2013年 元旦 あけまして、おめでとうございます

2013年 元旦 あけまして、おめでとうございます。
昨年は、年末にかけていろいろとあった年でした。 一昨年の卯年の相場格言は「跳ねる」で、東北大震災と言うとんでもない跳ね方でした。 過去60年間の年間騰落率は23%で、卯年は3位です。 それを引き継いだ昨年の辰年の格言は、「天井」で騰落率はトップの29%。 1年を通じてヨーロッパ危機などで低迷したのですが、最後の最後になって、株式相場は大きく伸びました。 ダテに騰落率トップであるわけではないようです。 (写真はGATAG Free Photo 1.0)

今年の干支の巳年の相場格言は、昨年と同じく「天井」です。 騰落率は 5%。 あまり欲張るのは良くないようです。 もっとも2000年の辰年は、平均では29%のアップを記録していますが、ITバブルの崩壊もあって、27%の下落を記録したので必ず当たるわけでも無いようです。

大和証券によると巳年は「相場の転換点」だそうです。 1929年の巳年は米ニューヨーク証券取引所で株価が暴落、世界恐慌の引き金を引きました。 1953年にはソ連首相、スターリンの重体が伝わり朝鮮戦争による特需が終わるとの観測から株価が急落しましたし、バブル景気が頂点を迎え12月に3万8915円の史上最高値をつけた1989年も巳年でした。

静かな期待を集めている第2次安部政権ですが、スタートダッシュはなかなか良いスピード感ですね。 また、海外からも即座にロシアのプーチン大統領などからの反応もあり、幸先は良いようです。

アベノミックスと言われるようになった経済政策、最初は安部発言だったのですが、これで急激に円安に振れました。 これには、単に安部発言だけによるものでは無くて、いろいろな要素が絡んでいると思います。 元々過度に円安に振れていた、海外の状況が安定してきて円安に振れる要素が溜まってきていた、さらには日本の貿易収支の赤字が定着しつつあると言う状況の中で、あの発言があったので、急激に円安に振れたのでしょう。

心配は、やはり財政政策の暴走。 既に44兆円の枠は取っ払うとの話も出ています。 財政出動は必須ですが、これが恐らく日本の最後の闘いになるので、慎重しかも大胆にやって欲しい。 これが失敗すれば、本当に日本は沈没していく。 本当に、自分の預金を全部吐き出す覚悟が要ります。 つまり、ハイパーインフレであろうが、巨大増税であろうが、預金封鎖であろうが、国の債務と、国民の債権の間で、何らかの資産移動と言う大地震が起きるエネルギーが溜まってきていると言う事です。 逆に言うと、敗戦時のように、みんなすっからかんになって、リセットするのも良いかもしれません。

原発ゼロの大合唱もやっと少し落ち着いてきて、冷静な議論が少しは出来る状況になってきたと思います。 やっと最近になって、マスコミが無視してきた、女川原発と、福島第2原発が話題になるようになって来ました。 福島第1と同じもしくは、もっとひどい揺れと津波に襲われたはずの、2つの原発は無事でした。 特に福島第2は補修工事をした数ヵ月後に津波に襲われ、その工事のおかげで水没は免れて、非常用発電機もキチンと動作したとの事です。 福島第1の事故報告も必要ですが、他の無事であった原発の報告もして欲しいと思います。

福島第1は巷間言われているように、関係者の不作為の人災であったわけです。 特に監督責任のある行政側の責任は大きいと思いますが、これで処分されたという話は聞きません。 あの300万人が亡くなった太平洋戦争でも、その責任追及は少なくとも日本側ではなされていません。

最近、江戸時代の行政機構に興味が出てきたので、少し本を読んでいますが、明治維新で勝ったほうの明治政府に、意図的に過小評価されていると思われる江戸幕府を中心とする幕藩体制が意外に有効に働いていたと言う事が分かってきました。 幕府と言う中央政府と、300の藩と言う地方政府が、今で言う地方分権がキチンと機能していたようです。 この地方政府は、議論されている道州制よりもっと独立性が高くて、徴税権や裁判権はもちろん、場合によっては、外交権も保持していたことが伺われます。

中央政府である江戸幕府は、自前で経費を賄い、地方からの税金(年貢)はなく、すべて藩で徴収し、その経費に当てていました。 時々大きな災害なので、費用が発生するときなどは、その都度、藩からその費用や役務を徴用していたようです。

無駄の最大の例のように言われている、参勤交代も派手にやりたがるのは藩の方で、幕府は節約令を何度も出しています。 しかし、参勤交代により何千人もの人が往来し、街道沿いの経済活性化を促し、全国規模での情報の流通が可能になったのです。 ネットも電話も無い時代に、あれだけの情報が日本国内を流通していたのは、驚嘆すべきことです。

これにも増して厳しいなと思うのは、戦争がなくなって行政マンとなった武士の責任の取り方です。 何かあるとすぐに切腹。 失策をやらかすと軽くて閉門、島流し、切腹は、一種の死刑ですが、これが良くある。 不作為で何もしなくても、切腹になる場合もあります。 何か失敗すると、とりあえず蟄居、その内に切腹の沙汰が来るということで、裁判も何もあったものではないですが、これが一種の緊張感に繋がっているのだと思います。

