今月のひとこと 2021年11月3日号
やっとコロナも本格的に下火になってきました。 このハロウィンの人出がどの程度効くのかは、11月中頃になれば出てくると思いますが、次の波は年末から年始にかけてではないかと思っております。 またウイルス変異が無害の方向に向かったのではないかという見方もあり、ワクチン接種も普及したので大きな波は来ないのでは、と思っております。 以前のSARSもいつの間にか消滅してしまいましたので、コロナもだんだん消滅していくんではないかと期待しています。
なかなか面白い総選挙が終わりました。 自民党が大負けすると言う予想に反して、安定多数を確保するまでになりました。 これを受けて市場は反発しました。 全体に負けたところはそれなりですが、勝ったところは、あまり高揚感もなく淡々としてたのが印象的です。 自民党と立憲民主党がそれぞれ大体15ぐらい減らしたのが、そっくりそのまま維新に行った感じで、あまり想定していなかった維新が浮かない顔をしてたのが印象的です。 魔の3回生と言われた新人議員が意外に健闘して、小選挙区でも5,000票以下の接戦を競り勝ったのが大きいと思います。 選挙の鬼みたいな小沢一郎に競り勝ったのも3回生でした。
松井代表とか維新の主要メンバーは私の住んでいる八尾市が本拠です。 特に松井代表は親父さんも府議でしたし、現在の代表も元は府議で、私の家にも選挙運動でやってきたことがあります。 未だに近所のおっちゃんという感じがして、あまりオーラも何もないという感じがしていて、政治的には腕力があるんでしょうが代表になった頃に何か言うと「えー、えー」と言うのが多かったので、それを何とかしてくれと思っていたのですが、この頃はだんだん減ってきたのではないかと思います。 もう代表は引退すると言っていますので、吉村知事とか馬場幹事長に交代になるのでしょうが、もう少し泥臭さを払拭して欲しいと思います。
維新は大阪では全勝で、実際の現場で見ていても維新の特に市会議員や府会議員ですが非常によくやっている感じがするので、人気が高いのは良く分かりますが、これが本格的な国政政党になった時にどうなのか、という疑問があります。 今だに議員報酬カットとか国会議員定数の削減とかしか言っていないので、マクロな経済政策をどうやって行くのかと言う事を示してほしい。 これから一皮も二皮も剥けてこないといけないと思います。
初代代表の橋下徹時代に文楽や交響楽団の補助金をカットしたしたことは、まあ良いとしても大阪市立美術館を潰そうとしたことは絶対忘れていません。 この時に頭によぎったのは「人はパンのみにて生くるにあらず」という言葉で、こういう文化的な事に関しては危ういものを感じますので、この辺も含めて国政政党に脱皮して欲しいものです。
消費税は今回の総選挙で大きな論点にはならなかったものの、イシューとして自民党を除いて各党が触れていました。 以前から消費税というのは良く分からないなと思っておりましたが、民間給与がこの30年間で全く上がっていないというのも気になっていたので、色々考えていくと、どうもこれに消費税が関連してるように思うようになりました。
もちろんデフレ下にあったことで上がらないという側面もありますが、逆に給料が上がらないからデフレになったということにもなり、もともと給与というのは消費税の対象ではないと言うことだったので、あまり頭に無かったのですが、よくよく考えると言葉が悪くて本来は「付加価値税」なんですね。 付加価値の中から給与を支払うので原理的に給与には間接的に消費税がかかっているというか、影響を受けるわけです。
社会保険料はマクロ経済スライドということで納付が減ると自動的に増えるようになっていて、何の議論もなく増えていきます。 給与に連動し半額負担する企業としては、社会保険の負担増とじわじわ上がった消費税の影響で、給与を上げない、正規社員を増やさないと言うインセンティブが働くわけです。 これがじわじわと長期間に効いていて茹でガエル状態になっているのが問題だと思います。
特に社会保険は平均給与の下あたりから急に負担が増えるような仕組みで、さらに上限があり高額所得者にはあまり影響はないので、中流層直撃の仕組みだと思います。 これが、20年に渡って給与水準が上がらず、円安も加わって、OECD諸国の中で最低ラインに落ち込んだ最大の理由ではないでしょうか。 これとデフレ圧力が両輪となって、失われたあ30年になろうとしています。
