュータならちょいちょいで出来ると大見得を切っていましたが、摘要欄に★印を書いただけではPCでは計算できません。 あくまで手書きの伝票の話とPC処理の話の良いとこ取りで、話が一貫していませんでした。 早速、視聴者からは、「あなたは実務を少しでもやったことあるんですか?」 と言う質問(クレーム)が来ていました。 全く同感。 ごまかし説明の最たるものだと感じました。 リンクのビデオの後半をご覧ください。

こんなに中途半端に低減税率を導入したら、手間はかかるし、仕入れを低減税率で、売りを普通税率でやる、益税と言うより脱税を推奨するようなものです。 現在でも消費税の脱税が一番多くて、わずかの益税も問題になっているところに、こう言うのを持ち込むと、まともに消費税を払うのが馬鹿らしくなってくるのではないでしょうか。

経済の話はさておいて、最近は究極のエコカーとして、水素燃料電池が話題になっています。 元々水素は作るのが大変で、それにエネルギーを費やし、CO2も増えるのではないか、と思っていましたが、どうもそうでは無くて、現在でもプラントの副製品として、どんどん出来てしまうそうです。 また、原子力を使ったガス炉でも作れるそうです。

今まで私を含めて水素に否定的だったのは、その製造コストと運搬の問題でした。 コストに関しては、思ったほどはかからずに、意外に安価に出来ることが分かって来ました。 残る運搬の問題は、高圧にするとか、液化するとか、触媒を使うとか、いずれにしてもエネルギーのかかる方法しかなかったですが、先日の新聞では、通常の液体に水素を混ぜるというか吸収させる方法が実用化されるようです。 これだと従来のガソリンのように扱えるので、運搬には問題がなさそうです。 体積密度で500倍と言うことなので、これをもう少し上げないといけないのかもしれません。

また問題になっている遠隔地での再生可能エネルギー、例えば風力発電で生じた電力を使って水を電気分解して、水素を取り出し、それを液化しておけば、電力の蓄電にもなるし、タンクローリーで運べば、高容量の送電線の敷設も減らすことが出来ると言う事で、再生可能エネルギーの最大の弱点だった不安定さがカバー出来ると思います。

今月の読み物は、彗星がやってきたりするので、宇宙モノですが、内容は人間原理。 宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書) 青木 薫 著 ¥798。

本書は、人間原理とタイトルがついているので、興味深く読んでみましたが、内容は70%が宇宙と素粒子に関する歴史についてです。 うまくさらっとまとめてあるので、基礎知識のあるかたには、考えをまとめる上では読みやすいと思います。 文章も分かりやすい。

本題の人間原理は、言ってしまえば人間が存在して観測出来るように宇宙は出来ていると言うことで、宇宙に合わせて人間が進化したと言うことです。 他のわれわれからは存在も認識できない他の泡宇宙が無数にあって、その中には人間のような知性を持ち宇宙を認識できるような生物が生まれることが出来ないような原子や分子が存在しない宇宙もあって、そこではその宇宙が存在することすら、誰にも分からないと言う事が有り得ます。

現在の宇宙でも、物理定数(例えば重力定数)が少しでも違えば、人間は存在できないのかもしれません。 また人間まで進化するだけの時間があるのかどうかも問題です。 あまりに太陽の寿命が短いと、生物が知性を持つまで進化するまでに、太陽系が終わってしまいます。

こう言うことは沢山あって、宇宙人の存在も話題になりますが、非常に微妙なバランスで、知性のある宇宙を認識できる生物にまで進化する確率は非常に低いものと思います。 我々が生きている地球は、たまたま非常に良く出来ているのではなくて、地球に合わせて人間が進化したのだと思います。 逆に言うと人間まで進化するためには、地球のような非常に稀な環境が必要なのかもしれません。

もともと、コペルニクス以来、人間や地球が万物の中心であることが否定されて、それゆえ宗教臭がぶんぶんする人間原理はあまり人気が無かったのですが、最近は見直されて、その原理で説明できることが多いことが分かって来ました。

内容紹介
科学書の名翻訳で知られる青木薫、初の書き下ろし!
「この宇宙は人間が存在するようにできている!?」
かつて科学者の大反発を浴びた異端の考え方は、なぜ今、支持を広げているのか。

最新宇宙論の世界で起きつつあるパラダイム・シフトの全貌をわかりやすく語る、
一気読み必至のスリリングな科学ミステリー。

【目 次】
第1章 天の動きを人間はどう見てきたか
第2章 天の全体像を人間はどう考えてきたか
第3章 宇宙はなぜこのような宇宙なのか
第4章 宇宙はわれわれの宇宙だけではない
第5章 人間原理のひもランドスケープ
終 章 グレーの階調の中の科学