現在の行政の仕組みや、書類の形式を良く見ていると、江戸時代とあまり変わっていないような気がします。 もちろん書類で言えば、毛筆の縦書きですが、よくよく見ると、それが現在では単に横書きのワープロになっているだけのものも多い気がします。 しかし大きく違うのは、責任の取り方。 切腹しろとは言いませんが、それなりの矜持をもって、責任をキチンととる行政の仕組みが必要なのではないでしょうか。

IT関連の話題が少なくなりましたが、これからも進展するのは、スマートフォンやタブレットでしょう。 しかし仕事のためのPCも数量は増えないでしょうが、確実に一定量は存在すると思います。 最近では、個人間のメールのような、やり取りは、Face Book などの方が多くなってきています。 だんだんとSNSの方に比重が移っていく感じがします。

1996年の本欄を読み直していると、その時点でのインテルの予測は、2011年で、クロックが10GHzでした。 この時にこれをCOMDEXで聞いたときは、想像もできないし、当時で15年後と言うのは遥か未来で、実感が無かったのですが、既に16年が経過したと言う事です。 クロックはそこまで上がりませんでした。 おそらく発熱の問題で 3GHzどまりになったのだと思います。 しかし、並列処理は進展し、6万円程度のPCでも4コアのCPUを搭載しているのが普通になりました。

私が若いころに勉強したIBM370の仮想メモリ・アーキテクチャーは今になってみるとおもちゃみたいなもので、最近のCPUアーキテクチャーの主力は、並列処理と、もっと大きいのは節電技術です。 電力を節約するというのではなくて、CPUチップの発熱を如何に抑えるかが最大の眼目のようです。 大きなファン、チップの何百本ものピンなど、15年前には予想もしなかった姿になってきています。

CPUもさることながら、2次メモリも半導体化しています。 半導体ディスクとも言うべきSSDが安価になってきて、250GBで15000円ぐらいなので、プライマリのディスクはSSDと言うことが常識になりつつあります。 ノートブックもSSD化すれば、騒音も無く、振動にも強く、消費電力も少ない、高速のノートブックにすることが出来ます。 このタイプでも最近は5万円程度になってきていますので、ノートブックは完全に半導体で構成出来、コストもどんどん下がっていくものと思われます。

現時点でのSSDは、その仕組み上、書き込み回数に制限があり寿命がくると、データエラーを起こします。 そのために、SSD内部でいろいろな仕組みが内蔵されており、ハード部品と言うより、ソフト部品と言ったほうが近いのではないかとさえ思います。 同じ場所に何回も書き込みを行うと、その部分だけ寿命が短くなるので、SSD全体に満遍なくアクセスが行われるように、自動配置をするようです。 また、毎回書き込みを行うと寿命が早く来るので、書き込みをキャッシュしておいて、一度に書き込むとか、SSDメーカーならではのノウハウが凝縮されて行きますし、それを外部からサポートしないといけないので、PC側にも追加のインタフェースが必要になってきます。 今後もこう言う点で、PCのハードウエアは進化していくと思われます。

今月の読み物は、「幕末単身赴任 下級武士の食日記」 (生活人新書) 青木 直己 著 ¥735です。 江戸時代も幕末になると、ほとんど現代と変わらない生活をしていたようです。 特に身につまされる単身赴任の食生活に的を絞った読み物です。 しばし江戸時代にタイムスリップしてみては如何でしょうか。

内容(「BOOK」データベースより)
時は幕末、万延元(1860)年。紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎が、江戸での単身赴任中に書き記した詳細な日記帳を元に、江戸のグルメを紙上再現!安価ないわしや豆腐で節約しつつも、宴会ではかつお相手に腕をふるい、中秋の名月には月見団子を手作りする。時に王子権現の料亭に贅沢し、浅草で寿司、麹町で牡丹餅に舌鼓。

今月のひとこと2012年12月号


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2012年12月1日
安倍さんの一言が効いたのかどうかは、分かりませんが、株価は上がってきました。 どっちにしても実力より落ちすぎていたので、その反動だと思います。 それでも、一部はまだリーマンショック前にも戻っていません。 総選挙が終わった段階でどうなるかですね。 ずっと前は、年を越した途端に刑事事件になり暴落したことがありました。 少し円安に振れたりして、少しはバランスが良くなってきた感じです。

しかし、いつも言うことですが、自国の通貨が安くなって喜ぶというのは、妙な感じです。 海外資産が多い日本のような国は、自国通貨が安くなる、つまり海外資産が高くなって、トータルではプラスと言うことだと思います。 だからお金をどんどん発行して、自国通貨の信任が落ちれば、円安になって、みんなハッピーだと言う事。 ただ、通貨を預かる日銀とか財務省的には、我慢ならんことなんでしょう。 通貨をどんどん発行すると言うのは、非常識な方法だ! と言う批判もありますが、現状の経済・金融状態は、それこそ非常識な状態になっているので、ここは非常識な手法をとらないといけないでしょう。

世界的にお金がだぶついているので、副作用は沢山あります。 日本でも10年前から、お金がダブダブになったので、その内に大きな副作用がくると思っていたのですが、小さなバブルが出ては消えるだけで、深刻な副作用はなかったように思います。 リーマンショックもその副作用のひとつかも知れません。