異次元の金融緩和も良いので、これは続けるとして、同時に老朽インフラへの大規模公共投資と、さらに経済が持ち直すまでの、10年間くらい消費税を撤廃するのも、最初は荒唐無稽だと思っていましたが、これくらいしないとデフレ脱却は不可能で、それこそ失われた40年、50年になって次世代に大きなツケを残すことになります。
「国の借金」という言葉をよく聞きますが、言葉自体が間違っている上に、この言葉は財務省の言葉でこれを使っている経済学者は御用学者で国民が如何に苦しんでも財務省は安泰、財政均衡は(文字通り)死んでも守ると言う人々らしく聞く耳を持ってはいけないと思います。 この後に及んで、おまけに総選挙直前に、政権批判の論文を発表した財務省次官が典型だと思います。 この人は、これから緊縮財政にして、どうやって国力を上げていくのか、もっと下がっても良いと言うのか、政府の官僚トップとして非常に疑問です。正しく「政府の債務」と言ってる人の意見を聞きましょう。
10年以上まえに政府の債務残高を家庭の借金に例えて、大変だ大変だハイパーインフレになると大騒ぎしたのは何だったのか、あれ以来異次元の金融緩和もして財務省の言う「借金」は大幅に増えましたが、インフレになるどころか一部はマイナス金利になってしまいました。 当時に大騒ぎした人に言い訳をすべきだと思いますが、今まで聞いたことが無く挙句の果ては次官論文で、開いた口が塞がらないとはこのことだと思います。 一方で家庭部門の金融資産が1千兆円を超えていると言う事には何の説明もありません。 唯一MMTだけが、正しいか間違っているかはともかく説明をしています。
財務省のHPを見ると、財務省はこの辺の理解をキチンとしていて、国債をいくら発行しても日本の財政は問題ないと言う見解を示しているので、次官論文とか御用学者の説明は、国民を騙そうと嘘をついていると言うのが一番許せないところです。 公文書改ざんも大問題ですが、それ以上に国民全体の生活に関わるところで虚偽を言うのは、最大の罪だと思います。
今回のノーベル賞は何か非常に違和感がありますね。 単なるコンピュータシミュレーションで、流行りの気候変動予測だとしてもコンピューターシミュレーションにノーベル賞が出るというのは非常に不思議で、ノーベル賞に数学部門がないというのは物理現象を対象としてないという理由があり、一説には創設者ノーベルは数学が嫌いだったという話もありますが、コンピューターシミュレーションはまさに数学なので、これにノーベル賞を与えるというのは非常に違和感があります。 これならマイクロソフトやGAFA にあげてもいいんじゃないかと思います。 受賞本人も、受賞理由はそこですか? と漏らしていました。
本当に発明と言うならば、ブロックチェーンの発明者は不明ですが、ノーベル賞級だと思いますし、AIのディープラーニングも立派に資格はあると思います。 今回のノーベル賞は地球温暖化に絡めた極めて政治的な受賞で、平和賞と似てきて物理学賞お前もか、と言う感じを持ちました。
東北大学長当時のの西沢さんの講演を聞き、後で少しお話をしましたが、講演の中で「自然科学が唯一の科学で他は数学を含めて応用科学だ」と断言されたのがショックで良く覚えています。コンピューターサイエンスは、数学の1分野なのでビックリしましたが、良くも悪くもこの定義をノーベル賞が破ったことになります。
今月の読み物は「ルワンダ中央銀行総裁日記」中公新書 2009/11/1 服部正也著
Kindle版 (電子書籍) ¥1,000 新書 ¥1,056
これはもう10年ぐらい前に読んだと思うんですけど、最近また新聞広告が出てたのでびっくりしました。 ルワンダの中央銀行総裁として派遣された日本人の奮闘記で、単に地方の子会社に飛ばされたというようなレベルではなくて、本当に銀行の概念すらない、行員はもちろん住むところも無いところから、その国の中央銀行を立ち上げるという想像を絶する偉業を成し遂げた人の話です。 それだけだったらしんどい話だけですが、文章が面白く、読み物としても非常に面白いので一気に読んでしまいました。 是非一読をお勧めします。