内容(「BOOK」データベースより)
この宇宙は、人間が生まれるようにできている!?一見、トンデモ科学のような考え方が、21世紀に入った現在、科学者のあいだで急速に支持を拡げている―いったい何が変わったのか?激変しつづける宇宙像のいまを、2000年以上におよぶ人類の知的格闘の歴史から読み解く。

★★★(是非読むべし)




今月のひとこと2013年11月号





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2013年11月3日
安倍政権による成長戦略も思うように進んでいないようです。 小さな目玉だった薬のネット販売解禁ですら、いろいろ例外が出てきています。 特区も中国などの経済特区に比べてもあまりに小粒でしかも進まず、法人税減税も夢のまた夢になってしまいました。 奇策の復興増税前倒し終了がやっとでした。

来年の消費税率アップ前の建築駆け込み需要と、やっと循環が始まった復興工事で、建設業界の人手不足が顕在化しているようです。 関西でも、建築作業員の確保が難しくなってきているようで、今までなら、すぐに始められた工事でもなかなか進まなくなりました。 東北大震災の後では、こう言うことを想定したのですが、なかなかそうならずに、やっと循環が始まった感じがします。 不謹慎ですが、元々大震災は、当時で20-30兆円と言われた需給ギャップを復興予算で埋めて、デフレ脱却のステップになるのでは、と思ったのですが、政権の運営が下手だったのか、なかなかその傾向が感じられませんでした。

1万6000円を目指す株価も1万4000円付近で行ったり来たりで、ぱっとしませんが、設備・機械関連の銘柄は、するすると上がっているのが多いです。 しかしこれも最近は下落傾向です。 一時流行った不動産関連やバイオもパッとせず、自動車もイマイチです。 このままで、消費税アップに耐えられるのか、少々心配になるところです。

ドイツのメルケル首相の電話が盗聴されたと大騒ぎになっていますが、このような状況になる遥か以前の2000年ぐらいに問題となった、エシュロン と言うシステムで、ほとんどの通信が盗聴されているのは常識でした。 この時も、欧州議会が調査をして公式の報告書を作って抗議をしています。 本欄でも取り上げたことがあります。 フランス語で「(梯子の)段」を意味する語 echelon に由来。

旧システムのエシュロンは、主に電波を傍受しており、軍事無線、固定電話、携帯電話、ファクス、電子メール、データ通信を含んでいます。 以前に西海岸の弁護士に、メールは流石に怪しいと思ったので、ファックスを送ったところ「アメリカ政府はファックスであろうと何であろうと盗聴しているぞ」と偉く怒られました。 封書の手紙は流石に開封できないので、どうしても連絡するなら手紙で、と言うことでした。

2007年から運営を開始した新しい盗聴システムはネットに対応したもので、PRISM 、正式名称はUS-984XNと言い、マイクロソフトの「So.cl」(ソーシャル)、Google、ヤフー(Yahoo)、Facebook、アップル(Apple)、AOL、Skype、YouTube、PalTalkの、あわせて9つのウェブサービスを対象に、ユーザーの電子メールや文書、写真、利用記録などの情報の収集をしているようです。

エドワード・スノーデンからの情報として、ブラジル、フランス、ドイツなど世界各国の国家指導者35人が電話盗聴の対象になっていたとのことで、イギリスもこの盗聴に加担しているとの情報もあり、UKUSA協定に加盟するイギリス連邦の諸国は監視対象になっていないらしいです。

日本には三沢基地に大規模な盗聴システムがあることが周知の事実といわれています。 今回のメルケル首相の件も、またかと言う感じではないでしょうか。 機密保持の甘い日本は当然に対象となっていて、首相や少なくとも主要閣僚の通話も傍受されていると思います。 せめて閣僚以上には、スクランブル機能のついたケータイを国費で支給すべきだと思います。

PRISMそのものかどうかは分かりませんが、今回報道された海底ケーブルを流れるデータの盗聴は、民間企業が作った盗聴ツールをアメリカ国家安全保障局 (NSA) が使って行なわれているとのことです。 北カリフォルニアの光ファイバー技術関連企業「Glimmerglass」社の海底ケーブルの信号を傍受するソフトウェア「CyberSweep」を使うとの事。 確かに、この企業のホームページには、顧客としてアメリカの情報機関が列挙されています。

2009年にNSAの予算からイギリスの政府通信本部(GCHQ)に支払われた金額が2500万ドルと大幅に増加しており、そのGCHQの所在地は多くの海底ケーブルが上陸する場所である北コーンウォールのBude(ビュード)にあることが明らかになっていることから、海底ケーブルの上陸地点で盗聴されているようです。

以前は光信号を電気信号に変換するところで盗聴が可能だったのですが、最近は光信号のままで中継することが可能になって、この方式はつかえなくなりました。 「Glimmerglass」社の「CyberSweep」を含むシステムは、光ファイバーそのものに割り込んで盗聴が行なえるようです。