最近聞いた面白い金融政策のひとつに、民間への貸し出しをした銀行に、金融緩和をすると言うのがありました。 要するに金融緩和しても、そのお金が結局は国債に回ってしまって、市中には出ず、銀行→政府→日銀→銀行とぐるぐる回っているだけになっているということでしょう。 これで金利がゼロなら問題ないのですが、金利が付くので、ぐるぐる回るうちに金利の利払いだけが増えていくと言う構図になっています。 この輪の中に民間企業を強制的に入れようと言う政策だと思います。 これで思い出すのは、バブル期に、無理にお金を貸して不動産投資をやらせた銀行があったように、うまく規制しないと、またぞろ無駄なお金が出回ることになります。



ノートPCが酷使のうちに、とうとうブルースクリーン多発、起動不能に陥ったので、新しいPCを急遽発注しました。 元のは、別稿で紹介しているように、SSD(Solid State Drive)に換装して使おうとしていますが、ブルースクリーン問題が解決していないので、試験中です。 必要ならクリーン再インストールが必要かもしれません。



新しいPCは、いろいろ検討した挙句、結局 Lenovo ThinkPad E350 に落ち着きました。 IBM伝統のシリーズで物々しいかと思ったのですが、値段が値段だけに、それなりでした。 幅が300mm弱で軽いのが欲しい、TVを見ながら使いたいので、これになりました。 元々3000円の割引がありましたので、3万円を切るのですが、メモリを4Gbにして、ディスクも7200回転のものにして、Bluetoothも付けて、35000円弱となりました。

画面は縦方向の解像度が少ないのですが、全体に表示が綺麗ですが、老眼のこの身には文字が小さすぎて少し苦しいです。 以前に買ったこれもLenovoのIdeaPadは以前に紹介していますが、これはAV系で、画面は大きいのですが、あまり綺麗では無かったです。 ただ今回のThonkPadには付いていない光学ドライブが付いていて、しかもBDもサポートしていると言うことを考えると、3.1万は安かったんですね。

ThinkPad に話を戻すと、CPUの速度がやはりどうしても低いですね。 スコアが3点台で、IdeaPadは4点台でしたので、その差は大きいと思います。 メールを受信するだけでも少しかったるい感じがします。 それとタッチパッドがイマイチ使い勝手が悪いです。 伝統のスティックが付いていますが、それは別のスイッチと同時に使って画面のスクロールに使えるようです。 パッドは右下と左下は、クリックボタンになっているのでが、押そうと指を置くと、それにパッドが反応する感じで、操作性が悪い。 スティックのクリックボタンは別にあるのですが、それは、パッドの上にあるので、これも押しにくい。 結局、無線マウスを繋いで、これでやっています。

キーボードは、サスガに元IBMだけあって、英文も選択できましたので、注文後でしたが英文に変更してもらいました。 この辺の対応は非常に良いと思いました。 おまけに800円ほど返金されて、定価表には載っていないのですが、確かに返金されていました。 不思議。 英文にこだわるのは、英文キーボード配列は元々タイプライタのキー配列から来ているので、それなりに洗練されています。 反面、日本用に改造したJIS配列は従って無理があります。 一部のキートップがやたらと狭くなったりしています。 だから英文キー配列のほうが自然だと思います。

ただ問題は、キーボードドライバ。 納入のときは、配列は英文。 ドライバは日本語JISになっており、キートップの刻印と入る文字が違う。 またIME切り替えの半角/全角キーが「`」 に割り当てられてしまっています。 これを英文キー配列ドライバ(PS/2)に変更すると、キートップの刻印は合うのですが、半角/全角キーが使えなくなります。 CTRLとAltを同時に押すとかの手は使えますが、単独キーにはならないようで、日本語の半角/全角は、ドライバ内で特別の処理をしているようです。

そこでしょうがないので、ドライバは、日本語JISに戻して、原始的なやり方ですが、キートップにラベルを貼ることにしました。 日本語配列の最大のメリットは、「@」をシフトキーなしで打てることです。 英文だとシフトを押しながら、数字の「2」のところの非常に押しにくいところを押さないといけないですので。 キーの配列そのものはレジストリを書き換えれば変更できます。 またそのためのツールもフリーで沢山あります。 いずれにしても、キーの数が日本語に比べると少ないので、「_(アンダースコア)」と「|」の選択になりますが、いろいろ考えた結果、、「_(アンダースコア)」を残しました。 「|」は日本語IMEで「たてぼう」で入力できます。

それと最大の問題は、付いてきた Windows8(W8と記す)。 これがどうしようもないもので、余程 Windows7(W7と記す)にダウングレードしようかと思ったぐらいです。 要するに、W7のデスクトップの上に、メニューと言う新しい概念をくっつけた代物です。 メニューのタイルも、iPhone は勿論、Androidにも遠く及ばず、単に作っただけと言う感じです。 スマホなどに見習ったのか、設定は全部まとめて、設定メニューに押し込まれたので、最初はそれを探すのが大変でした。 おまけに、PCはタッチパネルが付いていませんので、このメニューも宝(たからかな?)の持ち腐れ状態です。 次のWindows9 ? にご期待と言う感じでしょう。

結局PCとしては、デスクトップを使いたいので、 まずロック画面のロックを外して、メニューのタイルを出す。 それからデスクトップのタイルをクリックして、やっとデスクトップに至る。 ユーザの登録があれば、さらにIDパスワードを入力する必要があります。 ウインドウキーもありますが、これを押しても、メニューになるだけで、W7などのように、スタートメニューが出るわけではないです。 全体に何故か戻るボタンが無い。 スマホのように、外部の戻るボタンを使えと言うのだと思いますが、それに相当するキーは見当たりませんでした。

やっとデスクトップにたどり着いても、スタートボタンが無い! Lenovoは自社でスタートボタンライクを付けていましたが、従来のスタートメニューとは大違いで、アプリを起動できません。 それで、これは諦めて、スタートメニューを付け加えるフリーソフトが沢山ありますので、それを入れました。 これで、ウインドウキーを押すと、デスクトップに戻るようには設定が出来ました。 これでも、デスクトップに至るには、初期のロック画面をリターンキーを押して外す必要があります。

W8をW7風に使えるようにするフリーソフトが紹介されています。

ユーザがひとつでパスワードを掛けていなければ問題ないのでしょうが、複数人数でIDパスワードがある場合には、立ち上げると共通のロック画面となり、シアトルタワーをテーマにした、まことに不細工な絵が出ます。 これを何とか他の絵にしようとしましたが、妙にセキュリティがかかっていて、変更することが出来ません。 あまりに時間を掛けるのもばかばかしいのでそのまま置いてありますが、何とかならんものか、と思います。 いずれにしても W8はPC向きではない、かといってパッド向きに洗練されているかと言うと、まったくそうではないです。 iPhoneの敵ではまったくないです。

また、すべてのサービスがマイクロソフトIDを持っていないと使えない点がイマイチ。 確かにスマホでもAndroidはGoogleが必須ですが、ここまで押し付けがましくないです。 マイクロソフトの焦りを感じます。

今月の読み物(と言うか書籍)は、 天文年鑑2013年版 天文年鑑編集委員会 編集
¥1,050
今月の読み物はお休みのつもりだったのですが、これを買っていたのを思い出しました。

中学生のころは、天文少年だったので、この間他のところでたまたま見て、まだ発行していますよ、と言われて、買ってみました。 表紙のデザインと内容はほとんど、昔と同じです。 厚みが2倍ぐらいになっている。 さらに、デジカメやCCDの性能一覧とかがあって、時代を感じさせます。

★★(今月から評価を付けました。 3つ:是非買って読むべし、2つ:興味が出れば読むべし、1つ:読む必要はない)



今月のひとこと2012年11月号



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2012年11月5日

やっと円が少し安くなってきました。 自国通貨が安くなって、喜ぶというのも妙な話だとは思いますが、国際収支が黒字の国ならではで、安いほうがトータル的にメリットがあるとのことです。 黒字で自国通貨高の傾向のあるところで、安くなると、海外資産が相対的に高くなるので、得をすると言う事です。

また株価も何のカンの言いながら、9000円を挟んだ動きになってきていますし、まあマシになって来たのではないでしょうか? 先日見た記事で、日銀の新しい政策で、貸し出しが多い銀行に、その増えた分を青天井で貸すと言う物がありました。 これはなかなか良いと思いましたが、日銀は清水の舞台から飛び降りる覚悟だったそうです。

そもそも、金融緩和が効果を発揮しない理由のひとつは、貸し出した資金が、結局は国債の購入に使われてしまって、お金が、国債を通じてぐるぐる回っているだけの状態が続いているのです。 その間に国債残高だけ積み上がり、国の金利負担が増えるだけです。

この状態を断ち切るには、成長戦略で、企業が資金を必要として、銀行から貸し出しが増えたら良いのですが、それもなかなか出来ないので、日銀は結果は問わない、とりあえず貸し出せ、と言う事になったみたいです。 二昔前の、銀行の貸し出し合戦を多い浮かべます。 住宅ローンの金利もどんどん下がっていて、確かに日銀が心配するように、いろんな副作用が出てくると思います。 デフレ先進国の日本なので、リスク覚悟で、実験台になるのも止むを得ないです。

最近のITの話題は、何と言っても、ウイルスによる成りすまし脅迫メールででしょう。 何日も報道が続きました。 こう言うのに引っ掛かるサイバーコップも駄目ですが、4人のうち2人までが、身に覚えが無いにも拘らず、犯行を認めているということです。 警察の圧力とそれに対抗出来ない個人の問題が大きいです。

自分ならどうするか? とつい思ってしまいます。 いろんなハッキングツールまがいのソフトも沢山あるので、これを根拠に追求されたらどうしようもないですね。 三重県の男性は、かなり良く分かっている人で、ウイルス感染を判断して、即ネットを切り離したそうです。 普通の人には、なかなか出来ないですめ。 そのためか、ウイルスが削除されずに残っていたとのこと。

不正確なDNA検査の結果で有罪にされた人も居ましたし、いい加減なIPアドレスで犯人に仕立て上げられるとたまらんです。 警察も例の村木さん事件とか、検察証拠捏造事件とか、立て続けに重大な事件が発覚しているのに、まだ体質は変わらんのです。

コンピュータ・ウイルスで思い出しましたが、ウイルス黎明期のころ、ウイルスに感染しました。 分かったのは、まったく見覚えの無いEXELのマクロが動いていたんです。 本来は隠されていたはずで、動作しても分からないはずですが、たまたまウイルスがエラーを起こして、エラーメッセージが出て止まったので分かりました。 当時は単にPCの画面にいたずらするとかの被害ですが、この丸見えのウイルスは、間抜けに見えました。 それで、しばらくファイルに置いていたのですが、イチイチウイルスチェッカに引っ掛かるし、その内に所持自体が違法になったので削除してしまいました。 のんびりしていた時代です。