先日から話題になっている「秘密保護法案」は基本的には必須だと思いますが、将来は必ず公開すると言う保証が必要でしょう。 この公開に適さないものの例示として、自衛隊の暗号と言うのがありました。 何か第2次世界大戦当時の話のような気がします。 未だに自衛隊は、暗号表片手に暗号を解いているんでしょうか。 人間の作る暗号は一発で瞬間に解読できるでしょう。 コンピュータが作るものも時間をかければ解読できます。 また、量子コンピュータが30年ぐらい経つと実用化されると思いますので、非公開期間を30年とすると、現在使っているどのような暗号でも意味がなくなってしまうはずです。




現在使われている暗号は、RSA方式がほとんどですから、アルゴリズムも、公開鍵も公知です。 秘密鍵は秘密ですが、頻繁に変更すれば問題ないです。 敢えて言うなら、鍵の元になる素数で、解読しにくい素数をどれにしておくか、は絶対的な機密だと思います。 RSA社でも、これだけは厳重な金庫に納めてあるとの事です。

Webメールを使っている人は、完全に傍受可能です。 メーラークライアントを使っている人でも、メールは中継されていきますので、傍受されていると思って良いでしょう。 送り元と送り先、件名は隠しようがないので、ばれても良いようにしましょう。 メールは全部フィルタにかけて、辞書と照合して、問題のキーワードがあれば、その送り元と送り先がブラックリストに載って、それ以降はそのメールアドレスから送受されるメールを全部傍受するような仕組みのようです。 機微な情報を含むメールの本文、添付ファイルには必ずしっかりしたパスワードをかけましょう。 これとて完全ではないですが、恐らく最初のフィルタには引っ掛からないと思います。

今月の読み物はデフレと超円高 (講談社現代新書) 岩田 規久男 著 ¥ 777
一時は日銀総裁候補になり、その後は副総裁に就任した岩田さんの著書です。 ふっと書棚を見ていると、この本があったので、再読してみました。 びっくりするのは、これが2011年2月に出版されていることです。 現在は、副総裁で実際に政策を実行しているとは言え、そのシナリオは、驚くほど実際の動きと一致しています。 この本を買った時は、リフレ派のひとりとして、結構過激なことを言う人だと言う印象があったのですが、こうやって読み直してみると、これは凄いと思いました。 インフレ目標が3%だったり、株価の上昇タイミングが少し違ったりしますが、これは想定との誤差範囲です。 アベノミックスの2年前に書かれたものとして、必読ですね。

【内容説明】
緊急出版! 日本経済の危機と希望を問う! 若者の就職難、雇用の不安定、賃金の低下、社会保障制度は崩壊寸前、今の生活のままでいいのか。 ガバナンスと金融を考えることは日本の緊急の課題である。経済学の第一人者が提案する日本経済を救う秘策とは!

【目次】
第一章 円高はなぜ起きるのか
第二章 デフレは円高を生む
第三章 デフレと円高はなぜ悪いのか
第四章 構造デフレ説の誤謬
第五章 デフレは貨幣的現象である
第六章 日銀の金融政策の目的は「デフレの安定化」
第七章 インフレ目標でデフレも円高も止められる

★★★(是非読むべし)






今月のひとこと2013年10月号


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2013年10月3日
とうとう1年のうちの4分の3が過ぎてしまいました。 消費税のアップも最終決定をして、春からの8%が決まりました。 気候はまだまだ暑いですが、この分だと秋はすぐに終わって冬がすぐに来るようで、気温の変化についていけずに体がおかしくなりそうです。

中国もシャドーバンキングの懸念にも関わらず、当面は持ち直しているようですし、アメリカの金融緩和の出口が少し遠のいたので、新興国も一息ついたところでしょう。 シリアも少し見えてきたし、来年の4月の消費税アップ後に何も起こらないように祈るだけですね。

株価はアメリカのオバマケアに関わるバタバタの影響で、円高となりそれにつれて株安となりました。 アメリカも年初の大騒ぎに慣れてしまって、油断があったのではないでしょうか。 日本も、消費税がうまく軌道に乗らないと、債務残高がどんどん膨らんで、同じような役所の閉鎖が現実になってきます。 ただし日本ではレイオフみたいな制度がないので、アメリカのようにうまくバッファリング出来るのかどうか分かりません。

安倍政権はなかなか運が良いです。 運も実力のうちで、前政権は政権運営能力も無かったが、運にも見放されていました。 消費税に関しては、夏ごろまでは本当に迷いが在ったと思います。 しかし、逆にアベノミックスの進展で、後には戻れなくなったものと思っています。 現時点でも、消費税アップをやめるべきと言う人が居ますが、この時点で止めたら無事では済まないと思います。 消費税を上げる事による反動よりもっと大きな悪影響が出るし、消費税のアップは、しばらくは出来なくなります。