先日から、原発敷地内での活断層の有無が議論されていて、肝心の専門家と称する人たちの間でも意見の一致が見られないのは問題です。 そもそも活断層の定義そのものがハッキリしないのが問題。 また判断が、あらかじめ掘られていたトレンチの中を2時間ほど見ただけだそうです。 そもそも地震の巣の上に国土がある日本では、原発敷地内には、どんなものであれ断層はあってはならないのでは、ないでしょうか。 それなら敷地の候補が無くなるということでしょうが、それはそれでしょうがないと思わないといけないのではないですか。 やはり活断層の判定をする専門家の頭の中を、原発の継続、停止の結論がよぎるのだと思います。

現状の原発の継続や廃炉はそれなりの判断をしないといけないでしょうが、既に溜まっている使用済み核燃料はどうするんでしょう? 各原発には使用済み核燃料が満タンに近く溜まっています。 さらには、福島第1のように、建屋の最上階に、何の保護も無く水を張っただけで貯められているんです。 原発事故の時にアメリカが一番恐れたのが、この使用済み核燃料で、特に4号炉は、崩れ落ちる心配があって、もしそうなったら、東京まで被害が及んだことでしょう。

この問題と、さらには燃料の再処理も問題で、処理すればするほどプルトニウムが溜まる。 それに応じて高レベル核廃棄物も溜まってくる。 これは原発の稼動に関わらず、今後出てくる問題です。 地下深く埋めてしまうしかないのが現状で、これは世界中どこを探しても、捨て場所は無いでしょう。 だから、無害化する研究開発を至急やらないと、どうしようも無い状態になります。 何でこの研究開発が推進されないのか不思議です。 アメリカが本気でないからがその理由だと思いますが、ウランからプルトニュウムを作る高速増殖炉が構想されるのであれば、高レベル廃棄物の無害化も強力に構想すべきでしょう。 地下永久廃棄処分よりは、もっと現実的な話だと思います。

今月の読み物は、 プルトニウム―超ウラン元素の正体 (ブルーバックス) [新書] 友清 裕昭著 ¥924
最初に本屋で手に取った時は、何だかなー、と今更ながらと思ったのですが、結局買ってみて、正解でした。 妙に力んだところも無く、核憎しとか、核大好きと言うようなものも無く、淡々とそれでもポイントは突いて、プルトニュウムの勉強になりました。 プルとニュウムだけでなく、核廃棄物処理など、結論は出ていないものの、問題をテーブルに過不足無く並べてみせると言う態度は良いと思います。
★★★(今月から評価を付けました。 3つ:是非買って読むべし、2つ:興味が出れば読むべし、1つ:読む必要はない)


今月のひとこと2012年10月号


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2012年10月2日
やっと秋らしくなって来て、今日は秋晴れですが、10月になったので、本欄を書いています。 中国問題を直接の契機として、またアメリカの景気ダウンの影響もあって、株価も下落傾向です。 日経平均8800円も切ってしまって、しばらくは我慢の期間です。 中国の経済状況もどんどん下がっていて、今までは高度成長で何とか国民の不満を抑えていたのが、経済が下降傾向だと、その不満が急激に噴出してきそうです。 尖閣問題もこう言う側面も大きいと思います。

野田首相も、個人としてかチームとしてかはよく分かりませんが、言葉と実行がバラバラしている感じです。 以前から気にはなっていましたが、心からの言葉を聞いたことが無い。 新左翼のアジ演説を思わせる話し方も気になる。 尖閣問題も、これが全てとは思いませんが、こちらから胡錦濤との立ち話を要求しておいて、尖閣について言われて、その2日後に閣議決定したと言う話も、もう少し何とかならないか、1週間ぐらい延ばすとか)と思います。 柳条湖事件のその日にやるのも、中国側から見ると、攻撃(チャージ)しているとしか思えないのでしょう。 次の 韓国大統領とも関係が悪化して、確かにいろいろ理屈はあると思いますが、他人の神経を逆撫でするところがあるのではないでしょうか。 少なくともTVで、例えば谷垣前総裁との話など、いろいろ聞いている感じでは、良い気持ちはしません。

立ち話であっても何でちゃんと相手の胡錦濤を見ないで、下を向くんでしょうか? 確かにずっと向いていて、たまたま下を向いた写真が出たと言う言い訳が聞こえてくるようですが、そんな写真を撮られたら、一国のトップとしてはアカンのです。 既にその前の首相が下むいて胡錦濤と面談したことが問題になっているんですがら、気を付けるべきでしょう。 何であの写真だけが報道されるのか、それも疑問ですが、現に出ているので問題は大きいです。 ちなみに、北朝鮮を初めて訪問した小泉元首相は、相手をまっすぐ見ています。 一瞬たりとも下や横を向くことは無いです。 少なくともそう言う報道映像は無いです。

ライフログが最近盛んになって来たようです。 以前に、VAXの開発で有名なゴードン・ベルが始めたと言う話を聞いていたのですが、最近また日経本誌で紹介されていました。 ゴードン・ベルは1999年から研究を開始したとの事で、10年以上の経験があるのですね。 著作や論文は勿論のこと、走り書きやクレジットカードの明細、航空券の半券、写真などあらゆる物をいつもスキャンすると言うか、デジカメで撮っているんでしょう。 目の前の光景を20秒に1枚写真に撮るそうです。

実は私もライフログとは意識していませんでしたが、以前から記録を残すことを意識していました。 メールや写真は20年分あります。 作った資料もDOS時代を含めて全部残してあります。 ゴードン・ベルのように航空券の半券は非常に重要なもので、これにより、日記を付けていなかった時代の行動がだいたい分かるようになりました。 クレジットカードの明細は勿論、領収書は全部残しています。

日記は一番重要なライフログですね。 すでに20年分溜りました。 先日これが行方不明になって、びっくりして探しまくりました。 日記はメールにして自分に送っていて、更に幾つかの別アカウントに送っているので、完全になくなることは無いのですが、途中の1年分ほどがスッポリ抜けている。 最後は、メールの生ログからメールを復元して、検索しましたが、見つからない。 よくよく考えてみると、その時期は出張が多くてメールをタイミング良く出せない環境だったので、手書きの手帳に書いていました。 手書きの手帳は、それを失くしたり、盗まれたりしたら、それでオシマイなので、やはりメール方式に戻しました。

古くは手書きの日記。 直近では、スマホを使ったライフログ。 10年ほど前に時刻付きのメッセージをPCで書くことを考えましたが、タイミングよく書けないので、記録した時刻に意味がなくなって、止めてしまいました。 今日のようにスマホで、リアルタイムでメモできたら、時刻のタイムスタンプも意味があるかも知れません。 ・・・・なう、と言うのがそうでしょう。 だから、フェイスブックやツイッターなどもライフログの有力なツールとされています。

先日買ったデジカメはGPS付きのものを選びました。 時刻は勿論、その場所、方向も記録できるので、後で復元できます。 撮影した写真を地図の上で示してくれます。 24時間限定ですがGPSによる移動ルートの記録も出来ますので、どの道をどう通ったのかわかります。 車も、エンジンをON/OFFした場所をメールで送ってきますし、必要とあれば、10分単位で場所をメールで送ってきます。 以前は、GPSロガーを持っていましたが、持っていくのを忘れたり、バッテリが切れたりで、その内に使わなくなりました。 スマホでもアプリで場所を記録できるのですが、常にGPSを起動しておくと、バッテリが直ぐになくなるので、実用的ではなかったです。

今月の読み物は、天狗争乱 (新潮文庫) 吉村 昭著 ¥860。 水戸天狗党が筑波山に立て籠ってから、越前敦賀を目前に投降し、その後は悲惨な運命を辿る、延々たる小説です。 上記のライフログみたいに、延々と続く行軍を緻密に再現しました。 武田耕雲斎の肖像画が、先日見に行った高橋由一展で展示されていました。 思わず見入ってしまいました。 顔にぶつぶつが描いてあり、天然痘の跡みたいです。 最後は、死刑353人、遠島136人、追放180人、水戸藩渡し125人、その他10人。 水戸藩渡しは大半が獄死。

当時の攘夷尊王論は、TPPや中国問題を想起させます。 また、如何に戦争をして白兵戦を行うのが、みんな怖かったのか、良く分かります。 大砲は使っていましたが、ある意味で、のんびりした時代だったのです。 この後の日露戦争で、本格的な近代戦になり、更には太平洋戦争では本当に悲惨なものになりました。

内容(「BOOK」データベースより)
桜田門外の変から4年―守旧派に藩政の実権を握られた水戸尊攘派は農民ら千余名を組織し、筑波山に「天狗勢」を挙兵する。しかし幕府軍の追討を受け、行き場を失った彼らは敬慕する徳川慶喜を頼って京都に上ることを決意。攘夷断行を掲げ、信濃、美濃を粛然と進む天狗勢だが、慶喜に見放された彼らは越前に至って非情な最期を迎える。水戸学に発した尊皇攘夷思想の末路を活写した雄編。




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2012年9月3日
株価も、やっと9000円を超えたと思ったら、すぐに8000円台に逆戻り。 超薄商いらしいし、最近の株式は、全く流行りませんね。 Face Bookも売出価格の半分まで落ちたらしいし。

先日の日経だったか、Face Bookの データセンターの話が載っていました。 東京ドーム10個分だそうです。 ここにFace Bookが自分で設計して、公開しているサーバーが、何万台と入っているとのこと。 1日当りの写真のアップロードが3億枚との事。 電気代だけでもすごい金額になるし、問題はその冷却。 外気で直接冷やしていると言うのがウリになっているほど。

日銀も景気見通しを下方修正しているし、震災復興だけでは海外のヘコみを取り戻すには力不足なんでしょう。 中国も実態はかなり悪そうだし、インドも落ちてきている。 もっとも、元々が8%とか6%とかの成長だったので、ヘコむのは当たり前ですが、それに頼ってきた特に日本としてはしんどいところです。 台湾の世界最大のEMSにシャープも支援を仰いでいますが、いっそのこと完全に買収されてしまったほうが良いのかも知れません。 液晶命でずーっとやってきたシャープも、最後の賭けに失敗したんですね。 亀山が出来過ぎた。 好事魔多し。