1%づつアップ論が出てきた時には、やらせではないかと思ったんですが、そう言う雰囲気はあって、財務省に5兆円を飲ませたところから、話が進んだと思います。 この5兆円はだいたい消費税の2%に当たっていて、要するに正味は1%アップと同じと言う意味になるようです。 これで、1%アップ論は瞬く間に消えてしまいました。 浜田さんももう何も言っていないようです。 残る大物は、法人税減税。 復興税の前倒し解消みたいなトリッキーな話ではなくて、本家の法人税減税を正面からやるべきです。

参議院選挙の結果さらにはオリンピックの東京開催決定が、決定的な要因になったものと思います。 その後は一気呵成に決定へと突き進んだような感じです。 これに対して、少々だらしないのは経団連を始めとする経済界。 ボールは経済に移ったので、ここで成長してみせる、と大見得を切ってもおかしくない場面ですが、何となく押されて気味で、発言も評論家みたいなことを言っている。 これからは企業の出番。 以前に比べると、やることの目標はハッキリしてきているので、持ち前の集団力で大いに成長して欲しいものだと思います。

少し経済がマシになってきたら、今年の冬の電力が心配だそうです。 ここはやはり原発を再稼動して、当面のエネルギーの心配を克服しておかないと、成長戦略もなにもないと思います。 また、安倍首相が演説したように、日本と言う原子力にいろいろな意味で関わっている国、また世界第2-3位の経済大国では、世界に対して、原子力の有効利用に対して貢献していく責務があると思います。

ただ東京電力の汚染水をめぐるあの振る舞いをみていると、原発の運用は無理ではないか、と思うようになりました。 どうもJR北海道でもそうですが、インフラ企業と言うのは、マネジメントが出来ていないような感じがします。 他のインフラ会社の内情をみても、インフラ会社は、特にマネジメントしなくても、ルーチンで動く組織ですので、現場さえ動いておれば良いという感覚になるのかもしれません。 こう言う組織の管理職や役員は何をしているんでしょうかね。 毎朝会社に出勤して、お茶飲んで、新聞読んで、たまには接待ゴルフと言うような、ステレオタイプの監理職像を思い浮かべてしまいます。

ドイツが脱原発をしているという話がありますが、日本ほど大きくはないし、原子力に対しては何もしがらみが無い。 原発を止めてもフランスから原発の電力を持って来れば済む国とは大きな違いがあると思います。 いずれにしても、新たな原発はこれから30年以上は作れないでしょうから、その間に現在の原発は寿命を迎えますので、それをどうするか、が最大の問題です。 もっと小規模の30万キロワット級で、カプセル化した、軍事流用が出来ない原発を開発するのが良いと思います。

安倍政権の運について書きましたが、先日の新聞で秋元康が書いていた記事。 AKB48は総勢250人以上居るらしいですが、そのトップをジャンケン大会で決めるのだそうで、今回は4回目。 この大会の優勝者は、1回目を除き、あとは全てトップ16の常連だそうです。 それも全てパーとか、全てチョキとかで勝ち上がったそうです。 それでこれは八百長ではないか、と言う批判もあるようですが、本人曰く、八百長が入り込む隙がない、現場に居たら分かるが、みんな本気のガチンコでやっている、と言う意味のことをかいていました。 つまり、トップを取る子は、何かを「持ってる」子、要するに運と言う実力を持っているんだという話でした。

実際のビジネスの世界でも、運も実力のうちとはよく言われますが、こんなジャンケン大会みたいな単純な場面で、それが結果として出てくるのには、正直びっくりしました。 やっぱり常に気合をいれて、運を呼び込まないといけないのですね。 AKB48の選抜に関しては、ひょっとすると統計上のまやかしがあるのかもしれないと思って、その内に調べようと思っています。 例えば、昔の50人学級で、同じ誕生日の生徒が学級にはほぼ1組存在するとか言う話もあって、確率は365分の1だと思いがちですが、統計上は有り得る結果だと言う事になっています。 従って、AKB48のジャンケン大会もそう言う背景があるのかもしれません。

今月の読み物は、「真夏の方程式」 (文春文庫) 東野 圭吾 著 ¥720
最近はノンフィクションばかりで、どうしてもフィクションと思って、ミーハー的に読んでみました。 大学の後輩だそうで、少し理系の匂いがするのが受けるのか、同系の学部なので少し親近感があります。 推理そのものには、無理がありますが、綺麗な海がある寂れた海岸町の話なので、気分的に爽快になりますね。

★★☆ 緩めのものを読みたい方はどうぞ。