電卓をやっていた頃、シャープは液晶そのものに手をつけて、その液晶を中心に、基盤一枚で出来るようにして、他の会社を駆逐した。 この頃から、設備でものを作ると言うDNAが有ったのか、生まれたのかは分かりませんが、今から考えるとその当時から、この路線は惹かれていたように思います。 縁があったら、ひょっとしてシャープに就職しててたかも知れんので親近感があります。 液晶テレビ一本でやりだした頃から、少し危ういと思っていました。 他の家電はそんなに強くないですから、TVがコケたら全部コケると言う構図が現実になってしまったようです。 個々には面白い家電もあるんですが、やはり家電は総力戦ですから、少ししんどかったのでは無いでしょうか。

電気と来れば、やはり最大の問題は、原発ですね。 しかし最近の原発の報道を見ていると、普天間の「最低でも県外」を連想するのは私だけでしょうか? 「最低でも脱原発、出来たらゼロ」みたいな風潮を政府が醸し出している感じがしました。 普天間でも同じですが、確かに原発はゼロにした方が良い、これには誰も反論は無いでしょう。 ただし、そのためには何を犠牲にしないといけないのかが、明確になっていません。

原発ゼロは、いわゆる正論です。 正論には正面切って反論するのは出来ないです。 国の安全保障とエネルギー安全保障は言葉も中身も似ています。 私の正論は、エネルギー安全保障の立場、自然が与えてくれたエネルギーを無駄にしない、国際的な原子力政策に責任を持つ、観点で、安全な原発を開発して、有効に使っていくべきだと思っています。

それと政府が言っているエネルギー政策(政策と言えるところまで行ってませんが)ですっぽりと抜け落ちているのが、家庭における都市ガスを利用した燃料電池です。 この議論は、震災前の自民党政権の時に盛んに行われて、補助金まで出たんですが、何故か最近はこの話を聞きません。 意図的に避けているとしか思えません。 先日TV番組で仙谷氏がこれに触れていました。 だから知らないわけでは無いと思います。

日本の電力消費のざっくりと半分は家庭です。 家庭が自足自給したら、電力問題はあっという間に解決するんです。 それが太陽パネルでは、体の良い詐欺みたいなものですから話になりません。 電池も置いたら? と言う話がありますが、自動車のバッテリぐらいで、どれくらい賄えると思っているんでしょう。

燃料電池の開発を促進して、原則的に家庭は自足自給。 これに補助金を付ける。 新築のマンションも設置を義務付け、既存のマンションにも設定を推進する。 他方、電力会社の電気料金は高く設定する。 これで3000万世帯ぐらいに普及すると、原発は要らなくなります。 しかし原発は10-20%程度保持して、火力を減らしていくべきです。 自動車を年間1000万台も作れんですから、年間300万台を作ったら10年で3000万台になります。 不可能な話では無いです。 国内向きの産業なので、太陽光パネルよりも遥かに、景気に寄与するでしょう。

燃料電池はCO2を出さないという話もありますが、燃料電池のための水素を都市ガスの主成分であるメタンから取り出す時に発生します。 メタンはCH4ですから、Hの水素取り出すと、残りはCで、これが炭酸ガスになります。 固体化してどっかに捨てられたら良いのでしょうが、これにもエネルギーが必要でまたCO2が出ます。 私はCO2撲滅論者では無いですが、減炭素はやらないといけないと思います。 何でも過ぎたるは及ばざるが如しで、一気に大量に使うと何かしら問題が出ると思います。

発送電の問題がクローズアップされていますが、大量の電力を送るから大変なので、「地産地消」、「自給自足」すれば、大規模な送電線は要らないと思います。 風力などの、いわゆる再生可能エネルギーはわずかですから、送電線がないのは問題ですが、それなりの送電線があれば良いと思います。 それと電力会社はあまり情報を出しませんが、配送電ロスがどれくらいあるかです。 個々の電線とか変電所とかで見るとわずかでしょうが、トータルで見ると結構大きいのでは無いかと思います。 その為に、超電導のロスレスの送電線を開発しているので、送電ロスがごく僅かであれば、ここまでする必要は無いと思います。

今月の読み物は、先月に引き続き吉村モノです。 新装版 赤い人 (講談社文庫) 吉村 昭 著
読み応えがあると言うか、心が重くなる。 100年前まで、こう言う囚人による強制労働が行われていたんですね。 冬の北海道で、素足で戸外作業をすると言うのも壮絶。 シベリア強制収容所でももう少しマシとさえ思われます。 だから当然凍傷にかかって不具になり、いずれは死んでいく。 監獄を矯正のためでは無くて、懲戒のためだと言う考えがあったのです。 従って、どうせ死ぬならと脱獄が多く発生します。 この小説の後で「破獄」が書かれたのも、偶然ではなさそう。 緒形拳主演で映画にもなりました。

赤い人は直接では無いですが、これと同じ設定で「北の螢」と言う映画がありました。 ご覧になった方も多いと思います。 主題歌を森進一が歌っていました。 仲代達矢主演。 てっきり吉永小百合が出ていたと思ったのですが、岩下志麻でありました。 仲代達矢の月潟剛史典獄(赤い人では月形)が歌うぶらぶら節が、吉永小百合の長崎ぶらぶら節と繋がっているので、そう思ったんでしょう。

内容説明
明治14年、赤い囚衣の男達が石狩川上流に押送された。鎖に繋がれ苛酷な労働を課せられた囚徒と看守達の敵意に満ちた命がけの物語。
内容(「BOOK」データベースより)
明治十四年、赤い獄衣の男たちが石狩川上流へ押送された。無報酬の労働力を利用し北海道の原野を開墾するという国策に沿って、極寒の地で足袋も支給されず重労働を課せられる囚人たち。「苦役ニタヘズ斃死」すれば国の支出が軽減されるという提言のもと、囚人と看守の敵意にみちた極限のドラマが展開する。






今月のひとこと2012年8月号


「今月のひとこと」の目次
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2012年8月2日
株価も8500円を切ったかと思うと取り戻して、様子見の相場になって来ています。 ギリシャの次はスペインが火を噴いて、スペインはギリシャに比べて大きいので、どうなるのか、予断を許しません。 本格的に暑くなってきましたし、夏休みだし、少なくともお盆明けまでは、動きがないでしょう。

ECBがマイナス金利を本気で検討し始めたようです。 ゼロ金利は当たり前で、金利を払ってまで預けようと言う事になってきているんですね。 長らく世界経済の周回遅れと言われてきた日本は、ハッと気がつくと、周回遅れどころか、1周先を走っていたんです。 これからも金利は下がることはあれ、上がることはないのではないでしょうか。 アメリカの経済もそろそろ怪しくなって来ました。 大丈夫大丈夫、と言って来ましたが、そろそろ息切れ。 大統領選挙の年は政策的に景気が良くなる、と言われてきましたが、もう大統領選挙どころではなくなってきたのではないでしょうか。

原子力規制委員会もやっと委員の人選がきまりそうで、チグハグな民主党ですが、ここはキチンとやって欲しいと思います。 本来は、これが機能してからの原発再稼働なんでしょうが、順序が逆になりました。 これだけ暑いのに、関電の需給率は80%ぐらいで、関電も努力はしているんでしょうが、少しサバを読み過ぎと思います。 誰かが言ってましたが、一度停電にすれば良い。 東京でも起きたんだから、大阪でもやったら、少しは状況がはっきりすると思います。 いずれにしても、あの再稼働は一時的で有るべきでした。 あの時の総理大臣の判断はおかしいと思います。

日本の監査体制は、それにしても、何時まで経っても良くなりませんね。 と言うか監査が出来ない国民性なんでしょうか。 未だに300万人が死んだ、あの太平洋戦争の真相と責任の追求ができていない国ですので、先ほどの公聴会で、電力会社の社員が、誰も死んでいない、と発言したのは、ある意味で正しい視点です。

最近の大津のいじめ自殺事件にしても、オリンパスにしても、原発にしても、うまく監査すると言う事ができていません。 うるさい、邪魔というかんがえなんでしょうか。 いじめ自殺に関しては、現場を監査する教育委員会がまったく機能していない。 本来は、ここが現場の不作為や見逃しをチェックするはずです。 オリンパスでも(一般の会社でも同じですが)、現場の執行部を監査管理するのが取締役です。

先日、大手子会社の現職監査役に、取締役と言うが、何を取り締まるんですか、と聞いたら、分からんと言う答え。 本来は執行部とその長である社長を取り締まるんですが、単なる組織の上位層になってしまっている。 国で言うと、総理大臣が社長で、議員が取締役なんです。

これが機能しないから、監査役と言う日本独特の役職があって、これも機能しないので、監査委員会を作るとか言う話になっていて、キリがない感じです。 それより取締役を本来の取締役の機能を果たす方がハッキリすると思います。 そのために執行役員制度を新設したはずが、単に取締役の予備軍になってしまっています。 しかも、社外取締役の義務化も見送られたようで、我が国にはなじまないと言う言い訳で、結局なにも変わらないままです。

原子力行政も同じ。 虜とか、原子力ムラとか言いますが、基本的には監査がキチンと出来ない国民性なんでしょう。 この国民に原子力は扱えない、と言うのも、説得性のある議論だと思います。 国会や原子力はそれはそれでも良いとして、少なくとも民間のまともな会社組織はキチンと監査が機能するようにして欲しいと思います。

今月の読み物は、暑いので水に関連したお話です。 深海の使者 (文春文庫) 吉村 昭 著 ¥680。
太平洋戦争中に、ドイツとの往復に潜水艦が使われたと言うのには、どこかで少し聞いた様な気がしましたが、吉村昭によって小説になりました。 何ヶ月もかけて、狭い潜水艦の中で過ごしながらドイツとの往復をしたのは、本当にすごいです。 閉所恐怖症の筆者としては、想像するだけで息苦しくなります。 技術将校が自決する場面では、同じ技術系の人間として、いろいろ考えられさせられました。

潜水しながら世界の反対側まで行けるような、最新式の潜水艦も敗戦ののち、処理されてしまいました。 あれだけ爆撃を受けながら、よくぞ作ったものだと思います。
お盆と敗戦日を迎えて、一読あれ。

出版社/著者からの内容紹介
第二次大戦時、杜絶状態にあった日本とドイツをつなぐ新連絡路をひらくため、数次にわたって大西洋に進攻した日本の潜水艦の、いきずまる苦闘を描く力作長篇小説
内容(「BOOK」データベースより)
太平洋戦争が勃発して間もない昭和17年4月22日未明、一隻の大型潜水艦がひそかにマレー半島のペナンを出港した。3万キロも彼方のドイツをめざして…。大戦中、杜絶した日独両国を結ぶ連絡路を求めて、連合国の封鎖下にあった大西洋に、数次にわたって潜入した日本潜水艦の決死の苦闘を描いた力作長篇。
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